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第98話 急変
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「親父、元気か?」
「おう、元気だよ。元気過ぎて目が覚めたら寝相でバク中してたぜ」
「強烈過ぎる夢遊病!?事実なら今すぐ親父を病院に担ぎ込むぞ!」
「あ、治ったわ。もう二度と発症しない気がする」
「そういう冗談は止めろよな!
ただでさえ親父の体調は医者にもわからねぇって言われてんのによ」
「すまん、悪かったな」
「は?いや、いいよ。今日はやけに素直だな。何かあったか?」
「夢の中に釈迦が現れてな。
ラジカセ担いでシャカシャカ音楽流しながら経を唱えてるのを見て、俺は思ったんだよ。
そうだ悟り、開こうってな」
「今の話のどこに悟りを開きたくなる要素が!?
親父が悟りを開くとか、絶対に実現不可能だから横になって安静にしてろ。
いいか?絶対に無茶な事はするんじゃねぇぞ?」
「フリか?」
「フリじゃねぇよ!」
「はいはい、わかりましたよ」
「それじゃあ、また明日連絡するわ」
「おう、おとといきやがれ」
ツッコミも無く通話が切れたので、スマホを俺の口元に持ってきてくれていた五子が手を引く。
十一月も下旬になり、今日は季節外れの雪が降るなんて予想されているそうだ。
うちはもう、毎日雪が降っているので関係無いが、息子夫婦が風邪を引かないようにと、願っておこう。
「永海さん、調子はどうだい?」
永空に頼まれたのか、自主的にかはわからないが、爺も時折気が付いた様に様子を見に来る。
あそこの店のお姉ちゃんが可愛いだの、若いお姉ちゃんと連絡先を交換しただの、相変わらず元気に老後を満喫しているらしい。
俺の体調は相変わらずだ。
もしかしたら今が底で、これ以上悪くなったら死ぬって状態なのかもしれない。
永空が一度、俺を病院まで運んで検査を受けたのだが、痩せすぎている以外には何ら問題が無くて、寝たきりなのは精神的な何かが原因なのではないかと診断された。
近からず遠からずって所だな。
そのまま入院をしろと言われたが、病気でもないのに入院はしないと言って断った。
病気だったとしても、入院なんてしないけどな。
「そう言えば、山に来てからハロウィンパーティーを開催してなかったな」
ふと気が付いて呟いてみると。
『毎日がハロウィンみたいなものであろう』
化け狐に指摘されて、そう言えばそうだなと納得した。
我が家には沢山のあやかしがいるので、仮装の必要なんてまるで無かった。
体を動かすのが大変なので、ただ布団に入って、仰向けで化け狐と話をするだけ。
どんなに下らない話をしても返事が返ってくるので、退屈はしない。
外からは雪女の燥ぐ声が聞こえる。
五子は近頃、皆と遊ぶよりも、家の中で過ごす時間が長い。
きっと俺に何かあった時の為なので申し訳ない気持ちもあるが、ありがたい気持ちの方が強い。
喋って食べて、少し疲れたので眠ろう。
耳元で鳴り響くスマホの着信音で目を覚ました。
時間は既に夜の九時を回っていて、画面には発信相手の永空の名前が表示されている。
「ありがとう。通話を押してくれるか」
「うん!」
五子が通話ボタンを押すと、永空との通話が開始された。
「お、親父!あっと、えっと」
スマホの向こうの永空は慌てているのか、言葉が出てこない。
「落ち着け。ゆっくり深呼吸してから、何があったか話せ」
まずは落ち着かなければ話も出来ない。
永空が急な事に動揺するのは昔からなので、子供の頃にそうしたように、深呼吸をさせて落ち着かせる。
二度三度と深呼吸をしてから、ようやく永空は何が起こったのかを話し始めた。
「カミさんが、美香が腹が痛いって言い出して、そしたらドバドバ血が出てきて、それで」
「それで、救急車は呼んだのか?」
「あ、ああ。もう、若波病院には着いたんだ。
これから手術だって言われて、それで、俺、どうしたらいいかわからなくて」
「わかった。俺もすぐに向かうから、お前は嫁さんの手でも握って安心させてやれ」
「すまねぇ親父。体悪いのによ」
「気にすんな。俺の事はいいから、さっさと行け」
「わかった」
話が終わったので、五子に終了ボタンを押して貰う。
これで命が尽きるとしても、俺は絶対に息子のところに行かなきゃならねぇ。
「おう、元気だよ。元気過ぎて目が覚めたら寝相でバク中してたぜ」
「強烈過ぎる夢遊病!?事実なら今すぐ親父を病院に担ぎ込むぞ!」
「あ、治ったわ。もう二度と発症しない気がする」
「そういう冗談は止めろよな!
ただでさえ親父の体調は医者にもわからねぇって言われてんのによ」
「すまん、悪かったな」
「は?いや、いいよ。今日はやけに素直だな。何かあったか?」
「夢の中に釈迦が現れてな。
ラジカセ担いでシャカシャカ音楽流しながら経を唱えてるのを見て、俺は思ったんだよ。
そうだ悟り、開こうってな」
「今の話のどこに悟りを開きたくなる要素が!?
親父が悟りを開くとか、絶対に実現不可能だから横になって安静にしてろ。
いいか?絶対に無茶な事はするんじゃねぇぞ?」
「フリか?」
「フリじゃねぇよ!」
「はいはい、わかりましたよ」
「それじゃあ、また明日連絡するわ」
「おう、おとといきやがれ」
ツッコミも無く通話が切れたので、スマホを俺の口元に持ってきてくれていた五子が手を引く。
十一月も下旬になり、今日は季節外れの雪が降るなんて予想されているそうだ。
うちはもう、毎日雪が降っているので関係無いが、息子夫婦が風邪を引かないようにと、願っておこう。
「永海さん、調子はどうだい?」
永空に頼まれたのか、自主的にかはわからないが、爺も時折気が付いた様に様子を見に来る。
あそこの店のお姉ちゃんが可愛いだの、若いお姉ちゃんと連絡先を交換しただの、相変わらず元気に老後を満喫しているらしい。
俺の体調は相変わらずだ。
もしかしたら今が底で、これ以上悪くなったら死ぬって状態なのかもしれない。
永空が一度、俺を病院まで運んで検査を受けたのだが、痩せすぎている以外には何ら問題が無くて、寝たきりなのは精神的な何かが原因なのではないかと診断された。
近からず遠からずって所だな。
そのまま入院をしろと言われたが、病気でもないのに入院はしないと言って断った。
病気だったとしても、入院なんてしないけどな。
「そう言えば、山に来てからハロウィンパーティーを開催してなかったな」
ふと気が付いて呟いてみると。
『毎日がハロウィンみたいなものであろう』
化け狐に指摘されて、そう言えばそうだなと納得した。
我が家には沢山のあやかしがいるので、仮装の必要なんてまるで無かった。
体を動かすのが大変なので、ただ布団に入って、仰向けで化け狐と話をするだけ。
どんなに下らない話をしても返事が返ってくるので、退屈はしない。
外からは雪女の燥ぐ声が聞こえる。
五子は近頃、皆と遊ぶよりも、家の中で過ごす時間が長い。
きっと俺に何かあった時の為なので申し訳ない気持ちもあるが、ありがたい気持ちの方が強い。
喋って食べて、少し疲れたので眠ろう。
耳元で鳴り響くスマホの着信音で目を覚ました。
時間は既に夜の九時を回っていて、画面には発信相手の永空の名前が表示されている。
「ありがとう。通話を押してくれるか」
「うん!」
五子が通話ボタンを押すと、永空との通話が開始された。
「お、親父!あっと、えっと」
スマホの向こうの永空は慌てているのか、言葉が出てこない。
「落ち着け。ゆっくり深呼吸してから、何があったか話せ」
まずは落ち着かなければ話も出来ない。
永空が急な事に動揺するのは昔からなので、子供の頃にそうしたように、深呼吸をさせて落ち着かせる。
二度三度と深呼吸をしてから、ようやく永空は何が起こったのかを話し始めた。
「カミさんが、美香が腹が痛いって言い出して、そしたらドバドバ血が出てきて、それで」
「それで、救急車は呼んだのか?」
「あ、ああ。もう、若波病院には着いたんだ。
これから手術だって言われて、それで、俺、どうしたらいいかわからなくて」
「わかった。俺もすぐに向かうから、お前は嫁さんの手でも握って安心させてやれ」
「すまねぇ親父。体悪いのによ」
「気にすんな。俺の事はいいから、さっさと行け」
「わかった」
話が終わったので、五子に終了ボタンを押して貰う。
これで命が尽きるとしても、俺は絶対に息子のところに行かなきゃならねぇ。
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