12 / 49
初めての、ご本人様への推し語り
「はい! スラっと背が高くて、筋骨隆々ってわけじゃなくて必要な分だけ綺麗な筋肉がついて理想的なんですよね。背筋がシュッと伸びてるからとにかく立ってるだけで絵になるし……! 本当にもう、一生この網膜に焼き付けてしまいたいくらい麗しくて」
「熱烈だね」
「そりゃあもう! それだけの魅力があるお方ですから。立ち姿が美しいのはもちろんなんですが、動くとさらに格好良いんです! 剣筋はお手本みたいに型どおりなのに、流れるように次々と相手を倒していって、なんかもうそういう舞踏っていうか、剣舞みたいに見えるほどで!」
「それは凄い才能だな。きっとその方は想像もできないほど鍛練を積んだのだろう」
「やっぱりそう思います!? 絶対に! ほんの子供の頃から真面目に頑張ってきたと思うんですよね。だって軸が一切ぶれないもの! 数人を相手取っても軽くいなしちゃうし、軽く汗をかく程度なのも凄いって言うか。もうその汗すらキラキラして爽やかって言うか美しいって言うか!」
そこまで言って、あ、気持ち悪いこと言っちゃったかな……とハッとする。
さすがに本人を前に汗までキラキラで美しい、はダメだったかも知れない。
急に不安になって口を噤んだオレは、恐る恐るアルロード様に焦点を合わせる。そして、息を呑んだ。
「……!」
アルロード様が、笑ってる。
なんだかとても微笑ましそうに、柔らかい微笑みを浮かべているそのご尊顔は、麗しすぎて目が潰れそうな程だ。
「あ、あの」
「君は本当にその人が好きなんだね」
「~~~~~っ!!!」
言われた途端、かあっと身体が熱くなった。
顔に急激に熱が集まるのが分かる。
「は、はい……」
これまで何度となく大好きだと公言してきたけれど、さすがにご本人を目の前に、さらにそのご本人から「本当に好きなんだね」なんて言われてしまうと、なんかこう凄く恥ずかしい。
「君にそれほど思いを寄せられている『あのお方』は、きっと素敵な人なんだろうね」
「も、もちろんです! 本当に素敵な人で、その、オレだけじゃない、沢山の人があのお方の事を大切に思ってるんです。あの、オレ」
なんかもう、何を言えば良いのか分からなくてしどろもどろになってしまう。
そんな情けないオレの事を、アルロード様は変わらない優しい笑顔で見守ってくれる。
やっぱり、アルロード様は優しい人だ。
「羨ましいよ。僕も早く、そんな風に誰かの事を強く想う気持ちを持ちたいものだ」
「も、持てますよ! だって、アルロード様は優しいし、こんなオレでも気遣ってくれるし、その」
あわあわと思いつくままを口にすれば、アルロード様はさらに目を細めて微笑みを深くする。
もう、宗教画の天使のように美しい。
「ありがとう。君の話を聞いているととても楽しい。これからも話を聞かせてくれるかな?」
「は、はい……!」
オレがぽー……と見蕩れている間に、アルロード様は「また明日」なんて嬉しすぎる言葉を残して去っていった。
その日、オレはなかなか眠れなかった。
だって目を閉じても、間近で見たアルロード様の微笑みが瞼の裏に浮かんできて、目がさえる一方なんだ。
「かっこよかったな……」
遠目で見ていたときには綺麗な所作だけが印象に残ってたんだけど、目の前で見たアルロード様の食事風景は思っていたよりもずっと豪快だった。
「ほんと、気持ちいいくらい唐揚げが消えてったなぁ……」
思い出すと爽快な気分になるくらい。
ふふ、と思わず笑いが漏れる。またアルロード様の新たな一面を知ってしまった。
しかも間近であのご尊顔を見ることができたからこそ分かる、肌のきめ細やかさ。アルロード様ほどの家柄になるとスキンケアもばっちりなんだろうけど、お化粧なんてしてないうえに、騎士の鍛錬なんて割と野外での活動も多いから、アルロード様だってきっちり健康的な小麦色の肌だ。なのにあんなに滑らかそうな肌って反則だろう。
しかも、思っていたよりもさらに長い睫毛。
瞬きの度に折りたたまれる二重瞼の深さ。
金色の髪はいつものように清潔に纏められているけれど、剣術の授業のあとだからか少しだけ後れ毛があって、それがなんとも儚げに見えること。
美しい青い瞳は、近くで見るとラピスラズリのような深い色と少し緑を帯びたターコイズブルー、そして爽やかなスカイブルーが混ざり合ったような複雑な色なこと。
話す相手の目を見て、微笑んで、頷きながら話を聞いてくれること。
相槌を打つ声がとても優しくて、しかも相手を尊重した言葉をくれること。
今までよりもずっとアルロード様の解像度があがって、知らなかったアルロード様をたくさん知ってしまった。
思い出すだけで嬉しくて、どんどん目がさえて締まって困る。
けれどそれさえ幸せで。
こんな幸せな気持ちを、アルロード様も知ってくれたらオレも嬉しい。
自分の気持ちをアルロード様本人に吐露するのは恥ずかしいけれど、それがアルロード様のためになるならば、明日も明後日も、アルロード様からもういいよ、と言われるまで、しっかりと思いの丈をお伝えしよう。
改めて、そう思った。
「熱烈だね」
「そりゃあもう! それだけの魅力があるお方ですから。立ち姿が美しいのはもちろんなんですが、動くとさらに格好良いんです! 剣筋はお手本みたいに型どおりなのに、流れるように次々と相手を倒していって、なんかもうそういう舞踏っていうか、剣舞みたいに見えるほどで!」
「それは凄い才能だな。きっとその方は想像もできないほど鍛練を積んだのだろう」
「やっぱりそう思います!? 絶対に! ほんの子供の頃から真面目に頑張ってきたと思うんですよね。だって軸が一切ぶれないもの! 数人を相手取っても軽くいなしちゃうし、軽く汗をかく程度なのも凄いって言うか。もうその汗すらキラキラして爽やかって言うか美しいって言うか!」
そこまで言って、あ、気持ち悪いこと言っちゃったかな……とハッとする。
さすがに本人を前に汗までキラキラで美しい、はダメだったかも知れない。
急に不安になって口を噤んだオレは、恐る恐るアルロード様に焦点を合わせる。そして、息を呑んだ。
「……!」
アルロード様が、笑ってる。
なんだかとても微笑ましそうに、柔らかい微笑みを浮かべているそのご尊顔は、麗しすぎて目が潰れそうな程だ。
「あ、あの」
「君は本当にその人が好きなんだね」
「~~~~~っ!!!」
言われた途端、かあっと身体が熱くなった。
顔に急激に熱が集まるのが分かる。
「は、はい……」
これまで何度となく大好きだと公言してきたけれど、さすがにご本人を目の前に、さらにそのご本人から「本当に好きなんだね」なんて言われてしまうと、なんかこう凄く恥ずかしい。
「君にそれほど思いを寄せられている『あのお方』は、きっと素敵な人なんだろうね」
「も、もちろんです! 本当に素敵な人で、その、オレだけじゃない、沢山の人があのお方の事を大切に思ってるんです。あの、オレ」
なんかもう、何を言えば良いのか分からなくてしどろもどろになってしまう。
そんな情けないオレの事を、アルロード様は変わらない優しい笑顔で見守ってくれる。
やっぱり、アルロード様は優しい人だ。
「羨ましいよ。僕も早く、そんな風に誰かの事を強く想う気持ちを持ちたいものだ」
「も、持てますよ! だって、アルロード様は優しいし、こんなオレでも気遣ってくれるし、その」
あわあわと思いつくままを口にすれば、アルロード様はさらに目を細めて微笑みを深くする。
もう、宗教画の天使のように美しい。
「ありがとう。君の話を聞いているととても楽しい。これからも話を聞かせてくれるかな?」
「は、はい……!」
オレがぽー……と見蕩れている間に、アルロード様は「また明日」なんて嬉しすぎる言葉を残して去っていった。
その日、オレはなかなか眠れなかった。
だって目を閉じても、間近で見たアルロード様の微笑みが瞼の裏に浮かんできて、目がさえる一方なんだ。
「かっこよかったな……」
遠目で見ていたときには綺麗な所作だけが印象に残ってたんだけど、目の前で見たアルロード様の食事風景は思っていたよりもずっと豪快だった。
「ほんと、気持ちいいくらい唐揚げが消えてったなぁ……」
思い出すと爽快な気分になるくらい。
ふふ、と思わず笑いが漏れる。またアルロード様の新たな一面を知ってしまった。
しかも間近であのご尊顔を見ることができたからこそ分かる、肌のきめ細やかさ。アルロード様ほどの家柄になるとスキンケアもばっちりなんだろうけど、お化粧なんてしてないうえに、騎士の鍛錬なんて割と野外での活動も多いから、アルロード様だってきっちり健康的な小麦色の肌だ。なのにあんなに滑らかそうな肌って反則だろう。
しかも、思っていたよりもさらに長い睫毛。
瞬きの度に折りたたまれる二重瞼の深さ。
金色の髪はいつものように清潔に纏められているけれど、剣術の授業のあとだからか少しだけ後れ毛があって、それがなんとも儚げに見えること。
美しい青い瞳は、近くで見るとラピスラズリのような深い色と少し緑を帯びたターコイズブルー、そして爽やかなスカイブルーが混ざり合ったような複雑な色なこと。
話す相手の目を見て、微笑んで、頷きながら話を聞いてくれること。
相槌を打つ声がとても優しくて、しかも相手を尊重した言葉をくれること。
今までよりもずっとアルロード様の解像度があがって、知らなかったアルロード様をたくさん知ってしまった。
思い出すだけで嬉しくて、どんどん目がさえて締まって困る。
けれどそれさえ幸せで。
こんな幸せな気持ちを、アルロード様も知ってくれたらオレも嬉しい。
自分の気持ちをアルロード様本人に吐露するのは恥ずかしいけれど、それがアルロード様のためになるならば、明日も明後日も、アルロード様からもういいよ、と言われるまで、しっかりと思いの丈をお伝えしよう。
改めて、そう思った。
あなたにおすすめの小説
隣に住む先輩の愛が重いです。
陽七 葵
BL
主人公である桐原 智(きりはら さとし)十八歳は、平凡でありながらも大学生活を謳歌しようと意気込んでいた。
しかし、入学して間もなく、智が住んでいるアパートの部屋が雨漏りで水浸しに……。修繕工事に約一ヶ月。その間は、部屋を使えないときた。
途方に暮れていた智に声をかけてきたのは、隣に住む大学の先輩。三笠 琥太郎(みかさ こたろう)二十歳だ。容姿端麗な琥太郎は、大学ではアイドル的存在。特技は料理。それはもう抜群に美味い。しかし、そんな琥太郎には欠点が!
まさかの片付け苦手男子だった。誘われた部屋の中はゴミ屋敷。部屋を提供する代わりに片付けを頼まれる。智は嫌々ながらも、貧乏大学生には他に選択肢はない。致し方なく了承することになった。
しかし、琥太郎の真の目的は“片付け”ではなかった。
そんなことも知らない智は、琥太郎の言動や行動に翻弄される日々を過ごすことに——。
隣人から始まる恋物語。どうぞ宜しくお願いします!!
ボスルートがあるなんて聞いてない!
雪
BL
夜寝て、朝起きたらサブ垢の姿でゲームの世界に!?
キャラメイクを終え、明日から早速遊ぼうとベッドに入ったはず。
それがどうして外に!?しかも森!?ここどこだよ!
ゲームとは違う動きをするも、なんだかんだゲーム通りに進んでしまい....?
あれ?お前ボスキャラじゃなかったっけ?
不器用イケメン×楽観的イケメン(中身モブ)
※更新遅め
救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。
篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。
抑制剤の効かない薬師オメガは森に隠れる。最強騎士団長に見つかり、聖なるフェロモンで理性を溶かされ、国を捨てた逃避行の果てに番となる
水凪しおん
BL
「この香りを嗅いだ瞬間、俺の本能は二つに引き裂かれた」
人里離れた森で暮らす薬師のエリアルは、抑制剤が効かない特異体質のオメガ。彼から放たれるフェロモンは万病を癒やす聖なる力を持つが、同時に理性を失わせる劇薬でもあった。
ある日、流行り病の特効薬を求めて森を訪れた最強の騎士団長・ジークフリートに見つかってしまう。エリアルの香りに強烈に反応しながらも、鋼の理性で耐え抜くジークフリート。
「俺が、貴方の剣となり盾となる」
国を救うための道具として狙われるエリアルを守るため、最強の騎士は地位も名誉も投げ捨て、国を敵に回す逃避行へと旅立つ。
シリアスから始まり、最後は辺境での幸せなスローライフへ。一途な騎士と健気な薬師の、運命のBLファンタジー。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
美醜逆転の世界で騎士団長の娘はウサギ公爵様に恋をする
ゆな
恋愛
糸のような目、小さな鼻と口をした、なんとも地味な顔が美しいとされる美醜逆転の世界。ベルリナ・クラレンスはこの世界では絶世の美少女だが、美の感覚が他の人とズレていた。
結婚適齢期にも関わらず、どの令嬢からも忌避される容姿の公爵様が美形にしか見えず、歳の差を乗り越え、二人が幸せになるまでのお話。
🔳男女両視点でかいています。
場面が重複する場合があります。
🔳"美醜逆転の世界で純情騎士団長を愛でる"のスピンオフとなります。本作を読んでいなくてもお楽しみいただける内容となっています。
🔳R18は後半 ※を付けますので、苦手な方はご注意ください
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
白熊皇帝と伝説の妃
沖田弥子
BL
調理師の結羽は失職してしまい、途方に暮れて家へ帰宅する途中、車に轢かれそうになった子犬を救う。意識が戻るとそこは見知らぬ豪奢な寝台。現れた美貌の皇帝、レオニートにここはアスカロノヴァ皇国で、結羽は伝説の妃だと告げられる。けれど、伝説の妃が携えているはずの氷の花を結羽は持っていなかった。怪我の治療のためアスカロノヴァ皇国に滞在することになった結羽は、神獣の血を受け継ぐ白熊一族であるレオニートと心を通わせていくが……。◆第19回角川ルビー小説大賞・最終選考作品。本文は投稿時のまま掲載しています。