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第1章
トレーニング
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それからの俺は、ひたすら身体を鍛える特訓の日々を送った。
朝にランニングと柔軟体操、そして筋トレをこなし、夜にもまた同じメニューを行う生活。
「だいぶ、たくましくなってきたな」
鏡に映った優希の姿を見て、うんうんと頷く。
そして、2月ももう終わりにさしかかった、ある日の夕方。突然家のチャイムが鳴った。
母親はパートという仕事に行っていて家にいない。仕方なく、俺は玄関の扉を開けた。
そこには1人の女性が立っていて、俺の顔を見ると優しく微笑んだ。
ーー誰だコイツ?
知り合いかもしれないと思い、脳内に叩き込んだ優希の記憶を探る。
ーーあ、担任とかいう先生か!
気づいた俺は、少し後ずさりした。
「あ、ごめんなさい、いきなり来てしまって」
「何か用か? ……ですか?」
俺が精一杯の敬語で聞くと、その先生は目に涙を浮べた。
ーーげ、泣くのか!?
「こんなことになってしまった後で許してなんて言えないけれど、ごめんなさい。何にも気づいてあげられなくて」
ーー挙句の果てに謝ってきやがった!
どうしたら良い?この状況どうすりゃいい?
「あ、別に、平気だ。です」
とりあえず俺がそう言うと、先生は涙を拭って俺の手を掴みやがった。
「学校、来れないかな?」
ーー気安く触んじゃねぇ!
「あ、2年生になったら行く。です」
「ホントに!?」
「行くと言ったら行く。約束は守る」
ーーだから早く手を離しやがれ!
おれが言った言葉を聞いて、先生は凄く嬉しそうな顔をして、なんか土産を置いて帰って行った。
その日の夜。帰宅した母親に、先生が来たこと、そして俺の決心を話した。
最初は複雑そうな顔をしていたが、俺の顔を見た母親は、目を見開き、そして優しい顔をして頷いた。
この笑顔には、なんか逆らえないんだよな……。
言葉は何も発しなかったが、恐らくこの母親には俺の考えてることが全て分かったんだ。
その後、俺が病院で寝ている間にも何度か先生が見舞いに来てくれていたことを母親から聞いた。
病院で食べた果物や、病室に飾ってあった花などは学校からだったということを俺は知った。
この日から4月に向けて、体力をつけるために今までより過酷な修行を始めた。
そして3月。この頃には身体もだいぶ鍛えられ、 トレーニングメニューもかなりシビアなものになっていた。
朝5時に起床。柔軟体操の後10キロ走って川沿いまで行き、そこで腕立て伏せ500回、腹筋500回。
短距離走り込み100回。その後また10キロ走って家に帰ると、木刀を部屋から持ち出し素振り1000回。
昼は女神に協力してもらい、学校の情報収集と、名ばかりの作戦会議。けれどこれは、あまり捗らない。
『ちゃんと聞いてるの!?』
なんて女神に怒られながら、いつもウトウトしながらやっている。
そして、女神も1番驚いていたのが、俺がめちゃくちゃ勉強に熱心だったということ。
実は俺にとって勉強することは楽しかった。新しいことを吸収し、どんどん覚えるのは凄く楽しい。だから暇さえあれば勉強した。
数学も国語も、理科も社会も、技術も家庭科も音楽さえ、全ての教科を夢中になって勉強した。
特に俺が夢中になったのが、英語だった。
夢中に勉強しているうちに、いつしか俺は大学生の問題まで完璧に解けるようになっていた。
そこで、自分がやりすぎたことにようやく気づく。
「あ、いけね。俺まだ中学1年だった」
そして来る4月の始業式。
俺はずっと着ていなかった制服に腕を通す。首元がキツかったため、少しゆるめて朝ごはんも食べずに家を出た。
母親は心配そうに俺を見つめていたが、出来ることは全てやったんだ。
誰にも負ける気がしなかった。
朝にランニングと柔軟体操、そして筋トレをこなし、夜にもまた同じメニューを行う生活。
「だいぶ、たくましくなってきたな」
鏡に映った優希の姿を見て、うんうんと頷く。
そして、2月ももう終わりにさしかかった、ある日の夕方。突然家のチャイムが鳴った。
母親はパートという仕事に行っていて家にいない。仕方なく、俺は玄関の扉を開けた。
そこには1人の女性が立っていて、俺の顔を見ると優しく微笑んだ。
ーー誰だコイツ?
知り合いかもしれないと思い、脳内に叩き込んだ優希の記憶を探る。
ーーあ、担任とかいう先生か!
気づいた俺は、少し後ずさりした。
「あ、ごめんなさい、いきなり来てしまって」
「何か用か? ……ですか?」
俺が精一杯の敬語で聞くと、その先生は目に涙を浮べた。
ーーげ、泣くのか!?
「こんなことになってしまった後で許してなんて言えないけれど、ごめんなさい。何にも気づいてあげられなくて」
ーー挙句の果てに謝ってきやがった!
どうしたら良い?この状況どうすりゃいい?
「あ、別に、平気だ。です」
とりあえず俺がそう言うと、先生は涙を拭って俺の手を掴みやがった。
「学校、来れないかな?」
ーー気安く触んじゃねぇ!
「あ、2年生になったら行く。です」
「ホントに!?」
「行くと言ったら行く。約束は守る」
ーーだから早く手を離しやがれ!
おれが言った言葉を聞いて、先生は凄く嬉しそうな顔をして、なんか土産を置いて帰って行った。
その日の夜。帰宅した母親に、先生が来たこと、そして俺の決心を話した。
最初は複雑そうな顔をしていたが、俺の顔を見た母親は、目を見開き、そして優しい顔をして頷いた。
この笑顔には、なんか逆らえないんだよな……。
言葉は何も発しなかったが、恐らくこの母親には俺の考えてることが全て分かったんだ。
その後、俺が病院で寝ている間にも何度か先生が見舞いに来てくれていたことを母親から聞いた。
病院で食べた果物や、病室に飾ってあった花などは学校からだったということを俺は知った。
この日から4月に向けて、体力をつけるために今までより過酷な修行を始めた。
そして3月。この頃には身体もだいぶ鍛えられ、 トレーニングメニューもかなりシビアなものになっていた。
朝5時に起床。柔軟体操の後10キロ走って川沿いまで行き、そこで腕立て伏せ500回、腹筋500回。
短距離走り込み100回。その後また10キロ走って家に帰ると、木刀を部屋から持ち出し素振り1000回。
昼は女神に協力してもらい、学校の情報収集と、名ばかりの作戦会議。けれどこれは、あまり捗らない。
『ちゃんと聞いてるの!?』
なんて女神に怒られながら、いつもウトウトしながらやっている。
そして、女神も1番驚いていたのが、俺がめちゃくちゃ勉強に熱心だったということ。
実は俺にとって勉強することは楽しかった。新しいことを吸収し、どんどん覚えるのは凄く楽しい。だから暇さえあれば勉強した。
数学も国語も、理科も社会も、技術も家庭科も音楽さえ、全ての教科を夢中になって勉強した。
特に俺が夢中になったのが、英語だった。
夢中に勉強しているうちに、いつしか俺は大学生の問題まで完璧に解けるようになっていた。
そこで、自分がやりすぎたことにようやく気づく。
「あ、いけね。俺まだ中学1年だった」
そして来る4月の始業式。
俺はずっと着ていなかった制服に腕を通す。首元がキツかったため、少しゆるめて朝ごはんも食べずに家を出た。
母親は心配そうに俺を見つめていたが、出来ることは全てやったんだ。
誰にも負ける気がしなかった。
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