異世界生活研修所~その後の世界で暮らす事になりました~

まきノ助

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第1章 異世界で生活研修! って、日本に帰れますか?

21 オーク襲来

 ユキから俺の前世に付いて聞かされたが、まったく実感が湧いてこない。

「えっとぅ、凄く弓が上手で素早くて、中々実家に帰れなかった人だったと言う事だね」

「「へぇ~」」

 エリナとスクルドが、俺をジ~ッと見つめて何か考えている。


「色々な事に巻き込まれて、やっと家に帰る話だったと思うよ」

「お兄ちゃん、今もそう言う状況だよね~」


「そう言えばエリナの学校は、もう3学期が始まってるよね」

「……う~ん、そうなんだよねぇ、どうしようかな~」


「とりあえずエリナだけ先に戻ると言うのはどうだい?」

「お兄ちゃん1人をここに残して~?」

「「う~ん……」」



「んだばぁ、とりあえず、魔石インクを売ってる店に行ってみるだかぁ?」

「はい、そうしましょう」


 領都だけに色々な店が有るようだ。
 俺達は、とある小さい魔法具店に来た。
 正面は小さなドアと窓があり、中に入ると所狭しと変な物が置いてある。

 店の奥のカウンターに、20歳位に見えるエルフの女性が座っている。
 俺達5人を胡散臭うさんくさそうに眺めていたが、次第に顔が青ざめていく。

「ブリュンヒルデ様!スクルド様!オゥログ様! いらっしゃいませっ。……なっ 何事でしょうか?お揃いでいらっしゃるとは!」

 驚いてカウンターの上に飛び乗り、勢いで正座して土下座してるみたいになっている。


「そっかぁ、皆さん同じ妖精族ですものね」

「はい、わざわざこんなお店に来て戴けるとは、とても光栄です」


「はぁ、それでですね、【異世界転移門】の魔道術式を書く為の魔石インクが欲しいのですけどぅ?」

「……【異世界転移門】……の魔道術式を知ってるのですか?……秘術だと聞いてますけど」

「はい、知ってます……」


「はぁ、……魔石インクの使用目的は聞かなかった事にしときますね」

「はい、ありがとうございます」


「幾つもの魔方陣が組み合わさる複雑な魔道術式と聞いてますので、大量の魔石インクが必要になりますから、かなり高額になりますけど?」

「ここにある手持ちの魔石を買い取って欲しいだぁ、足りない分はきんで払うだぁ」

「これは銀(オーク)の魔石が28個と、後は低級魔物の魔石ですね。……あと金貨10枚分を戴けますか?」


「これでもいいかぁ?」

 オゥちゃんはお弁当箱から金の卵を1個出した。

「はい結構です。それでは用意しますので少々お待ち下さい」


「オゥちゃん、いいんですか貴重な卵を売ってしまって?」

「問題無いだぁ、金の卵は幾らでもあるだぁ。金の相場が崩れないように小出しにしてるだけだぁ」

「有難う御座います。俺もエリナも御恩は決して忘れません」


 チュッ!

「オゥちゃんありがとう」

 エリナがオゥちゃんのほっぺにキスをした。


「私からも」

 チュッ!

 ユキもオゥちゃんのホッペにキスをした。


「は~ぁ……幸せだ~ぁ」

 オゥちゃんの顔が真っ赤になって、頭から煙が上がってるように見えた。

 プッシュゥウウウウウッ!


「オゥちゃん大丈夫~?」

「だいじょぶだぁ~」


 エルフの女性が、インクビン1ダース入りの木の箱を、重そうに奥から戻って来た。

「これは俺が持ち運びますね」

 俺は鞄を開き、中に入れる振りをしてインベントリーに収納した。



「又、よろしくお願いしま~す」

「有難うございましたぁぁ」


「ユウリ、次は弓を買いましょう」

「そうだね、買っておこうね」

 今度は武器屋に向かうらしい。


「わぁ~、大きなお店だね~。さっきの魔法具屋さんより全然大きいね~」

 エリナは目をキラキラと輝かせた。
 さっそく中に入ると、店の中は武器ごとに売り場が分かれている。
 俺とユキは真っ直ぐ弓の売り場に歩いて行った。


「沢山有るけど、どれが良いかな?」 

「長弓だと300メートル、短弓だと100メートルぐらいの飛距離と言われてますが、単独射撃での有効射程距離はその半分ほどでしょう。せまいダンジョンでは短弓が良いですね」

「う~ん……、ユキに任せても良いかい?」

「わかりました。……すいません、この長弓とこっちの短弓を貰いたいのですが?」

 ユキが近くにいたスタッフに声をかけた。


「はい、お買い上げ有難う御座います。……矢はどう致しますか?」

「この矢筒と鉄の矢を10本ずつ貰います」

 ユキは高くも安くも無い、普通の物をそれぞれ選んだ。


「矢は10本ずつで良いの?」
 俺が首をかしげる。

「【自動回収】スキルを持ってるはずですから、10本で間に合います」

 ユキの言葉にスタッフが動きを止めて固まった。


「【自動回収】は弓術Lv5で取得できるスキルだから、ユウリは当然出来るでしょう?」

 俺はステータスで【弓術】をクリックして確認すると、【自動回収】のスキルを見つけた。


「確かに有るね、ユキも【弓術】スキルを持ってるの?」

「はい、【弓術】Lv5です」

「達人級の方達ですか……」
 スタッフが呟いた。


「うん? 達人と言うのは?」
 俺はスタッフに聞いてみる。

「Lv1初級 Lv2低級 Lv3中級 Lv4上級 Lv5達人 Lv6名人 Lv7超人 Lv8勇者 Lv9英雄と言われてます。しかしLv5を超える人にお会いした事は、今迄1度も有りませんでした」


 スタッフに聞かれたく無い事もあるので、店の外に出てから続きの話をする。

「ユウリ、まずはこの弓で慣れましょう。経験を積むうちに自分に合った物に変えていくのです」

「うん、ありがとう。そうするね」

 俺が答えるとユキは嬉しそうに微笑んだ。


「鉄の矢は木の矢と比べると重いですが、威力が強いし耐久力もかなり違います。
 木の矢は【自動回収】には向いてません、撃つと劣化したり曲がったりするからです。いずれはミスリル製の矢に変えましょう」

「そうだね、妖精の森の中にミスリルの鉱床も有りそうだし、弓矢の製作も勉強してみようかな」

「弓矢の製作は良いのですが、妖精の森はフレイヤ様の庇護下にあります。フレイヤ様はオーディン様の妻なのです、私とユウリが住むのは問題が有りそうですね」


「……う~んっ、街道の反対側の草原に研修所の作りかけが在るけど、その近くに家を建てるかなぁ?」

「冒険者相手に宿屋とか雑貨屋を始めるのも良いかもですね」

「雑貨屋だったら、冒険者に必要な物を中心に揃えたりしてね」


「北の山にはダンジョンが結構有りますから、冒険者が立ち寄れる山寄りの草原に家を建てましょうか?」

「そうだねぇ」


「はいはい、2人の世界にお邪魔してすいませんけど、私とナオちゃんの部屋も作って下さいな」

 エリナが2人の会話に割って入ると、ユキが顔を真っ赤にしてうつむいた。

「勿論、エリナちゃんの部屋も作りましょうね」


「もぅ3学期が始まってるから、エリナは早く学校に戻らないと……」

「春休みになったら又来るんだからね~」

「分かった分かった、春休み迄に家が出来てるといいねぇ」


 その時、時計塔の鐘が12時を告げた。

「オゥちゃん、お昼はここで食べていきますか?」

「んだなぁ、レストランで食べようかぁ……」


 突然、町外まちはずれから大声を出しながら、数人の男が走って来る。

「東のエルバームの町がオークに襲われたぞぉぉ!」

「オークキングが200匹のオークを引き連れて、こちらに向かって来てるぞぉぉ!」


「なにっ、領軍は西のイエビク町のオーガ征討に出てて居ないんだぞ!」

「早く、冒険者ギルドに非常召集を頼むんだ!」



「大変だ! オゥちゃん、どうしましょう?」

「オラとユウちゃんで向かえ討つだぁ。ユキちゃんとスクちゃんは顔がばれないようにするだぁ」

「オゥちゃん大丈夫だよ~。私達3人は、コミケ用のフェアリークレストの衣装で変身するんだから~」

「「はいっ」」
 ユキとスクルドの目が「キラリン」と輝いた!

 3人はインベントリー経由で、特撮ヒーローが変身したかの様に、一瞬で着替え終わる。


「顔はアイマスクで隠れてるけど、……ユキの胸とか…色々、ピッチピチだね!」

 日本人の体に合わせて作られたコスプレ衣装は、欧米人には合わなかったみたいだ。


「お兄ちゃんっ! も~っ、なんですから~っ!」

 そう言って、エリナがオレンジと紫のパレオを2枚出して、ユキの胸とお尻をオシャレに隠した。


「んだばぁ、オークキングを倒しに行くだぁ!」

「「「「オ~ゥ!」」」」
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