魂×魂 〜魔王が中学生になったら?そりゃやばいでしょ〜

日芽乃

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第3章

突然の訪問者

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 今、俺ら5人は真生の家に集まって宿題をしている。
 夏祭りの帰りに宿題の話になり、ほとんど終わっていない真生と誠と恵に泣き付かれ、俺と優珠が手伝うことになったのだ。

「優希、この問題どー解くの?」

 誠にそう聞かれて、俺は誠のとなりに移動してテキストを覗く。

「あー、これは、この公式を使うんだよ」
「なるほど~!! ってか公式覚えられねえ……」
「覚えないとテストで点が取れないぞ?」

 俺がそう言うと、誠は机に突っ伏して「テストなんて消滅してしまえ~」とか言っている。

「優希~! 俺にも教えてー!!」

 キラキラした目で俺を見てくる真生を俺は冷たい目で見る。

「お前は、俺が教えなくても分かるだろが」

 俺がそう言うと優珠が笑う。

ーー最近、優珠の笑顔が増えたような気がするな……。

 俺がそう思って優珠を見ていたら、いきなり玄関のチャイムが鳴り、俺はビクッとする。

「誰か来たみたい」

 恵がそう言うと真生が答える。

「母さんが出るから大丈夫!」

 しばらくして勢いよくバンッ!!!と真生の部屋の扉が開いた。
 そこにいたのは……。

「佳奈ーーー!!」

 優珠と恵が佳奈に抱きついた。

「え、なんで!?」

 真生が言うと、女神……いや、佳奈はジロっと真生を睨んだ。

「私がここにいたら不服?」

 佳奈のその言葉に真生は慌てて「そんなことないよ!」と言う。

『しばらく見なかったけど』

 俺がテレパシーで女神に言うと、女神も答えた。

『この姿を定着させるのに、ちょっと時間がかかった。それに準備も色々大変だっだのよ!』
『定着させる? 準備?』

 真生が聞くと、女神はフッと笑って皆に言った。

「聞いてー! 私も、みんなの学校に転入することになったー!!!」

 それを聞いた3人はめちゃくちゃ驚いたが喜んでいた。
 その場に凍りついた俺と真生を除いて。

 そんな俺たちに構わず、佳奈は俺と真生の間に強引にスペースを作って座る。

「なんだ?その大きな袋は」

 俺が聞くと、女神は「あ、そうだった!」と言って、持って来た大きな紙袋を真生に渡した。

「土産よ」
「いや、デカすぎだろ。何が入ってんだよ……」

 そう言いながら真生は、高さ60センチはあるだろうその大きな袋を開けた。

「「あ」」

 俺と真生は目を見開いた。
 その中には、カゴに入った真っ白い鳥が1匹いた。

ーーこ、こいつは、勇者の相棒!!

 勇者は俺と戦う時も、どんな時もいつもこいつを連れていた。

「これは少しの間、真生から預かっていた真生のペットだ」

『おい、女神。どうやってこの世界に持ってきたんだよ』

 俺がテレパシーで聞くと女神はふふん、とドヤ顔をした。

『女神の私に不可能は無いのだ!』

「わー! 可愛い~!!」
「ちょっと、これなんていう鳥!?」

 優珠と恵が目をキラキラさせて鳥を見つめる。
 見た目はクジャクを手乗りサイズにしたような感じだが、確実に地球にいる生き物では無い。

ーーさあ。どうするハゲ?

「お……」
「「お!?」」
「オウムだ」

ーーうそつけ!!!

 皆も「いやいやいや……」と言っている。そりゃそうだ。全然オウムには見えない。
 だが、真生がなぜオウムだと言ったのか俺だけは分かる。
 なにせ、こいつは……。

「ハゲ! ハゲ!」

ーー喋る!!

「こいつ、ハゲって言ってるぞ」

 誠がめっちゃ興味津々に顔を近づけて見ていると、その鳥は篠宮を見つめながら言った。

「バカッ!!」

 誠が白い目で真生を見る。

「お前、悪口しか教えてないのか?」
「ち、違う!!!」

 真生が必死になって否定しているのを見て、全部分かっている俺と佳奈が、ブッと吹き出して笑う。

「まあでも、可愛いじゃん! 名前なんて言うの?」

 恵がそう聞くと、真生が「え、な、名前? 何だったかな~~」と焦っていたから、俺が代わりにニヤニヤしながら教えてやった。

「オマ=エノカ=アチャンだよな」

 皆が真っ白になって固まった。

「「「お前の母ちゃん……」」」

 真生がプルプル震えながら俺を睨む横で俺は爆笑していた。

「優希てめえ、何勝手に……」

 すると、その鳥が言う。

「オマ=エノカ=アチャン!!」

 優珠と恵がプッと笑うとなりで、誠だけが冷静に言った。

「おい、真生……お前、めっちゃネーミングセンスないぞ」
「うっ、うるせーーー!!!」

 顔を真っ赤にさせて叫ぶ真生に向かって、オマ=エノカ=アチャンはずっとハゲハゲ言っていた。

 結局その後、その鳥の名前は「アチャン」に変更となった。

 夏休みも、もうすぐ終わる。
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