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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
オレが昼ご飯作ってる間に終わっちゃいそうだ
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オレとフィロウに、ちょっと遅れたルサーが合流して、馬車は出発した。
行き先はルサーとオレの家だ。
最初ルサーは、どっか食事の出来る店に行こうって提案してくれたんだ。オレとフィロウがまだお昼御飯を食べてなかったから。
それじゃドコに行こうかって段階で、意外と困ってさ。
この町じゃ喫茶店も食事処も飲み屋も、大概は飲食スペースがワンフロアだ。カウンター席やテーブル席はあっても、ソファのボックス席は無い感じ。日本でも普通によくあるタイプ。
他の客との間に仕切りなんか無いし、声だってガンガン聞こえる。
まだ昼間だから、コッチの会話が邪魔される程じゃないだろうとは思うけど。一応これから大事な顔合わせ、だからな。
かといって、個室や半個室のある店は。値段も高いし、雰囲気も高級感に溢れ過ぎてる。オレ的には敷居も高いぞ。
安くて個室で……ってなると、宿屋とかになっちゃうワケで。
そやって考えてる内にオレ、面倒くさくなって来ちゃって。
冷蔵庫に何かしらの食材があったような気もするし、パスタとかでいいだろ?
だったらオレが御飯作るから家で良くないか? って言ったんだ。
* * *
家に入って。ルサーは服を着替えに自室へ。
台所に立ったオレはご飯を作る前に、まず飲み物を用意し始める。
ご飯を急いで作っても、それなりに時間は掛かるからさ。飲みながら待ってて貰おうと思って。
お湯を沸かして、お茶を濃いめに淹れよう。
後は、氷を入れたピッチャーに移して冷やせば、冷たい紅茶の出来上がりだ。
「ま、前にも来た事あるけど……なんか今日は緊張するね。」
「あぁ、状況がだいぶ違うからだな。」
フィロウは食卓に着いてる。
居間のソファに一人で座ってるのは落ち着かないからって、台所に来てるんだ。
「イグゥ、あの時は確か、ホットミルクを出してくれたよね?」
「そう言えばそうだったか。よく覚えてるなぁ。」
「好きだもん……そりゃ、ね? ……あの時点では見ず知らずの人間だったのに、イグゥってば。ケガしてるからって、平気で家に招くんだもん。ちょっと心配したよ?」
「それを言うならフィロウこそ。ケガの手当てするからって、知らない男の家に連れ込まれたりして。無防備過ぎて心配になったぞ?」
自然とお互いの顔に笑みが浮かぶ。
ちょっとは緊張が解けたかな?
懐かしい感じに話してる内に、冷たい紅茶が出来た。
そこに、ルサーが顔を出す。
「コッチに居たのか。」
「あ、ルサー。ちょうど良かった。」
着替えたルサーは、襟がカチッとした印象のシャツだった。ジャケット無しで、濃いダークグリーンのベスト。同じ系統色のストレートズボンは、硬い感じで格好良かった。
オレはつい、ニヤニヤしちゃう。
「冷たいお茶淹れたから。これから御飯作るけど、ついでに何かつまめる物でも作ろうか?」
「あぁ……いや、今は飲み物だけでいい。あと、悪いが居間に運んでくれ。」
「了解っ。」
どうやら妻同士の顔合わせは居間でやるようだ。
食卓があるから、『座って話せる場所』って意味ならここでも良さそうだけど。何となく『それなりの雰囲気』ってトコを重要視するなら、居間に移動した方が良さげだしな。
居間は台所のすぐ隣にあって、間にある扉を開ければ直で行けるから早いし。
ルサーとフィロウが向かい合う位置でソファに腰掛けた。
オレは冷たい紅茶の入ったピッチャーとグラスをテーブルに置いて、立ち上がる。
「じゃ、パパッと作って来るから。フィロウ、スパゲッティでいいか?」
「いいよ、もちろん。ありがと。」
「それじゃ、取り敢えず始めるとすっか。……知ってるだろうが、まずは簡単に自己紹介から。ってのが基本だな。」
「えっ、ルサー、もう始めるのかっ?」
台所に向かおうとしたオレ。ルサーの言葉に慌てて振り返った。
天守になるオレは顔合わせに同席出来るんだと思ってたから、かなり驚きだ。
そんな可哀想なオレを、ルサーは追い払おうとするみたいに。
「昼飯が出来るまでの間、ただ黙って茶ァ啜ってるのもオカシイだろぉがよ。」
「それはそうだけど。……だったら、食事の前に顔合わせするのは?」
「腹を空かせて話をさせンのも可哀想じゃねぇか? いいから。頑張って早めに作って来い。……大丈夫だ。」
「ぁ、あの、イグゥ……ボク、大丈夫だから。」
……ルサーがあんなに堂々と「大丈夫」って言うんだから、大丈夫かな。
言われてみれば確かに。フィロウにとっては、予定外のタイミングで顔合わせだからなぁ。始める前の時間を長引かせるのも良くないか。
「分かった。なるべく早く作って戻って来るから。……あと、さ……。ここのドア、開けといてもいいか?」
台所と居間とを繋ぐ扉を、未練がましく開け放つオレ。
苦笑しながらルサーは、それは許可してくれた。
「ここに来るまでちゃんと挨拶してなくてゴメンなさい。…ぁの……、フィロウ、です。エステードの、弟……です。」
「別に気にすンな。俺はエステードの同僚の、ルサーだ。……ルサーでいい。……なぁ? 俺もフィロウって呼んでいいか?」
本当に、さっそく始めるっぽい。
台所に入るオレの背中側。
二人が話す声に心残りをたっぷり感じながら、大急ぎで料理を始めた。
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