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シーサーペントとの遭遇
「うん、マジであのスカリーベアの目……怖くて、死ぬかと思ったんだけど」
「明らかにイールに惹かれてたな。隠密魔法を使っても、魔獣は魔力を感じ取れるのかもしれない」
「マジかよ」
「だがそのおかげであいつら、スカリーベアを倒せそうだな。はからずもアシストしてしまった」
「不本意でしかない」
「ははは、もうあいつらは大丈夫だろう。俺達も拠点を決めて、早速シーサーペントを探しにいくこととしよう」
「りょうかーい」
さすがにあそこから形勢逆転は無理だろう。ヒューさん達の勝ちが確定な雰囲気になったから、ちょっとだけオレらも気持ちが楽になって、顔を見合わせて笑う。
そんな平和な雰囲気が一転。
急に全身の毛穴が開くような強烈な怖気が走った。
「……!!!!」
海が見る間に盛り上がり、太陽まで届くんじゃないかって思うくらい大きな水柱が……
「シーサーペントだ!!!」
アクセル様の叫び声にハッとする。
水柱だと思ったものは、巨大なシーサーペントの首で。
「あ……」
その鋭い眼光は、まっすぐにオレを捉えていた。
声も出ない。
頭が真っ白になった。
「くっ……!」
オレの腰を抱くアクセル様の腕に力が入る。
そのまま高く跳躍したと思ったら、オレ達がついさっきまでいたところに、もの凄い勢いで何かが叩きつけられた。
ああ。
シーサーペントの、首、だ。
オレを喰おうと襲いかかったのか。
仕留め損なったのを理解して、オレを恐ろしい程の眼光で睨み付けている。乱ぐいの牙の間から、唾液なのか海水なのか分からない液体がダラダラと落ちる。
喰われるのか。
決まり切ったことみたいにそう思った時。
「イール!!! 俺に魔力を補充し続けてくれ!!!!」
アクセル様の声が俺の鼓膜を打った。
「あ……」
「イール! 頼む!」
アクセル様の切羽詰まった声。
見上げたら、ギラギラと輝くようなアクセル様の瞳が見えた。
まっすぐにシーサーペントを見てる。
特大の爆裂魔法を放ったその表情には、絶望なんて見えない。
アクセル様は、あんなとんでもない魔物と対峙して、それでも本気で倒そうと思ってる。
殴り飛ばされたみたいな気持ちだった。
呆けてる場合なんかじゃない。
「このまま戦う! 俺達なら勝てるはずだ……!」
「……!!!」
考えるより先に、アクセル様にしがみついて魔力を送り込んでいた。
「ありがとう。その調子だ! あと、そのまましがみついていてくれると助かる!」
その声が聞こえた途端に、またアクセル様が特大の火球を矢継ぎ早に打ち込み始める。
オレは慌てて魔力をアクセル様に補充した。
見上げたら、アクセル様の唇の端が嬉しそうに上がってて……ああオレ、アクセル様の期待に応えられてるんだってホッとする。
「すごい……! 魔法を打ち放題だ! 負ける気がしない!」
楽しそうなアクセル様が魔法を放つたびに、シーサーペントから叫び声なのか何なのか、空気を震わすような聞いたこともない音が発されて。
敵の攻撃を避けているのか、アクセル様がオレを抱きしめたまま飛んだり走ったりするのにしがみついて。
その間にも爆発系の魔法が何度も炸裂する、とんでもない轟音が響いて。
オレはもう必死で、ただただアクセル様の身体に魔力をどんどん送り込むことしかできない。どれだけそんな時間があったのか、長かったのか短かったのかも分からない。
「とどめだ!!!!」
突然、そんな信じられない言葉が聞こえて、特大の爆裂魔法が響き渡る。
え、うそ。
今とどめって言った?
恐る恐る顔を上げてアクセル様を見上げたら、めちゃくちゃ満足そうな顔で。
その視線の先を見たら、シーサーペントの首なんだか胴体なんだかわからないけど、その長い体にはデッカい穴が虫食いみたいにあいていた。
「え……あれ、まさかアクセル様の魔法……?」
「ああ、イールが魔力をずっと補充していてくれたから、魔法が思う存分使えた。本当にイールのおかげだ!」
そう言って満面の笑顔を見せてくれるアクセル様。
敗者であるシーサーペントはゆっくりと水面へと倒れていく。なんだか信じられない気持ちで見ていたオレは、ある事に気づいて戦慄する。
「っていうかアレ、こっちに倒れてきてない!?」
「ああ、イールに惹かれて随分と陸に近づいてきていたからな。ちょうど頭部分が陸に着地しそうだな」
「おおおおおお落ち着いてるね!?」
「街に当たるわけでもないし、むしろ素材が採れて嬉しいと思っている。シーサーペントの素材なんて貴重もいいとこだからな」
「そ、そっか。……いや、あんなデッカいのが着水したら水跳ねがエグいでしょ!!???」
「お、そうか!」
さすがに慌てた表情になったアクセル様が、何か呪文を唱える。
シーサーペントが地響きを立てて盛大に海面に叩きつけられ、とんでもない量の水が跳ね上がった。けれどその水はシーサーペントを中心としたまあるいドーム状の形の中でとどまって、森や町に襲いかかることはない。
最後にドォォォォン………とやたら重たい音がして、シーサーペントの頭が浜辺に落ちる。
「明らかにイールに惹かれてたな。隠密魔法を使っても、魔獣は魔力を感じ取れるのかもしれない」
「マジかよ」
「だがそのおかげであいつら、スカリーベアを倒せそうだな。はからずもアシストしてしまった」
「不本意でしかない」
「ははは、もうあいつらは大丈夫だろう。俺達も拠点を決めて、早速シーサーペントを探しにいくこととしよう」
「りょうかーい」
さすがにあそこから形勢逆転は無理だろう。ヒューさん達の勝ちが確定な雰囲気になったから、ちょっとだけオレらも気持ちが楽になって、顔を見合わせて笑う。
そんな平和な雰囲気が一転。
急に全身の毛穴が開くような強烈な怖気が走った。
「……!!!!」
海が見る間に盛り上がり、太陽まで届くんじゃないかって思うくらい大きな水柱が……
「シーサーペントだ!!!」
アクセル様の叫び声にハッとする。
水柱だと思ったものは、巨大なシーサーペントの首で。
「あ……」
その鋭い眼光は、まっすぐにオレを捉えていた。
声も出ない。
頭が真っ白になった。
「くっ……!」
オレの腰を抱くアクセル様の腕に力が入る。
そのまま高く跳躍したと思ったら、オレ達がついさっきまでいたところに、もの凄い勢いで何かが叩きつけられた。
ああ。
シーサーペントの、首、だ。
オレを喰おうと襲いかかったのか。
仕留め損なったのを理解して、オレを恐ろしい程の眼光で睨み付けている。乱ぐいの牙の間から、唾液なのか海水なのか分からない液体がダラダラと落ちる。
喰われるのか。
決まり切ったことみたいにそう思った時。
「イール!!! 俺に魔力を補充し続けてくれ!!!!」
アクセル様の声が俺の鼓膜を打った。
「あ……」
「イール! 頼む!」
アクセル様の切羽詰まった声。
見上げたら、ギラギラと輝くようなアクセル様の瞳が見えた。
まっすぐにシーサーペントを見てる。
特大の爆裂魔法を放ったその表情には、絶望なんて見えない。
アクセル様は、あんなとんでもない魔物と対峙して、それでも本気で倒そうと思ってる。
殴り飛ばされたみたいな気持ちだった。
呆けてる場合なんかじゃない。
「このまま戦う! 俺達なら勝てるはずだ……!」
「……!!!」
考えるより先に、アクセル様にしがみついて魔力を送り込んでいた。
「ありがとう。その調子だ! あと、そのまましがみついていてくれると助かる!」
その声が聞こえた途端に、またアクセル様が特大の火球を矢継ぎ早に打ち込み始める。
オレは慌てて魔力をアクセル様に補充した。
見上げたら、アクセル様の唇の端が嬉しそうに上がってて……ああオレ、アクセル様の期待に応えられてるんだってホッとする。
「すごい……! 魔法を打ち放題だ! 負ける気がしない!」
楽しそうなアクセル様が魔法を放つたびに、シーサーペントから叫び声なのか何なのか、空気を震わすような聞いたこともない音が発されて。
敵の攻撃を避けているのか、アクセル様がオレを抱きしめたまま飛んだり走ったりするのにしがみついて。
その間にも爆発系の魔法が何度も炸裂する、とんでもない轟音が響いて。
オレはもう必死で、ただただアクセル様の身体に魔力をどんどん送り込むことしかできない。どれだけそんな時間があったのか、長かったのか短かったのかも分からない。
「とどめだ!!!!」
突然、そんな信じられない言葉が聞こえて、特大の爆裂魔法が響き渡る。
え、うそ。
今とどめって言った?
恐る恐る顔を上げてアクセル様を見上げたら、めちゃくちゃ満足そうな顔で。
その視線の先を見たら、シーサーペントの首なんだか胴体なんだかわからないけど、その長い体にはデッカい穴が虫食いみたいにあいていた。
「え……あれ、まさかアクセル様の魔法……?」
「ああ、イールが魔力をずっと補充していてくれたから、魔法が思う存分使えた。本当にイールのおかげだ!」
そう言って満面の笑顔を見せてくれるアクセル様。
敗者であるシーサーペントはゆっくりと水面へと倒れていく。なんだか信じられない気持ちで見ていたオレは、ある事に気づいて戦慄する。
「っていうかアレ、こっちに倒れてきてない!?」
「ああ、イールに惹かれて随分と陸に近づいてきていたからな。ちょうど頭部分が陸に着地しそうだな」
「おおおおおお落ち着いてるね!?」
「街に当たるわけでもないし、むしろ素材が採れて嬉しいと思っている。シーサーペントの素材なんて貴重もいいとこだからな」
「そ、そっか。……いや、あんなデッカいのが着水したら水跳ねがエグいでしょ!!???」
「お、そうか!」
さすがに慌てた表情になったアクセル様が、何か呪文を唱える。
シーサーペントが地響きを立てて盛大に海面に叩きつけられ、とんでもない量の水が跳ね上がった。けれどその水はシーサーペントを中心としたまあるいドーム状の形の中でとどまって、森や町に襲いかかることはない。
最後にドォォォォン………とやたら重たい音がして、シーサーペントの頭が浜辺に落ちる。
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