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【閑話】2月2日はにゃんにゃんの日
【閑話】にゃんにゃんの日・後日(エステード メリクル)
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【エステード メリクル】
2月2日の『にゃんにゃんの日』を過ぎた、某日某時間。
オレはエステードさんを訪ねて兵舎に来た。
皆にプレゼントして余った……げふん、ゲフンっ。人数より多く作っちゃった猫耳カチューシャと猫パンチ手袋を、エステードさんに渡そうと思ってだ。
誤解の無いように、前以て言っとくぞ。
猫☆変身グッズを渡しに来たのは、疚しい気持ちからじゃない。
ルサーにウッカリ「これはエステードさんの分」って言っちゃったからだ。
別にオレはエステードさんに、何かしらのヤラしいリアクションを求めるツモリは全く無いからな?
もしもエステードさんがオレの恋人だったら。そりゃもちろん、猫っぽく可愛い仕草とか「にゃん」とか求めるけどさ。
実際にはそうじゃないんだから。
オレはエステードさんにエロチックな可愛さを求めない。
それに、迂闊にエステードさんの猫耳を褒めるワケにも行かないだろ。
メリクルにメチャクチャ突っつき回されて、オレのおでこに穴が開くぞ。
部屋に入れて貰ったオレは、フカフカなラグの上で、同じくらいフカフカな猫グッズをバッグから取り出した。
飲み物を用意してくれてるエステードさんの、冷蔵庫によるラッキースケベイベントは、辛抱強く俯いて視線をバッグに注ぐ方法で回避した。
低いテーブルに茶色の猫☆変身グッズを並べた頃、珈琲紅茶を入れたカップを持ったエステードさんが来て、オレから見て斜めの位置に座った。
「これは…何です?」
「オレが作った猫☆変身グッズだ。」
「お手製でしたか。イグゥ君は器用ですね。」
「それで……エステードさんに着けて貰いたくて持って来たんだけど。どうかな?」
「いいですよ、はい。」
「でも、イヤなら……、えっ? あ、……あぁ。」
意外にエステードさん、サックリと猫耳カチューシャを着けた。
もしかしたら嫌がるかな、って心配してたオレが愚かの極みのようだ。
しかも……猫耳のエステードさんは。
ちょっとだけ想像してたよりも、遥かにずっと、綺麗だった。
オレの予想では。
可愛い猫耳を着ければ、いつも色気を感じさせないエステードさんも可愛くなる……と見せかけてっ。
たまぁにSNSとかで話題になる『人間っぽくふてぶてしい表情の猫』みたいな感じになるんじゃないかって。可愛くないのが凄く可愛い、な結果になるんじゃないかって。
そう思ってたのに。
実際には。
なかなか懐いてくれない、ツンッとした、凄く綺麗な猫みたい。
人懐っこく柔らかな笑みとか見せないのが、妙な色気を感じるくらいに。
冷静な表情と猫耳の、ミラクルなコラボレーションだ。
全く意識してなかったから、エステードさんの猫耳姿に一番ビックリした。
これは意外だったぞ……。
思わぬダークホース出現だ。大穴だ。万馬券だ。
マヌケな声を上げたオレを気にすること無く、エステードさんは猫耳を摘む。
それから右を向いたり、左を向いたり。頭を左右に傾けたり。
「ん……大丈夫そうですね。しっかり留まってます。」
「あぁ、うん。」
「頭部へのフィット感も悪くはないですね。装飾的に、外で着けるのは無理でしょうけど。家の中で使う分には良いんじゃないですか?」
エステードさん……普通に、使用感を言ってくれてるぞ。
制作者のオレに、良かれと思って伝えてくれてるんだろうな。
「ぁの、良かったらソレ、エステードさん……貰ってくれないか。」
「そうですか、有難うございます。前髪が邪魔な時に使いますね。」
正しい使い方を宣言するエステードさん。
手も着けてくれ、って言う隙が無い。
オレは微妙な笑みを浮かべて、珈琲紅茶を飲むのに集中した。
だから気付かなかった。
隣の部屋の音に。
「いらっしゃい、メリクル。」
扉を開ける音とエステードさんの言葉で、メリクルが来たのが分かった。
だけどメリクルの返事が無い。
そ~っと顔を上げたら、メリクルは無言でエステードさんを凝視してた。
エステードさんの頭にはまだ、猫耳が付いてる。
メリクルの視線を辿ったエステードさんが、自分の頭に手をやろうとしたら。
「それは着けとけ。」
「そうですか……。」
やっぱりメリクルも気に入ったっぽい。
凄い似合ってるもんな。
猫耳継続のエステードさんは、メリクルの飲み物を用意する為立ち上がった。
また冷蔵庫がラッキースケベイベントを起こすのを予測したオレは、今の内から俯いて準備しとく。
機嫌悪そうな顔のメリクルは何故か、オレの隣に腰を下ろした。
「テメェの仕業か、イグゥ……。」
「もう一個あるぞ?」
メリクルがオレを睨みながら、唸るように言う。
オレはいそいそ、茶と黒のミックス猫耳を取り出した。
「コッチの猫耳はメリクルのぶ……! っだだだだ!」
「ふ・ざ・け・ん・なっ!」
メリクルっ! メリクル、ちょっと!
割と本気で痛いんだけどっ!
「なんでだよ、メリクルっ。こんなに可愛いのにっ。せっかく作ったのにっ。」
「才能を無駄遣いすんな!」
「せっかくだからさ、似合ってるエステードさんとペアルッ……、ぃだだだ!」
またもやメリクルに、カカカカカッ……って額を連打されるオレ。
格ゲーやシューティングでも、ここまでしないだろってくらいの高速連打。
しかも無言で。
メリクルの無言、地味に怖い。
って言うかメリクル、オレのおでこ、突つき過ぎだぞ!
「いいよ、もう。メリクルには猫耳、あげないからな?」
「要らねぇわ。」
「……でももし考えが変わったら言っ…」
「要・ら・ね・え、って言ってんだろ。」
オレは渋々、ミックス猫耳をバッグに仕舞った。
ふと、ミックスの猫手が視界に入る。
柄の問題だろうけど、耳よりも面積の大きい手袋の方がミックスは可愛い。
そうだ、せっかくだし……。
「メリクル、一応、こんなのもあるけど?」
「………ハァ~。」
わざとらしい溜息を吐くメリクル。
だけど猫手袋は受け取ってくれて。
ボスッ!
「ぐっ、はぁ…っ。」
「なる。便利だな。」
「違うっ、メリクル、使い方が……っぐほぅ。」
「別にそこまで痛くはねぇだろが。うりゃ、猫パンチだ、くらえっ。」
「確かにそこまでじゃないけどっ。猫パンチは脇腹抉らないからっ。」
ボスッ、ボスボス……!
「メリクルっ! もうっ、……そんな使い方するなら手袋もあげないぞっ。」
「要らねぇわ。」
「エステードさんも。メリクルのは間違った用法だから、真似しちゃダメだ。」
「そうですか。」
いつの間にか飲み物を用意して来てたエステードさん。
茶色の猫手袋を嵌めて、メリクルみたいに拳を握り締めるから急いで注意した。
元の位置に座り直したエステードさんは、自分のカップに手を伸ばしたんだけど。
猫手袋を嵌めたままだって気付いた。
気付いて、外そうとしたら。
「着けてろ。」
「……はい。」
メリクルは猫手も気に入ったっぽい。
猫耳程は似合ってる感じはしないんだけど、メリクルがいいなら、いいよな。
「メリクル? メリクルも欲しいんなら、今のう…」
「イグゥはもう帰れ。」
「え~っ、そんなぁ。」
「か・え・れ……。」
「分かった、帰る。」
ゆらぁ~り。
って立ち上がった、幽鬼のような形相のメリクルに追い出されるオレ。
エステードさんへの挨拶も慌ただしくなっちゃったけど、茶色の猫グッズは渡せたからヨシとしよう。
この後。あの二人は……いや、メリクルが絶対。
セックスするに違いない。
盛り上がるアイテムを提供したんだから、メリクルはもうちょっとオレに感謝って言うか、優しくしてくれてもいいのになぁ。
オレはちょっぴり納得が行かない思いを抱えつつ、エステードさん宅を後にした。
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