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本編3 残念な男
35・ツンデレ然にさり気なく @泉州
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「朝食が終わったら、ちょっと時間取れるか?」
朝飯を食ってるロイズを眺めてたら、イーシャから声を掛けられた。
特に何の根拠も無ぇが仕事の話だろうなって気がしたオレはすぐに頷く。
「あぁ、大丈夫だ。……仕事の話ならな?」
「え、ちょ……、お前っ。病み上がりだろ、無理するなっ。」
態度は一見、安いツンデレなんだが。
実は案外心配性だし、さり気なくオレを気遣ってくれる。
マジ可愛いぜ、ロイズ。付き合ってくれ。
「無理なんかしてねぇさ。ただそろそろ、ちょっとは頑張ってる所をロイズに見せたくてな。一応これでも勇者をやりに来てンだから、いい加減に働かねぇと。マジ本当に、無理しねぇ範囲で…」
「そんな事言ってると、また倒れるんだよ。」
オレは自分の中で一番のキメ顔をロイズに向ける。
残念だがロイズにはあんまり効果が出なかった。
無理する・しないに関しちゃあ、オレは随分と信用を無くしちまったようだ。
そんで今のオレには、その信用を取り戻せるような材料が乏しい。
ロイズがイーシャの方を向いた。
「神官長、おれも一緒に聞いてもいいっすか?」
「あぁもちろんだ、ロイズ。一緒に居られるとか、願ったり叶ったりだぜ。」
「ん~。お前が一緒、……かぁ。」
ロイズからの素敵な提案だ。もちろんオレに異論なんぞ有り得ねぇ。
だがイーシャは若干、考え込むような表情で視線を逸らした。
「あー、やっぱ、……おれが居るのはマズイっすか?」
「そんなワケ無ぇだろ。ロイズは居てくれるだけで素晴らしい。」
「おれ、神官長に聞いてるんだけど。」
デレデレするオレは、ロイズに軽くあしらわれる。
この遣り取りも、すっかり『お馴染み』になって来たようだ。
そんだけロイズがオレに慣れた証拠みたいで、結構嬉しいモンだな。
ちょっと思案顔になったイーシャはすぐに結論を出した。
「一応聞いとくが……勇者サマは、ロイズが一緒の方がいいんだな?」
「オレはいつだってロイズと一緒に居てぇぞ。」
「あぁ……うん、まぁ……そうか……分かった。上層部には、勇者の希望でロイズを同席させると伝えておこう。呼びに行くから、自分の部屋で待っててくれ。」
そう言ってイーシャは食事を再開した。
それを見たロイズが食うスピードを早めた。
イーシャの方が若干だが先に食い終わりそうだからだ。
さっきまでモッキュ…モッキュ…、って感じで食ってる様子が、寝惚けた仔猫みてぇに可愛かったロイズだが。
今はモキュモキュモッキュモキュ…って感じで、小動物感が更に増してる。
控えめに言って、悶絶するぐらい可愛い。可愛すぎてヤバい。
頑張って急いで食おうとしてんのに、全部は頑張り切れてねぇのがイイ。
こんなん、いくらでも見てられるぜ……。
……とは言え、だ。
焦った所為でロイズが咽喉詰まりしたら大変だぞ。
「ロイズ、急がなくて大丈夫だ。オレはいつまでも待てるんでな。」
「お前が待っててくれたってしょーがないし。」
「そんな事も無ぇだろ。呼びに来てくれるって言うんだから、ロイズが食い終わったらオレの部屋で一緒に待ってようぜ?」
「行くワケないだろ、お前の部屋なんかっ。」
惜しいな、さり気なく誘ってみたんだが駄目だったか。
なぁ、ロイズ? そんな事を言いながら、昨日は来てくれたじゃねぇかよ。
もしかして昨日は、勇者なオレが風邪をひいたから、ロイズ……緊急事態だって判断してくれたのか?
だが今日はオレの風邪も治ったし……となると、途端に意識して恥ずかしくなっちゃった、ってヤツだな。
おいおいィ~。急に照れちまうとか、その反応……可愛すぎだろが。
「おれは神官長に付いてくんだからっ。もうっ……急いでるんだから、変なコト言って来るなっ。」
「そ、そうか。なぁイーシャ…?」
「…分かってる。ちゃんと待ってっからよ、急がねぇで食え。」
オレはイーシャに、ロイズが食い終わるまで待っててやってくれ。って頼もうとしたんだが。
流石はロイズの上司なだけあって、言われる前からイーシャは分かってたようだ。
本格的に急ぎ出したロイズは無言で朝飯を頬張った。
また小動物みてぇに頬が膨らんでる。
「分かってたか、イーシャ。」
「分かるさ。……お前サンが言いそうな事だ。」
確かに、オレが言いそうな事だな。
朝飯を食ってるロイズを眺めてたら、イーシャから声を掛けられた。
特に何の根拠も無ぇが仕事の話だろうなって気がしたオレはすぐに頷く。
「あぁ、大丈夫だ。……仕事の話ならな?」
「え、ちょ……、お前っ。病み上がりだろ、無理するなっ。」
態度は一見、安いツンデレなんだが。
実は案外心配性だし、さり気なくオレを気遣ってくれる。
マジ可愛いぜ、ロイズ。付き合ってくれ。
「無理なんかしてねぇさ。ただそろそろ、ちょっとは頑張ってる所をロイズに見せたくてな。一応これでも勇者をやりに来てンだから、いい加減に働かねぇと。マジ本当に、無理しねぇ範囲で…」
「そんな事言ってると、また倒れるんだよ。」
オレは自分の中で一番のキメ顔をロイズに向ける。
残念だがロイズにはあんまり効果が出なかった。
無理する・しないに関しちゃあ、オレは随分と信用を無くしちまったようだ。
そんで今のオレには、その信用を取り戻せるような材料が乏しい。
ロイズがイーシャの方を向いた。
「神官長、おれも一緒に聞いてもいいっすか?」
「あぁもちろんだ、ロイズ。一緒に居られるとか、願ったり叶ったりだぜ。」
「ん~。お前が一緒、……かぁ。」
ロイズからの素敵な提案だ。もちろんオレに異論なんぞ有り得ねぇ。
だがイーシャは若干、考え込むような表情で視線を逸らした。
「あー、やっぱ、……おれが居るのはマズイっすか?」
「そんなワケ無ぇだろ。ロイズは居てくれるだけで素晴らしい。」
「おれ、神官長に聞いてるんだけど。」
デレデレするオレは、ロイズに軽くあしらわれる。
この遣り取りも、すっかり『お馴染み』になって来たようだ。
そんだけロイズがオレに慣れた証拠みたいで、結構嬉しいモンだな。
ちょっと思案顔になったイーシャはすぐに結論を出した。
「一応聞いとくが……勇者サマは、ロイズが一緒の方がいいんだな?」
「オレはいつだってロイズと一緒に居てぇぞ。」
「あぁ……うん、まぁ……そうか……分かった。上層部には、勇者の希望でロイズを同席させると伝えておこう。呼びに行くから、自分の部屋で待っててくれ。」
そう言ってイーシャは食事を再開した。
それを見たロイズが食うスピードを早めた。
イーシャの方が若干だが先に食い終わりそうだからだ。
さっきまでモッキュ…モッキュ…、って感じで食ってる様子が、寝惚けた仔猫みてぇに可愛かったロイズだが。
今はモキュモキュモッキュモキュ…って感じで、小動物感が更に増してる。
控えめに言って、悶絶するぐらい可愛い。可愛すぎてヤバい。
頑張って急いで食おうとしてんのに、全部は頑張り切れてねぇのがイイ。
こんなん、いくらでも見てられるぜ……。
……とは言え、だ。
焦った所為でロイズが咽喉詰まりしたら大変だぞ。
「ロイズ、急がなくて大丈夫だ。オレはいつまでも待てるんでな。」
「お前が待っててくれたってしょーがないし。」
「そんな事も無ぇだろ。呼びに来てくれるって言うんだから、ロイズが食い終わったらオレの部屋で一緒に待ってようぜ?」
「行くワケないだろ、お前の部屋なんかっ。」
惜しいな、さり気なく誘ってみたんだが駄目だったか。
なぁ、ロイズ? そんな事を言いながら、昨日は来てくれたじゃねぇかよ。
もしかして昨日は、勇者なオレが風邪をひいたから、ロイズ……緊急事態だって判断してくれたのか?
だが今日はオレの風邪も治ったし……となると、途端に意識して恥ずかしくなっちゃった、ってヤツだな。
おいおいィ~。急に照れちまうとか、その反応……可愛すぎだろが。
「おれは神官長に付いてくんだからっ。もうっ……急いでるんだから、変なコト言って来るなっ。」
「そ、そうか。なぁイーシャ…?」
「…分かってる。ちゃんと待ってっからよ、急がねぇで食え。」
オレはイーシャに、ロイズが食い終わるまで待っててやってくれ。って頼もうとしたんだが。
流石はロイズの上司なだけあって、言われる前からイーシャは分かってたようだ。
本格的に急ぎ出したロイズは無言で朝飯を頬張った。
また小動物みてぇに頬が膨らんでる。
「分かってたか、イーシャ。」
「分かるさ。……お前サンが言いそうな事だ。」
確かに、オレが言いそうな事だな。
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