魂×魂 〜魔王が中学生になったら?そりゃやばいでしょ〜

日芽乃

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第3章

旅行の夜

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 夕飯を食べ終えた俺達は、海岸まで行き花火を楽しんだ。

「わー!! 綺麗~!!」

 そう言って女神……いや、佳奈は花火を振り回しながら浜辺を走り回っていた。
 他の皆も花火をしながら、そんな無邪気な佳奈を見て笑っている。
 
 俺は皆から少し離れた石の階段に腰掛けて、密かに1人で線香花火を楽しんでいた。
 すると、花火を持ったまま俺の近くに来た真生が言った。

「あやうく俺は、同性愛者にされるところだったぞ」
「面白いじゃないか」
「面白くない! 俺は女が好きだ!」

 それを聞いた俺は、ブッとまた吹き出してしばらく笑う俺を真生は呆れたように見ていた。

「けど、楽しかった。誘ってくれてありがとな」

 突然俺がそう言ったからか、真生は目を見開いて俺を見た。

「やっぱ、俺、お前好きだわ」
「いや、真顔で言うなよハゲ。本気で気色悪くて笑えん」

***

 花火が終わると、俺らは各々おのおの風呂に入り、そして部屋に戻った。

 女子の部屋では、佳奈と優珠と春野が色々話していたようだ。

「優珠は坂口一筋ひとすじだもんね~!」

 春野が優珠にそう言うと、優珠は顔を真っ赤にした。

「でも、好きだって気づいたのは、ほんと、最近だよ」

 そう言った優珠を2人は見る。

「前までは、なんか、弟みたいな感じだったから……全然意識しないで普通に喋れていたのに」

 枕に顔をうずめながら、優珠は続けた。

「最近、なんか男っぽくなって。かっこよすぎて。必要以上にドキドキしちゃって、上手く喋れない」

 優珠がそう言うと、春野が優珠をぎゅーーっと抱きしめて「可愛い!!」と言った。

「告白すればいいのに」

 佳奈がそう言うと、優珠はブンブンと両手を振る。

「出来ないよ!」
「そんなもんなのかなぁ~。春野は?好きな人いるの?」

 佳奈が春野に尋ねる。

「1個上の先輩に彼氏がいる」
「え! そうなの!?」

 優珠がびっくりして春野を見る。

「黙っててごめん! 実は、同じバレー部の先輩と先月から付き合ってるんだ」

 それを聞いて「知らなかったよ~~! でも、恵、おめでとーー!」っと言って、今度は優珠が春野に抱きついた。

「で。佳奈ちゃんは? 坂口と本郷、どっちが本命?」

 そう春野に聞かれて、佳奈はうーん……と考えた。

 優珠も緊張した顔で佳奈を見つめる。

「あいつらは、そーいう対象じゃないかな」

「「え?」」

「私の彼らへの気持ちは……」

 彼女をじっと見つめる優珠と春野を見て、佳奈はニコッと笑った。

「なんていうのか……あ、子供を見守る母親、みたいなもの、かな」

「「え、なにそれ」」

 その頃、女子トークに花が咲いているとは知らない俺たち男子は、もう既に夢の中だった。
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