NOT THE GAME~現実世界とリンクする

伊瀬カイト

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プロローグ

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 結局柊とL*NEエルニーしてたら夜になってた。
 家が隣なんだから、普通に喋った方が早くないかと言ったが、L*NEは気持ち的に違うらしい。
 俺には理解出来ない感覚である。

 夕飯を食べて、風呂に入って、寝る準備をしてベッドにダイブ。
 ダイブと言っても、静かに横になっただけである。

 柊とのL*NEは【おやすみ】で既に完結している。
 寝くなるまでNOT THE GAMEの事を考えるとするか。

 小まめにSNSを覗いていたが、真新しい情報は然程だった。
 【NOT THE GAMEを作ったのが何者で、何の目的で作ったか】みたいな考察は幾つも見掛けたが、その手の考察は、あまり意味を持たない。
 どんな考察も、まずは自分でするのが肝要であり、他人の考察は、答え合わせに使うぐらいが丁度良い。

 SNSで閲覧可能な有象無象の意見を信じ込むなんて、全く以て危険極まりない。
 SNSを頼り過ぎれば、有象無象の意見で意識が染め上げられ、自分で考える機会の損失を招く。
 故にまずは自分の考えを固め、近い意見と反対の意見を参考に、自分の考えを柔軟且つ強固に鍛え上げるのが理想。
 少なくとも、俺はそう考えている。

 その上で、誰が何の目的で作ったか、についてだが…。

 正直言って、どうでもいい―――。

 いや、ガチの、マジで、どうでもいい以外に無い。
 【それって今、重要な事?】って思う。

 そんな事より、現実世界をも含めたNOT THE GAMEの仕様について考えろよと。
 俺は声を大にして言いたい。

 現時点で俺が持っている疑惑。
 違和感を感じている要因をまとめておこう。

 きっかけは東雲鈴音が招木猫と出掛ける予定があると言って、NOT THE GAMEからログアウトした後だった。
 ログアウトして秒も経たず、東雲鈴音は予定を終えてNOT THE GAMEにログインした、と本人が発言した。
 この時点では東雲鈴音オオカミ少女説の方が濃厚だったのだが。
 俺自身ログアウトして、時間経過後にログインしても、NOT THE GAME内の時間は進んでいなかった。

 少なくとも、現実世界で進む時間とNOT THE GAME内で進む時間がリンクしていない事は確定した―――。

 もしNOT THE GAME内の時間をストップしていて、【自分以外のプレイヤーが、実は全てNPCであり】、【ログアウトした場所と時間からリスタート出来る仕様】でなければの話だが。
 これはNOT THE GAMEが【オンラインゲームではなく、オフラインゲームである】という結論に帰結するが…。
 その可能性については、一旦排除しておきたい。
 明日東雲鈴音か招木猫に会った時点で判明するからだ。

「文字にした方が整理しやすいな」

 枕元のスマホを取ってメモアプリを立ち上げる。

『NOT THE GAMEに感じる違和感』

 そもそもの起点になっているのは、これだった。

『NOT THE GAMEは現実とリンクする』

 努々忘れないようにと念押しまでされていた。
 しかし現状で集まっている情報だけを集めると。

『NOT THE GAMEと現実世界の時間軸は、寧ろ乖離してしまっている』

 現実とリンクするのであれば、ログアウトした東雲鈴音が戻るまでに時間が開いて然るべきであり。
 俺が一旦ログアウトしてから戻った際にも時間は進んでいるべきであった。
 仮にNOT THE GAMEの時間軸はプレイヤーごとで流れているとしても、【現在】でプレイしていた俺と【未来】でプレイしていた東雲鈴音が同じ時間を共有していたのは、明らかに不自然。
 異常事態という他ない。

「東雲鈴音や招木猫の言葉を全て疑えば否定する事は可能だが…」

 【あの東雲鈴音】は、どうしたって血の通っている人間と思えた。
 NPCの母や柊とは違う、プレイヤー。
 【あの東雲鈴音】の奥には、本物の東雲鈴音がいるようにしか感じなかった。
 それは【あの招木猫】も同様だった。

『1日に最大24時間プレイ可能(NOT THE GAME内時間)→現実世界の何時にプレイしてもNOT THE GAME内の時間は共通する?』

 常識的に考えればありえない。
 しかしそもそも論として、世界中の人々にゲーム機を配布してるって時点で常識からはかけ離れているのだ。
 科学やら技術やら、全てに目を瞑ってしまえば、ありえないと断定するのは危険だろう。

 現実世界の時間軸では知り得ない時間に、招木猫が強制睡眠の仕様を知っていたのも、考察の材料となる。
 本人はSNSで知ったと口にしたが、実際にSNSで知り得たのか。
 もしもそうでなかったとしたら。

『NOT THE GAMEの仕様を知る手段が存在する?』

 オンラインゲームでよくあるHELPが何処かに存在していて、招木猫は何処かでHELPにアクセスする手段を知った。
 狩りで扉を出現させまくっていた豪運の招木猫だけに、偶然知り得たって可能性もあるにはあるが。
 それを俺に…東雲鈴音に秘匿する理由がない。
 二人は現実で繋がっているだろうから、俺を排除した情報共有した上で口裏合わせも可能だろうが…。

 東雲鈴音がそれを上手く熟せるとは思えない。
 1日一緒にいて、俺が抱いた東雲鈴音の印象は、『変人だけどピュアで馬鹿正直な良い奴』だった。
 馬鹿正直というか、馬鹿というか、5歳児というか。
 兎に角、あの東雲鈴音という人物を演じていたのだとすれば、世界的な演技賞を受賞できる才能があると思う。

『全ては俺を騙す為に仕組まれた壮大なドッキリの可能性?』

 一体誰が、何の為に?
 それこそありえないし、俺は東雲鈴音を信じたいから消去だな。

『NOT THE GAMEは時間以外の【何か】が現実世界とリンクする』

 現状で答えを見つけ出すのは困難だろうが、様々な可能性を頭に入れて動いておくべきだろう。
 【何】が起きても良いように、しっかりと備えておくとしよう。
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