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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
オレは怒ってないから大丈夫だぞ
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ビリーに伝えた話は、馬車の中にいたフィロウにも聞かれてたんだな。
オレに天守のシルシがあるって知って、しかもそれを自分には秘密にしてる、ってフィロウは感じたのかも知れない。
そう考えたら、フィロウに黙ってたのは悪手だったぞ。
なんか、除け者にしてるみたいだもんな。
「イグゥはボクの事、別に、どういう気持ちも無いって……知ってたけど。でも、イグゥも天守だなんて……そんなの、もう…」
好きだって、いつからだ? 本当にか? とか、思わないでもないけど。
オレを好きって言ってくれたのに、フィロウは苦しそうだ。
「…無理、なんだなって。思ったら……せめて……。ゴメンなさい。」
眉を寄せるフィロウの目から、また一粒、涙が落ちる。
フィロウはギュッて口を閉じた。
あー、つまりアレだな?
フィロウは、同じ天守同士って事で、思い詰めちゃったんだろ。
いくら天守がハーレムを作る義務が無いとは言え、他の天守とイイ仲になるなんて無理、って思ったんだよな。たぶんだけど。
それで、せめてもの思い出作りに媚薬を盛った、ってワケか。
オレのことが好きなのに、オレが自分の秘密を黙ってたからな。余計に追い詰めちゃったのかも知れないぞ。
「フィロウ、とりあえずソファに。隣に座らないか?」
「………。」
そう誘ってみても、フィロウはかぶりを振った。
床に座ったまま小さく震えてる。
罪悪感の所為でもあるだろうけど、こんなに怯えさせて……不甲斐ない。
少なくともオレが怒ってない、って知らせなきゃな。
「そんなに怯えないでくれ。オレは怒ってないぞ?」
「だ、……だって……そんな…」
「嫌いになってもいないし、だから……あんまり思い詰めるなよ。」
「ぅっ……。」
自分で言った台詞通り。
そこまで思い詰めるような話でもない。ってオレは考えてる。
もっと落ち着いたらフィロウにも言うツモリだけど。
ハーレムを作らないなら、その天守は一般的なタチ、又はリバと同じ。
妻になるのに属性は関係無いから、例えばフィロウが何処かのハーレム妻になったとしても、法律上の問題は何も無いんだ。
もちろん、法律上は問題無くても実際にそれをしたら「それはちょっと…」って、眉を顰められることはあるだろう。ルール上は許されてもマナー上は良しとされない、ってやつな。
天守が他の天守のものになるって、つまりイコール、一つのハーレムが生まれる前に潰れるワケだから。
そう考えた人からは非難されるだろう、オレは。もしかしたらフィロウも。
でも、さ?
直接は利害関係の無い『良識ある人々』がオレ達を非難するのは自由にして貰ってもいいけど、それでオレは自分の行動を変える気はないぞ。
フィロウを好きだって人がいて、フィロウのハーレムに入る予定だったのに邪魔された! って文句だったら……うん、ライバルだなよろしくな負けないぞ、って感じだけど。
大体オレ、マナー違反だとも思ってないしな。
天守にハーレムを作るよう強制は出来ないし、するべきでもない、って条解本に書かれてるんだ。その理由を考えたら……。強制で作らされたハーレムじゃ、赤ん坊を授かり難いんだろうな。少なくとも学者辺りにはそういう見解が広がる程度には、そんな検証も進んでるんじゃないか?
「フィロウは、……オレの事が好き、なんだよな?」
「……っ! っご、…ゴメンな…」
「あぁ違う、謝らせたいワケじゃない。確認しときたかったんだ。」
身体を強張らせたフィロウの手を、片手で包むように握る。
フィロウの肩が跳ねた。だけど振り払われはしなかった。
あと、こんな言い方したらアレだけどさ。
フィロウが床に座ってるから、視線が凄く合わせやすい。
「他にも大事な確認をしときたい。……気を遣わないで正直に答えてくれ。」
「ぅ……うん。」
「一般的な常識とか、町の人の目とか。しなきゃいけない、しちゃいけない、って……そこら辺を気にするのも、ナシだぞ?」
「……ん。」
これからオレが何を確認するのか。
分かってないフィロウは、不安気な表情をしながらも頷いてくれる。
「えぇと……フィロウにあるシルシって、大々的に公表はしてないだろ?」
「うん、してないよ。秘密って事でもないけど……。」
「フィロウはこれから、ハーレムをどうする? どうしたいんだ?」
「どうって……?」
「今すぐじゃなくても。行く行くは作りたいって、思ってるか? 念の為に言っとくけどさ。作らなきゃ……じゃないぞ?」
フィロウは真剣な表情でしばらく黙り込んでから。
やがて、ゆっくり首を振って否定した。
「念の為に聞くけど。妻の候補は?」
「……いないよ。」
「誰か、声を掛けたか? ハーレムの話をしたり、とか。」
「そんな人、いないよ。誰にも……声なんか掛けてない。」
分からないながらも、律儀に答えてくれるフィロウ。
「……よしっ。」
答えを聞いたオレは内心でガッツポーズした。
声も出ちゃってるけど気にしないでくれ。
オレに天守のシルシがあるって知って、しかもそれを自分には秘密にしてる、ってフィロウは感じたのかも知れない。
そう考えたら、フィロウに黙ってたのは悪手だったぞ。
なんか、除け者にしてるみたいだもんな。
「イグゥはボクの事、別に、どういう気持ちも無いって……知ってたけど。でも、イグゥも天守だなんて……そんなの、もう…」
好きだって、いつからだ? 本当にか? とか、思わないでもないけど。
オレを好きって言ってくれたのに、フィロウは苦しそうだ。
「…無理、なんだなって。思ったら……せめて……。ゴメンなさい。」
眉を寄せるフィロウの目から、また一粒、涙が落ちる。
フィロウはギュッて口を閉じた。
あー、つまりアレだな?
フィロウは、同じ天守同士って事で、思い詰めちゃったんだろ。
いくら天守がハーレムを作る義務が無いとは言え、他の天守とイイ仲になるなんて無理、って思ったんだよな。たぶんだけど。
それで、せめてもの思い出作りに媚薬を盛った、ってワケか。
オレのことが好きなのに、オレが自分の秘密を黙ってたからな。余計に追い詰めちゃったのかも知れないぞ。
「フィロウ、とりあえずソファに。隣に座らないか?」
「………。」
そう誘ってみても、フィロウはかぶりを振った。
床に座ったまま小さく震えてる。
罪悪感の所為でもあるだろうけど、こんなに怯えさせて……不甲斐ない。
少なくともオレが怒ってない、って知らせなきゃな。
「そんなに怯えないでくれ。オレは怒ってないぞ?」
「だ、……だって……そんな…」
「嫌いになってもいないし、だから……あんまり思い詰めるなよ。」
「ぅっ……。」
自分で言った台詞通り。
そこまで思い詰めるような話でもない。ってオレは考えてる。
もっと落ち着いたらフィロウにも言うツモリだけど。
ハーレムを作らないなら、その天守は一般的なタチ、又はリバと同じ。
妻になるのに属性は関係無いから、例えばフィロウが何処かのハーレム妻になったとしても、法律上の問題は何も無いんだ。
もちろん、法律上は問題無くても実際にそれをしたら「それはちょっと…」って、眉を顰められることはあるだろう。ルール上は許されてもマナー上は良しとされない、ってやつな。
天守が他の天守のものになるって、つまりイコール、一つのハーレムが生まれる前に潰れるワケだから。
そう考えた人からは非難されるだろう、オレは。もしかしたらフィロウも。
でも、さ?
直接は利害関係の無い『良識ある人々』がオレ達を非難するのは自由にして貰ってもいいけど、それでオレは自分の行動を変える気はないぞ。
フィロウを好きだって人がいて、フィロウのハーレムに入る予定だったのに邪魔された! って文句だったら……うん、ライバルだなよろしくな負けないぞ、って感じだけど。
大体オレ、マナー違反だとも思ってないしな。
天守にハーレムを作るよう強制は出来ないし、するべきでもない、って条解本に書かれてるんだ。その理由を考えたら……。強制で作らされたハーレムじゃ、赤ん坊を授かり難いんだろうな。少なくとも学者辺りにはそういう見解が広がる程度には、そんな検証も進んでるんじゃないか?
「フィロウは、……オレの事が好き、なんだよな?」
「……っ! っご、…ゴメンな…」
「あぁ違う、謝らせたいワケじゃない。確認しときたかったんだ。」
身体を強張らせたフィロウの手を、片手で包むように握る。
フィロウの肩が跳ねた。だけど振り払われはしなかった。
あと、こんな言い方したらアレだけどさ。
フィロウが床に座ってるから、視線が凄く合わせやすい。
「他にも大事な確認をしときたい。……気を遣わないで正直に答えてくれ。」
「ぅ……うん。」
「一般的な常識とか、町の人の目とか。しなきゃいけない、しちゃいけない、って……そこら辺を気にするのも、ナシだぞ?」
「……ん。」
これからオレが何を確認するのか。
分かってないフィロウは、不安気な表情をしながらも頷いてくれる。
「えぇと……フィロウにあるシルシって、大々的に公表はしてないだろ?」
「うん、してないよ。秘密って事でもないけど……。」
「フィロウはこれから、ハーレムをどうする? どうしたいんだ?」
「どうって……?」
「今すぐじゃなくても。行く行くは作りたいって、思ってるか? 念の為に言っとくけどさ。作らなきゃ……じゃないぞ?」
フィロウは真剣な表情でしばらく黙り込んでから。
やがて、ゆっくり首を振って否定した。
「念の為に聞くけど。妻の候補は?」
「……いないよ。」
「誰か、声を掛けたか? ハーレムの話をしたり、とか。」
「そんな人、いないよ。誰にも……声なんか掛けてない。」
分からないながらも、律儀に答えてくれるフィロウ。
「……よしっ。」
答えを聞いたオレは内心でガッツポーズした。
声も出ちゃってるけど気にしないでくれ。
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