アイツが女装やめたら世界が滅びるんだってさ

左側

文字の大きさ
4 / 12

4 クマチャンを持って来い!

しおりを挟む
鮮やかなエメラルドグリーンの瞳がオレを睨んでいる。


クソ王子め……。
口付けながら睨むな。睨むぐらいなら貪るな、しつこい。
せめてもう少しぐらい気持ち良さそうな、ウットリした顔が出来ねぇもんか?
いやダメだ、それはそれで気持ち悪い。前言撤回だ、ウットリするな。



「ん゛っ……!」

オレの考えている事に文句でも言うみたいに。
クソ王子から舌を乱暴に吸われた上に、歯まで当てられた。


痛てぇよ、このクソバカっ!


コッチも噛み返してやろうかと思ったが、その後で噛まれるのも馬鹿馬鹿しい。
相変わらず睨んで来るクソ王子の目を見るからに、その可能性は大いにある。

しゃあねぇ、な……。


「…ん、……ふ。」

睨み返すのを止めて大人しくすれば、クソ王子は分かりやすく調子に乗った。
無遠慮に……それまでも遠慮は無かったような気がするが……好き勝手に口の中を蹂躙される。

もうこの際、無駄な抵抗は諦めて受け入れる。というフリで。
逆にコッチからも舌を絡ませながら、オレはクソ王子の頭に手を回した。
オレの手首には、さっきポケットの中で確認したシュシュを嵌めてある。口付けのどさくさに紛れて、これをクソ王子の髪に着けてやる予定だ。
鮮やかなルビー色の長髪に指を潜り込ませて撫でてやると、そこで初めて、気持ち良さそうにクソ王子の瞳が笑う。オレの咥内で暴れる舌の動きが少しだけ優しくなった。


あぁクソ……本当にこの王子、クソだ。
自分の顔面がどれぐらいのもんか、どんな効果があるかを分かっている。


コイツの中で、魔王の片鱗が暴れ掛けている。
その所為でオレは面倒くさい事になっている。
そんなだっていうのに、ちょっと機嫌良さそうな表情をするだけでコイツは、途端に王子らしく高貴で華やかな印象になる。
オレの好きな……ある意味、騙された顔だ。
本当にこの、ク……王子、顔は良い。



「エルディ。」

声も良かった。……クソ。
頭がカッカし過ぎて忘れていた。


「……でん、か…、……服を…」
「ヴァル、だ。」
「………。」

訂正して来るんじゃねぇよ、ドッチでもいいだろが。
そんな事より今は、さっさとコイツの髪にシュシュを着けねぇと。


「ヴァ、ル。……言え。」
「………ヴァル。」

外国語の発音を教えるみたいに繰り返され、オレは仕方なく応じた。
下らない遣り取りでも時間を稼げる、と思ったからだ。他意は無い。


「エルディ……、お前、俺が好きだろ?」
「……顔に罪は無ぇからな。」
「そうか、好きか。そうか。」

クソ王子は上機嫌で下品な笑みを浮かべる。
そしてまたオレの口を塞いで来た。


今の会話の何がどう喜ばせたんだか。
まぁいい。オレの口で満足するんなら、接吻ぐらいはくれてやる。
クソ王子の中でだいぶ『男』が溜まっているようだからな、それを抜くぐらいはしてやろうか。
でも生ペニスをしゃぶるのは勘弁願いたいな。手でいいだろ。

ただし……コイツにある程度の『枷』を装着した後で、の話になるがな。



オレは再び、そろりそろりとクソ王子の髪を撫でてやる。
あくまでも口付ける雰囲気を盛り上げる為を装いつつ、慎重に髪を緩やかに束ねて行き。それをシュシュで…


「………ぬっ!」

纏めようとした時。
クソ王子が急に、オレの腕を掴んだ。
もうちょっとだったのに。
そして。
焦るオレの手を……、手を……!


滾ったままの、自分の生ペニスに、押し付けた!



「……くぉらあぁっ!」
「ッグ、あ゛ぁ~っ!」

力一杯、握ってやった! ウッカリ、爪も立ってたかも知れん。
抜いてやってもいい、とか考えちゃいたが……もう、……知るかっ。



蹲るクソ野郎を置き去りに、オレは廊下への扉を勢い良く開けた。
すぐ近くで驚いた顔の近衛兵長に、オレは叫ぶ。


「クマチャンを持って来い! 今すぐに、だ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...