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第二話 婚約解消なんて認めない。
ファーナ姫の逃亡より、時は四半刻ほど遡る。
エーレヴァルト国王アザールの執務室には、なんとも言えない緊迫した空気が漂っていた。
「エドガルト王子、よう参られた」
「突然押しかけて申し訳ありません。先日いただきました手紙に関して、取り急ぎ確認したいことがございまして、失礼を承知でまかりこしました」
渋面を作るアザールと裏腹に、エドガルトの表情はにこやかで、声風も明るい。
が、その笑顔の向こうに並々ならぬ気迫が見え隠れしているのはアザールの勘違いではないだろう。
怒気とは言い切れず、まさに『気迫』としか表現できない不可視の炎は、ひとえにグランツヤーデ国王に宛てて送ったアザールの親書に由来する。
「ふむ。手紙とな」
十日ほど前に送ったものだ。しかも内容も内容だ。
忘れるはずもないが、アザールは内心の焦りを悟られないように悠然と答える。
「それは、あれか。そなたと我が娘の婚約解消の申し入れの件か」
「左様にございます」
「そなたは今しがた確認したいことがあると申したが、何を知りたいというのだ? 理由は先の手紙に書いたとおりだ」
話すことなどない、と暗に仄めかしたのだが、エドガルトは眉を小さくピクリと動かしただけで、微笑を崩したりはしなかった。しかし、そのぶん、彼の後ろに燃え盛る不可視の炎が勢いを増した気がする。
(この王子を説得するのは骨が折れそうだ)
表情を崩しもせずに頭を下げるエドガルトに、アザールは苦々しくため息をついた。
送った手紙の内容を要約すればこうだ。
『半年前に、我が娘ファーナが病に罹り、顔に大きな痣が残ってしまった。何とか消せないものかと手を尽くしたが一向に良くならない。このままでは貴国へ輿入れさせるわけにもいかず、できればエドガルト王子とファーナの婚約はなかったことにしていただきたい』
代替案として、アザールの姪に当たる娘とエドガルト王子を婚約させるか、もしくはアザールの末王子とグランツヤーデの末姫の婚約はどうか? などいくつかの案を書きしたためたのだが……。
が、非公式とは言え、エドガルトが直々にやってきたうえに、この剣幕だ。
どう見ても婚約解消や代替案に承服しているとは言い難い。
しかも、エドガルトが持参したグランツヤーデ国王の親書には『この件に関しては、すべてエドガルトに任せる』と書かれている。
婚約を解消したければ何としてもエドガルトを説得しなければならないということだ。
「陛下が我が国へお送りくださった手紙の内容は、私も父より聞き及んでおります。しかし、あのような理由では婚約解消いたしかねます」
アザールの予想通りの答えが返ってきた。
長いあごひげを撫でさすり、厳めしい顔を崩さぬアザールと、翡翠色の目を細めて穏やかに笑うエドガルト。
親子ほど年の離れたふたりはお互い、言葉の端々に一歩も引く気はないと滲ませている。
「顔の痣ごときでは理由にならぬと申すか」
「はい」
「そなたはそれでよいかもしれん。だが、ファーナはどうなる? あのような顔でそなたへ嫁げば好奇の目に晒されよう。見世物にされるとわかっていながら、みすみす可愛い我が子をやれるか。悪いがファーナとの結婚は諦めていただこう、エドガルト王子」
ぎろりと睨めば、エドガルトもその頬から笑みを消した。
「そのような輩の目に、大切なファーナ姫を晒すなど絶対にいたしません」
「しかし、そなたは王子だ。その妃となれば閉じこもっているわけにもいくまい」
「ならば、私は王位継承権を放棄し、今すぐにでも臣下に下りましょう。一臣下の妻であれば、公式行事に出ずとも構いませぬゆえ」
エドガルトの大胆な発言に、アザールは目をむいた。
通常ではありえないことだ。王が退位し、王太子が即位するその時、他の王子たちは臣下に下る。
王太子の身に何かあった場合、他の王子が滞りなく王太子に立つことができるようにという配慮から、たいていの国では王子が臣下に下らないのだ。
だから、彼の言うことは異例中の異例である。
「……エドガルト王子。どうしてそなたはそこまでして我が娘との婚姻を望むのだ?」
勝手に口を突いた疑問は本心からのものだ。親同士が決めた政略結婚だというのに、どうしてファーナにそこまで執着するのか、純粋に不思議だった。
「どうして? 愛しているからに決まっています」
エドガルトはなぜそんなことを訊かれたのか不思議でたまらないと言った顔で、きっぱりと答えた。
「愛、か……」
「はい、陛下。私はファーナ姫を心の底からお慕いしております」
なんの曇りもないエドガルトの笑みを見て、アザールの心がますます重くなった。
(あんなことにさえならなければ……なんの心配もなく、この好青年へ嫁にやれたのに)
思っても詮無いことだが、しかし思うことは止められない。
「我が娘をそうまで思ってもらえるのは、親としてありがたいことだ。しかし、な……ファーナはそなたとの結婚を望んでおらぬ」
アザールがそう告げると、初めてエドガルトの笑顔の仮面にひびが入った。笑みが消え、冷え冷えとした真顔があらわになる。が、それは一瞬のことで、すぐにまた微笑が貼り付く。
「ファーナ姫が本当にそうおっしゃっていると? でしたら、姫本人の口からお聞かせ願えますか?」
「よかろう。――ファーナをこれへ」
控えていた侍従に指示を出せば、侍従は恭しく一礼をして部屋を出て行った。
それを無言で見送りながら、アザールは人知れずため息をこぼした。
侍従が連れて帰ってくるのは、ファーナではない。背格好のよく似た姪のアンネリーだ。本来ならばファーナ本人を連れてくるべきなのだが、もし万が一、ファーナの変わり果てた顔を見られでもしたら事だ。驚かれ、罵詈雑言を吐かれるくらいならまだいい。たが、あることないこと言いふらされたらたまったものではない。
ファーナ本人の希望もあり、アンネリーに身代わりを頼んだのだ。
顔に筆で紫の大きな痣を描き、声が違うのは病の際に声帯も痛めたと言えば通用するだろう。
頭から深々とベールを被れば、風のいたずらで多少顔が見えたとて誤魔化しはきくはずだ。
姿を似せる魔法もないではないが、あえてかけはしなかった。
相手は魔術学院を首席で卒業した秀才だ。
魔法の匂いを嗅ぎ取られて疑われては厄介だ。
緊迫した静寂を破ったのは、扉をノックする音だ。
「入れ」
声をかければ、先ほど出て行った侍従が顔をのぞかせた。
彼の後ろには、落ち着いた色味だが仕立ての良さを感じさせるドレスを纏った女性の姿が見える。頭からドレスと同色のベールを被っているので、どんな表情をしているのか窺い知ることはできない。
そして彼女の両側には侍女がふたり控えている。
「おお、ファーナ。急に呼びだしてすまなかったな」
アザールが声をかければ、ファーナと呼ばれた娘は無言のまま首を垂れた。
「エドガルト王子がお見えだ。そなたの口から聞かねばどうあっても婚約解消に同意できないと仰ってな。ファーナ、そなたからも話してもらえるか?」
娘は王の頼みに無言で頷いた。
アザールは満足そうに目を細め、エドガルトへ向き直った。
「エドガルト王子、我が娘の言い分を聞いてやってくれ。先の病で喉もやられてな。聞き苦しい声だとは思うが、許されよ」
「はい、陛下」
返事をする間も、エドガルトのまなざしは娘に注がれ通しだ。まるで真実をひとつも見逃さないと言わんばかりの強い視線。それに晒された娘は居心地悪そうに小さく身じろぎした。
「お久しぶりでございます、エドガルト王子」
しわがれた老婆のような声が、薄いベールの向こうから滑り出た。
「ファー……、ナ?」
「このような声で失礼いたします」
低く掠れた声に全く不自然さはない。不自由な喉を懸命に震わせているようにしか聞こえない。
アンネリーは、アザールが思うよりもなかなか芸達者のようだ。
エーレヴァルト国王アザールの執務室には、なんとも言えない緊迫した空気が漂っていた。
「エドガルト王子、よう参られた」
「突然押しかけて申し訳ありません。先日いただきました手紙に関して、取り急ぎ確認したいことがございまして、失礼を承知でまかりこしました」
渋面を作るアザールと裏腹に、エドガルトの表情はにこやかで、声風も明るい。
が、その笑顔の向こうに並々ならぬ気迫が見え隠れしているのはアザールの勘違いではないだろう。
怒気とは言い切れず、まさに『気迫』としか表現できない不可視の炎は、ひとえにグランツヤーデ国王に宛てて送ったアザールの親書に由来する。
「ふむ。手紙とな」
十日ほど前に送ったものだ。しかも内容も内容だ。
忘れるはずもないが、アザールは内心の焦りを悟られないように悠然と答える。
「それは、あれか。そなたと我が娘の婚約解消の申し入れの件か」
「左様にございます」
「そなたは今しがた確認したいことがあると申したが、何を知りたいというのだ? 理由は先の手紙に書いたとおりだ」
話すことなどない、と暗に仄めかしたのだが、エドガルトは眉を小さくピクリと動かしただけで、微笑を崩したりはしなかった。しかし、そのぶん、彼の後ろに燃え盛る不可視の炎が勢いを増した気がする。
(この王子を説得するのは骨が折れそうだ)
表情を崩しもせずに頭を下げるエドガルトに、アザールは苦々しくため息をついた。
送った手紙の内容を要約すればこうだ。
『半年前に、我が娘ファーナが病に罹り、顔に大きな痣が残ってしまった。何とか消せないものかと手を尽くしたが一向に良くならない。このままでは貴国へ輿入れさせるわけにもいかず、できればエドガルト王子とファーナの婚約はなかったことにしていただきたい』
代替案として、アザールの姪に当たる娘とエドガルト王子を婚約させるか、もしくはアザールの末王子とグランツヤーデの末姫の婚約はどうか? などいくつかの案を書きしたためたのだが……。
が、非公式とは言え、エドガルトが直々にやってきたうえに、この剣幕だ。
どう見ても婚約解消や代替案に承服しているとは言い難い。
しかも、エドガルトが持参したグランツヤーデ国王の親書には『この件に関しては、すべてエドガルトに任せる』と書かれている。
婚約を解消したければ何としてもエドガルトを説得しなければならないということだ。
「陛下が我が国へお送りくださった手紙の内容は、私も父より聞き及んでおります。しかし、あのような理由では婚約解消いたしかねます」
アザールの予想通りの答えが返ってきた。
長いあごひげを撫でさすり、厳めしい顔を崩さぬアザールと、翡翠色の目を細めて穏やかに笑うエドガルト。
親子ほど年の離れたふたりはお互い、言葉の端々に一歩も引く気はないと滲ませている。
「顔の痣ごときでは理由にならぬと申すか」
「はい」
「そなたはそれでよいかもしれん。だが、ファーナはどうなる? あのような顔でそなたへ嫁げば好奇の目に晒されよう。見世物にされるとわかっていながら、みすみす可愛い我が子をやれるか。悪いがファーナとの結婚は諦めていただこう、エドガルト王子」
ぎろりと睨めば、エドガルトもその頬から笑みを消した。
「そのような輩の目に、大切なファーナ姫を晒すなど絶対にいたしません」
「しかし、そなたは王子だ。その妃となれば閉じこもっているわけにもいくまい」
「ならば、私は王位継承権を放棄し、今すぐにでも臣下に下りましょう。一臣下の妻であれば、公式行事に出ずとも構いませぬゆえ」
エドガルトの大胆な発言に、アザールは目をむいた。
通常ではありえないことだ。王が退位し、王太子が即位するその時、他の王子たちは臣下に下る。
王太子の身に何かあった場合、他の王子が滞りなく王太子に立つことができるようにという配慮から、たいていの国では王子が臣下に下らないのだ。
だから、彼の言うことは異例中の異例である。
「……エドガルト王子。どうしてそなたはそこまでして我が娘との婚姻を望むのだ?」
勝手に口を突いた疑問は本心からのものだ。親同士が決めた政略結婚だというのに、どうしてファーナにそこまで執着するのか、純粋に不思議だった。
「どうして? 愛しているからに決まっています」
エドガルトはなぜそんなことを訊かれたのか不思議でたまらないと言った顔で、きっぱりと答えた。
「愛、か……」
「はい、陛下。私はファーナ姫を心の底からお慕いしております」
なんの曇りもないエドガルトの笑みを見て、アザールの心がますます重くなった。
(あんなことにさえならなければ……なんの心配もなく、この好青年へ嫁にやれたのに)
思っても詮無いことだが、しかし思うことは止められない。
「我が娘をそうまで思ってもらえるのは、親としてありがたいことだ。しかし、な……ファーナはそなたとの結婚を望んでおらぬ」
アザールがそう告げると、初めてエドガルトの笑顔の仮面にひびが入った。笑みが消え、冷え冷えとした真顔があらわになる。が、それは一瞬のことで、すぐにまた微笑が貼り付く。
「ファーナ姫が本当にそうおっしゃっていると? でしたら、姫本人の口からお聞かせ願えますか?」
「よかろう。――ファーナをこれへ」
控えていた侍従に指示を出せば、侍従は恭しく一礼をして部屋を出て行った。
それを無言で見送りながら、アザールは人知れずため息をこぼした。
侍従が連れて帰ってくるのは、ファーナではない。背格好のよく似た姪のアンネリーだ。本来ならばファーナ本人を連れてくるべきなのだが、もし万が一、ファーナの変わり果てた顔を見られでもしたら事だ。驚かれ、罵詈雑言を吐かれるくらいならまだいい。たが、あることないこと言いふらされたらたまったものではない。
ファーナ本人の希望もあり、アンネリーに身代わりを頼んだのだ。
顔に筆で紫の大きな痣を描き、声が違うのは病の際に声帯も痛めたと言えば通用するだろう。
頭から深々とベールを被れば、風のいたずらで多少顔が見えたとて誤魔化しはきくはずだ。
姿を似せる魔法もないではないが、あえてかけはしなかった。
相手は魔術学院を首席で卒業した秀才だ。
魔法の匂いを嗅ぎ取られて疑われては厄介だ。
緊迫した静寂を破ったのは、扉をノックする音だ。
「入れ」
声をかければ、先ほど出て行った侍従が顔をのぞかせた。
彼の後ろには、落ち着いた色味だが仕立ての良さを感じさせるドレスを纏った女性の姿が見える。頭からドレスと同色のベールを被っているので、どんな表情をしているのか窺い知ることはできない。
そして彼女の両側には侍女がふたり控えている。
「おお、ファーナ。急に呼びだしてすまなかったな」
アザールが声をかければ、ファーナと呼ばれた娘は無言のまま首を垂れた。
「エドガルト王子がお見えだ。そなたの口から聞かねばどうあっても婚約解消に同意できないと仰ってな。ファーナ、そなたからも話してもらえるか?」
娘は王の頼みに無言で頷いた。
アザールは満足そうに目を細め、エドガルトへ向き直った。
「エドガルト王子、我が娘の言い分を聞いてやってくれ。先の病で喉もやられてな。聞き苦しい声だとは思うが、許されよ」
「はい、陛下」
返事をする間も、エドガルトのまなざしは娘に注がれ通しだ。まるで真実をひとつも見逃さないと言わんばかりの強い視線。それに晒された娘は居心地悪そうに小さく身じろぎした。
「お久しぶりでございます、エドガルト王子」
しわがれた老婆のような声が、薄いベールの向こうから滑り出た。
「ファー……、ナ?」
「このような声で失礼いたします」
低く掠れた声に全く不自然さはない。不自由な喉を懸命に震わせているようにしか聞こえない。
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