せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

考えさせてくれ、は断りの言葉じゃないハズだ

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   *   *   *



病院に向かって歩くオレ。
歩きながら今日の目標。やること、言うこと。ちゃんと決めとく。
そうしておかなきゃ、なんやかんやでウッカリしそうだからな。


「一週間は経ってないもんな。」

リオが刺されてからの日数。
確認するように、つい口から出た。


この世界はあんまり医療が発達してない。
刺された部位が太腿で、胴体にかなり近い部分だからな。日常生活にも支障をきたすだろうし、普通に考えて、この日数ならリオはまだ入院してるハズだ。


「まだ痛むよな、きっと……。」

リオが味わっただろう痛みと衝撃を考えて、オレの眉間にシワが寄る。
出来ればリオが退院する日には付き添いたいな、って。





考えながら歩いてたら病院に着いた。

朝の院内は、こないだ来た昼前よりも来院者が多いようだ。もしかして皆、朝一番で薬とか貰いに来るのかも。
病院の受付ブースっぽいトコで来院目的を告げたら、どうやらリオの病室が変わってたらしい。前回とは違う病室を教えられた。
なんと、一人部屋だってさ。



リオの病室は、前回リッカと行き合ったあの病室エリアよりも奥だった。
幾つかある扉の配置間隔が狭めだから、個室ばっかりなんだろう。
まるで誰も人が入ってないみたいで、廊下はとても静かだった。

聞いてた部屋の前も、もちろん静かだった。
オレは軽く呼吸を整えて扉をノックした。


「………?」

室内から返事が無い。
オレはもう一度ノックする。


「リオ……? 寝てる、のか……?」

病室を教えて貰ったんだから、この部屋にいるのは間違いない。
もう一度ノックしても返事が無かったら。どうしよう……って、考えてたら。


室内から慌てたような気配と、……ベッド、かな。結構、派手に軋む音。
その音の直後。
扉の向こうから「イタぁ~」って声が聞こえた。確実に、リオの、痛がる声。


「リオ? 大丈夫か? ぇと、オレ……イグザだけど、開けていいか?」

ちょっと焦るオレ。
許可してくれる返事が聞こえたから、急いで扉を開けた。


部屋の中はこじんまりして丁度良いくらいに明るい。
ベッドの横に、リオが蹲ってる。布団に掴まって立ち上がろうとしてるんだけど、上手く行かないみたいだった。

「……リオっ、大丈夫かっ?」
「うん……、ちょっと慌てちゃって…」

苦笑いを浮かべるリオに素早く駆け寄って支える。
シーツを握るリオの手を、オレの肩へと乗せさせた。

「オレに掴まれ。とりあえずベッドに戻るぞ?」
「あ、ありが……ぅわっ!」

リオが肩に掴まったのを確認して、抱え上げたら。
ビックリした声を上げたリオにしがみ付かれた。

「だっ、抱き上げるなら、こ…声ぐらい掛けろよ。ビックリするだろ……もう。」
「ゴメン、ゴメン。抱き上げるぞ。」
「もう遅いっての。」

ツッコミ的に指摘して、リオはちょっと笑った。
寝起きだからか、入院中だからか。纏めてない髪が揺れて、フワッて心地良い香がする。オレの腕に掛かる丁度良い重さとか、温かさとか、硬さと柔らかさの絶妙なバランスとか。全部、いい。
ずっとギュムギュムしてたくなる気持ちを振り払って、リオをベッドに戻した。
足を伸ばして座るリオのすぐそばに、丸椅子を引っ張って来てオレも腰掛ける。


「また来てくれたんだね、イグゥ。ありがと。」
「今日はオレ、どうしてもリオに伝えたい、大事な話があるんだ。」

リオの頬が薄っすら赤く見える。
綺麗なリオの可愛い表情を前にオレは、さっそく『大事な話』を始めた。
話しておかないとオレ、このままデレデレするだけで終わりそうだからな。



リオに伝えよう、って決めてた話をするオレ。

「オレの身体にシルシが見付かったんだ。天守の、シルシ。」
「っえ、え………、えええぇぇぇっっ? ほ、ホントにっ?」
「本当だ。驚くのも無理無いよな。天守だなんてさ、オレもつい最近知ったんだ。」
「て、天守なんだ……イグゥ。そっか……。じゃ、ハーレム…」
「…あぁ。ハーレムを作ろう、って考えてる。」
「そう……。そっか、……そう、なんだ。」


ん? あれ? なんか、リオの様子が……。
あっ、マズい。これ、誤解させてるんじゃないか?


「リオに、オレの、妻になって欲しいんだ。」
「でも、……おれ…」
「タチとかネコとか関係無いからっ。ハーレムの妻になるのに、属性の限定は無いんだ。タチ妻も法律的に何の問題も無いって、調べてあるからっ。」

タチの自分はハーレムに入れない。
そう思ったから、リオの元気が無くなったんじゃないか。


「ひょっとして、いきなり『妻』って抵抗あるか? 確かに、恋人になるのと違ってちょっと重たいよな。いきなりな話だから、すぐに了承するのは難しいかも知れないけど、オレはリオに頷いて欲しい。」

どうにかしたくて必死に言葉を並べるオレ。
オレの勢いがあり過ぎるからか、リオは何も言わずにジッとオレを見てる。


「もしリオは、しばらくは恋人がいいって言うなら、恋人期間を過ごしてからでもいい。一般的なハーレム入りがどうなのかは別として、オレは、リオが納得して妻になってくれるのがいい。……それから今日は絶対、リオに、住んでるトコを教えて欲しい。少なくとも。リオと会いたかったらどこに行けばいいのか、どこで連絡が取れるのか。それだけは把握しときたい。会うのもままならない、なんてイヤだ。」

急な饒舌。急な長文。別にオレ、普段は口数が少ないワケでもないけどさ。
こんなの自分でも……引く。
リオも引いてる。
オレに向いてた視線がちょっと揺れてから、下へ逸らされた。



「…………考え、させて。」


か、ん、が、え、さ、せ、て。



その意味が分かんなくなるくらい。

リオの言葉はオレの頭の中に、単なる音として響いた。
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