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第二章 良太との日々
朝、目が覚めて
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※第二章で大輝を登場させる予定だったのですが、第二章は弟・良太との話が多くなりそうです。
本命攻め・大輝の登場は第三章からと遅い登場になりそうです。
ーーーーーー
朝、目が覚めると自身が裸で布団の中にいることに気付いた。背後から寝息の声が聞こえ、良太が俺を抱きしめながら眠っていた。
そして、昨夜のことを思い出した。俺の背中に良太の素肌がぴったりとくっつき、温もりを分け合っている。
その状況が、実の弟と一線を超えてしまったことが現実だったのだと認識させ、打ちひしがれた。良太の腕の中から逃れようと少し身じろぐと良太が目を覚ました。
「ゆうにぃ、起きたの?」
そう言って、良太が腕に力を込めて俺を抱きしめ直した。良太は、俺の髪と肩に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。実の弟なのに気持ち悪さと恐怖で身を強張らせた。
でも、このままではダメだと思い、俺を抱きしめている腕を引き離して、すかさずベッドから降りようとした。
ーードサッ
「ゆうにぃ、大丈夫?」
ベッドから出て、扉の方へ行こうとしたのに、足腰が立たず、床へと崩れ落ちた。股関節も悲鳴を上げている。崩れ落ちた俺を見て、慌てた良太がベッドから降り、手を差し伸べようとした。その差し出された手を軽く叩くも良太は気にしていないようだった。
「昨日は抑えられなくて……無理させて……ごめんね、ゆうにぃ……あ、喉乾いてるよね?」
良太は俺を抱え上げると、ベッドへと連れ戻した。昨晩、精液まみれだったはずの俺は綺麗になっていて、良太が綺麗にしたようだ。
机の上のコップに良太が水を注ぎ、ベッドへと持ってきた。良太は一糸纏わぬ姿で、目のやり場に困り、思わず目をそらした。ただ、喉は乾いていたから、良太からコップを貰おうと、手を伸ばすと良太はコップを渡してはくれず、良太が目の前でその水を飲んだ。
(え?何考えてんだよ?ここにきて水をくれと懇願させる気か?)
良太は嫌がらせで俺を従えようとしているに違いない。そう思っていたら、良太は俺がコップを受け取ろうとしていて宙ぶらりんになっていた手を掴むと、引き寄せるようにして俺の顔に近づけた。驚き、戸惑っていると良太は俺の唇に柔らかい唇を被せてきた。
「……?!」
良太のいきなりのキスに驚いていると、良太が唇の隙間から水を流し込んだ。乾いた喉は良太の口から流れる水をごくりと飲んだ。良太が、すかさず水と一緒に舌も潜り込ませると、上顎をなぞった。
「まだ飲む?」
「いや……いらない……何考えてるんだよ……俺たち兄弟だろ……?」
無理やりとは言え、実の弟と一線を超えてしまった。それでも、今ならまだなかったことにできるんじゃないか、仲は良いけど喧嘩もする普通の兄弟に戻れるんじゃないか、と願いを込めて良太に言った。
良太も昨日は、こちらの世界に来て訳の分からない状態で一時の感情に流されただけで、俺への気持ちは勘違いだったのだと言って欲しかった。そう言われた方が俺も救われる。
「僕はずっとゆうぃと一緒になれることを考えていたよ?ゆうにぃもそうでしょ?昨日はあれだけ気持ちよくなって何度もゆうにぃもイってたし僕たち身体の相性も抜群だね」
(一緒になれることを考えてた?俺もそう?身体の相性が抜群?)
どこをどう思ってそう感じたのか俺には分からないし、良太と話が通じないこの状況に苛立った。
(そもそも俺たちは兄弟だぞ……?)
「ゆうにぃ、今日は休んでてね。お腹減ったよね?ご飯持ってくるね」
良太はクローゼットから服を取り出して、ささっと着る。白いシャツに黒いボクサーパンツ、黒のチノパンだった。
「残念、ゆうにぃの服もあるや。僕はゆうにぃが裸のままでもいいんだけど。すぐに戻ってくるけど部屋から出て行こうとしないでね?」
良太はクローゼットの中に俺の服があったことに心底残念そうな顔をして部屋を出ていった。
今のうちに逃げないと!と思ったのに、足腰が全然立たず、足を震わせながらベッドから降りたものの、すぐに床へと崩れ落ちた。普段使われることのない筋肉が悲鳴をあげていた。
それでも、この部屋から抜け出そうと床でモタモタしていると、良太がサンドイッチらしきものと飲み物を持って部屋へと帰ってきた。良太はそんな俺を見て、微笑みながら抱きかかえると、またベッドへと連れ戻した。
(良太と、きちんと話さないと……)
「ここに置いておくね。僕はこれからこの国の情勢とかりょっと聞いてくるけど、またすぐに帰ってくるね」
良太はベッドから届く位置にサイドテーブルを持ってきて、そこに飲み物とサンドイッチを置くとすぐに扉の方へと向かった。
「良い子で待てってね」
「ちょっ……待って、話がしたいっ!」
出て行こうとする良太を呼び止めるも、良太は気にもせず部屋をさっさと出て行ってしまった。
震える足を叱咤しながらクローゼットに足を運ばせて、服を慌てて着た。部屋から出て言った良太を追いかけようと、部屋の扉を開けようとしたのに、扉はビクともせず部屋から出ることができなかった。
(閉じ込められた?!)
一生懸命、扉を開けようとガチャガチャしたり、ドンドンと拳で叩いたりするも微動だにしない。良太が帰ってくるまでこの扉が開くことはないのだ。
弟の良太が俺をどうするつもりなのか分からず、無機質にも思えるこのガランとした部屋で恐怖に怯えることしかできなかった。
本命攻め・大輝の登場は第三章からと遅い登場になりそうです。
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朝、目が覚めると自身が裸で布団の中にいることに気付いた。背後から寝息の声が聞こえ、良太が俺を抱きしめながら眠っていた。
そして、昨夜のことを思い出した。俺の背中に良太の素肌がぴったりとくっつき、温もりを分け合っている。
その状況が、実の弟と一線を超えてしまったことが現実だったのだと認識させ、打ちひしがれた。良太の腕の中から逃れようと少し身じろぐと良太が目を覚ました。
「ゆうにぃ、起きたの?」
そう言って、良太が腕に力を込めて俺を抱きしめ直した。良太は、俺の髪と肩に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。実の弟なのに気持ち悪さと恐怖で身を強張らせた。
でも、このままではダメだと思い、俺を抱きしめている腕を引き離して、すかさずベッドから降りようとした。
ーードサッ
「ゆうにぃ、大丈夫?」
ベッドから出て、扉の方へ行こうとしたのに、足腰が立たず、床へと崩れ落ちた。股関節も悲鳴を上げている。崩れ落ちた俺を見て、慌てた良太がベッドから降り、手を差し伸べようとした。その差し出された手を軽く叩くも良太は気にしていないようだった。
「昨日は抑えられなくて……無理させて……ごめんね、ゆうにぃ……あ、喉乾いてるよね?」
良太は俺を抱え上げると、ベッドへと連れ戻した。昨晩、精液まみれだったはずの俺は綺麗になっていて、良太が綺麗にしたようだ。
机の上のコップに良太が水を注ぎ、ベッドへと持ってきた。良太は一糸纏わぬ姿で、目のやり場に困り、思わず目をそらした。ただ、喉は乾いていたから、良太からコップを貰おうと、手を伸ばすと良太はコップを渡してはくれず、良太が目の前でその水を飲んだ。
(え?何考えてんだよ?ここにきて水をくれと懇願させる気か?)
良太は嫌がらせで俺を従えようとしているに違いない。そう思っていたら、良太は俺がコップを受け取ろうとしていて宙ぶらりんになっていた手を掴むと、引き寄せるようにして俺の顔に近づけた。驚き、戸惑っていると良太は俺の唇に柔らかい唇を被せてきた。
「……?!」
良太のいきなりのキスに驚いていると、良太が唇の隙間から水を流し込んだ。乾いた喉は良太の口から流れる水をごくりと飲んだ。良太が、すかさず水と一緒に舌も潜り込ませると、上顎をなぞった。
「まだ飲む?」
「いや……いらない……何考えてるんだよ……俺たち兄弟だろ……?」
無理やりとは言え、実の弟と一線を超えてしまった。それでも、今ならまだなかったことにできるんじゃないか、仲は良いけど喧嘩もする普通の兄弟に戻れるんじゃないか、と願いを込めて良太に言った。
良太も昨日は、こちらの世界に来て訳の分からない状態で一時の感情に流されただけで、俺への気持ちは勘違いだったのだと言って欲しかった。そう言われた方が俺も救われる。
「僕はずっとゆうぃと一緒になれることを考えていたよ?ゆうにぃもそうでしょ?昨日はあれだけ気持ちよくなって何度もゆうにぃもイってたし僕たち身体の相性も抜群だね」
(一緒になれることを考えてた?俺もそう?身体の相性が抜群?)
どこをどう思ってそう感じたのか俺には分からないし、良太と話が通じないこの状況に苛立った。
(そもそも俺たちは兄弟だぞ……?)
「ゆうにぃ、今日は休んでてね。お腹減ったよね?ご飯持ってくるね」
良太はクローゼットから服を取り出して、ささっと着る。白いシャツに黒いボクサーパンツ、黒のチノパンだった。
「残念、ゆうにぃの服もあるや。僕はゆうにぃが裸のままでもいいんだけど。すぐに戻ってくるけど部屋から出て行こうとしないでね?」
良太はクローゼットの中に俺の服があったことに心底残念そうな顔をして部屋を出ていった。
今のうちに逃げないと!と思ったのに、足腰が全然立たず、足を震わせながらベッドから降りたものの、すぐに床へと崩れ落ちた。普段使われることのない筋肉が悲鳴をあげていた。
それでも、この部屋から抜け出そうと床でモタモタしていると、良太がサンドイッチらしきものと飲み物を持って部屋へと帰ってきた。良太はそんな俺を見て、微笑みながら抱きかかえると、またベッドへと連れ戻した。
(良太と、きちんと話さないと……)
「ここに置いておくね。僕はこれからこの国の情勢とかりょっと聞いてくるけど、またすぐに帰ってくるね」
良太はベッドから届く位置にサイドテーブルを持ってきて、そこに飲み物とサンドイッチを置くとすぐに扉の方へと向かった。
「良い子で待てってね」
「ちょっ……待って、話がしたいっ!」
出て行こうとする良太を呼び止めるも、良太は気にもせず部屋をさっさと出て行ってしまった。
震える足を叱咤しながらクローゼットに足を運ばせて、服を慌てて着た。部屋から出て言った良太を追いかけようと、部屋の扉を開けようとしたのに、扉はビクともせず部屋から出ることができなかった。
(閉じ込められた?!)
一生懸命、扉を開けようとガチャガチャしたり、ドンドンと拳で叩いたりするも微動だにしない。良太が帰ってくるまでこの扉が開くことはないのだ。
弟の良太が俺をどうするつもりなのか分からず、無機質にも思えるこのガランとした部屋で恐怖に怯えることしかできなかった。
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