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プロローグ
⑮
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『ちょっくら倒してくるにゃ。ナルキンとリンリンも、早く探しに行かなきゃ狩り尽くされちゃうにゃ』
そう口にして駆け出した招木猫。
高校3年間陸上部にスカウトされ続けたと言う俊足は流石だ。
「一人で大丈夫か?」
「うさちゃんズは厄介な相手だから気を付けて。にゃんにゃんならば大丈夫だと確信しているが」
招木猫ならば大丈夫?
あのブラザーラビットLRを相手に、凄い自信だな。
兎ズが招木猫に気付いて、戦闘態勢に入る。
招木猫の武器種は…ハンマー…というか子槌?
『速力低下、発動にゃ!』
何じゃありゃあ。
東雲鈴音と戦っていた時は、やたらにすばしっこかった兎ズがスローモーションみたいに動き出す。
速力低下―――。
語感から速力のステータスを下げるデバフスキルだと想像出来るが、それにしたって、あんなの狡じゃん。
理不尽じゃん。
招木猫の戦闘は、鈍い兎を一方的にボコって終了した。
あれなら心配なんてする方が野暮ってものだろう。
『扉が出たから入るにゃ。二人も早く行くにゃ。ゲームはスタートダッシュは重要にゃ』
何あのイケ猫、振り向きサイドフェイスが滅茶苦茶凛々しいんですけど!?
あと猫の手で親指だけ立てるそのハンドサイン何!?
サムズアップならぬニャムズアップかな!?
「こちらも行こうか、成木原君」
「あ、ああ。一応試練の扉のNORMAL以上は危険らしいから注意しろよ」
『ありがとにゃ』
『招木猫
回線が遮断されています。通話を切りますか?はい/いいえ』
扉の外と中で通話は出来ないらしい。
切らずとも問題無いので、そのまま繋いでおくと、10分も経たずに通話が繋がった。
良い装備が引けたらしく、招木猫は上機嫌で、SNSから得た情報を教えてくれた。
言うに、NOT THE GAMEは3時間置きに魔物が増える【活性化】が起こり、多くの魔物が出現するのだという。
情報源は俺と同じSNSだそうだ。
SNSで魔物が少ないってポストを見掛けたが、あれは魔物の【活性化】を体験する前に書き込んだのだろう。
俺がそのポストを見付けられなかったのか、それとも顔の広い招木猫の事だから鍵付きアカウントのポストで情報を得たか。
狩りの前に東雲鈴音とパーティを組んでおく。
扉の優先入場権を獲得する条件が不明だが、パーティメンバーならば戦闘不参加でも与えられるだろうって判断だ。
『これは余談だけどにゃ。このゲーム、ゲーム内時間で24時間までプレイ出来るって言ってるにゃろ?けど実際は8時間の睡眠が必須で動いてられるのは16時間にゃ。16時間ぶっ続けで起きてると、強制的に8時間の睡眠状態に入るらしいにゃ』
「そんな仕様もあるのか。だったら活性化で出現した魔物を粗方狩り尽くした後で睡眠を挟むと効率が良さそうだな」
「そうなのか?」
「ああ。活性化が3時間置きに発生するのなら、8時間の睡眠をまとめて取ると、2度の活性化をやり過ごす事になる。現状魔物を狩って扉で装備やアイテムを入手って方法でしか強化する手段しか判明していないから、分割して消化しておいた方が効率が上がるだろう」
『その通りにゃ。あたしもそう思ってさっき寝といたにゃ』
なるほど、さっき見えない壁の前で座ってたのは、睡眠を摂ってたんだな。
そりゃ東雲鈴音の動きがどれだけ煩くても気付かない訳だ。
『目を瞑ってると選択肢が出るから後で試してみるにゃ。寝てる間は安全だから安心にゃ』
「なるほど。おっと、こちらも魔物を発見した。順番にやるか?」
「先はお譲りするよ」
「了解」
タァン
スライムを倒した。
扉は出ない。
エリアを練り歩きながら、見付けた魔物を狩っていく。
体長30cm程。
赤い瞳で口から赤い液体を垂らしている吸血鼠。
体長1m弱。
上半身しかなくて、両手で走るハーフスケルトン。
体長1.5m程。
顔に核がある人型の泥マッドゴーレム。
基本はスライムが多めだったが、この辺の魔物とは初めて戦った。
吸血鼠は素早かったが、ブラザーラビットLR程ではなく、東雲鈴音が危なげなく退けた。
ハーフスケルトンは見た目にギョッとしたが、腕を撃ってやると転倒して隙が出来たので問題無し。
厄介だったのは泥を飛ばして遠距離攻撃をするマッドゴーレムだったが、動きは鈍い。
俺が核を狙って攻撃すると回避行動を取ったので、その隙に東雲鈴音が間合いを詰めて、一振りで核を破壊した。
序盤から前衛後衛が揃ってるのは、結構強いのではなかろうか。
10体倒して、扉が出現したのはスライムとマッドゴーレム戦で1回ずつ。
青の扉と橙の扉から空色のスカーフ(速力+2 特性:小浮遊)と橙のオーブ(威力+3 命中補正)を獲得。
残りは初級回復薬と青い砂って素材だった。
浮遊は、ジャンプした時に最高到達点で、ほんの一瞬だけその場に止まるって特性だった。
悪さが出来そうだったので、止まっているタイミングで2段ジャンプを試みてみたが、残念ながら出来なかった。
東雲鈴音が100回チャレンジしたから間違いない。
命中補正は、攻撃の命中率が常時上がるってパッシブスキルではなく、発動すると武器から敵の急所(一つではなく複数)へと続くラインが5秒間表示されるってスキルだった。
視界に入れば自動的に表示されるので、複数いれば複数分を表示。
視界の外にいる敵でも時間内に視界に入れれば、こちらも表示されるって仕様だ
自動追尾補正が入ったりはしないので、ラインをなぞって攻撃したとしても、敵が動くと当然外れる事になる。
そこだけ聞くとハズレスキルっぽいが、これ、使い方次第ではかなりのぶっ壊れ級のスキルだ。
故にスキルに設定されているCTは3分と長い。
招木猫の速力低下は小範囲(凡そ5m程?)の速力を固定値で30低下。
効果時間10秒のCT30秒らしいので、あっちは純然たるぶっ壊れだが。
東雲鈴音は、浮遊も命中補正も扱い辛いと言うので、どちらも俺が装備。
浮遊はぶっちゃけいらないけれど、命中補正は後衛でこそ活かせるスキルだろう。
2時間弱歩き回って、20人弱のプレイヤーと遭遇した。
全世界の登録者数からすれば少ないと感じざるを得ないが、エリアを超えての移動が出来ないのだから、案外こんなものなのかもしれない。
自分達以外のプレイヤーも狩りをしている。
これ以上歩いても、魔物は見付からないだろう。
招木猫は30分も前に、とっとと睡眠状態に入ったし。
「ここらで一旦寝ておかないか?俺の家はすぐそこだし」
「な、なななっ!」
おっと、友達になったばかりの女子を家に誘うのは流石に無しか?
東雲鈴音も明らかに動揺しているのが見て取れる。
そもそも俺ん家で一緒に寝ようって、どう受け取ったって誤解しか招かない発言だったな。
絶対に引かれた―――。
とっとと発言を撤回して、そこらで睡眠を消化しよう。
「いいのかい!?友達の家にお邪魔するのは初めてなんだよ!私の初めてを貰ってくれるのかい!?」
「誤解を招くような言い方をするな!妹が留学してて家にいないから、妹の部屋を使ってくれって提案だから。俺の部屋に入れるつもりはない」
もし現実でやった事が反映されていたら、ベッドの上にエロ本が積まれている状態だからな。
反映されていなくても、巨乳グラドル森川玲々のポスターが貼ってある。
行くも地獄戻るも地獄状態の部屋に東雲鈴音を入れる訳にはいかない。
「そんな殺生なぁ…」
心底残念がっているけれど、ここはNOT THE GAMEの世界だからな?
現実の友達の家とは違うんだからな?
肩の落としっぷりが凄まじい…。
髪の毛をお団子にしていなかったら、貞〇完全一致状態だ…。
「わかった。その代わり部屋を片す時間が欲しい」
「勿論だよ!やったっ!私は一つの壮大な夢を成し遂げたんだ!」
「そこまでじゃなくね?大袈裟過ぎじゃね?」
目を爛々とさせた東雲鈴音を玄関に置いて、家に上がる。
NPCの母は出掛けているのか姿はない。
いたら面倒だなと思っていたから助かった。
さっさと部屋の片付けを済ませに階段を上った。
そう口にして駆け出した招木猫。
高校3年間陸上部にスカウトされ続けたと言う俊足は流石だ。
「一人で大丈夫か?」
「うさちゃんズは厄介な相手だから気を付けて。にゃんにゃんならば大丈夫だと確信しているが」
招木猫ならば大丈夫?
あのブラザーラビットLRを相手に、凄い自信だな。
兎ズが招木猫に気付いて、戦闘態勢に入る。
招木猫の武器種は…ハンマー…というか子槌?
『速力低下、発動にゃ!』
何じゃありゃあ。
東雲鈴音と戦っていた時は、やたらにすばしっこかった兎ズがスローモーションみたいに動き出す。
速力低下―――。
語感から速力のステータスを下げるデバフスキルだと想像出来るが、それにしたって、あんなの狡じゃん。
理不尽じゃん。
招木猫の戦闘は、鈍い兎を一方的にボコって終了した。
あれなら心配なんてする方が野暮ってものだろう。
『扉が出たから入るにゃ。二人も早く行くにゃ。ゲームはスタートダッシュは重要にゃ』
何あのイケ猫、振り向きサイドフェイスが滅茶苦茶凛々しいんですけど!?
あと猫の手で親指だけ立てるそのハンドサイン何!?
サムズアップならぬニャムズアップかな!?
「こちらも行こうか、成木原君」
「あ、ああ。一応試練の扉のNORMAL以上は危険らしいから注意しろよ」
『ありがとにゃ』
『招木猫
回線が遮断されています。通話を切りますか?はい/いいえ』
扉の外と中で通話は出来ないらしい。
切らずとも問題無いので、そのまま繋いでおくと、10分も経たずに通話が繋がった。
良い装備が引けたらしく、招木猫は上機嫌で、SNSから得た情報を教えてくれた。
言うに、NOT THE GAMEは3時間置きに魔物が増える【活性化】が起こり、多くの魔物が出現するのだという。
情報源は俺と同じSNSだそうだ。
SNSで魔物が少ないってポストを見掛けたが、あれは魔物の【活性化】を体験する前に書き込んだのだろう。
俺がそのポストを見付けられなかったのか、それとも顔の広い招木猫の事だから鍵付きアカウントのポストで情報を得たか。
狩りの前に東雲鈴音とパーティを組んでおく。
扉の優先入場権を獲得する条件が不明だが、パーティメンバーならば戦闘不参加でも与えられるだろうって判断だ。
『これは余談だけどにゃ。このゲーム、ゲーム内時間で24時間までプレイ出来るって言ってるにゃろ?けど実際は8時間の睡眠が必須で動いてられるのは16時間にゃ。16時間ぶっ続けで起きてると、強制的に8時間の睡眠状態に入るらしいにゃ』
「そんな仕様もあるのか。だったら活性化で出現した魔物を粗方狩り尽くした後で睡眠を挟むと効率が良さそうだな」
「そうなのか?」
「ああ。活性化が3時間置きに発生するのなら、8時間の睡眠をまとめて取ると、2度の活性化をやり過ごす事になる。現状魔物を狩って扉で装備やアイテムを入手って方法でしか強化する手段しか判明していないから、分割して消化しておいた方が効率が上がるだろう」
『その通りにゃ。あたしもそう思ってさっき寝といたにゃ』
なるほど、さっき見えない壁の前で座ってたのは、睡眠を摂ってたんだな。
そりゃ東雲鈴音の動きがどれだけ煩くても気付かない訳だ。
『目を瞑ってると選択肢が出るから後で試してみるにゃ。寝てる間は安全だから安心にゃ』
「なるほど。おっと、こちらも魔物を発見した。順番にやるか?」
「先はお譲りするよ」
「了解」
タァン
スライムを倒した。
扉は出ない。
エリアを練り歩きながら、見付けた魔物を狩っていく。
体長30cm程。
赤い瞳で口から赤い液体を垂らしている吸血鼠。
体長1m弱。
上半身しかなくて、両手で走るハーフスケルトン。
体長1.5m程。
顔に核がある人型の泥マッドゴーレム。
基本はスライムが多めだったが、この辺の魔物とは初めて戦った。
吸血鼠は素早かったが、ブラザーラビットLR程ではなく、東雲鈴音が危なげなく退けた。
ハーフスケルトンは見た目にギョッとしたが、腕を撃ってやると転倒して隙が出来たので問題無し。
厄介だったのは泥を飛ばして遠距離攻撃をするマッドゴーレムだったが、動きは鈍い。
俺が核を狙って攻撃すると回避行動を取ったので、その隙に東雲鈴音が間合いを詰めて、一振りで核を破壊した。
序盤から前衛後衛が揃ってるのは、結構強いのではなかろうか。
10体倒して、扉が出現したのはスライムとマッドゴーレム戦で1回ずつ。
青の扉と橙の扉から空色のスカーフ(速力+2 特性:小浮遊)と橙のオーブ(威力+3 命中補正)を獲得。
残りは初級回復薬と青い砂って素材だった。
浮遊は、ジャンプした時に最高到達点で、ほんの一瞬だけその場に止まるって特性だった。
悪さが出来そうだったので、止まっているタイミングで2段ジャンプを試みてみたが、残念ながら出来なかった。
東雲鈴音が100回チャレンジしたから間違いない。
命中補正は、攻撃の命中率が常時上がるってパッシブスキルではなく、発動すると武器から敵の急所(一つではなく複数)へと続くラインが5秒間表示されるってスキルだった。
視界に入れば自動的に表示されるので、複数いれば複数分を表示。
視界の外にいる敵でも時間内に視界に入れれば、こちらも表示されるって仕様だ
自動追尾補正が入ったりはしないので、ラインをなぞって攻撃したとしても、敵が動くと当然外れる事になる。
そこだけ聞くとハズレスキルっぽいが、これ、使い方次第ではかなりのぶっ壊れ級のスキルだ。
故にスキルに設定されているCTは3分と長い。
招木猫の速力低下は小範囲(凡そ5m程?)の速力を固定値で30低下。
効果時間10秒のCT30秒らしいので、あっちは純然たるぶっ壊れだが。
東雲鈴音は、浮遊も命中補正も扱い辛いと言うので、どちらも俺が装備。
浮遊はぶっちゃけいらないけれど、命中補正は後衛でこそ活かせるスキルだろう。
2時間弱歩き回って、20人弱のプレイヤーと遭遇した。
全世界の登録者数からすれば少ないと感じざるを得ないが、エリアを超えての移動が出来ないのだから、案外こんなものなのかもしれない。
自分達以外のプレイヤーも狩りをしている。
これ以上歩いても、魔物は見付からないだろう。
招木猫は30分も前に、とっとと睡眠状態に入ったし。
「ここらで一旦寝ておかないか?俺の家はすぐそこだし」
「な、なななっ!」
おっと、友達になったばかりの女子を家に誘うのは流石に無しか?
東雲鈴音も明らかに動揺しているのが見て取れる。
そもそも俺ん家で一緒に寝ようって、どう受け取ったって誤解しか招かない発言だったな。
絶対に引かれた―――。
とっとと発言を撤回して、そこらで睡眠を消化しよう。
「いいのかい!?友達の家にお邪魔するのは初めてなんだよ!私の初めてを貰ってくれるのかい!?」
「誤解を招くような言い方をするな!妹が留学してて家にいないから、妹の部屋を使ってくれって提案だから。俺の部屋に入れるつもりはない」
もし現実でやった事が反映されていたら、ベッドの上にエロ本が積まれている状態だからな。
反映されていなくても、巨乳グラドル森川玲々のポスターが貼ってある。
行くも地獄戻るも地獄状態の部屋に東雲鈴音を入れる訳にはいかない。
「そんな殺生なぁ…」
心底残念がっているけれど、ここはNOT THE GAMEの世界だからな?
現実の友達の家とは違うんだからな?
肩の落としっぷりが凄まじい…。
髪の毛をお団子にしていなかったら、貞〇完全一致状態だ…。
「わかった。その代わり部屋を片す時間が欲しい」
「勿論だよ!やったっ!私は一つの壮大な夢を成し遂げたんだ!」
「そこまでじゃなくね?大袈裟過ぎじゃね?」
目を爛々とさせた東雲鈴音を玄関に置いて、家に上がる。
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