勇者に転生したら魔王になったんですが

第3話 ~勇者とかチートじゃねw~

　彼が手に取ったもの、それを確認した俺は言葉をつまらせる。
 
　彼が手に持つそれは...
「人...骨?」
　
　そう。彼が手に取ったもの、それは明らかに人間のものである骨だった。
　
彼はおもむろにその骨を握り砕く。

　メキ...バキバキ....

　彼が握りしめるそれは、いかにもな音をたてて弾け飛ぶ。

　その時だった。突如彼の手の内側が青く輝き始めたのである。

　青色に輝くその光は、一瞬にして彼の体を包み込んだ。刹那、その光は俺の体をも包み込む。

「は、えぇぇぇぇ!?」

突然の出来事に頭が混乱する。しかし、無情にも、そんなことは関係ないかのようにその光は自分の体をも包み込んだ。

　自分の体にまとわりつく光は、不思議なことにも、不快感は0に等しかった。さらにいうならば...

　「眩しく...ない?」

そう、その光は、光であるにもかかわらず、一寸の眩しさも感じさせないのだ。まあ、それがどうという訳でもないが...。





...どのくらいの時間がたったのだろう。自らの体にまとわりつくそれ、の観察に身を投じていたためか、体感時間としては1~3秒くらいのものだった。

　体じゅうの青い輝きは、それが当然かのように頭部から胸、胸から足、...と順に蜘蛛の子を散らす様に飛び去った。

　「ここ...は?」

　体にまとわる光が完全に消え去り、視界に少しの眩しさが現れる。
　
　周囲を見渡すも、全く記憶にない景色が広がる。

「さあ、特訓ですよ!」

　彼がいう。...ていうか完全に存在忘れてた..。ところで名前何なの?...
　当たり前の疑問をもっと早く解決しなかった自分に多少の嫌悪感を抱きつつも尋ねてみる。

　「あの...お名前は?..。」

　相手の目が清々しいほどの丸くなる。俺の脳裏にある言葉が浮かぶ。"地雷を踏む"

「何を言ってるんですか...?ユウシャサマ?」

　もう勇者様が片言だ。相手の顔を見て察するに、疑念の目を向けられている。

「すいません...廊下に寝られている時から疑問に思ったのですが...」

　　       



　　　　   「あなた、本当に勇者様ですか?」