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第6話 ○○の習性
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レジ打ちや料金システム、接客を覚えてあやかしカフェは開店の日を迎えた。
しかし、まぁ、うん、初日からお客さんは来ないよね。
そもそもこんな怪しい店にフラッと立ち寄る人なんているのか?
ワタシはいないと思う。
「うふふふ。想定内よ。
その内に全国からあやかし好きが集まって来るから問題無いわ」
なんて事を最近ようやく見慣れて来た店長の妖さんが言っている。
確かに、あやかしに触れ合えるカフェなんて映えどころの話じゃないから、火が付けば一気にいくだろう。
とんでもない大炎上しそうな気しかしないのだけれど。
「そう言えば。ワタシは普通に見えてますけど、あやかしって誰にでも見えるんですか?」
今更ながらだが、気になる質問だ。
ハウスの中の生首とか、キャットタワーに並ぶ生首とか、クッションの代わりかなって感じでソファーに並ぶ生首とか。
見えない方が幸せな気はするけれども、見えない人があやかしカフェに来ても、きっと猫のいない猫カフェみたいで楽しくない気がする。
「大丈夫よ。慣れれば見える様になるわ。
うふふふふふふふふふ」
今日も絶対的に薄気味悪い妖さん。
ってあれ?
だったらもしかして。
「さっきから空中に薄っすらと靄みたいな何かが見えてるんですけど、これって、、、」
何と説明すれば良いのか、とにかく何もない筈なのに薄っすらと見えるんだよね。
急に乱視にでもなったのかな?って思ってたんだけれど。
「うふふふ。流石ね。
もう幽霊まで見えるなんて将来が有望なあやかしストよ」
「嫌なんですけど!?幽霊なんて見たく無いんですけど!?
と言うかあやかしストって何!?響き的にはエクソシスト的な!?
あやかしストって何よぉぉ!」
いや、本気でさ、幽霊はちょっと違うじゃん?
あやかしも随分とあれだけど。
未だに全然怖いって方が強いけど。
幽霊ってもっとこう、ダイレクトに怖いじゃん!
ド直球に怖いじゃん!
あと、あやかしストって何!?
「うふふふふふふふふふ」
あ、これもう話してくれないやつだ。
妖さんは都合の悪い話をしている時に、時々こうやって笑う時があって、その時は話を変えましょうねってタイミングだ。
だから話題を変えるとしよう。
「因みにですけど、妖さんってどうしてあやかしカフェを開店しようと思ったんですか?」
これは非常に気になっている話。
だって、あやかしが好きってだけでは、あやかしカフェを開こうだなんて思わない。
猫が好きだから、猫カフェを開くのとは訳が違うもんね。
「そうね、、、」
妖さんは珍しく真剣な顔をして。
いや、前髪で顔は一切見えないから、真剣な顔をしている気がするってだけなんだけれど。
何か大事な話があるのかなってワタシも姿勢を正して。
そして妖さんは語り始める。
「私ね、全国を巡ってあやかしを拾ってくるのが趣味なの」
「怖いわ!捨て猫や捨て犬を拾ってくるのと同じテンションで言ってるけど、怖いわ!」
「ほら、あやかしってそこら中に落ちてるでしょう?」
「怖いわ!そこらに落ちてるあやかしを少なくともワタシは一度も見た事ないわ!」
「私一人で独占しちゃうのも悪いから、皆にも可愛いあやかしと触れ合える場所を提供したくって」
「怖いわ!一部のオカルト好き以外には畏れの対象でしかないわ!」
「ほら、この子なんて可愛いでしょう」
「怖、うっ、、、」
妖さんが抱き上げたのはお腹の中身がちょびっとだけはみ出てるワンコ。
それはズルい。
だって殆んどマルチーズなんだもの。
普通に歩いてれば普通の可愛いマルチーズなんだもの。
頻繁に浮いてるから、はみ出てる所を見てる時間のが長いけれども。
「可愛い、、、です」
ワタシは、はみ出しワンコによって陥落した。
怖いと思うか、可愛いと思うかは、その人の好みによるところかもしれないね。
第6話 店長の習性
しかし、まぁ、うん、初日からお客さんは来ないよね。
そもそもこんな怪しい店にフラッと立ち寄る人なんているのか?
ワタシはいないと思う。
「うふふふ。想定内よ。
その内に全国からあやかし好きが集まって来るから問題無いわ」
なんて事を最近ようやく見慣れて来た店長の妖さんが言っている。
確かに、あやかしに触れ合えるカフェなんて映えどころの話じゃないから、火が付けば一気にいくだろう。
とんでもない大炎上しそうな気しかしないのだけれど。
「そう言えば。ワタシは普通に見えてますけど、あやかしって誰にでも見えるんですか?」
今更ながらだが、気になる質問だ。
ハウスの中の生首とか、キャットタワーに並ぶ生首とか、クッションの代わりかなって感じでソファーに並ぶ生首とか。
見えない方が幸せな気はするけれども、見えない人があやかしカフェに来ても、きっと猫のいない猫カフェみたいで楽しくない気がする。
「大丈夫よ。慣れれば見える様になるわ。
うふふふふふふふふふ」
今日も絶対的に薄気味悪い妖さん。
ってあれ?
だったらもしかして。
「さっきから空中に薄っすらと靄みたいな何かが見えてるんですけど、これって、、、」
何と説明すれば良いのか、とにかく何もない筈なのに薄っすらと見えるんだよね。
急に乱視にでもなったのかな?って思ってたんだけれど。
「うふふふ。流石ね。
もう幽霊まで見えるなんて将来が有望なあやかしストよ」
「嫌なんですけど!?幽霊なんて見たく無いんですけど!?
と言うかあやかしストって何!?響き的にはエクソシスト的な!?
あやかしストって何よぉぉ!」
いや、本気でさ、幽霊はちょっと違うじゃん?
あやかしも随分とあれだけど。
未だに全然怖いって方が強いけど。
幽霊ってもっとこう、ダイレクトに怖いじゃん!
ド直球に怖いじゃん!
あと、あやかしストって何!?
「うふふふふふふふふふ」
あ、これもう話してくれないやつだ。
妖さんは都合の悪い話をしている時に、時々こうやって笑う時があって、その時は話を変えましょうねってタイミングだ。
だから話題を変えるとしよう。
「因みにですけど、妖さんってどうしてあやかしカフェを開店しようと思ったんですか?」
これは非常に気になっている話。
だって、あやかしが好きってだけでは、あやかしカフェを開こうだなんて思わない。
猫が好きだから、猫カフェを開くのとは訳が違うもんね。
「そうね、、、」
妖さんは珍しく真剣な顔をして。
いや、前髪で顔は一切見えないから、真剣な顔をしている気がするってだけなんだけれど。
何か大事な話があるのかなってワタシも姿勢を正して。
そして妖さんは語り始める。
「私ね、全国を巡ってあやかしを拾ってくるのが趣味なの」
「怖いわ!捨て猫や捨て犬を拾ってくるのと同じテンションで言ってるけど、怖いわ!」
「ほら、あやかしってそこら中に落ちてるでしょう?」
「怖いわ!そこらに落ちてるあやかしを少なくともワタシは一度も見た事ないわ!」
「私一人で独占しちゃうのも悪いから、皆にも可愛いあやかしと触れ合える場所を提供したくって」
「怖いわ!一部のオカルト好き以外には畏れの対象でしかないわ!」
「ほら、この子なんて可愛いでしょう」
「怖、うっ、、、」
妖さんが抱き上げたのはお腹の中身がちょびっとだけはみ出てるワンコ。
それはズルい。
だって殆んどマルチーズなんだもの。
普通に歩いてれば普通の可愛いマルチーズなんだもの。
頻繁に浮いてるから、はみ出てる所を見てる時間のが長いけれども。
「可愛い、、、です」
ワタシは、はみ出しワンコによって陥落した。
怖いと思うか、可愛いと思うかは、その人の好みによるところかもしれないね。
第6話 店長の習性
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