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第一章 壊れた日常の始まり
橋の向こう
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ーー俺は一体何のために生きてるんだろう?
悲しいのに涙も出ない。こんなことおかしいと分かってる。でも、もう耐えられない。逃げたい。智を連れて逃げようか?でも、もうこんな自分に生きる価値なんてあるのかな?
奥の薄っぺらい部屋で倒れていたはずなのにいつの間にか立っていたのは台所だった。ふと手を見下ろすと、小さな包丁を持っていた。
自分が恐ろしかった。記憶はあやふやで奥の部屋から自分はここまで無意識に来たというのだろうか?
「何してる」
はっと振り返ると、父が立っていた。父は俺の手に持っている包丁を見ると、こちらへずかずかと近づいてきて、包丁を取り上げると、そのまま続けてバシンと大きな音を立てて、殴り飛ばした。
「死ぬなんて許さない。お前は、お前は俺のだ……」
錯乱したように父は叫ぶ。父は一体どうしたいのだろう?
ーーいっそのこと俺を殺してくれたらいいのに……。
「次、こんなことしたら汚してようがあいつに客をとらせる」
そう言うと、父は部屋を出て行った。
「うっうっうっ……」
自分は愚かだ……。どうして父を見捨てられないのだろう。トボトボと家を出た。
行く当てもない。でも、自然と橋の向こうへと向かっていた。
ーー迅に会いたい
何故会いたいのか分からない。迅が帰って来ているかも分からない。
ふらふらと自分とは不相応な場所へと向かう。
迅の家なんて分からない。キョロキョロとあたりを見回す。少ししたら帰らないと今日の客が来るだろう。
「にいちゃん?」
振り返るとそこには智がいた。あぁ、迅に会いたいという気持ちが大きすぎて、叔母さんの家にいるから智とも会う可能性があることを忘れていた。
「智、俺のことは気にせず、叔母さんの家にいとけ」
「兄ちゃん、こんなところで何してるの?」
心配した声で尋ねる。あんなことをした後でも、俺のことを兄だと慕ってくれる智に申し訳なさを感じた。
「いや、う……」
言い訳を考えていたらお腹がキューっと痛くなり、頭が靄にかかったように苦しくなった。
「にいちゃん?!誰か、誰か、兄ちゃんを……にいちゃんをたすけて……」
薄れてく記憶に聞こえるのは智の声。その後ろから誰かの声が聞こえる。智にまで迷惑をかけて俺は兄として不甲斐ないなと思った。
うっすらと瞼を開ける。あたりをキョロキョロと見渡す。倒れたところの目の前のベンチに横たわっていたらしい。あまり時間は経っていないようだった。
(智はどこに……?)
叔母さんの家に行っているならいい。でも、何故か不安に駆られた。とりあえず立ち上がり、叔母さんの家に戻るか悩んだ。
でも、もうそろそろ帰らないと客が来る時間だ。
家へと戻ろうとした時、会いたくない人と出くわす。叔母さんだ。
「あなた、こんな所で何してるの?!」
「あ……」
「ますますあの男に似て汚らしい。さっさと橋の向こうへ帰りなさい」
苛立った口調で叔母さんは尚も酷い言葉を投げかけてくる。何も言い返せず、顔を下に向けるしかなかった。
ふとそこで目の前に叔母さんがいるということは智はどこにいるのだろう?
「あ、あの……智は?」
「喋りかけないで。今日は来てないわよ」
その言葉を聞いて、走り出していた。
悲しいのに涙も出ない。こんなことおかしいと分かってる。でも、もう耐えられない。逃げたい。智を連れて逃げようか?でも、もうこんな自分に生きる価値なんてあるのかな?
奥の薄っぺらい部屋で倒れていたはずなのにいつの間にか立っていたのは台所だった。ふと手を見下ろすと、小さな包丁を持っていた。
自分が恐ろしかった。記憶はあやふやで奥の部屋から自分はここまで無意識に来たというのだろうか?
「何してる」
はっと振り返ると、父が立っていた。父は俺の手に持っている包丁を見ると、こちらへずかずかと近づいてきて、包丁を取り上げると、そのまま続けてバシンと大きな音を立てて、殴り飛ばした。
「死ぬなんて許さない。お前は、お前は俺のだ……」
錯乱したように父は叫ぶ。父は一体どうしたいのだろう?
ーーいっそのこと俺を殺してくれたらいいのに……。
「次、こんなことしたら汚してようがあいつに客をとらせる」
そう言うと、父は部屋を出て行った。
「うっうっうっ……」
自分は愚かだ……。どうして父を見捨てられないのだろう。トボトボと家を出た。
行く当てもない。でも、自然と橋の向こうへと向かっていた。
ーー迅に会いたい
何故会いたいのか分からない。迅が帰って来ているかも分からない。
ふらふらと自分とは不相応な場所へと向かう。
迅の家なんて分からない。キョロキョロとあたりを見回す。少ししたら帰らないと今日の客が来るだろう。
「にいちゃん?」
振り返るとそこには智がいた。あぁ、迅に会いたいという気持ちが大きすぎて、叔母さんの家にいるから智とも会う可能性があることを忘れていた。
「智、俺のことは気にせず、叔母さんの家にいとけ」
「兄ちゃん、こんなところで何してるの?」
心配した声で尋ねる。あんなことをした後でも、俺のことを兄だと慕ってくれる智に申し訳なさを感じた。
「いや、う……」
言い訳を考えていたらお腹がキューっと痛くなり、頭が靄にかかったように苦しくなった。
「にいちゃん?!誰か、誰か、兄ちゃんを……にいちゃんをたすけて……」
薄れてく記憶に聞こえるのは智の声。その後ろから誰かの声が聞こえる。智にまで迷惑をかけて俺は兄として不甲斐ないなと思った。
うっすらと瞼を開ける。あたりをキョロキョロと見渡す。倒れたところの目の前のベンチに横たわっていたらしい。あまり時間は経っていないようだった。
(智はどこに……?)
叔母さんの家に行っているならいい。でも、何故か不安に駆られた。とりあえず立ち上がり、叔母さんの家に戻るか悩んだ。
でも、もうそろそろ帰らないと客が来る時間だ。
家へと戻ろうとした時、会いたくない人と出くわす。叔母さんだ。
「あなた、こんな所で何してるの?!」
「あ……」
「ますますあの男に似て汚らしい。さっさと橋の向こうへ帰りなさい」
苛立った口調で叔母さんは尚も酷い言葉を投げかけてくる。何も言い返せず、顔を下に向けるしかなかった。
ふとそこで目の前に叔母さんがいるということは智はどこにいるのだろう?
「あ、あの……智は?」
「喋りかけないで。今日は来てないわよ」
その言葉を聞いて、走り出していた。
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