32 / 108
第31話 書き初め
しおりを挟む
『今年は書き初めはやらんのか?』
「いや、めんどくせぇ事を思い出させるなよ」
化け狐が言った書き初めは、正月だし今年の目標を書いて春っとこうぜって気軽に始めた我が家の習慣である。
馬鹿息子が十歳ぐらいの頃から始めたんだっけな?
寺には筆も墨もあるから気楽に出来たんだが、寺を出ると道具を揃える所から始めなければならないので、結構面倒臭い。
なんて、普通だったらなるんだろうが。
「馬鹿息子が来た時の荷物に混ざってたんだよな。一式。」
酒なんかの入った荷物の一番下に忍ばせてあった、筆に硯に墨に下敷き。
半紙だけは別になってたけどな。
因みに我が家では書き初めの時に条幅紙を使っていた。
半切とも呼ばれて、学校の書道なんかで使われる細長い紙だ。
条幅紙は綺麗な状態で鞄に忍ばせるのは不可能と判断したらしい。
懸命だな。
「うーん、面倒だがやるか。
よし、書ける奴は全員参加で書き初めをやるぞ!
テーマは今年の目標な!」
こうしてあやかしも参加の書き初めが開始されて、俺が皆の分の墨汁を用意する羽目になって、早速少しばかりの後悔をする事となった。
参加者は俺、化け狐、座敷童五人姉妹、河童、垢舐め。
ここまでが人型で、、、いや、化け狐は獣だけど器用だから良いんだよ。
後は外から加夫羅太伊の一番でかい奴。
家鳴は家を叩いて応援。
大蝦蟇は屋内に入りたがらないので不参加。
人魂と鬼火は筆を掴めないから不参加。
狼も同じく筆を掴めなかったので、指導教官の如く見て回る役目。
「面白そうな事をしてるな!私もやるぞ!」
冬しか外で活動しないのに、やけに暑苦しい雪女も参加になった。
『出来たぞ』
「はっや。自分が言い出したんだから、もっと真剣に考えろよな」
開始一分で化け狐が書き終えて今年の目標を発表する。
“調教”
「次、誰か掛けた奴はいるか?」
深堀りすると怖いので触れない様にしよう。
えーと、河童は全員キュウリの絵を書いてるから脱落として、垢舐めが書き終えたのか手を上げたな。
因みに垢舐めは、何と言うか爬虫類感強めの少女って感じで、白蛇を擬人化したみたいな見た目をしている。
いつも風呂場にいて、ある意味風呂掃除に命を懸ける掃除屋だ。
そんな掃除屋の今年の目標は。
“舐める”
知ってた。
垢舐めが風呂場に戻って行って、作務衣の裾を誰かが引いたので振り返ると加夫羅太伊だった。
家庭菜園で頑張るミミズ達を代表した加夫羅太伊の目標は。
“良い土”
今以上に良い土を作る事が可能なのかはわからないが、是非とも頑張って欲しい。
一子、二子、三子 四子はぐちゃぐちゃで何を書いてるのかよくわからんが、頑張ったので全員の頭を撫でておく。
「出来た!」
一人だけ自分の部屋で書いていた雪女が半紙を持って現れた。
雪女の今年の目標は。
“年中降雪”
寒いだろ、止めろ馬鹿。
「出来た!」
雪女の真似をして五子も書き終えた半紙を俺に掲げる。
これは、あれだな。
輪郭を見る限り俺の似顔絵だな。
俺の似顔絵と、化け狐も一緒に書いているのかもしれない。
「よく書けてるぞ」
「えへへ」
頭を撫でてやると五子は花が咲いた様に笑った。
これは額にでも入れて飾っておくことにしよう。
『それで、お主の目標は何なのだ?』
皆の書いたものを見るのに忙しくて、自分の目標がまだ書けていなかった。
しかし、長年仕事で筆を握っていた俺は、書こうと思えばすぐにでも書ける。
スススっと筆を走らせて皆に今年の目標を掲げた。
“もう少し真面目にスローライフする”
ここに来てから流石にだらけ過ぎていたのは、自覚している。
「いや、めんどくせぇ事を思い出させるなよ」
化け狐が言った書き初めは、正月だし今年の目標を書いて春っとこうぜって気軽に始めた我が家の習慣である。
馬鹿息子が十歳ぐらいの頃から始めたんだっけな?
寺には筆も墨もあるから気楽に出来たんだが、寺を出ると道具を揃える所から始めなければならないので、結構面倒臭い。
なんて、普通だったらなるんだろうが。
「馬鹿息子が来た時の荷物に混ざってたんだよな。一式。」
酒なんかの入った荷物の一番下に忍ばせてあった、筆に硯に墨に下敷き。
半紙だけは別になってたけどな。
因みに我が家では書き初めの時に条幅紙を使っていた。
半切とも呼ばれて、学校の書道なんかで使われる細長い紙だ。
条幅紙は綺麗な状態で鞄に忍ばせるのは不可能と判断したらしい。
懸命だな。
「うーん、面倒だがやるか。
よし、書ける奴は全員参加で書き初めをやるぞ!
テーマは今年の目標な!」
こうしてあやかしも参加の書き初めが開始されて、俺が皆の分の墨汁を用意する羽目になって、早速少しばかりの後悔をする事となった。
参加者は俺、化け狐、座敷童五人姉妹、河童、垢舐め。
ここまでが人型で、、、いや、化け狐は獣だけど器用だから良いんだよ。
後は外から加夫羅太伊の一番でかい奴。
家鳴は家を叩いて応援。
大蝦蟇は屋内に入りたがらないので不参加。
人魂と鬼火は筆を掴めないから不参加。
狼も同じく筆を掴めなかったので、指導教官の如く見て回る役目。
「面白そうな事をしてるな!私もやるぞ!」
冬しか外で活動しないのに、やけに暑苦しい雪女も参加になった。
『出来たぞ』
「はっや。自分が言い出したんだから、もっと真剣に考えろよな」
開始一分で化け狐が書き終えて今年の目標を発表する。
“調教”
「次、誰か掛けた奴はいるか?」
深堀りすると怖いので触れない様にしよう。
えーと、河童は全員キュウリの絵を書いてるから脱落として、垢舐めが書き終えたのか手を上げたな。
因みに垢舐めは、何と言うか爬虫類感強めの少女って感じで、白蛇を擬人化したみたいな見た目をしている。
いつも風呂場にいて、ある意味風呂掃除に命を懸ける掃除屋だ。
そんな掃除屋の今年の目標は。
“舐める”
知ってた。
垢舐めが風呂場に戻って行って、作務衣の裾を誰かが引いたので振り返ると加夫羅太伊だった。
家庭菜園で頑張るミミズ達を代表した加夫羅太伊の目標は。
“良い土”
今以上に良い土を作る事が可能なのかはわからないが、是非とも頑張って欲しい。
一子、二子、三子 四子はぐちゃぐちゃで何を書いてるのかよくわからんが、頑張ったので全員の頭を撫でておく。
「出来た!」
一人だけ自分の部屋で書いていた雪女が半紙を持って現れた。
雪女の今年の目標は。
“年中降雪”
寒いだろ、止めろ馬鹿。
「出来た!」
雪女の真似をして五子も書き終えた半紙を俺に掲げる。
これは、あれだな。
輪郭を見る限り俺の似顔絵だな。
俺の似顔絵と、化け狐も一緒に書いているのかもしれない。
「よく書けてるぞ」
「えへへ」
頭を撫でてやると五子は花が咲いた様に笑った。
これは額にでも入れて飾っておくことにしよう。
『それで、お主の目標は何なのだ?』
皆の書いたものを見るのに忙しくて、自分の目標がまだ書けていなかった。
しかし、長年仕事で筆を握っていた俺は、書こうと思えばすぐにでも書ける。
スススっと筆を走らせて皆に今年の目標を掲げた。
“もう少し真面目にスローライフする”
ここに来てから流石にだらけ過ぎていたのは、自覚している。
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる