魂×魂 〜魔王が中学生になったら?そりゃやばいでしょ〜

日芽乃

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第3章

夏休み

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 色々あったが無事に期末テストも終わり、俺たちは明日から夏休みを迎えようとしていた。
 俺はあの期末テスト以来、クラスのやつらとだいぶ打ち解け、特に篠宮とは一緒にいることが増えた。

 篠宮まこと。身長170センチくらいの真生と同じくらいの長身。茶髪で目つきも悪く、まだ怖いヤツだと思っている生徒も多いみたいだ。
 けれど、俺には最初より顔が穏やかになったように見えていた。
 前までつるんでいたヤツらとはバッサリと縁を切ったようだ。

 そしてこのハゲ……相変わらず俺のそばにベッタリとくっついている真生も、篠宮のことは気に入っているようだった。

「なあなあ! 優希~!!」
「うるさい。行かんと言ったら行かん」

 今日の真生は、いつも以上に鬱陶うっとうしい。朝からずっと俺を付け回して同じことを繰り返し言ってくる。
 放課後になった今もだ。帰ろうとする俺のカバンを引っ張って離そうとしない。

「貴様、まじでいーかげんに……」

 俺がそう言いかけたその時。

「朝から騒がしいけど、何してんの?」

 篠宮が話しかけてきた。

「篠宮~! 朝からずっと俺が誘ってんのに、優希がYESうんと言わないんだよー!」
「うるさいハゲ! 貴様と2人で仲良く海とか行けるかよ!」
「そう言うなよバカ~! 別荘だぜ、めっちゃ楽しいんだぞ!」

 それを聞いた篠宮は最初俺達のやり取りを見て呆れた顔をしていたが、突然ハッとして「別荘だと!?」と、驚いた後ニコッと笑った。

「こいつと2人が嫌なら、俺も行こう」

 俺は冷めた顔で篠宮を見て言った。

「余計に嫌だ」

 俺らがワイワイ楽しそうにしているように見えたのか、1人の女子がこっちにニコニコしながら近寄ってきた。

 確か、優珠の親友の……名前は春野はるのめぐみだっけ?身長は165センチくらい。黒髪ショートの活発女子。バレー部だったかな、手足が長くスラッとしている。

「なんか楽しそうな話が聞こえちゃった! 私たちも行きたい~!」

ーー私

 その女子の後ろから、優珠がピョコッと顔を出す。

「お前ら、話をややこしくするだけ……」

 俺がそう言いかけると、真生は嬉しそうに言う。

「いいぞ! このメンバーで行こう!」
「おい、真生っ!」

 俺はペースに流されそうになり、焦って声をかけると、真生が小声で俺に言う。

「おいバカ……もし来なかったら、俺は別荘でこいつらにお前の恥ずかし~昔の話をしちゃうからな」

ーーなん、だと……??

***

 そして、夏休みに入って3日が過ぎた日。
 篠宮と優珠、優珠の友達の春野はるの、真生と俺の5人は別荘に向かうため電車に乗っていた。1泊2日の旅行だ。

 なかば無理やり連れてこられた俺は最初は不機嫌だったが、電車に乗る頃には機嫌はすっかり直っていた。

 初めて乗る電車という乗り物は予想以上にカッコいい。なにより早い!タクスィよりも早い。
 俺と真生は過ぎ去っていく風景を、電車の窓にひっつきながら眺めていた。

「おい、優希、電車すげえな!」
「ああ。ものすごく興味深い」

 俺は珍しく優希に同感して頷いた。

「おおおお! 優希、今の見たかよ! 車なんてあっという間に越しちまったぞ!」
「これだけ早いと時間すら飛ばしてしまうのではないか?」

 ほかの乗客は俺らを見てクスクスと笑っている。

 すると突然電車がトンネルに入り、俺らは「うわっ!!!」と思わずビビって声を上げた。

 真っ暗な空間を走る電車。ゴーーーッと鳴り響く音。俺と真生はお互いに顔を合わせる。

「おい、優希、外が見えないぞ」
「まさか……異次元に飛ばされたのか?」

 すると急に電車がトンネルから外に出て、俺らは「「うおっ!!」」とビビってまた声を上げる。

 外の景色を見た俺らは目を輝かせて、おーー!!!と手を叩いた。

「お前ら……マジでなにやってんの?」

 優珠と春野はそんな俺達を見て恥ずかしそうに俯き、篠宮は呆れた顔をしていた。

「「篠宮、電車だぞ」」

 俺らは篠宮を緊張した面持ちで見た。

「知ってるよ!! いい加減その恥ずかしい遊びやめて、席つけ!!」

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