父親に売られた兄は夕闇に翻弄される

miian

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第一章 壊れた日常の始まり

準備※

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 初めて身体を売った日から数日が経った。

 太陽が沈み始めた頃、父がまた勢いよく玄関の戸を開け、「行くぞ」と言ったので即座にその言葉の意味を理解した。傷の痛みはマシにはなったとは言え、まだ本調子ではない。それでもその言葉に従うしかなく家を出た。

 一度、家を振り返る。智は今日、まだ帰ってきていない。変に尋ねられるよりも良かったと、安堵しながら父の後をついていった。

 例の薄暗い道をついて行き、ホテルへとたどり着く。今日は、先にあの男が部屋についていた。


「数日ぶりだね?身体はどう?」
「…………」
「今日、弟くんは?」
「なっ、智は関係ないだろっ?!」
「じゃぁ、従順にならないと」


 男の問いかけを無視すると、男はわざと智のことを聞いてきた。


「……家にはいなかった」
「ふぅん」


 しぶしぶと答えると、男はさほど興味が無さそうな返事をした。目の前の男と会うのは二度目だが、嫌な男だと改めて思った。会話もそこそこに、男は着ていた白いシャツを脱いだ。露わになる肌は先日と同様に綺麗だった。この前はほぼ突っ伏した状態で余裕もなく気付かなかったが、この男の背中には龍の刺青が彫られていた。


(ただのヤンキーかと思ったけど、ヤクザとかなのだろうか……?)


 刺青と言えばヤクザを思い浮かべるが、目の前の男にそのような怖さはない。でも、刺青があることから普通の人ではないだろうし、あまり逆らわないようにした方が良さそうだ。


「何してるの?早く君も脱いで」


 刺青をボーっと見ていたら、男は急かすように声をかけた。慌てて自分も脱ぐ。一体どこまで脱げば良いのだろう?今から行為することから全て脱ぐのが正しいのだろうか?困って後ろを向いたら父と視線が絡み合う。この日、先に目を逸らしたのは父だった。


「ところで準備はしてきた?」


 シャツを脱ぎ、ズボンに手をかけていると、男が尋ねてきた。


(…………準備?)


 準備とは一体なんのことだろうか?意味が分からず不思議そうな顔をして男を見ると、男はこちらに近づき、脱ぎかけのズボンのお尻の方へ手を突っ込んだ。


「ここの準備だよ」


 男はパンツの中にも侵入し、穴の周りを指でなぞった。傷の痛みを思い出し、なぞられた場所がきゅっと収縮する。


「まだみたいだね。今度からちゃんと準備してくるんだよ?君は、身体を売るんだから」
「…………」
「返事は?」
「……はい」


 男は俺の残りの服を全て脱がすと、ベッドへと連れて行った。ローションのボトルを手渡される。素直に受け取るも、その後何もしてこない。


「ほら早くして」
「えっ……」


 不思議に思って男を見ると、短く言った。どうも今ここで俺に準備しろという意味らしい。男と父は、無言でこちらを見ている。その空気はとても冷たく、まるで俺を責めているかのようだった。

 先ほど渡されたローションを手に取り、蓋を開ける。少しのローションを手に出すと、ヌルッとした感触が手にまとわりつく。少し擦ると手のひらに広がり、手を犯されているような気分になった。

 そのまま自身の穴へと手を運ぶ。ベッドの上で足を広げ、傍で男が見ており、ドアの近くで父が見ている。異様な光景であることは確かだが、誰も助けてくれはしない。諦めて男の言う『準備』を始めることにした。

 左手の人差し指をグリっと穴の中へと入れる。ローションのぬめりでそれは難なく中へと入り込んだ。ただ準備と言われてもよく分からない。恐らく挿れられるようにしろと言うことだろう。

 ぐりぐりと穴の縁をなぞるようにするもそれが広がっているのかは分からない。恐る恐る奥の方へ入れたり、穴の付近へと戻したりと試みるが、違和感しかない。


(…………気持ち悪い)


 何度か繰り返すが、これが合っているのか分からない。焦ってグリグリすればするほど、痛みを感じ始めた。


(……ローションが足りないのだろうか?)


 ローションを追加することにして、一度指を抜き、また手に纏わせた。また穴を広げようと頑張ってグリグリとする。静かな部屋に穴をかき混ぜるぬめりのある音だけが小さく響く。

 
ーーその行為は、虚しく惨めだった


「苦戦してるみたいだね。今日は教えてあげるから覚えるんだよ?」

 
 男はそう言うと、俺の背後に回って抱きしめるような体勢をとった。

 俺の指が入ったままの穴に男が、直接ローションを垂らす。その量はとても多く、シーツさえも汚した。自身の手にまとわりつくローションを拭いたくて、慌てて指を抜こうとすると男は手で俺の腕を抑えつけると、もう片方の手でお尻の周りの穴をなぞった。


「和之さんもちゃんと見てて。もし弘人くんが準備できなかったら和之さんがしないとでしょ?」


 男は、父を見てそう言った。男と父の視線が交わる。でも、父は何も言わなかった。

 俺もつられてその2人の交差する視線の先の父を見たが、俺はすぐに顔を下ろした。

 『父に見られている』という事実が今更ながらに羞恥心を煽ったからだ。

 男は何度か俺の尻の穴をくるくるとなぞると、穴の中へと指が侵入してきた。俺の指はまだ入った状態で抜きたかったのに、腕を抑えられ、それは許されない。

 男の指が俺の指を捕らえると中をなじませるように縦や横に動かした。入口の周りをグリグリと馴染ませるようになぞると、奥へと入り込み、また優しく撫でた。


「普通なら2本ぐらいでいけるかもしれないけど、俺の時は指3本入るくらいにしとかないと痛いからね?」


 そう言うと男はもう1本指を増やした。指3本なんて痛いと思っていたのに、さんざん2本の指で馴染まされた穴は難なく3本目の指を受け入れた。男の中指が奥のある場所をなぞり上げた時、「あぁっ」という声を上げた。


「ここが君の良いところだから覚えておくといいよ」


 耳元で男が囁く。以前感じたあの底知れぬ恐怖を思わせるような快感。その場所をそれ以上なぞって欲しくないのに男は何度もそこを攻め立てる。以前と同様にペニスは屹立し、透明な液を垂らしていた。


「もう準備は大丈夫そうだね?挿れるよ」


 男はそのまま背後から軽々と俺を持ち上げると、男のペニスを穴にあてがった。そのまま勢いよく下ろされる。


「ーーあぁっ」


 勢いよくぶつけられたペニスに頭はチカチカし、勢いよく吐精していた。


「挿れられただけでイッたの?はしたない身体だね」
「ち、ちが、あっ……」


 完全に否定する前にまた男は、俺を突き上げた。イッたばかりの身体は敏感で、その快楽に身体は畏怖し、自然と涙が零れ落ちた。男が突き上げる度に視界が揺れる。少し離れた先には父が立ってこちらを見ている。


(たすけて……いやだ……みないで……)


 心で叫ぶのに声から漏れ出るのは淫らな声。
 

(……はやくおわって)


 男が乳首に爪を立て、肩を噛む。その痛みを感じる瞬間、正気に戻り、またすぐに快楽に飲まれる。

 まるで地獄だ。


「あっ、あっ、んんっ……」


 男の律動が激しくなった時、自身もまた果てそうだと分かった。押し寄せる快楽に現実から目を逸らしたくて目を閉じた。


「ダメだよ、ちゃんと前を見て」


 男が目を閉じていた俺の顎を掴むと上を向かせた。目を開けると父と目が合い、男と一緒に俺は果てた。


「んんっ……」


 男がズルっとペニスを引き抜いた。今回は、以前のように血は混じっていない白濁の液だけがシーツを汚す。


「次はきちんと準備しておいてね。和之さん、ちゃんとよろしくね」


 そう言うと男は父に金を払うとさっさと出て行った。父は、以前のようにお金をこちらに投げ捨てると部屋を出て行った。

 ドロドロと垂れ流れる他人の精液。ベッドの上に座り込んでいたが、腰の痛みに耐えながら立ち上がった。今日は父の後を追いかけなかった。

 前回、そのままの状態で父の後を追いかけたらお腹を壊したからだ。1人で薄暗い道を歩くのは怖い。ましてやここは治安もあまり良くない。でも、このままの状態で帰るよりも中のモノを掻き出した方が自分がしんどくないと知った今、そちらを優先することにした。

 とぼとぼとホテルのお風呂場へと向かう。歩くたびに股から精液が垂れ流れて床を汚した。
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