チートなんて簡単にあげないんだから~結局チートな突貫令嬢~

まきノ助

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第3章 魔族王国の迷子令嬢

98 大陸横断GO_WEST!

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 船は港に寄りながら、4日後にブランボトックと言う港町に着きました。
 この世界で1番大きい大陸の東端だそうです。
(地球で言うとウラジオストックのあたりです)

 入港手続きが必要らしいので、私は冒険者証を見せますが。ブケファラスには馬の姿に戻ってもらいました。

「ブゥちゃんは馬の姿に成れば身分証明書は要らないと思うけど、リヴァイはどうするの?」

「冒険者証なら…持ってるぞ」

 そう言って、リヴァイは冒険者証を役人に提示します。
 後ろから覗き込むと、本当に冒険者証を持っていました。


「フン…元のリヴァイが持っていた…S級冒険者だ」

「その人は今何処にいるの?」

「さぁな…」


『お嬢ちゃん、船を降りて陸に上がったんだから、一気に駆けて行こうぜ』

「リヴァイはどうするの、馬は無いよね?」

「あぁ…どうするかな」


「……ところで、ブゥちゃんの好物はな~に?」

『魔素たっぷりのマンドレイクが1番の好物だ』


 私はインベントリから新鮮なマンドレイクを1株出しました。
 そして、首を傾けてキョロリンと微笑みながら、ブケファラスを【魅了】します。

 ピッキイイイイインッ!


「このマンドレイクを上げるから、リヴァイも一緒に乗せて上げて?」

『オッフ……お嬢ちゃんの頼みなら、しゃあなしだなぁ』

「フン…人食い馬のスピードに付いていける馬はいない…仕方ないか……」


 私が前で、リヴァイが後ろに跨ります。

「ブッヒヒヒィィィンッ」

 ブゥちゃんは、黒光りしてる体を更に光らせて一回り大きくなり、牛の様な角を生やしました。


「まぁ、バイコーンより大きくて立派な角ね!」

『これが俺の本来の姿だ。バイコーンなど蹴散らしてくれるわ。フンス!』

 周りの群衆が、どよめき、たじろぐ中を駆け抜けて、ブランボトックの港町を後にしました。
 3人?は、ひたすら西を目指して大草原を駆け抜けて行きます。

 ドドドドドドドッ!


「ブゥちゃんの故郷はマケドニアだけど、私の故郷の情報を得る為にメングロズ女王を訪ねたいの、まずはそちらへ向かってね?」

「今は…スリュム・ヨトゥン王の娘メングロズ・ヨトゥンが…この世界の魔族を統一してヨトゥンヘイム帝国を支配している…だから今は…女王ではなく女帝だ」


「まぁ、ヨトゥンヘイムの地のトップって事なのね。私なんかに会ってくれるかしら?」

「…レーバテインを見せれば会ってくれるだろう。…レーバテインはユグドラシルを統べる剣と言われているからな」


「えっ、それなら尚更レーバテインを見せたら拙いんじゃないかしら?」

「何で拙いんだ?…ガキがユグドラシルを支配してはいけないのか?…メングロズをひざまずかせてしまえ!」

「ダメよ、私は記憶を取り戻して故郷に帰りたいだけなのっ!」


「はっ…この世界はいらないのか?…じゃあ女神なのだからエイルの知り合いと言え。…メングロズはエイルを探してる…と言われている」

「えっとねぇ、私は女神じゃないし。女神見習いってステータスに書いてあるけど、秘密にしているんだよ」

「…じゃあ…どうやって…会うんだ?」

「はぁ……取り敢えず行ってみて、当たって砕けましょう」


『そうだな、お嬢ちゃん。どうせ方向が一緒なんだから、取り敢えず向かってみよう』

「はい、お願いね。ブゥちゃん」

「ブッヒヒヒィィィンッ」


 ◇ ◆ ◇


 ヨトゥンヘイム帝国首都ガストロープニルの宮廷で、メングロズ女帝が双頭の巨人エッティン将軍を呼び出しました。

「将軍、レーバテインが新たなあるじを選んだようじゃ」

「「オラも剣の波動を感じましただぁ」」
 2つの凶悪な顔が同時に唇を動かします。

「やはりのぅ。だが今はもう波動を感じられぬ、マジックバッグかインベントリを使ったのであろう」


「「レーバテインは世界をまるごと焼き尽くすという、究極の武器と聞いてますだぁ」」

「ふむ、それで将軍を呼んだのじゃ。剣のあるじに選ばれた者はかなりの豪の者に違いないであろうから、将軍に持ち主を確認して欲しいのじゃ?」

「「ははぁ。確認だけでよろしいので?」」

「ふむ、アースに付くかヨトゥンに付くか確認しておくれ。アースに着くなら始末して、レーバテインを回収するのじゃ。持ち主を消して地の底に封印してくれようぞ」

「「ははぁ、畏まりましただぁ」」


 エッティン将軍はレーバテインの波動の残滓ざんしを頼りに、東を目指して走り出しました。

 ドドドドドォオオオオオンッ!


 丸1日、木も石も、建物や壁すらも蹴散らして走っていましたが。
 山間やまあいの狭い街道で、希少で硬いアダマンタイトの鉱石の角を、足の小指で蹴ってしまったのです。

 バキッ!
「「アギャアアアアアアアアアアッ!」」


 エッティン将軍が、足の小指を押さえながら苦しんで、のたうち回っていると。
 可愛らしい女の子が怖がらずに近づいてきて、

「巨人さんの足の小指を【回復】!」

 ホワワワワアアアアアン!

「「はぁ、可愛いお嬢ちゃんだなぁ! オッフ」」


 マリエルは地面からサッカーボールぐらいの鉱石を【採取】スキルで拾い上げて、エッティン将軍に差し出しました。
 それは緑がかったダイヤモンドの様なアダマンタイトの固まりでした。

「はい、どうぞ」

「「ありがとだぁ、優しいだなぁ。だどもそれは、お嬢ちゃんが貰ってくれい」」

「まぁ、ありがとう。私はマリエルと申します」

「「オラはエッティンって言うだぁ」」


「ウフッ、エッティンさんは慌てて何処へ行くのですか?」

「「あぁそうだぁ、メングロズ様の御命令で『炎の剣』(レーバテインの別名)を持つ剛の者を探してるだぁ!……お嬢ちゃんは見なかっただかぁ?」」

「……剛の者は見てないですが。 その人に何の用があるのですか?」

「「倒して、剣を奪い、地の底に封印するだぁ」」

「まぁ、大変!」


「「じゃあオラいくだぁ、ありがとうなぁ」」

「待ってください……『炎の剣』と呼ばれているのは、このレーバテインの事ですよね?」


「「……お嬢ちゃん。何でそれを持ってるんだぁ?」」

「色々と事情があって、持たざるを得ないのです。私を剣と一緒に女帝の元へ連れて行って下さいませ」

「「分かっただぁ。レーバテインが見つかって、ちょうどよかっただぁ」」


 私はエッティンの大きな手を握り、前後に大きく振りながら仲良く歩き出します。
 双頭の巨人の目尻は下がり頬は赤く染まりました。

「「エへへへへ」」
 デレデレデレ!


「「お嬢ちゃん、早くメングロズ様の元に帰りたいから、オラの肩に乗せても良いだかぁ?」」

「はい」

 エッティンはそっと私を抱き上げて肩に乗せました。


「「お供も遅れずに付いてくるだよぅ!」」

 そう言うと、エッティンは来た道を戻る為に再び走り出しました。

 ドドドドドォオオオオオンッ!




 スリュム・ヨトゥン前王はやまいとこしていました。
 魔族は剛健で長命ですが、繁殖力が弱い為に血縁家族が殆どいません。
 メングロズ女帝は、実の父であるスリュム・ヨトゥン王をとても愛していました。
 メングロズが成人する迄、侍従として仕えていたエイルなら、きっと父の病を治して貰えると信じています。

 しかし、ヨトゥンヘイムはイヴィング川の魔力障壁により、他の世界と隔離された世界と成っていたのです。
 イヴィング川にはヨルムンガンドという凶悪な龍が住んでいて、魔力障壁を取り除く事が出来ません。上級魔族でも手を焼いているのでした。
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