30 / 43
第一章 壊れた日常の始まり
後悔と選択
しおりを挟む
家へと帰る途中、「おい」と1人の男に声をかけられた。この前の男だろうかと振り返ると、その時とは別の男だった。男の手には何か握られている。
(……また隠し撮りでもされていたのだろうか?)
男が近づいてきた。男の手を見ると、写真ではなく、一万円札を数枚持っていて、俺に見せびらかしてきた。
「ヤラしてくれるならお前にそのままこれをやるよ」
男は、嫌な笑みを浮かべてそう言った。
「最近客が増えてんだろ?お前の父親に金払いが悪い奴は、後だと断られた。クソがっ」
男は悪態をつき、そばにあった空き缶を蹴った。男の話す内容は、客が増え、父は金を多く出す人間を優先しているらしい。とは言っても、目の前の男が持っている札の枚数も決して少なくはない。いつも父からもらっている金額は同じなのに。
とりあえず、この目の前の男は、父に腹が立ったことと俺とやりたいがために、待ち伏せをすることにしたらしい。
(……父にバレなければいいんじゃないか?)
そんなことが頭によぎった。迅との約束を思い出す。お金があればどこへでも行ける。そう言ったのは自分だ。お金があれば迅と一緒に逃げられる。
別れ際の迅の表情を思い出す。少し迷いながらも了承すると、男は金を押し付けるや否や、俺の服を脱がせ始めた。
「クソッ、ほんと厭らしい穴してやがるぜ」
「あっ、んっ……」
薄暗い路地裏。目を閉じて我慢すればいい。自身の感情と相反する声は出るし、身体も反応する。
ーー一緒に逃げよう
迅の言葉を思い出せばいい。迅のあの言葉を思い出すだけで、じんわりと心が温かくなる。
いつの日か逃げるために、今は目を閉じて我慢すればいい。
いつの日か終わりは来るのだから。男に身体を揺さぶられながら、先ほど男が押し付けた何枚かの一万円札をぎゅっと握りしめた。
「ぐっ……!」
「んっ、あっ、あぁっ……」
男が中で果てると同時に自身も精液を出した。男は外ですることに興奮したのか、まだまだ硬さを保ったままだ。その後もう一度、性行為をするとあっという間に絶頂を迎え、満足そうに俺を抱きしめた。
「弘人くん、気持ち良かったよ」
ねっとりとした気持ちの悪い声で男が囁く。男が、ズルっと中のモノを引き抜いた。緊張と痛みで強張っていた手の力を抜くと、ぎゅっと握りしめていたお札がヒラヒラと地面に落ちていった。
「また個人的に頼むね」
男が、そう言った。
ーー父よりも多くのお金がもらえる
大丈夫。大丈夫、俺なら耐えられるはずだ。心の中で何度も唱える。
お金を溜めて、迅と、智と、逃げよう。
「夕方からだと父に怪しまれるので、時間を早くしてください」
さっさと帰ろうとした男が振り返ると、同情した目でこちらを見た。父に客を取らされることに感覚がマヒしていたが、男は俺が父に売りをさせられていることを再認識し、同情したのだ。
でも、その後すぐに俺を抱けることに優越感を感じた男はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて去って行った。
この日から時々学校を休むようになり、その間に隠れて身体を売るようになった。
父が用意した客ではなく、自分から受け入れた客がいることに後ろめたさを感じた。こんな薄汚れた身体になんの価値もないのに。
迅も当分の間、学校へ来れないと言っていたから、ちょうど良かったのかもしれない。
それでもやっぱり心のどこかで後悔と寂しさを感じた。
(……また隠し撮りでもされていたのだろうか?)
男が近づいてきた。男の手を見ると、写真ではなく、一万円札を数枚持っていて、俺に見せびらかしてきた。
「ヤラしてくれるならお前にそのままこれをやるよ」
男は、嫌な笑みを浮かべてそう言った。
「最近客が増えてんだろ?お前の父親に金払いが悪い奴は、後だと断られた。クソがっ」
男は悪態をつき、そばにあった空き缶を蹴った。男の話す内容は、客が増え、父は金を多く出す人間を優先しているらしい。とは言っても、目の前の男が持っている札の枚数も決して少なくはない。いつも父からもらっている金額は同じなのに。
とりあえず、この目の前の男は、父に腹が立ったことと俺とやりたいがために、待ち伏せをすることにしたらしい。
(……父にバレなければいいんじゃないか?)
そんなことが頭によぎった。迅との約束を思い出す。お金があればどこへでも行ける。そう言ったのは自分だ。お金があれば迅と一緒に逃げられる。
別れ際の迅の表情を思い出す。少し迷いながらも了承すると、男は金を押し付けるや否や、俺の服を脱がせ始めた。
「クソッ、ほんと厭らしい穴してやがるぜ」
「あっ、んっ……」
薄暗い路地裏。目を閉じて我慢すればいい。自身の感情と相反する声は出るし、身体も反応する。
ーー一緒に逃げよう
迅の言葉を思い出せばいい。迅のあの言葉を思い出すだけで、じんわりと心が温かくなる。
いつの日か逃げるために、今は目を閉じて我慢すればいい。
いつの日か終わりは来るのだから。男に身体を揺さぶられながら、先ほど男が押し付けた何枚かの一万円札をぎゅっと握りしめた。
「ぐっ……!」
「んっ、あっ、あぁっ……」
男が中で果てると同時に自身も精液を出した。男は外ですることに興奮したのか、まだまだ硬さを保ったままだ。その後もう一度、性行為をするとあっという間に絶頂を迎え、満足そうに俺を抱きしめた。
「弘人くん、気持ち良かったよ」
ねっとりとした気持ちの悪い声で男が囁く。男が、ズルっと中のモノを引き抜いた。緊張と痛みで強張っていた手の力を抜くと、ぎゅっと握りしめていたお札がヒラヒラと地面に落ちていった。
「また個人的に頼むね」
男が、そう言った。
ーー父よりも多くのお金がもらえる
大丈夫。大丈夫、俺なら耐えられるはずだ。心の中で何度も唱える。
お金を溜めて、迅と、智と、逃げよう。
「夕方からだと父に怪しまれるので、時間を早くしてください」
さっさと帰ろうとした男が振り返ると、同情した目でこちらを見た。父に客を取らされることに感覚がマヒしていたが、男は俺が父に売りをさせられていることを再認識し、同情したのだ。
でも、その後すぐに俺を抱けることに優越感を感じた男はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて去って行った。
この日から時々学校を休むようになり、その間に隠れて身体を売るようになった。
父が用意した客ではなく、自分から受け入れた客がいることに後ろめたさを感じた。こんな薄汚れた身体になんの価値もないのに。
迅も当分の間、学校へ来れないと言っていたから、ちょうど良かったのかもしれない。
それでもやっぱり心のどこかで後悔と寂しさを感じた。
11
あなたにおすすめの小説
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 ★1000 Thank_You!!
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる