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スライム大氾濫
④対人戦(PvP)訓練(前)
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「そんな事よりも、わたくしと戦ってくれませんこと?」
「は?戦うって…。PvPか…?」
NOT THE GAMEで死ねば現実世界で死ぬって判明した状況で、それも翌日にPvPをやるって正気か?
それも堂々と宣言をしてからってのは大胆過ぎる。
仮に俺達がこの申し出を受けたとして、3対1の状況では、どう考えたとしても振りにしか思えないんだが。
「オイラ…は放心状態…。東雲さん…は話にならない…」
「成木原。話にならないは、流石に私もちょっぴり傷付くよ」
「ごめん。言葉を間違えた。東雲さんは適任じゃない。となると、にゃんにゃん」
俺だけで処理出来ない事が起こった時は招木猫に聞くのが一番だ。
『何にゃ?』
「鵯さんって割と血の気の多いタイプだったりするのか?」
『そんな事ないにゃ。動物好きの優しい子にゃ。風変わりで掴みどころはないけどにゃ。詳しく話を聞いてみるにゃ』
「そうだな…。鵯さん、俺達が君と戦わなければならない理由と、その真意を教えてくれないか?」
「ええ、畏まりました。それと、わたくしの事はサリーと呼んで下さいませ。うら若き女の子は皆魔法少女ですのよ」
うん…。
今の10秒で鵯彩里が相当に風変わりなのは理解が出来たな…。
「わたくし達が戦う理由と問われましたが、特にはありませんわね。ですが、何も本気の殺し合いをするって話ではございません。簡単に言えば訓練ですわ」
「訓練か…」
話は読めた。
NOT THE GAMEの死が現実世界の死とリンクしていると明らかになった現状、そして先々を考えれば。
いつ何処でプレイヤーとの戦闘に入ったとしてもおかしくはない。
理由は色々と考えられるが、ここから先、どんな仕様が判明していくかわからないのだ。
PvPがプレイヤーにとって利があるとわかれば、命が掛かった状況ならば。
自分が有利になる為にPvPに手を染めたとしても不思議じゃない。
今の所はNOT THE GAMEに関しての法整備なんて行われていないし、NOT THE GAMEで人を殺しても罪に問われる事はないからだ。
鵯彩里の提案は、先を見越してPvPを経験しておきたいって事だろう。
その思惑に乗るのは、俺達としてもうま味しかないと言える。
但し一つ疑問点があるとすれば。
「どうして俺達にそんな話を持ち掛けたんだ?もしも俺達がPKだったら、サリーは殺されてしまうかもしれないぜ?」
オイラは別にして、俺と東雲鈴音は初対面の筈だ。
それなのに、PvPの訓練をしようだなんて提案してくるのは迂闊が過ぎると思うのだが。
「もしもそうならば、わたくしは既に殺されているでしょう。わたくしには目が見えないものですから、他人の悪意には敏感なのです。成木原様と東雲様からは少しの悪意も感じられません。成木原様からは警戒を感じますが、悪感情はありませんでしょう。殺される心配は殆んど無いだろうと思いますし、もし殺されてしまったならば、わたくしが愚かだったと、それだけの事です。それに…」
そこまで一息で言って、鵯彩里は一拍置いてから言葉を続ける。
「オイラ様と一緒にいらっしゃるのが一番ですね。いつもわたくしを元気づけてくれる愛らしいわんちゃんを信用せずして、一体誰を信用しましょうか」
「サリー…おいらの事をそんな風に言ってくれるんだぞ…」
オイラ、身を震わせての男泣き。
いや、全然泣いてはいないけれども。
鵯彩里の生い立ちや性格については想像するしかないけれども、人間より動物を信用してるってタイプなのかもしれない。
東雲鈴音がチャンスとばかりにオイラを抱き上げてモフってるけれど、本当に空気が読めないよな。
恐ろしき哉、東雲鈴音。
オイラは凡そ10秒後、強い決意を瞳に宿して口を開いた。
「おいらにサリーを守らせて欲しいんだぞ!」
「それについては結構ですわ」
決意の瞳は白目に変わった。
「は?戦うって…。PvPか…?」
NOT THE GAMEで死ねば現実世界で死ぬって判明した状況で、それも翌日にPvPをやるって正気か?
それも堂々と宣言をしてからってのは大胆過ぎる。
仮に俺達がこの申し出を受けたとして、3対1の状況では、どう考えたとしても振りにしか思えないんだが。
「オイラ…は放心状態…。東雲さん…は話にならない…」
「成木原。話にならないは、流石に私もちょっぴり傷付くよ」
「ごめん。言葉を間違えた。東雲さんは適任じゃない。となると、にゃんにゃん」
俺だけで処理出来ない事が起こった時は招木猫に聞くのが一番だ。
『何にゃ?』
「鵯さんって割と血の気の多いタイプだったりするのか?」
『そんな事ないにゃ。動物好きの優しい子にゃ。風変わりで掴みどころはないけどにゃ。詳しく話を聞いてみるにゃ』
「そうだな…。鵯さん、俺達が君と戦わなければならない理由と、その真意を教えてくれないか?」
「ええ、畏まりました。それと、わたくしの事はサリーと呼んで下さいませ。うら若き女の子は皆魔法少女ですのよ」
うん…。
今の10秒で鵯彩里が相当に風変わりなのは理解が出来たな…。
「わたくし達が戦う理由と問われましたが、特にはありませんわね。ですが、何も本気の殺し合いをするって話ではございません。簡単に言えば訓練ですわ」
「訓練か…」
話は読めた。
NOT THE GAMEの死が現実世界の死とリンクしていると明らかになった現状、そして先々を考えれば。
いつ何処でプレイヤーとの戦闘に入ったとしてもおかしくはない。
理由は色々と考えられるが、ここから先、どんな仕様が判明していくかわからないのだ。
PvPがプレイヤーにとって利があるとわかれば、命が掛かった状況ならば。
自分が有利になる為にPvPに手を染めたとしても不思議じゃない。
今の所はNOT THE GAMEに関しての法整備なんて行われていないし、NOT THE GAMEで人を殺しても罪に問われる事はないからだ。
鵯彩里の提案は、先を見越してPvPを経験しておきたいって事だろう。
その思惑に乗るのは、俺達としてもうま味しかないと言える。
但し一つ疑問点があるとすれば。
「どうして俺達にそんな話を持ち掛けたんだ?もしも俺達がPKだったら、サリーは殺されてしまうかもしれないぜ?」
オイラは別にして、俺と東雲鈴音は初対面の筈だ。
それなのに、PvPの訓練をしようだなんて提案してくるのは迂闊が過ぎると思うのだが。
「もしもそうならば、わたくしは既に殺されているでしょう。わたくしには目が見えないものですから、他人の悪意には敏感なのです。成木原様と東雲様からは少しの悪意も感じられません。成木原様からは警戒を感じますが、悪感情はありませんでしょう。殺される心配は殆んど無いだろうと思いますし、もし殺されてしまったならば、わたくしが愚かだったと、それだけの事です。それに…」
そこまで一息で言って、鵯彩里は一拍置いてから言葉を続ける。
「オイラ様と一緒にいらっしゃるのが一番ですね。いつもわたくしを元気づけてくれる愛らしいわんちゃんを信用せずして、一体誰を信用しましょうか」
「サリー…おいらの事をそんな風に言ってくれるんだぞ…」
オイラ、身を震わせての男泣き。
いや、全然泣いてはいないけれども。
鵯彩里の生い立ちや性格については想像するしかないけれども、人間より動物を信用してるってタイプなのかもしれない。
東雲鈴音がチャンスとばかりにオイラを抱き上げてモフってるけれど、本当に空気が読めないよな。
恐ろしき哉、東雲鈴音。
オイラは凡そ10秒後、強い決意を瞳に宿して口を開いた。
「おいらにサリーを守らせて欲しいんだぞ!」
「それについては結構ですわ」
決意の瞳は白目に変わった。
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