せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

反対されても仕方ない案件だけどさ

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「フィロウから、好きだって告白された。それでオレも、フィロウを好きだって自覚したんだ。」

エステードさんの気が変わらない内に説明を始めた。


「フィロウの両瞳に天守のシルシがあるのは知ってる。実はオレにも天守のシルシがあって……オレとフィロウは、シルシのある者同士なんだけど…」

相槌が返って来ないのは想定内だけど。
オレの天守のシルシが話に出たのに、エステードさんはノーリアクションだった。何の驚きも動揺も無い。まるで興味が無いみたいだ。


「シルシがある者同士だからって法律で禁止されてるわけじゃない。そんな理由でオレはフィロウを諦めたくないんだ。」
「……それで?」

あ、ちょっと反応が来たぞ。


「世間的には非難されるかもって、フィロウと話してる。その上で、オレとフィロウは、妻になる方向で合意したんだ。」
「……それで?」
「自分が育った養育所にも帰れないし、記憶の一部も無いし、あんまり頼り甲斐が無いかもだけど。フィロウを大事にしたいと思ってる。」



何かを探るような、確認するような視線でオレをジッと見詰めるエステードさん。
ルサーが見守る前でエステードさんに、フィロウとの仲を認めて貰えるようお願いする、とか。参観日以上のコッテリした緊張感だぞ。
でもこれは必須イベントだからな。
オレの妻になってくれる皆は、ルサーも含めて、近い内に挨拶しなきゃならないんだ。必ず通る道なんだ。
天守になる、夫になるオレだって頑張らなくちゃ、だろ。


ビシッと決めるぞ。……って心を決めたオレ。
対面に座ってるエステードさんに向かって居ずまいを整えた。


……よしっ、言うぞ……!


「ぉ、…おにっ……! ……あ、いや…」
「何ですか、いきなり鬼呼ばわりとは失礼ですよ?」
「ちっ、違う、間違えた!」

待ってくれ、一旦、本当に待ってくれ。
この場の雰囲気がなんだかプロポーズっぽかったじゃん、それが良くなかったんだ。
それでついウッカリ、エステードさんに「義兄さん」って呼び掛けちゃいそうになって。まだそれは早いんじゃないかって思い直して……結果的に残念ながら、今の無様な遣り取りになっちゃったんだ。決して巫山戯たツモリは無いんだ。


必死に懇願するマヌケなオレ。
心配そうに横から窺って来るフィロウ。
ナニをやってるんだ、って言いたげな表情のルサー。
若干、表情筋が強張ったようにも見えるエステードさん。


「もも、もっ、もっかいチャンスを! 頼む、エステードさん!」
「やれやれ……仕方ないですね。」
「ありがとう、エステードさん!」


せっかく貰った二回目のチャンスだ。
格好良くなくていいから、今度は間違えないぞ。

自分の両頬をパシッて軽く叩く。
気合を入れ直して。


「エステードさんっ。フィロウを……オレに、フィロウをください!」
「駄目です。」



……え…………。



………えっ、………えええぇぇぇっっ?



すっごい驚いた。こんなに驚いたのにオレ、少しも声が出なかったぞ。
フィロウもビックリして目を丸くしてる。
ルサーもちょっと意外そうな顔でエステードさんを見てる。



「何を驚いた顔をしてるんです?」

涼しい顔をしてるのはエステードさんだけだ。


「良いですか、イグゥ君? 私は反対してるんですよ? くださいと言われて、ハイと頷くわけが無いんです。」
「そこをなんとか。」
「そんな食い下がり方をしても駄目です。」
「頼む、どうにかっ、どうにか一つヨロシく…」
「…もういいよっ。お兄さんは結局、反対したいだけでしょっ!」

見苦しい縋り方をするオレ。
それを遮って声を荒げたのはフィロウだ。卓面を叩いて立ち上がる。

「お兄さんのバカっ。なんでそんな反対するの、イグゥの話もちゃんと聞いてっ。」
「むしろ何故、反対されないと思えるんです? 私は反対ですよ、フィロウ。……苦労するのが分かってるなら、尚更です。」
「いいの、それでもっ。苦労してもっ。……お兄さんだって……好きな人ぐらい、いるでしょ? なんで分かんないの?」
「それとこれとは関係の無い話です。フィロウが思う程、……世間は優しくない。」


また兄弟喧嘩になっちゃった。
ちょっとオレが間に割って入り難い。


「ボクはイグゥが好き。ハーレムなんて、ボクには作れないよ。……分かってる。天守の役目を果たさないんだから、何か色々言われそうな事……覚悟、してるから。」
「覚悟、ですか……。天守様になれる男が、単なるネコに『成り下がる』んですよ? 苛烈な非難をされるに決まってるんです。」

涙が溢れそうな瞳でエステードさんを見下ろして。フィロウは一生懸命に言う。
眉をしかめてフィロウを見上げるエステードさんの視線は厳しい。

「言われても仕方ないのも分かってる。でも平気……耐えられるから。」
「耐えなきゃいけない状況になる事を反対してるんですよ。両親だって私だって、庇い切れない…」
「庇ってくれなくたっていいよ! 子供じゃないんだから!」
「子供です。」
「………!」
「………。」

言い合って。終いには無言で睨み合うフィロウとエステードさん。


硬く握り拳を作ってるフィロウの手を、オレはそっと包むように握った。
オレを振り返るフィロウは唇を戦慄かせて、殆ど涙ぐんでた。

「フィロウ、泣かないでくれ。焦らなくてもいいんだ。」
「イグゥ……。」
「オレも急いでたけどさ。別に今日中に説得しなきゃいけないワケじゃない。エステードさんだって今、急に言われたんだから。また次の機会もある。……な?」
「……ぅん。」


エステードさんを安心させて、それから説得するべきなんだろうけど。
今はそれより、オレはフィロウの気持ちを落ち着かせてやりたい、って思った。
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