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ラブホテル in エライマン
蒼剣リーダーは男を見せる④
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自らに背を向けて歩き出したアンドレア。
娘がいたのだと言って。
金目当てで近付いたのだと言って。
少しずつ遠ざかって行くその背中。
スミスは驚き過ぎて頭は呆然としていたが。
体が勝手に動いてアンドレアの腕を掴んだ。
振り向いたアンドレアの顔は。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃでお世辞にも綺麗とは言えない状態で。
けれどもスミスはそういった作品も幾つも見ているので。
それぐらい全然へっちゃらだった。
そしてアンドレアと向かい合い。
「君は俺を騙していたんじゃない。ただ話す機会が無かっただけだ」
そう言ってアンドレアを抱き締めた。
皮の鎧が少しばかり痛いが、それを気にする事無く声を上げて泣きじゃくるアンドレア。
「ママをいじめるな!」
いつの間にか、直ぐ傍まで来ていたアンネが勘違いをして声を上げる。
スミスはアンドレアを抱いている腕を緩めて膝を付いてしゃがんだ。
「苛めてるんじゃないよ。勘違いさせちゃって悪かったな」
そう言ってアンネの頭を撫でるスミス。
「違うのよ、、、違うの」
アンドレアは泣きながらアンネを抱き締めた。
涙が一向に止まりそうにないアンドレアの背中を優しく擦るスミス。
老夫婦は少し離れた所から「あらあら」とにこやかな笑みを向けている。
暫くして。
どうにか泣き止んだアンドレアは酒場の仕事に戻り。
スミスはアンドレアの仕事が終わるまで老夫婦の家に上がる事になった。
老夫婦はカーネルとクレアという名前で二人とも70歳を過ぎてまだまだ愛し合う元気があるのだと言う。
「アンドレアちゃんはね。とても可哀想な子なのよ」
集合住宅の老夫婦が住む部屋の中。
アンネは外に出て疲れたのかすやっすやと眠っている。
老夫婦はスミスにアンドレアの話を聞かせてくれた。
それはどれもがスミスの知らないアンドレアだった。
アンドレアは自らの過去をあまり詳しく話そうとしなかった。
聞いたのは隣領の小さな村の出身だとかそれくらいだ。
だから村で出会った冒険者について来て子供が出来たら捨てられたのだと話を聞いて。
掌から出血するほどに拳を固く握った。
「儂らはあの子に幸せになって欲しいんじゃよ。本当に良い子だからのぅ」
カーネルは老人然とした言葉遣いでそう訴えた。
出来んのか?お前に出来んのか?と。
そんな意味合いも含まれている様に感じる。
「俺はアンドレアをエライマンに連れて行きたいと思っています。出来れば彼女の傍にいたい。彼女に傍にいて欲しい」
スミスの決意を感じられる言葉に。
「あの子を連れて行くなら儂らを倒してから行け」
腕相撲で楽々勝利してスミスは二人の許しを得たのであった。
そしてスミスはアンドレアの仕事が終わる時間を見計らって彼女が働く酒場を訪れた。
時間は夜の9時。
まだまだ客はいるが既に出来上がっている者が多い。
これ以降は酒の注文の方が増えるのでアンドレアが上がっても仕事は回るのだそうだ。
「アンドレア。俺と一緒にエライマンに来て欲しい」
店内でアンドレアに思いを告げたスミスに。
ベロベロの客が全員立ち上がった。
「「「「「アンドレアちゃんを連れて行くなら俺を倒してから行け!」」」」」
腕相撲で楽々勝利してスミスは客達の許しを得たのであった。
「うちの従業員を連れて行くなら俺を倒してからにして貰おうか」
ポキポキと指の骨を鳴らして店の奥から現れた強面店主。
明らかに今までの対戦相手とは違って凄まじい強敵のオーラがある。
スミスのこめかみから一筋の汗が流れる。
腕相撲で楽々勝利してスミスは強面店主から許しを得たのであった。
「本当に良いの?私には娘がいるし。貴方の事は大好きだけれど、アンネを一番大切に思う気持ちはきっと変わらないわよ?」
アンドレアは不安そうな表情を浮かべ。
「だったらアンネちゃんと同じぐらい好きになって貰える様に努力するさ。勿論、アンネちゃんの事は俺も面倒をみる。金の事も心配するな。これでも結構稼いでるんだ」
全て任せろと右の拳で胸を叩いたスミス。
確かにスミスの収入は二人を養うくらいなら余裕である。
ラブホテルの用心棒代で随分と貰っているし、足りなければ冒険者として働く事だって出来るのだから何も問題は無い。
「本当に良いの?私、もう悲しい思いも辛い思いもしたくないのよ?」
「楽しい思いと幸せな思いしかさせないさ」
「浅ましい女だって呆れさせちゃうかもしれないわよ?」
「そんな風に思った事は今この瞬間まで一度も無いさ」
「でも、、、私は貴方の事を騙していて、、、」
「話していなかっただけだ。君の全てが魅力的だ。それに」
不安気に何度も問い掛けるアンドレアを安心させるように微笑みを浮かべて。
「俺が一緒にいたいんだ。俺の傍にいてくれ」
スミスはアンドレアを抱き締める。
皮鎧は預かって貰ったので今度は顔が痛いとかはない。
「うん、、、うん」
アンドレアは大粒の涙を溢して何度も何度も頷いた。
「それじゃあ、行ってきます」
翌朝。
正門の前にはエライマンへと旅立つアンドレアを見送る人々が集まっていた。
70歳を過ぎても結構しっかりと歩くカーネル、クレア夫妻は勿論。
アンドレアが働いていた酒場の店主にその客達まで集まった。
どうやらアンドレアは酒場の看板娘としてちょっとした人気だった模様である。
「時々は顔を見せに帰っておいで」
「はい。今まで本当にお世話になりました」
アンドレアは老夫婦とハグをして。
「何かあったら俺に言え。何処まででも追い掛けてそいつをぶっとばしてやる」
「見た目ほど強くないんですから無理しないで下さいね。それにきっと彼なら大丈夫ですよ」
強面店主と握手をして。
「皆さんも。新しく入る子が女の子でもお尻とか触っちゃ駄目ですよ。直ぐ触ろうとするんだから」
「「「「「、、、」」」」」
スミスに睨まれて何も言えない客達。
「また必ず遊びに来ますから」
「ばいばい」
別れを告げて乗合馬車に乗り込み。
アンドレアとアンネは皆が見えなくなるまで手を振り続けた。
行きと違って魔物に襲われる事も無く旅路は続く。
これはスミスが馬車の外に殺気を飛ばしまくっているのが原因かもしれない。
アンネは初めての長距離移動だが、スミスが尻を犠牲にしてずっと抱いていたのでぐずる事も無かった。
燥ぐ事はあっても騒ぐ事はなかったし、とても頭の良い子であるらしい。
そうして無事にエライマンへと到着した一行は。
アイト達に紹介する為にピンク色の塔へと向かったのであった。
「スミス君ってそろそろ帰って来ないの?フラれて帰って来るのが楽しみ過ぎて辛いんだけど」
「さて、どうでしょうかね。私達では外の世界の事は分かりませんからね」
マスタールームにて。
アイトはヒショの太腿に頭をのせてソファーに寝転がりゴロゴロしていた。
アイトが言っている通り。
ここの所スミスの恋の行方がどうなったのか気になり過ぎて夜も眠れないのだ。
元々寝る必要が無いので一生夜も眠れない状態なのだが。
ゴロゴロしてゴロゴロして。
ワンポが乗っかって来たので一緒になってゴロゴロしてゴロゴロして。
ゴロゴロし過ぎてソファーから落下して背中を強打した刹那。
「キタァァァアア!スミス君帰ってキタァァァアア!ん?連れの女の子は見た事あるけど、これって」
アイトはスミスと一緒にラブホテルへと入って来たアンドレアを見て。
アンドレアの腕に抱かれている子供を目にして。
「面白くなってきたぁぁぁああ!やってやるぜぇぇ!」
絶対に碌な事にはならないであろう気合いを入れて。
「あ、スミス君?皆まで言うなわかっておるわ。全て俺に任せておけば良いから!大丈夫だから!はい、さっさと客室に行ってみよう!」
スミスをさっさと客室へ誘導したのであった。
________________
☆筆者眠い犬によるボケ解説
・スミスはそういった作品も幾つも見ている:所謂ウェット&メッシーなどのフェチ系作品。
・カーネルとクレア:チキンのおじさんとシチューのおばさん。
娘がいたのだと言って。
金目当てで近付いたのだと言って。
少しずつ遠ざかって行くその背中。
スミスは驚き過ぎて頭は呆然としていたが。
体が勝手に動いてアンドレアの腕を掴んだ。
振り向いたアンドレアの顔は。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃでお世辞にも綺麗とは言えない状態で。
けれどもスミスはそういった作品も幾つも見ているので。
それぐらい全然へっちゃらだった。
そしてアンドレアと向かい合い。
「君は俺を騙していたんじゃない。ただ話す機会が無かっただけだ」
そう言ってアンドレアを抱き締めた。
皮の鎧が少しばかり痛いが、それを気にする事無く声を上げて泣きじゃくるアンドレア。
「ママをいじめるな!」
いつの間にか、直ぐ傍まで来ていたアンネが勘違いをして声を上げる。
スミスはアンドレアを抱いている腕を緩めて膝を付いてしゃがんだ。
「苛めてるんじゃないよ。勘違いさせちゃって悪かったな」
そう言ってアンネの頭を撫でるスミス。
「違うのよ、、、違うの」
アンドレアは泣きながらアンネを抱き締めた。
涙が一向に止まりそうにないアンドレアの背中を優しく擦るスミス。
老夫婦は少し離れた所から「あらあら」とにこやかな笑みを向けている。
暫くして。
どうにか泣き止んだアンドレアは酒場の仕事に戻り。
スミスはアンドレアの仕事が終わるまで老夫婦の家に上がる事になった。
老夫婦はカーネルとクレアという名前で二人とも70歳を過ぎてまだまだ愛し合う元気があるのだと言う。
「アンドレアちゃんはね。とても可哀想な子なのよ」
集合住宅の老夫婦が住む部屋の中。
アンネは外に出て疲れたのかすやっすやと眠っている。
老夫婦はスミスにアンドレアの話を聞かせてくれた。
それはどれもがスミスの知らないアンドレアだった。
アンドレアは自らの過去をあまり詳しく話そうとしなかった。
聞いたのは隣領の小さな村の出身だとかそれくらいだ。
だから村で出会った冒険者について来て子供が出来たら捨てられたのだと話を聞いて。
掌から出血するほどに拳を固く握った。
「儂らはあの子に幸せになって欲しいんじゃよ。本当に良い子だからのぅ」
カーネルは老人然とした言葉遣いでそう訴えた。
出来んのか?お前に出来んのか?と。
そんな意味合いも含まれている様に感じる。
「俺はアンドレアをエライマンに連れて行きたいと思っています。出来れば彼女の傍にいたい。彼女に傍にいて欲しい」
スミスの決意を感じられる言葉に。
「あの子を連れて行くなら儂らを倒してから行け」
腕相撲で楽々勝利してスミスは二人の許しを得たのであった。
そしてスミスはアンドレアの仕事が終わる時間を見計らって彼女が働く酒場を訪れた。
時間は夜の9時。
まだまだ客はいるが既に出来上がっている者が多い。
これ以降は酒の注文の方が増えるのでアンドレアが上がっても仕事は回るのだそうだ。
「アンドレア。俺と一緒にエライマンに来て欲しい」
店内でアンドレアに思いを告げたスミスに。
ベロベロの客が全員立ち上がった。
「「「「「アンドレアちゃんを連れて行くなら俺を倒してから行け!」」」」」
腕相撲で楽々勝利してスミスは客達の許しを得たのであった。
「うちの従業員を連れて行くなら俺を倒してからにして貰おうか」
ポキポキと指の骨を鳴らして店の奥から現れた強面店主。
明らかに今までの対戦相手とは違って凄まじい強敵のオーラがある。
スミスのこめかみから一筋の汗が流れる。
腕相撲で楽々勝利してスミスは強面店主から許しを得たのであった。
「本当に良いの?私には娘がいるし。貴方の事は大好きだけれど、アンネを一番大切に思う気持ちはきっと変わらないわよ?」
アンドレアは不安そうな表情を浮かべ。
「だったらアンネちゃんと同じぐらい好きになって貰える様に努力するさ。勿論、アンネちゃんの事は俺も面倒をみる。金の事も心配するな。これでも結構稼いでるんだ」
全て任せろと右の拳で胸を叩いたスミス。
確かにスミスの収入は二人を養うくらいなら余裕である。
ラブホテルの用心棒代で随分と貰っているし、足りなければ冒険者として働く事だって出来るのだから何も問題は無い。
「本当に良いの?私、もう悲しい思いも辛い思いもしたくないのよ?」
「楽しい思いと幸せな思いしかさせないさ」
「浅ましい女だって呆れさせちゃうかもしれないわよ?」
「そんな風に思った事は今この瞬間まで一度も無いさ」
「でも、、、私は貴方の事を騙していて、、、」
「話していなかっただけだ。君の全てが魅力的だ。それに」
不安気に何度も問い掛けるアンドレアを安心させるように微笑みを浮かべて。
「俺が一緒にいたいんだ。俺の傍にいてくれ」
スミスはアンドレアを抱き締める。
皮鎧は預かって貰ったので今度は顔が痛いとかはない。
「うん、、、うん」
アンドレアは大粒の涙を溢して何度も何度も頷いた。
「それじゃあ、行ってきます」
翌朝。
正門の前にはエライマンへと旅立つアンドレアを見送る人々が集まっていた。
70歳を過ぎても結構しっかりと歩くカーネル、クレア夫妻は勿論。
アンドレアが働いていた酒場の店主にその客達まで集まった。
どうやらアンドレアは酒場の看板娘としてちょっとした人気だった模様である。
「時々は顔を見せに帰っておいで」
「はい。今まで本当にお世話になりました」
アンドレアは老夫婦とハグをして。
「何かあったら俺に言え。何処まででも追い掛けてそいつをぶっとばしてやる」
「見た目ほど強くないんですから無理しないで下さいね。それにきっと彼なら大丈夫ですよ」
強面店主と握手をして。
「皆さんも。新しく入る子が女の子でもお尻とか触っちゃ駄目ですよ。直ぐ触ろうとするんだから」
「「「「「、、、」」」」」
スミスに睨まれて何も言えない客達。
「また必ず遊びに来ますから」
「ばいばい」
別れを告げて乗合馬車に乗り込み。
アンドレアとアンネは皆が見えなくなるまで手を振り続けた。
行きと違って魔物に襲われる事も無く旅路は続く。
これはスミスが馬車の外に殺気を飛ばしまくっているのが原因かもしれない。
アンネは初めての長距離移動だが、スミスが尻を犠牲にしてずっと抱いていたのでぐずる事も無かった。
燥ぐ事はあっても騒ぐ事はなかったし、とても頭の良い子であるらしい。
そうして無事にエライマンへと到着した一行は。
アイト達に紹介する為にピンク色の塔へと向かったのであった。
「スミス君ってそろそろ帰って来ないの?フラれて帰って来るのが楽しみ過ぎて辛いんだけど」
「さて、どうでしょうかね。私達では外の世界の事は分かりませんからね」
マスタールームにて。
アイトはヒショの太腿に頭をのせてソファーに寝転がりゴロゴロしていた。
アイトが言っている通り。
ここの所スミスの恋の行方がどうなったのか気になり過ぎて夜も眠れないのだ。
元々寝る必要が無いので一生夜も眠れない状態なのだが。
ゴロゴロしてゴロゴロして。
ワンポが乗っかって来たので一緒になってゴロゴロしてゴロゴロして。
ゴロゴロし過ぎてソファーから落下して背中を強打した刹那。
「キタァァァアア!スミス君帰ってキタァァァアア!ん?連れの女の子は見た事あるけど、これって」
アイトはスミスと一緒にラブホテルへと入って来たアンドレアを見て。
アンドレアの腕に抱かれている子供を目にして。
「面白くなってきたぁぁぁああ!やってやるぜぇぇ!」
絶対に碌な事にはならないであろう気合いを入れて。
「あ、スミス君?皆まで言うなわかっておるわ。全て俺に任せておけば良いから!大丈夫だから!はい、さっさと客室に行ってみよう!」
スミスをさっさと客室へ誘導したのであった。
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☆筆者眠い犬によるボケ解説
・スミスはそういった作品も幾つも見ている:所謂ウェット&メッシーなどのフェチ系作品。
・カーネルとクレア:チキンのおじさんとシチューのおばさん。
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