異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。

前野羊子

文字の大きさ
3 / 370
第一章 ~始まりの章~

〈3〉第1異世界人’s

しおりを挟む
 「おーい」
 人の声がした。
 森から人影が三人ほど出てきた。
「あーごめんごめん。怪我はない?」
 俺と同じぐらいの年の女の人が声をかけてきた。アニメで見たような軽鎧を着ている。
 手には抜身の剣を持っていて。
 めっちゃ上手にできてる衣装のコスプレーヤー?汚れ加工もリアル?じゃないのか?
 やっぱり異世界人なのか。
 

「ギョンがこっちに来たでしょ?ってあれか。君が倒したの?」
「はい。とっさに、びっくりして。すみません」
 動物を痛めつけたことに謝ってみる。まさかこの人たちのペット・・・ではなさそうだ。
 あれ、ギョンって言うのか。そういえばキョンって動物園で見たような。
「謝らなくてもいいよ。むしろこっちが取り逃しちゃって。
 あいつ弱いくせに凶暴だから。
 ところで、怪我はない?」
 もう一度聞かれた。
「大丈夫です」
 ぺこりとしてから見上げると、女の人の後ろに、背の高い男と、めっちゃマッスルなおっさんというかお兄さん?がいた。
「あたしはアリサ。この人は兄のウリサ、このゴツいのは従兄のゴダよ。ご覧の通り、三人でパーティーを組んで冒険者をしてるんだ」
 そういって首から下げているドッグタグのようなものを見せてくれる。
 ご覧の通りと言われても実物は見たことないんですけど。
「自分は駿介です」
 第一異世界人と遭遇だな。テンプレな展開にかえって安心した。
 アリサと名乗った女の人はよく見たら高三の俺と同じぐらい。女の人というより少女?かわいい感じの美人さん。スレンダーというよりほんのちょっとだけむっちりしている。
 自分が縮んだので、あいまいだけど、背は低め?でも今の俺より長身だけどな!
 肌は黄色みがかった褐色で、目は黒い。赤茶色の髪をポニーテールにしていて、太ももとか二の腕とか出てる。手袋と膝上からのブーツを履いている。
 ファッションはともかく、アジアで見るような普通の人で少し安心感がある。
 ほかの二人も、アジアの時代劇に出てきそうな感じだ。装備は洋風だけど。
「シュンスケ?」
 アリサが俺の名前を復唱する。
 はっ!耳とんがってて緑っぽい俺のほうが変かもしれない。
 とっさにフードを両手で抑えて、頷きながらアリサを見る。
「はい」
 俺と目が合ったありさは、満面の笑みになって
「うわ、かわいい~!」
 と叫びながら抱きついてきた。
「ちょ、アリサさん」
 俺にしたらお姉さんじゃなくて同級生ぐらいの感覚なんだから。焦るっ。あっちこっち柔らかい。
「こら、ガキが困ってるぞ」
 兄のウリサがアリサをたしなめてくれる。
「やだ、ごめんね」
「俺、かわいいですか?」
「めっちゃ可愛い!」
 俺にしたらあなたのほうが可愛いですけど!
 コスプレした子供って確かにかわいいけどね。俺がそう思われるのはちょっと。
「可愛いのに、一人称が 俺 ってのもギャップよね」
「何言ってんだアリサ。ガキの一人称なんてなんでもいいだろ。それより早く町に戻ろうぜ。腹減った」
 ゴダが革鎧の上から腹をさすってる。アリサより革鎧の面積はかなり広いが、筋肉質の二の腕が露わになっている。盾とハルバード?斧みたいな槍を持っている。身長はアリサとウリサの間ぐらい。スキンヘッドの頭がおっさんっぽさを感じる。
 ちなみにウリサは顔と手以外は布に包まれている。開襟のシャツに簡単な革鎧、その上にラフなベスト、チノパンか色ジーンズ風のボトムにショートブーツというスタイルが長身に似合っている。スリムな体形にでっかい剣を背負っている。細マッチョかな。アリサと顔は少し似ていて、でもイケメンだ。カッコいな!こういう兄ちゃんになりたいぜ。
 三人とも装備や服がかなり汚れたり擦り切れたりしている。

 それより町が近いのか。
「町まで一緒に行ってもいいですか?」
「もちろんいいけど、シュンスケはひとり?お母さんとかは?」
「母とは別の街で逸れてしまって」あっちの世界の街とは言わないよ。
「そう、ずっとひとりで来てるの?」
「はい」

「おい、ガキ。なんか企んでいないのか?」
 ウリサがアリサの前に出る。
「ちょっと兄さん」
「こんな小綺麗なガキがひとりでいるなんて、罠かもしれんだろ!」
 なるほど。ガキひとりにも注意がいるような世界と。しかし
「罠?どんな?」思いつかなくてウリサを見上げる。
「うっ。
 たとえば、俺たちを誘拐犯に仕立てて、見逃してやるから逆に金よこせとか」
「なるほど」
 ガキ相手の警戒ってそういう。後ろに大人がいるかもと。
「兄さん!」
 アリサがウリサの腕を引っ張りながら咎めるように叫ぶ。
「さすがですね。常に警戒するってすごいです。俺は平和なところで育ったから、ちょっと思いつかなかったです。
 でも、本当に母とはぐれていて、ここが何処かもわかってないのです。よかったら町まででいいので一緒に行ってくれますか?」
 相手の機嫌を損ねないように丁寧に話す。
 今の俺は第一異世界人のこの人たちに頼むしかない。
 ぐぅーうぅ
 ゴダの腹が大きくなった。手には俺が倒したギョンの後ろ足をつかんでぶら下げるように持ってきていた。
「腹減った。取りあえずこいつ血抜きしねえ?」
「そうだな。処理したら町へ行こう。シュンスケもな」
「ありがとうございます」
「よかったね。シュンスケ。干し肉食べる?」
「いえ、俺はさっき食べたので」チキンとケーキを。
「そっか」
「おい、腹減ってるのは俺だ」
「ゴダは、保存食も全部食べてしまうから、こういう時困るんでしょ?いい加減覚えなさいよね」
 ん?ゴダよりアリサのほうが立場が上?歳とか?
 この世界も見た目と年齢は違うのか。後で聞いたら。やっぱりアリサは十七歳。ウリサは二十歳。ゴダはなんと十五歳!中三ぐらい?こんなにおっさんポイ中三って・・・いたかも、日本にも。だが坊主頭はいたけど、スキンヘッドはないな。ゴダは禿ではないらしい。洗髪がめんどくさいので、ひげと一緒に剃ってるらしい。
 閑話休題
 ウリサが生々しい音をさせながら、ギョンの喉を切り、ゴダが少し掘り起こした穴に血を流しているのを意識しないようにしながら、ウエストポーチをまさぐる。ストラップを触らずにチャックのつまみを開けると、リップとか元のポーチの中身が手に当たる。
 飴があったか。
 飴を四つ出して、一つを剥いて口にいれる。
 森とかあるけど日本より乾燥しているのかな。少しいがらっぽい喉にカモミール入りキャンディはうまい。
「飴しかないですけど、どうですか?」
 残りの三つの飴のせて手のひらを広げる。
「まあ、きれい」
 まだ未開封だけど、あ、個包装がきれいなのか?カモミールのハーブの花の絵が印刷されている。
「甘くておいしいですよ」
 皮手袋じゃ開けにくいかと一つ開けて
「アリサさん、はい」
 口に入れてあげる。
 俺の初めての あーん体験は異世界だ。
「ほんと、甘ーい。こんなに甘いのは蜂蜜を舐めた時以来かも!」
 両手でほっぺたを押さえる仕草が可愛いです。
 続いて ゴダくんにも あーんする。
 二番目の あーん体験はスキンヘッド・・・。
「うまい。そして香りもいいな」
「噛まずに舐めていると、腹の虫が少し落ち着くんです」
「そうか?ありがとな」
「ウリサさんも」
 同じように剥いてあげようとすると、
「ありがとう、さっきは疑ってすまん。俺は自分で開ける」
「でも、手に少しギョンの血がついてますよ」
「そうだな、じゃあ」
 三番目の あーんは・・・

 四人して、口に飴を入れながら、話しながら歩く。
 とりあえず会話が出来ることに安堵している自分だった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!

楠ノ木雫
恋愛
 朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。  テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。 「お前との婚約は破棄だ」  ある日王城で開かれたガーデンパーティーの警備中婚約者に婚約破棄を言い出された。テレシアは承諾したが、それを目撃していた先輩方が見かねて城下町に連れていきお酒を奢った。そのせいでテレシアはべろんべろんに酔っ払い、次の日ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服では……!? ※他の投稿サイトにも掲載しています。 ※この作品は短編を新たに作り直しました。設定などが変わっている部分があります。(旧題:無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜)

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...