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第5章
久々の決闘
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「おい、台本とだいぶ違うぞ!! これどうすんだ!?」
それを聞いた藤原は皆に向かって「大丈夫!!」とニコッと笑ってから言った。
「このまま、いくよ! 照明も音響も、皆も2人に合わせて!」
そう言われてクラスのみんなは、呆れた顔をしたあと笑顔で言った。
「ったく、あいつらは本当に、いつも問題を起こしやがる」
「けど、それが楽しかったりするよね!」
「しゃーないから、付き合うぞ皆!!」
舞台袖にいた2年A組の皆は「おー!!!」っと団結していた。
***
舞台の上。
俺は片手で。真生が両手で木刀を持って向き合う。
体育館はシン……と静まり返り、全員が息を飲んだ。
心配そうに俺達を見ていた優珠に、俺は小さい声で「大丈夫、少し離れてて」と伝えると、優珠は舞台の1番後ろまで下がった。
そして俺と真生は同時に攻撃を始めた。もう2人には周りの声も音も何も聞こえない。
体育館に響く、凄まじい攻撃音。木刀と木刀がぶつかる音。
俺と真生は、剣だけでなく周りには見えない魔力や力も使いながら本気で戦った。
真生が切りかかると、俺はその攻撃を避け、また刀を交えながらお互いに激しい攻撃を仕掛けていく。
「劇」でも「遊び」でもない、本気の殺し合いの気迫に「す…すげえ」とクラスメイトも観客も、全員が圧倒されていた。
2人にとっては木刀だろうと剣は剣。ひと度でも貫かれれば、その場で命が終わる勝負。
刀が交わる毎に、激しい旋風が巻き起こる。
舞台の上で俺達は本気で戦った。
そう。俺たちにとってこれは、いつかの俺が敗北したあの日続きなのだ。
2人の攻撃が、動きが、あまりにも早すぎて、体育館にいる全ての人が息を飲んで俺達の戦いを見ていた。
もう誰も、止めようにも止めに入れなくなっていた。
バンッ!!!と刀を交えた大きな音が鳴り響き、2人して1度距離をとる。
「ハゲ。腕がなまったんじゃないか?」
「バカこそ……」
そして、また攻撃を始めた少し後。
ーー見えた!!
俺は瞬時に移動し、ドンッとヤツの腹に手を当てる。
もちろん手加減などしない。魔力を手から放ち、思いっきり衝撃を与えると勇者は崩れるように片膝をついた。
そして俺は木刀を思いっきり振り下ろすと、観客席から悲鳴が上がる。
「っっ!!!」
「今回は、俺の勝ちだ」
振り下ろした刀は、勇者の頭上すれすれで止まっていた。
「……く、っ、くそ……」
そう言って、勇者はその場に倒れた。
その直後、ワーーー!!!とすごい歓声と拍手。
ーー!!??
一気に俺のビジョンが戦場から体育館に戻る。
ーーなんだ?マジであの日の戦場で戦ってる錯覚に陥っていた。
俺達はお互い、久しぶりに息を切らしていた。
真生は力を振り絞ってゆっくりと身を起こし、セリフを言った。
「今日は……完敗だ。だが、魔王バカデスよ! これからも勝負しようじゃないか!! 次は負けない……絶対勝つ!」
「……いいだろう。いつでも受けてたってやる」
俺はそう言うと、真生に向かって右手を差し出した。
真生もその手を取り、起き上がる。
すると、体育館からはまた大きな歓声と拍手が起こった。
「姫! 貴方はどうする!?」
突然真生に話を振られて、優珠はビックリしていたが、ゴクッと唾を飲み込むと大きな声で言った。
「私は、ずっと魔王を誤解していました……ごめんなさい。父にもハッキリ伝えます。貴方は悪い魔王ではないと!」
そう優珠が言うと、真生もニコッと笑った後俺に向かって言った。
「けど、ほかの人への暴力はナシだ。戦いたかったら、これからは私がいつでも相手になろう!!」
「望むところだ」
【こっ、こうして、勇者と魔王はお互いを認めあい、めでたくこの話も幕を閉じます。彼らの長い戦いは今始まったばかり。かれらは良き戦友として、末永く戦いを続けていくでしょう……】
わーーー!!!っと、すごい拍手が起こる。舞台裏や、舞台袖にいたクラスメイトも感動して手を叩いていた。
「おい、バカデス! ひとつだけ言っていいか!?」
幕が閉じ初めてから真生がいきなりセリフを言い出しやがったから、せっかく感動に包まれた体育館が静まり返った。
ーーおいおい、これでハッピーエンドっぽい感じでいいんじゃないか!?
「な、なんだ?ハゲダヨン……」
俺がそう聞くと、真生はニコッと王子様スマイルで言った。
「お前、名前変えた方がいいぞ!」
「貴様にだけは言われたくない!!」
その俺らの最後のやり取りに、体育館中がまた笑いに包まれて、俺達の劇は無事に終わったのだった。
それを聞いた藤原は皆に向かって「大丈夫!!」とニコッと笑ってから言った。
「このまま、いくよ! 照明も音響も、皆も2人に合わせて!」
そう言われてクラスのみんなは、呆れた顔をしたあと笑顔で言った。
「ったく、あいつらは本当に、いつも問題を起こしやがる」
「けど、それが楽しかったりするよね!」
「しゃーないから、付き合うぞ皆!!」
舞台袖にいた2年A組の皆は「おー!!!」っと団結していた。
***
舞台の上。
俺は片手で。真生が両手で木刀を持って向き合う。
体育館はシン……と静まり返り、全員が息を飲んだ。
心配そうに俺達を見ていた優珠に、俺は小さい声で「大丈夫、少し離れてて」と伝えると、優珠は舞台の1番後ろまで下がった。
そして俺と真生は同時に攻撃を始めた。もう2人には周りの声も音も何も聞こえない。
体育館に響く、凄まじい攻撃音。木刀と木刀がぶつかる音。
俺と真生は、剣だけでなく周りには見えない魔力や力も使いながら本気で戦った。
真生が切りかかると、俺はその攻撃を避け、また刀を交えながらお互いに激しい攻撃を仕掛けていく。
「劇」でも「遊び」でもない、本気の殺し合いの気迫に「す…すげえ」とクラスメイトも観客も、全員が圧倒されていた。
2人にとっては木刀だろうと剣は剣。ひと度でも貫かれれば、その場で命が終わる勝負。
刀が交わる毎に、激しい旋風が巻き起こる。
舞台の上で俺達は本気で戦った。
そう。俺たちにとってこれは、いつかの俺が敗北したあの日続きなのだ。
2人の攻撃が、動きが、あまりにも早すぎて、体育館にいる全ての人が息を飲んで俺達の戦いを見ていた。
もう誰も、止めようにも止めに入れなくなっていた。
バンッ!!!と刀を交えた大きな音が鳴り響き、2人して1度距離をとる。
「ハゲ。腕がなまったんじゃないか?」
「バカこそ……」
そして、また攻撃を始めた少し後。
ーー見えた!!
俺は瞬時に移動し、ドンッとヤツの腹に手を当てる。
もちろん手加減などしない。魔力を手から放ち、思いっきり衝撃を与えると勇者は崩れるように片膝をついた。
そして俺は木刀を思いっきり振り下ろすと、観客席から悲鳴が上がる。
「っっ!!!」
「今回は、俺の勝ちだ」
振り下ろした刀は、勇者の頭上すれすれで止まっていた。
「……く、っ、くそ……」
そう言って、勇者はその場に倒れた。
その直後、ワーーー!!!とすごい歓声と拍手。
ーー!!??
一気に俺のビジョンが戦場から体育館に戻る。
ーーなんだ?マジであの日の戦場で戦ってる錯覚に陥っていた。
俺達はお互い、久しぶりに息を切らしていた。
真生は力を振り絞ってゆっくりと身を起こし、セリフを言った。
「今日は……完敗だ。だが、魔王バカデスよ! これからも勝負しようじゃないか!! 次は負けない……絶対勝つ!」
「……いいだろう。いつでも受けてたってやる」
俺はそう言うと、真生に向かって右手を差し出した。
真生もその手を取り、起き上がる。
すると、体育館からはまた大きな歓声と拍手が起こった。
「姫! 貴方はどうする!?」
突然真生に話を振られて、優珠はビックリしていたが、ゴクッと唾を飲み込むと大きな声で言った。
「私は、ずっと魔王を誤解していました……ごめんなさい。父にもハッキリ伝えます。貴方は悪い魔王ではないと!」
そう優珠が言うと、真生もニコッと笑った後俺に向かって言った。
「けど、ほかの人への暴力はナシだ。戦いたかったら、これからは私がいつでも相手になろう!!」
「望むところだ」
【こっ、こうして、勇者と魔王はお互いを認めあい、めでたくこの話も幕を閉じます。彼らの長い戦いは今始まったばかり。かれらは良き戦友として、末永く戦いを続けていくでしょう……】
わーーー!!!っと、すごい拍手が起こる。舞台裏や、舞台袖にいたクラスメイトも感動して手を叩いていた。
「おい、バカデス! ひとつだけ言っていいか!?」
幕が閉じ初めてから真生がいきなりセリフを言い出しやがったから、せっかく感動に包まれた体育館が静まり返った。
ーーおいおい、これでハッピーエンドっぽい感じでいいんじゃないか!?
「な、なんだ?ハゲダヨン……」
俺がそう聞くと、真生はニコッと王子様スマイルで言った。
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