私は絶対間違った

Asagi

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14.新しい顔

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レンズを交換した金縁眼鏡は、私の新しい顔になった。家に、かけて帰ると、眼鏡の知識のない両親でさえ、
「あれ、度が強くなった?」
と気づく程、印象も変わるらしい。
「うん、少しだけだよ。」
とごまかして、それ以上、両親は気にしている様子も無かった。学校に、かけて行くと、黒縁から、金縁へ変わったことで、何人もの人に眼鏡変わった?と聞かれて、正直、飽き飽きしていた。しかし、伊藤先生は違う。
「あら、さとみさん眼鏡の度が進んだわね?金縁も上品ね。」
私が、見てほしいのは度数。そこなのだ。流石眼鏡っ子同士のシンパシーだ。
「そうなんです。」
「みんなくらいの頃は先生も頻繁に度が変わってたよ~。でも、大丈夫。いつか進行も止まるから。」
「先生は、いつ頃今の視力で落ち着いたのですか?」
「私は、中1から眼鏡をかけ始めて、大学4年生だったかな、そこまでは毎年度が進んでたかな。確か、高校3年生でコンタクトを作ったのよ。」
「へ~、先生の眼鏡姿もたまには見たいです。」
すると、佳奈が話しに加わってきた。
「そうそう、先生の眼鏡ちょ~かわいいですよね。見たいです。」
「ちょっと、みんなで褒めても駄目よ。私は、度が強くて、瓶底眼鏡で恥ずかしい顔になっちゃうから、お休みの日こっそりかけてるのよ。」
「そんな事無いですよ。眼鏡姿も美人さんでしたよ。だからかけて来てください。」
「佳奈さんありがとう。佳奈さんこそ、美人さんよ。」
私は、佳奈が羨ましい。グイグイ行っても相手が嫌な気持ちにならないのは、その外見の良さと、明るい声、相手の許容ギリギリ越えない踏み込み方だと思う。これを天性の感でこなしている。

こうして、新しい眼鏡での生活が始まるのだが、長時間がかけると、目の重くなる感覚が、以前のメガネをかけた時同様またやってきた。この疲れが無くなる様に、順応の為の近トレに励むのだ。
また、家で勉強する時には、黒縁眼鏡を上から2重でかけた。これで合計-7.00D位の度数になっているはずだ。見え方は、手元の文字も普通に見えるが、目を凝らしていないと、ピントが合わなくなる。「あ~、目が疲れる」と思っても、私は変わるのだと言う思いで頑張った。

年末年始、父の実家に里帰りする事になった。
ゆきや私が、受験を迎えると、皆が揃うのも貴重な時間になるからと、祖父母孝行の為だ。と父が言う。私は、ゆきに会うのが嬉しい。
冬の東北は、遠くの山々が雪をかぶり真っ白だ。
今回は、新しい眼鏡で、視界も良好だ。山の稜線も、山々の重なりもハッキリしている。

実家に着くと、ゆきが、1番に迎えてくれた。祖父、祖母は今夜の買出しにゆきの両親を伴い出かけたそうだ。
「さと、久しぶり。眼鏡かけて。あっ、私より度が強くない?」
「そうなんだ。ついに眼鏡だよ。ゆきは、お盆の頃から変わってないの?」
「うん、同じまま。ちょっと貸して。」
ゆきは私の眼鏡を取ろうと手を伸ばす。
私の顔からレンズが離れると、途端にぼや~と、あらゆる物体の形が曖昧に見えた。
こんなに見えないものか。最近裸眼で生活をしないから、改めて見えなさ加減に驚く。
ゆきは、私の金縁をかけて
「うわ、強!」
と言った。ゆきの眼鏡をかけた顔がぼやけている。目を細め顔をゆきに近づけた。
「さと、近い近い。キス?」
私は、慌てて距離をとる。
「さと、何で半年でこんなに悪くなっちゃったの?」
ゆきは私に眼鏡を返し、私は視界を取り戻す。
「読書部だから、本を読みやすくなる様に、本の精靈に魔法で近くを見続ける呪いをかけられて、こんなに度がきつくなっちゃったの!」
「えっ、ははっ冗談?」
「そうそう。はははファンタジー。」
こう答えたが。これは、精靈以外は真実だとは、ゆきは思いもしないだろう。

そのうち、買出しに出かけていた皆が戻った。
祖父母は「良く来たな~」と喜んでくれた。
伯母は私の顔を見て、
「さっちゃん眼鏡かわいいゆきと姉妹みたい。」
と言った。

ゆきと私は、部屋でトランプをしながら、おしゃべりをした、話題は、恋愛である。
「さとはどうなの。好きな男子出来たの。」
「そうねぇ~、告白されそうになった。」
「え~、されそうってどういう事。」
「告白かなって予感がして、逃げたと言うか…」
「何で、好きじゃないタイプだったの?」
「うーん、違うかな。良い人だった。自分に自信がなくて、男子と付き合うとか良く理解できなくて。」
「そうなんだ、告白とか、それも、私先を越されたわ」
そう言うとゆきは私に覆いかぶさり、
「ずるいぞ~!」
と言って、脇をこちょこちょしてきた。
「くすぐったいよ、ゆきこそどうなのよ?」
ゆきは、私を解放すると、
「無い無い。誰か私を好きになれば良いのに。」
と言うから、2人でゲラゲラ笑った。
こう言う時間はあっという間に過ぎる。

年末年始はこうして、楽しい時間を過ごしたのであった。
















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