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第3章
夏祭り
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夏休みも中盤に差し掛かったある日のこと。相変わらず、真生は俺の部屋に入り浸っていた。
「なー、なんか楽しいことしようぜ~」
机に向かって宿題をしていた俺に真生は言う。
「それより宿題は終わったのか?」
「そんなもん、最終日にパパッと終わらせりゃいいじゃん」
ーーこいつ、本気で言っているのか?
すると、俺らのスマホが〈ピコン!〉と音を立てた。
2人して携帯を見たあと、俺らは顔を見合わせて微笑んだ。
それは春野恵からのメッセージだった。
「明日の夜、18時に学校前集合! お祭り、行くぞー!」
***
そして次の日の18時。俺と真生が学校の校門前に行くと、そこには浴衣を着た優珠と恵が待っていた。
「お! なんかめっちゃ可愛い!」
そう言って真生が目を輝かせると、2人は嬉しそうにしていた。
「誠は?」
俺が聞くと、後ろから「わ!」っと言って誠が現れた。
俺は全然驚くことなく「何してんだ?」と普通の反応。
「ったく、脅かしがいがないヤツ」
誠とは、篠宮誠のこと。
「ほらほら、誠も真生も優希も! じゃれてないで行くぞ、夏祭り!」
ーー別にじゃれていないのだが。
もうお気づきかもしれないが、俺達はあの旅行(正確にはスマホをゲットした日)を境に苗字ではなく名前で呼び合うようになった。
最初のうちはちょっと照れくさかったが、何度か会って遊ぶうちに慣れた。
俺らは、スマホを買ってから連絡を頻繁に取り合ってよく遊ぶくらい仲良くなっていた。
そして今日は夏祭り。
俺らは川の近くにある神社に向かった。
「すげー人だな」
俺はその人の多さにビビっていた。
「出店がめっちゃある!!」
真生はかなり興奮気味にあっち見たりこっち見たりキョロキョロしてる。
「あ、りんご飴食べたい!」
「私もー!」
「俺も食う!!」
恵と優珠、そして真生は「ちょっと買ってくる~!」と言って屋台に向かった。
ーーまるで子供だな。
「おい、優希」
誠が突然真剣な顔で言う。
「なんだ?」
「お前、優珠のことどう思ってんの?」
急にそう聞いた誠から目を逸らし、俺は「あー……」と斜め上を向く。
ーーそういや、こいつ優珠のこと好きだったんだっけ。
「俺は優珠のこと、もう諦めたから」
「え!?」
俺が驚いて誠を見ると、誠も俺を見てニカッと笑った。
「優珠を見てたら、もうお前以外眼中にないのモロ分かりだしなー。俺に勝ち目なし」
「え、そうなのか?」
俺が真顔で聞くと、誠は「嘘だろ……」と驚く。
「いやいや、絶対そうだろ。気づけよ」
ーーそんなこと言われてもな……。
「だから、俺に構わず優珠と付き合え。応援すっから!」
「え、いや、けど……」
そこまで言いかけた時、お待たせ~!と3人が戻ってきた。
その後皆で屋台で色々買ったり、金魚すくいしたりして祭りを楽しんだ。
「おい、優希! あそこに射的があるぞ!! 勝負しよう!」
俺らが真剣に射的をすると、もちろん百発百中。
さすがに店員さんが「勘弁してください」と言って俺と真生に特賞の大きなぬいぐるみを渡してきた。
「お前ら、人間かよ……」
それを見た誠が若干引き気味で言うのを聞いて、俺と真生は顔を見合わせて苦笑いした。
「あ、あと20分で花火の時間だよ! そろそろ川沿いに行こう!」
恵がそう言って川に向かって歩き出す。
「あ、ごめん!私トイレ~。携帯に連絡するから、先に行ってて~!」
優珠はそう言うと、1人トイレの方に小走りで向かった。
「おい、優希。俺ら先に行って場所取ってるから、お前優珠を待っててやれよ」
ーーは?
誠がそう言うと、真生が「嫌だー!優希といく~!!」とか駄々をこねていたが、誠がパコッと真生の頭を叩き2人を引っ張って連れて行ってしまった。
ーーどうしろっていうんだよ……。
俺は景品のデカいぬいぐるみを持ったままその場に立ち尽くし、頭をポリポリとかいた。
「なー、なんか楽しいことしようぜ~」
机に向かって宿題をしていた俺に真生は言う。
「それより宿題は終わったのか?」
「そんなもん、最終日にパパッと終わらせりゃいいじゃん」
ーーこいつ、本気で言っているのか?
すると、俺らのスマホが〈ピコン!〉と音を立てた。
2人して携帯を見たあと、俺らは顔を見合わせて微笑んだ。
それは春野恵からのメッセージだった。
「明日の夜、18時に学校前集合! お祭り、行くぞー!」
***
そして次の日の18時。俺と真生が学校の校門前に行くと、そこには浴衣を着た優珠と恵が待っていた。
「お! なんかめっちゃ可愛い!」
そう言って真生が目を輝かせると、2人は嬉しそうにしていた。
「誠は?」
俺が聞くと、後ろから「わ!」っと言って誠が現れた。
俺は全然驚くことなく「何してんだ?」と普通の反応。
「ったく、脅かしがいがないヤツ」
誠とは、篠宮誠のこと。
「ほらほら、誠も真生も優希も! じゃれてないで行くぞ、夏祭り!」
ーー別にじゃれていないのだが。
もうお気づきかもしれないが、俺達はあの旅行(正確にはスマホをゲットした日)を境に苗字ではなく名前で呼び合うようになった。
最初のうちはちょっと照れくさかったが、何度か会って遊ぶうちに慣れた。
俺らは、スマホを買ってから連絡を頻繁に取り合ってよく遊ぶくらい仲良くなっていた。
そして今日は夏祭り。
俺らは川の近くにある神社に向かった。
「すげー人だな」
俺はその人の多さにビビっていた。
「出店がめっちゃある!!」
真生はかなり興奮気味にあっち見たりこっち見たりキョロキョロしてる。
「あ、りんご飴食べたい!」
「私もー!」
「俺も食う!!」
恵と優珠、そして真生は「ちょっと買ってくる~!」と言って屋台に向かった。
ーーまるで子供だな。
「おい、優希」
誠が突然真剣な顔で言う。
「なんだ?」
「お前、優珠のことどう思ってんの?」
急にそう聞いた誠から目を逸らし、俺は「あー……」と斜め上を向く。
ーーそういや、こいつ優珠のこと好きだったんだっけ。
「俺は優珠のこと、もう諦めたから」
「え!?」
俺が驚いて誠を見ると、誠も俺を見てニカッと笑った。
「優珠を見てたら、もうお前以外眼中にないのモロ分かりだしなー。俺に勝ち目なし」
「え、そうなのか?」
俺が真顔で聞くと、誠は「嘘だろ……」と驚く。
「いやいや、絶対そうだろ。気づけよ」
ーーそんなこと言われてもな……。
「だから、俺に構わず優珠と付き合え。応援すっから!」
「え、いや、けど……」
そこまで言いかけた時、お待たせ~!と3人が戻ってきた。
その後皆で屋台で色々買ったり、金魚すくいしたりして祭りを楽しんだ。
「おい、優希! あそこに射的があるぞ!! 勝負しよう!」
俺らが真剣に射的をすると、もちろん百発百中。
さすがに店員さんが「勘弁してください」と言って俺と真生に特賞の大きなぬいぐるみを渡してきた。
「お前ら、人間かよ……」
それを見た誠が若干引き気味で言うのを聞いて、俺と真生は顔を見合わせて苦笑いした。
「あ、あと20分で花火の時間だよ! そろそろ川沿いに行こう!」
恵がそう言って川に向かって歩き出す。
「あ、ごめん!私トイレ~。携帯に連絡するから、先に行ってて~!」
優珠はそう言うと、1人トイレの方に小走りで向かった。
「おい、優希。俺ら先に行って場所取ってるから、お前優珠を待っててやれよ」
ーーは?
誠がそう言うと、真生が「嫌だー!優希といく~!!」とか駄々をこねていたが、誠がパコッと真生の頭を叩き2人を引っ張って連れて行ってしまった。
ーーどうしろっていうんだよ……。
俺は景品のデカいぬいぐるみを持ったままその場に立ち尽くし、頭をポリポリとかいた。
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