せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

左側

文字の大きさ
266 / 364
第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

見苦しくてゴメン

しおりを挟む
有るのか無いのかも分かんなくなったオレの長所は、ルサーに見付けて貰うとして。

急いでシャワーを浴びて、身体を拭いて、髪を乾かして……ってしなきゃ。
ウダウダ考え事をしてたから、結構な時間を潰しちゃった気もするし。
頭も身体も顔も洗えたし、お湯を浴びて温まったら出よう。
まだ目がちょっと赤く見えるのは……まぁ、台所に戻ってから冷やせば大丈夫か?


キュッて蛇口を捻ってシャワーを止める。
髪の毛が纏った水分を手で絞ってから、脱衣所へ移動した。

「あ、しまったな。これから着る服も持って来れば良かった。」

着たまま寝ちゃった所為でシワだらけになった服を着替えるツモリでいたのに、何も持たずに浴室に来てた。
タオル類は脱衣所の戸棚内にあるから大丈夫なんだけど。脱いだ服はもう洗濯籠に入れちゃってる。
ここから声を掛けて服を持って来て貰おうにも、今、家にいるのはオレ一人だ。


「仕方ないか。一人きり……だもんな。」

タオルを頭からスッポリ被って脱衣所を出るオレ。

もちろん髪はちゃんと拭いた。でもさ。
身体は綺麗に拭けても、髪はちょっと拭いたくらいじゃあさ。割とずっと、気付いたら毛先から雫が垂れてる、みたいな状態が続くからな。
一応、大事な腰を冷やさないように、バスタオルを下半身に巻いてるぞ。



「さて……服、どうしよっか。……あ、その前に下着を…」

浴室と同じ一階にあるオレの部屋。
室内に入って下着を用意してたら。




玄関のドアが開く音がした。間違いない。
それと、聞き覚えのある話し声も。


「…だな。そろそろ起きてる頃だと思うんだが…」
「…ルサァーっ!」

自分の部屋を飛び出した。
帰って来るのは元から分かってる。でも嬉しくて。


「ルサーっ、お帰りっ!」
「……っ! うをぉっ?」
「エステードさん、いらっしゃいっ!」
「……ぁ…っ、ぁの……、……いぇ…」

「帰ったぞ」って声を掛けられる前に、目の前にオレが躍り出たからか。凄くビックリしたっぽいルサー。
ルサーのほぼ隣にいたエステードさんも、珍しく驚いたように目を見開いて。返事もぎこちない。


「食べに行く予定だったのに、オレが寝てた所為でゴメン。」

置いてかれたんだから、ルサーが帰って来たら「置いてった!」って恨み言を並べてやろうと思ったんだけどさ。
実際に今、戻って来たルサーを見たら。文句を言いたい気分はどっかに行った。
買って来たっぽい荷物を抱えた二人を見たら。外食する約束をダメにしちゃった、って申し訳ない気分の方が大きくなった。

なのに。二人とも、様子がおかしい。
ルサーはカァ~ッて顔が赤くなってくし、エステードさんには顔を背けられた。
え、もしかして、この反応、まさか、メチャクチャ怒ってるのか?


「おっ、ぉ……おま、え……っ。」

人差し指をオレに向かって突き出して、赤い顔のルサーはワナワナしだす。
まさかとは思うけど。頭からスッポリ被ってるタオルが邪魔でオレが誰だか分かんない……なんてワケじゃないよな、って思いながら。

頭のタオルを外して、ついでに首筋から胸へ垂れた水滴を、それで拭くオレ。
腕の動きに合わせて自然と下がったオレの目線。


目に入ったモノに。


オレの動きは止まった。


「ぅげっ!」


ちょ……! オレの、下半身……! 見えちゃいけないモノが見えてるんだけど!

見えてる……違う、丸出しだ!
テレビでも映画でもゲームでも、完全モザイク案件だ! 消されるヤツ!


「ゴメン、ホント、ゴメンっ!」
「お前、気付いてなかったのかっ?」
「ゴメン、ホント、ゴメンっ!」

焦りに焦り倒してタオルで腰を覆うオレ。かなりみっともない。
呆れた声でルサーが言うのも尤もだ。
いや、ホント、その通り。気付いてなかった。面目次第もございません。
あからさまに真横に顔を背けてるエステードさんの気遣いが、逆に心に痛い。


なんでぇ~? なんでだぁ~?
ちゃんとオレ、腰にバスタオル巻いて……あぁ、そうか。
たぶん自分の部屋で下着を用意する為に蹲ってたから。
ゴソゴソやってる間にか。その体勢から急いで立ち上がった弾みでか。部屋を飛び出した勢いでか。どれかのタイミングで、バスタオル……外れちゃったんだろうなぁ。



「あのさ、オレ、シャワー浴びてて。」
「だろうな。」
「替えの服と下着を用意するの、忘れてて。それで…」
「…分ぁかった、分かってるからよ。お前はとにかく服を着ろ。それから、頭もちゃんと乾かせ。」

あくまでも不慮の事故だ。決してワザと、オレの身体を見て貰うツモリで待ち構えてたんじゃない。
……って弁解をする必要は無さそうでホッとした。


「俺とエステードは台所に行ってる。急ぐ必要は無ぇから、焦らねぇでいい。」
「うん……わ、分かった。」

顔から火が出るような思いをしながら、部屋へ逃げ込んだオレ。


オレの長所を探して貰う。
……とか言ってる雰囲気じゃないなぁ、これ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

泥酔している間に愛人契約されていたんだが

暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。 黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。 かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。 だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。 元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。 交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...