22 / 56
第3章
旅行の夜
しおりを挟む
夕飯を食べ終えた俺達は、海岸まで行き花火を楽しんだ。
「わー!! 綺麗~!!」
そう言って女神……いや、佳奈は花火を振り回しながら浜辺を走り回っていた。
他の皆も花火をしながら、そんな無邪気な佳奈を見て笑っている。
俺は皆から少し離れた石の階段に腰掛けて、密かに1人で線香花火を楽しんでいた。
すると、花火を持ったまま俺の近くに来た真生が言った。
「あやうく俺は、同性愛者にされるところだったぞ」
「面白いじゃないか」
「面白くない! 俺は女が好きだ!」
それを聞いた俺は、ブッとまた吹き出してしばらく笑う俺を真生は呆れたように見ていた。
「けど、楽しかった。誘ってくれてありがとな」
突然俺がそう言ったからか、真生は目を見開いて俺を見た。
「やっぱ、俺、お前好きだわ」
「いや、真顔で言うなよハゲ。本気で気色悪くて笑えん」
***
花火が終わると、俺らは各々風呂に入り、そして部屋に戻った。
女子の部屋では、佳奈と優珠と春野が色々話していたようだ。
「優珠は坂口一筋だもんね~!」
春野が優珠にそう言うと、優珠は顔を真っ赤にした。
「でも、好きだって気づいたのは、ほんと、最近だよ」
そう言った優珠を2人は見る。
「前までは、なんか、弟みたいな感じだったから……全然意識しないで普通に喋れていたのに」
枕に顔を埋めながら、優珠は続けた。
「最近、なんか男っぽくなって。かっこよすぎて。必要以上にドキドキしちゃって、上手く喋れない」
優珠がそう言うと、春野が優珠をぎゅーーっと抱きしめて「可愛い!!」と言った。
「告白すればいいのに」
佳奈がそう言うと、優珠はブンブンと両手を振る。
「出来ないよ!」
「そんなもんなのかなぁ~。春野は?好きな人いるの?」
佳奈が春野に尋ねる。
「1個上の先輩に彼氏がいる」
「え! そうなの!?」
優珠がびっくりして春野を見る。
「黙っててごめん! 実は、同じバレー部の先輩と先月から付き合ってるんだ」
それを聞いて「知らなかったよ~~! でも、恵、おめでとーー!」っと言って、今度は優珠が春野に抱きついた。
「で。佳奈ちゃんは? 坂口と本郷、どっちが本命?」
そう春野に聞かれて、佳奈はうーん……と考えた。
優珠も緊張した顔で佳奈を見つめる。
「あいつらは、そーいう対象じゃないかな」
「「え?」」
「私の彼らへの気持ちは……」
彼女をじっと見つめる優珠と春野を見て、佳奈はニコッと笑った。
「なんていうのか……あ、子供を見守る母親、みたいなもの、かな」
「「え、なにそれ」」
その頃、女子トークに花が咲いているとは知らない俺たち男子は、もう既に夢の中だった。
「わー!! 綺麗~!!」
そう言って女神……いや、佳奈は花火を振り回しながら浜辺を走り回っていた。
他の皆も花火をしながら、そんな無邪気な佳奈を見て笑っている。
俺は皆から少し離れた石の階段に腰掛けて、密かに1人で線香花火を楽しんでいた。
すると、花火を持ったまま俺の近くに来た真生が言った。
「あやうく俺は、同性愛者にされるところだったぞ」
「面白いじゃないか」
「面白くない! 俺は女が好きだ!」
それを聞いた俺は、ブッとまた吹き出してしばらく笑う俺を真生は呆れたように見ていた。
「けど、楽しかった。誘ってくれてありがとな」
突然俺がそう言ったからか、真生は目を見開いて俺を見た。
「やっぱ、俺、お前好きだわ」
「いや、真顔で言うなよハゲ。本気で気色悪くて笑えん」
***
花火が終わると、俺らは各々風呂に入り、そして部屋に戻った。
女子の部屋では、佳奈と優珠と春野が色々話していたようだ。
「優珠は坂口一筋だもんね~!」
春野が優珠にそう言うと、優珠は顔を真っ赤にした。
「でも、好きだって気づいたのは、ほんと、最近だよ」
そう言った優珠を2人は見る。
「前までは、なんか、弟みたいな感じだったから……全然意識しないで普通に喋れていたのに」
枕に顔を埋めながら、優珠は続けた。
「最近、なんか男っぽくなって。かっこよすぎて。必要以上にドキドキしちゃって、上手く喋れない」
優珠がそう言うと、春野が優珠をぎゅーーっと抱きしめて「可愛い!!」と言った。
「告白すればいいのに」
佳奈がそう言うと、優珠はブンブンと両手を振る。
「出来ないよ!」
「そんなもんなのかなぁ~。春野は?好きな人いるの?」
佳奈が春野に尋ねる。
「1個上の先輩に彼氏がいる」
「え! そうなの!?」
優珠がびっくりして春野を見る。
「黙っててごめん! 実は、同じバレー部の先輩と先月から付き合ってるんだ」
それを聞いて「知らなかったよ~~! でも、恵、おめでとーー!」っと言って、今度は優珠が春野に抱きついた。
「で。佳奈ちゃんは? 坂口と本郷、どっちが本命?」
そう春野に聞かれて、佳奈はうーん……と考えた。
優珠も緊張した顔で佳奈を見つめる。
「あいつらは、そーいう対象じゃないかな」
「「え?」」
「私の彼らへの気持ちは……」
彼女をじっと見つめる優珠と春野を見て、佳奈はニコッと笑った。
「なんていうのか……あ、子供を見守る母親、みたいなもの、かな」
「「え、なにそれ」」
その頃、女子トークに花が咲いているとは知らない俺たち男子は、もう既に夢の中だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる