私は絶対間違った

Asagi

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26,デジャブ

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尚の家でのデートの翌日、お店で尚にタブレッドを探してもらった。7インチで、手頃なサイズだ。家のWiFiで通信できる様にセットして、尚とは家にいる時も、ラインで繋がることができる。
タブレッドであれば、両親から特に反対もされなかった。早速佳奈にも友達申請をした。
SNSの悪いところは、時間に際限がない事だ。
ベットで寝そうな時にも通知が来てつい見てしまう。気付くと目が冴えて、そのまま午前を回る事もあった。
寝る前で、コンタクトも外しているのでタブレッドを観るときの距離は、鼻先10cmで見る。眼睛疲労も肩こりも酷くなりそうだ。

コンタクトと言えば、最初に買った使い捨てコンタクトが無くなるので、新たに購入もした。
度数は、-8.50Dで同じだ。使い続けた事で日常生活では不便はなく、指の指紋も見える位に慣れていた。

夏休みも最終日だ、佳奈から家に来ないかと誘いがあった。行ってみると、
「さと、何か気づかない?」
「えっ、何急に?」
目をパチパチする佳奈

「あ~、目の色?紫?」
「正解!」
「カラコンどうしたの?」
「なんと、通販で買いました!」
「へえ、どうやって?」
「通販サイトで、注文して代引きにすれば大丈夫だよ。度数とか、数値はいつものままにすれば大丈夫だし。」
「良いな、私も着けてみたい。」
「そう言うと思って、おまけのサンプルをもらったから、着けてみてよ、ワン・デイだからさ。私の度数じゃさとには強すぎるかも知れないけど、少しなら大丈夫でしょ。」
佳奈は、サンプルレンズ2枚をくれた。
度数は、-5.00Dだ。私はすぐにでも着けてみたくなり、洗面所を借りて着けてみることにした。コンタクトケースに保存液を用意していると、洗面台の棚に度の強いメガネが置いてある事に気付く。五月女さんのお宅のデジャブなのだが、どうやら佳奈のお母さんのメガネに違いない。寝る前ににかけると言う分厚い眼鏡だ。私は、その誘惑に勝てない。自分の装着しているコンタクトを外しケースに収めると、そのメガネを手に取り目の近くで、観察する。
黒縁のスクエアのフレームで、レイバンと言うブランドだ。レンズの厚さが今まで見たどのメガネよりも厚い。セルフレームの枠をはみ出している。渦も相当出来ていて、光学機器みたいな印象だ。それを、かけた瞬間。
「あ~凄い見える。見やすい。」
鏡の中の私は、目が物凄く小さくなり私じゃないみたいだ。顔の輪郭も内側に入りすぎている。変だ。だが、魅力的である。鏡に見とれていると、少しづつ目が締め付けられる感覚が来る。やはり度数は今の私の目の状態より強いのだろう。
私は、メガネを元の位置に戻し、佳奈からもらったカラコンを着けた。
先ずは左目、あれ、度が付いてる?
右目装着。やはりだ、視界が晴れないのだ。
鏡にもっと近づくと、紫色の瞳の私が写っている。黒目の部分が少しズレているようで、目の向いている方向が不自然に感じた。。
また、距離を取ると鏡の私がぼやける。
「やっぱりだ、度が弱いんだ!」
自分の意思でやった過調節による近トレなのに、また足の力が抜ける様な感覚が襲う。だが、佳奈にカラコン姿を披露しなければ。

佳奈のもとに戻る。
「おー、さと似合うよ、韓国のアイドルか、魔法使いみたいだね。」
見えにくいので目を見開いたり細めたりしていた。
「さと、ごめん、やっぱり目に合わないのかな?滲みる?」
「う、うん大丈夫」
「でも、目に悪いから外して」
「そうだね、自分のコンタクトに交換してくる。」
「あっ、その前に写真撮らせて。」
そう言って2人で、写真を撮った。
後で見ると、私は目を細めていた。

自分のコンタクトに戻す為に、洗面所を借りた。カラコンを外し、もう一度、佳奈のお母さんのメガネを借りてかける。改めて思う。なんてクリアな視界なのだろう。ただ、世界が、湾曲している。私は、この視界に興奮を覚えた。外すのは惜しいが、今はとにかく視界をもとに戻す為に自分のコンタクトを装着する。眼鏡も元の位置に戻す。
「はあ、よく見える。」
私の目は、少しずつ確実に、コンタクトの度数に順応しているようだった。
その後は、お喋りして帰ったのだが、目の状態が気が気じゃなくソワソワしていた。

家に着くと、大急ぎでコンタクトを外し、金縁眼鏡を掛けてみた。
「全然見えない。」
その上から黒縁もかけてみた。大分ましにはなるのだが、まだぼやけている。
「私、どれだけド近眼になってんの?」
そう思うと、急に興奮し、尚とのキッスが脳裏に蘇って来た。何のトリガ-なのだろうか。関連性も分からない。自分でも理解出来ない。ただ、正体の分からない強い欲望に突き動かされてしまうのだ。
















 
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