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プロローグ
プロローグ1・素晴らしい世界
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嵐や干ばつ、地震などの天災と並んで……いや、それ以上に、直接的に人々の平穏を脅かすもの。
それが、この世界に蔓延る『瘴気』と『妖魔』だ。
瘴気の発生の仕組みについては、遠い過去の熱心な研究者たちのおかげで一応は解明されている。
命あるものが死を迎えると、その死体から僅かに瘴気が発生するのだ。
誰しもが死ねば瘴気を発生させる。それは偉大な王族であっても、敬虔な司祭であっても変わりがなかった。
発生する瘴気の量は、死の間際の精神状態で増減する。という見解もあるようだが、結論は出ていない。
瘴気は人を蝕むものだ。身体も、精神も。
健康を損なったり、弱くなったり、病気になったり、心を閉ざしたり、正常な判断力を無くしたり。
触れる量や時間、瘴気自体の強さによって異なるものの。様々な悪影響を与えた上に、悪化すれば死に至る事も珍しくない。
だが瘴気が恐ろしいのはそれだけではない。
最も恐ろしいのは、大量の強い瘴気が人間を妖魔へと変貌させる事だ。
考え方の全く異なった、罪悪感など欠片も持たぬ、神が作り出した全ての生物に仇なす存在である妖魔へと。
妖魔と成り果てれば、もう人間に戻る事は出来ないのだ。
瘴気によって妖魔へと変貌させられるのは、人間に限らない。
家畜やペットはもちろん、野生の動物達、虫や魚ですら妖魔となる。
妖魔に殺された死体は、通常よりも多くの瘴気を生み出す。
妖魔が死んだ場合は、亡骸自体が時間を掛けて多量の瘴気に変換していく。
発生した瘴気は風に流れ、水に流れ、やがてどこかに淀み溜まっていく。
こうして、大陸中の様々な場所に、大量の瘴気が淀み溜まる『瘴気溜まり』と呼ばれるポイントが出来る。
妖魔はそこから、この世界に現れる。
どこか別な世界から瘴気溜まりを通ってやって来るのか、それとも瘴気溜まりから生み出されるのか。それは分かっていない。
瘴気は妖魔を生み出し、妖魔は瘴気を発生させる。
互いに助長し合う関係で、共に、この世界を脅かす存在である事には違いない。
対抗手段として、かつて多くの国で『勇者召喚』や『聖女覚醒』の古代術儀式が行われていた。
一時にはどこの国にも数人は存在した、と伝承に残されるぐらいに。誰もが一度は勇者か聖女の姿を目にしたぐらいに。
だが今となっては。
古代術と呼ばれるそれらの方法は既に、失われたと言っても良かろう。
大陸内でも僅かな国にしか継承されておらず、方法を知ってはいても儀式を実行出来るだけの力はない。殆どの国は古代術の知識すら持たないのだ。
勇者サマも聖女サマも物語上の存在となり、人々は教会を中心として、必死に瘴気や妖魔に対抗していた。
緩やかに、緩やかに。
世界に増えて行く瘴気に囲まれながら。
それでも人々は、自分達の手で世界を守れていると、そう思っていた。
この世界は他の神々へ娯楽として提供された『鑑賞物』であるなど、人々には知る由も無い。
それが、この世界に蔓延る『瘴気』と『妖魔』だ。
瘴気の発生の仕組みについては、遠い過去の熱心な研究者たちのおかげで一応は解明されている。
命あるものが死を迎えると、その死体から僅かに瘴気が発生するのだ。
誰しもが死ねば瘴気を発生させる。それは偉大な王族であっても、敬虔な司祭であっても変わりがなかった。
発生する瘴気の量は、死の間際の精神状態で増減する。という見解もあるようだが、結論は出ていない。
瘴気は人を蝕むものだ。身体も、精神も。
健康を損なったり、弱くなったり、病気になったり、心を閉ざしたり、正常な判断力を無くしたり。
触れる量や時間、瘴気自体の強さによって異なるものの。様々な悪影響を与えた上に、悪化すれば死に至る事も珍しくない。
だが瘴気が恐ろしいのはそれだけではない。
最も恐ろしいのは、大量の強い瘴気が人間を妖魔へと変貌させる事だ。
考え方の全く異なった、罪悪感など欠片も持たぬ、神が作り出した全ての生物に仇なす存在である妖魔へと。
妖魔と成り果てれば、もう人間に戻る事は出来ないのだ。
瘴気によって妖魔へと変貌させられるのは、人間に限らない。
家畜やペットはもちろん、野生の動物達、虫や魚ですら妖魔となる。
妖魔に殺された死体は、通常よりも多くの瘴気を生み出す。
妖魔が死んだ場合は、亡骸自体が時間を掛けて多量の瘴気に変換していく。
発生した瘴気は風に流れ、水に流れ、やがてどこかに淀み溜まっていく。
こうして、大陸中の様々な場所に、大量の瘴気が淀み溜まる『瘴気溜まり』と呼ばれるポイントが出来る。
妖魔はそこから、この世界に現れる。
どこか別な世界から瘴気溜まりを通ってやって来るのか、それとも瘴気溜まりから生み出されるのか。それは分かっていない。
瘴気は妖魔を生み出し、妖魔は瘴気を発生させる。
互いに助長し合う関係で、共に、この世界を脅かす存在である事には違いない。
対抗手段として、かつて多くの国で『勇者召喚』や『聖女覚醒』の古代術儀式が行われていた。
一時にはどこの国にも数人は存在した、と伝承に残されるぐらいに。誰もが一度は勇者か聖女の姿を目にしたぐらいに。
だが今となっては。
古代術と呼ばれるそれらの方法は既に、失われたと言っても良かろう。
大陸内でも僅かな国にしか継承されておらず、方法を知ってはいても儀式を実行出来るだけの力はない。殆どの国は古代術の知識すら持たないのだ。
勇者サマも聖女サマも物語上の存在となり、人々は教会を中心として、必死に瘴気や妖魔に対抗していた。
緩やかに、緩やかに。
世界に増えて行く瘴気に囲まれながら。
それでも人々は、自分達の手で世界を守れていると、そう思っていた。
この世界は他の神々へ娯楽として提供された『鑑賞物』であるなど、人々には知る由も無い。
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