チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

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第2章 アリタリカ帝国に留学

65 未踏のダンジョン2

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「エリザとエリシャナが前衛で、ケンちゃんはその後ろで2人をフォローして下さい。私とスズちゃんが中衛、サッチャンとフレニちゃんは後衛ですね」

 フレニは羊飼いなので、羊を追う為の杖と鞭を持っていました。


「御嬢様は中衛なのですか?」

「そうよ、サッチャン。私の武器はスリングという飛び道具ですからね、スズちゃんは短弓ですよね?」

「はい、御姉様」


 パーティ全体のバランスを考えると護衛騎士は前衛が良いので、スリングの経験がある私と、オールラウンドプレイヤーのスズちゃんが中衛をする事に成りました。
 魔法に特化しているらしいサッチャンは後衛が良いと思いますし、フレニちゃんはパーティに加われば調教スキルがレベルアップするかもしれないと思い連れて来たのです。

「御嬢様、私の武器はセプター(飾り付きの杖)です。魔法の威力を増幅する効果があるのですが、亜熊人形は何も持ってないのですね……」
 とサッチャンがケンちゃんを見つめます。


 エリザとエリシャナは槍を携えていますが、腰には剣も差しています。
 ケンちゃんは人形だから赤いティシャツ1枚だけで、他には何1つ持っていませんでした……。


「ウガアアアアアッ! 俺様は、このアイアンクローの爪が武器なのだぁぁぁ!」

 ケンちゃんは、サッチャンに対して両手を上げて、爪を剥き出して怖がらせようとしました。


「どれどれ?」

 サッチャンが臆する事無く近寄って、ケンちゃんの爪に触れてみます。

「ふ~ん、これでねぇ……」

「うぅっ、サチコ、少しは怖がってよぅ」

「怖く無い、こんなので御嬢様のお役に立てればいいのだけど……」


「ちぇっ、つまんないなぁ。少しは乗って怖がってくれればいいのにぃ……」

「あ~れ~。オットリ腑抜け顔の人形が喋ってる~。こ・わ・い~」

「分かったよぅ、もういいからぁ」

 因みに、ケンちゃんはマジックバッグの中に、ちゃんとミスリル製のロングソードを持っています。私が自ら鍛えた渾身の業物わざものなのです。


「あのう、マリエル様。私は羊飼いの杖と鞭、どちらで戦えば良いのでしょうか?」

「あら、フレニちゃんは戦わなくて良いのですよ、今回はレベリングだけの予定なのですから。ダンジョンに入る前にパーティ登録をしたので、他の皆が戦えばフレニちゃんにも勝手に経験値が入るのです」

「はい……そうなんですね。ところで経験値が入ると私はどうなるのですか?」

「ステータスの基本値が上がって強くなると思います。あと、たぶんスキルを獲得してレベルも上昇するでしょうね」


「一緒にいるだけで、私は強く成れるのですか? 羊を襲う狼やゴブリンに勝てるように成れるのでしょうか?」

「はい、きっと成れるでしょうね」

「まぁ! それなら頑張ります」

「いいえ、今回は頑張らないで見ていてください、今はまだ危険ですから」

「はい……畏まりました。」


「そうです! フレニちゃん、得意のスケッチで魔物の絵を描いてください。絵を見た人が魔物の特徴が分かる様に書いて欲しいのです。植物図鑑を書いて貰った様に、今度は魔物図鑑を作りましょう」

「はい、魔物図鑑ですね」


「字を読めない平民の孤児でも、フレニちゃんの植物図鑑を見て薬草採取が出来る様に成ったのだから、今度は魔物図鑑を見て魔物から身を守れるように成って欲しいのです」

「まぁ、それは素晴らしい事ですね。お役に立てるように魔物を書いて見ますね」

「そうですね、たった今からフレニちゃんを文官に任命致しましょう。御給料を払いますので宜しくお願いしますね」


「私などが文官で宜しいのですか?」

「絵が上手なのですから十分です。サッチャンが上司になりますから、なるべく指示に従ってくださいね」

「はい……なるべくで良いのですか?」

「そうです、なるべくです。個人的な要望は断ってもいいですからね。その事に関しては、今は分からなくても良いです」


「御嬢様、絵師はとてもありがたいです」

「サッチャン、フレニちゃんに趣味の絵を強要しないで下さいね」

「しない、けど理解し合えると思う。……思います」




 暫く行くと先行した冒険者パーティがスライムの大群と戦っていました。

「あのぅ、お手伝いしましょうか?」

「あぁ、大丈夫だ。先に行っていいぞ!」

「有難う御座います。それでは先にいかせてもらいます。御武運を!」

「分かった分かった。又、追い越すと思うから遠慮するな!」

「は~い」

 例の髭面男が、手をひらひらと振って行け行けと合図するので、脇を通り抜けて行かせて貰いました。


「意外と物分りが良いのですね」

「人は見かけによらぬとは、この事なのですね」

 と、エリザとエリシャナが小声で話していました。



 マリエル一行は奥の部屋へと向かいます。

「部屋らしき空間が見えますね」

「さっきの部屋にはスライムが大量発生してましたから、油断しないで進みましょう」

「「「はい」」」


 先頭を行くエリシャナが恐る恐る部屋を覗き込みます。

『ブゥアァァッ!』

 真っ黒で大きな丸い1つ目の魔物がエリシャナを脅かしました。コウモリの様な羽が生えています。


「エイッ!」

 エリシャナの横からエリザが槍を突き出します。

 ブッシュゥゥゥッ!

 魔物の大きな目を突き刺しました。


『グギャァァァッ! イタイ、イタイ、○▼□%$……!』

 キュワワワァァァンッ!

 嫌な音が響き、精神攻撃系の魔法がパーティを襲います。


「アウゥゥゥッ」
「ア~ァァ~」

 エリザとエリシャナが【混乱】しました。
 エリザは膝を落として頭をかかえ苦しみ、エリシャナは斜め上を見て呆け顔をしています。


 ピッキィイイイイインッ!

 マリエルはエリザ達の2メートルほど後ろに居ましたが、オートマルチリフレクションシールドが発動して、魔物に精神攻撃系魔法を跳ね返します。
 マリエルより後ろに居たメンバーはマリエルのシールドに守られて混乱しませんでした。


『アババババァァァ……』

 混乱した魔物が酔っ払いの様にフラフラと中空を漂い始めます。


「エリザとエリシャナを【状態異常回復】!」

 ホワワワワァァァンッ!

「はっ!」
「まぁ、面目ありませんっ!」

 エリザとエリシャナはスグに正気に戻りました。


「御嬢様、これは低級魔族です。魔族には物理攻撃が聞きにくいので魔法攻撃が良いのです」

「あら、サッチャン。エリザの槍の一撃が結構効いてるみたいですけど?」

「それはミスリル製の槍だからでしょう」


「エリザ、エリシャナ。ミスリル剣でとどめを刺せるか試して下さい」

「「はい」」

 ブッシャァァァッ! ズッバァァァッ!

『グギャァァァッ……!』

 魔族が黒い靄と共に地に吸われる様に消えて行きます。
 後には魔石とポーションがドロップしていました。


「ミスリル剣で低級魔族を倒す事が出来ましたね!」

「はい、御嬢様。ですが上級魔族には聖剣や魔剣など特別な力が付与された武器でないと効果が無いと言われています。御嬢様が作ったミスリル剣も、通常の武器よりは魔族に対して威力が有るようですね」

 エリザが話してる横で、エリシャナがドロップアイテムを拾います。


「御嬢様、このポーションは『状態異常回復飲料』です」

「低級魔族は結構良いものを持ってるのですね」

「はい。ですがこのダンジョンの1階で遭遇するような魔物では有りません。一般の冒険者では、低級でも魔族に対処する事は出来ないでしょう」

「そうなんですか。髭面お兄さん達より先に来て良かったですね」

「はい、彼らでは勝てなかったでしょう」
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