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33.NEWメガネ
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スキー学習から帰ると、母が家で出迎えてくれた。関先生が母に、私がコンタクトを無くして、伊藤先生がメガネを貸してくれた事を、電話してくれたらしい。伊藤先生のメガネをかけた私の姿を見るなり、目を丸くして
「わー!可愛い似合う」
と褒めてくれた。母はこのメガネの強い度数の事はあまり気にならないのだろうか。
「良いね~、コンタクトやめてそう言うメガネにしたら?」
「そうだね。伊藤先生のメガネカワイイよね。明日は土曜日だから、月曜日に先生に、メガネを返してくれれば良いんだって。」
「そうなんだ、じゃあ、お礼にお菓子用意するから先生にお渡ししてね。」
「うん、わかった。疲れたから少し寝る!」
私は、メガネのまま部屋のベットで横になり、尚にラインを送ったり、鏡でメガネ姿をじっくり観察したりした。この機会なので自撮りして、このメガネ姿を記念に残した。
まどろみの中で、裕子からラインが届いた。
"コンタクトの事本当に、ごめんね。私バカ過ぎるよね。これからも友達でいて欲しいです"
「裕子ったら…気にしすぎ。」直ぐに返信した。
”気にしないで、でも、目の病気になっちゃうから他人のコンタクトはダメだよ。”
”本当にごめんなさい反省してます”
そのやり取りの後、私は、何か自分を鏡で見ているようで気持ちが悪くなった。他人のメガネに憧れ、しかも強い度数へのこだわりと、自らもそうありたいと言う誰にも明かせない悪癖を裕子に表現された様で、嘘を暴かれた時の後ろめたさだ。
後ろめたさを正当化する為に、本物になろうとする。それが、私の原動力だったのかもしれない。
そんな事を、思いながら、眠りに落ちていた。
翌日、目を覚ますと、もう周囲が明るくなっていた。私は、夕飯も食べず朝まで寝ていたらしい。しかも、伊藤先生のメガネをかけたまま寝ていたらしい。フレームに損傷がないと良いのだが…
起きてから直ぐ、私は、コンタクトを着けた。
「このバキバキの視界だよ~。」
やはり、よく見える。
両親は、それぞれ用事で外出していた。私は、思い立って、メガネ屋さんに行こうと決めた。
過去に行ったモールでは、メガネを作れなかったので、初めてのお店であれば、大丈夫だろう。
この日、大きな街へ電車で向かった。
以前、家族で食事をした時に見かけたお店だ。
お店は路面店で、お洒落なディスプレイがしてあって、中学生の立ち入るのは場違いに思えたが、値札を見ると、お小遣いの範囲であったので意を決して入店した。
沢山のフレームが置いてあった。母の勧めもあるので、鼈甲柄が良いかなと思い、色々かけ比べると、店員さんが声をかけてくれた。
「そちら、とてもお似合いですよ。」
高身長でスラッとした女性の店員さんで、ポニーテールがよく似合って、甘い香りがした。
「今は、コンタクトされてますか?」
「そうです。」
「当店は初めてのご来店でしたら、お度数をお測りしましょうか?今お使いのメガネはお持ちですか?」
「メガネは、持ってきて無いです。視力検査お願いします。」
「ちなみにコンタクトのお度数はいくつをお使いでしょうか。」
「-8.50Dです。」
店員さんは、一瞬少し目を大きくして、
「そうなんですね、それでは、フレームを先にお選びいただいた方が良いかもしれないですね。」
店員さんは、品の良い笑顔のままいくつかフレームを持ってきてくれた。
「お客様のお度数ですと、どうしてもレンズを通した時に目が小さく映ってしまいます。レンズの部分を小さくすると、目が小さく映るのを強調しない見せ方になるのでオススメです。また、レンズの厚みがフレーム内に収まり易くなります。」
「そうなんですね。」
そう言えば五月女さんもそんな事言っていた様な気がする。
私は、勧められた中から、茶色の鼈甲柄で、弦の部分が金色のメタルになっているフレームを手に取りかけた。
「お似合いですね。実は私も今日は、コンタクトですけど、強度近視なので、コチラと同じシリーズの色違い使ってます。とても掛け心地が良いですよ。」
「へ~、色違いも有るんですね。」
「今在庫が無いので、私ので良ければお見せしますね。」
そう言うと、ご自身のメガネを持ってきてくれた。確かに、レンズに渦が出来ているが、軽い度数のメガネに見えた。
「こちらは、縁が黒縁なんです。」
「うわ~これもお洒落ですね。」
店員さんが、実際にかけてくれた。
「あっ凄く素敵です。」
私は、照れながらも心の底から本音が出た。
「お客様失礼ですが、高校生ですか?」
「いえ、中学生です。」
「へ~、それは、失礼しました。とても雰囲気が大人びていらっしゃるので。」
私は、そう見えていることが嬉しかった。
この人と色違いのメガネを選んだ事が嬉しい。
「私、この茶色の方にします。」
「ありがとうございます。それでは、お度数を測りましょう。コンタクトを外して少し休んで頂いてからお測りします。」
私は、コンタクトを外すと、椅子に座り店内を眺めていた。ボヤボヤの視界で目を細めていた。すると、店員さんが、
「コンタクトのお度数から、想定して検眼用のメガネにレンズを入れて来ました。不便かと思いまして、お待ちの間こちらをかけて頂いてお待ち下さい。」
私は言われるがままそれをかける。
スッと視界が晴れた。外して、レンズの数値を見ると、-9.50Dとある。
「えっ、嘘、こんなに強い度数…」
私は動揺した。数値を見ると、自分の仕出かした事が恐ろしくなる。それ以上に、過調節が指摘されるのも嘘を暴露される様で恐ろしい。検眼すると、この前測った度数が出てしまうかも知れない。色々な事を考えていると、
「こちらへどうぞ。」
視力検査のランドル表の前に呼ばれた。
「普段、コンタクトの時の見え方はいかがですか?」
「はい、ちゃんと1.0見えます。」
「今、コンタクトの度数位にレンズを入れた状態です。見え方はいかがでしょうか?」
そう言って、0.5の段を指され答える。
そして、下の方までクリアしていくのだが、ついに1.0まで見えた。自分でも驚く。
「はい、大丈夫そうですね。それでは、こちらの、赤と緑はどちらが見やすいですか?」
これは、すでに予習済みの問題だ。なんと答えれば良いか迷った。本当は緑が見やすい。
「赤です。」
やはり私は、近視の霊に取り憑かれているのだ。
次に、乱視の有無を測る、放射状の図が描かれた表を見るが、所見無しとされた。
「オートレフもまだ診ていないで言うも難ですが、度数は、これで良さそうですね。でも、お度数が強い方は、その日の体調で変化が出るので、ちゃんとお測りしてからの方が良いのですが…」
私は、前回の反省を活かして切り出す。
「度数はこれで大丈夫です。ちゃんと見えるメガネが無くて、家でコンタクトを外してから困っているので。作って帰りたいです。」
ちょっと気迫がこもってしまった。
「承知しました。弊社のレンズは半年間度数変更を承っておりますので、掛けていて違和感が有れば、仰って下さい。レンズの在庫をお調べします。少々お待ちください」
そう言って、奥に入って行った。
暫くして戻ると、
「普段は、このお度数になると、取り寄せなのですが、たまたま、在庫がございます。ただ、超薄型レンズが無く、標準と超薄型の中間のレンズです。お値段は変わらないので、超薄型をオススメしますが、お急ぎであれば、今日お渡し出来ます。因みに私のメガネもこちらのレンズです。度数は、-7.00コンマなんです。結構目立たないですよね。」
私の答えは決まっていた。
「在庫のレンズで大丈夫です。」
フレームと、レンズが決まり、1時間程で出来上がるらしい。私は検眼用メガネのまま雑誌を読んで待つ。待ち遠しい。店員さんが声をかけてくれた。
「お客様は、小さい頃から、メガネをかけていらっしゃるのですか?」
「は、あ~、そうですね。」
この質問に対する答えは、非常に困る。
「そうですか、ご苦労されてたんですね。私は、中学生からメガネデビューをして、毎年レンズが分厚くなって、不安になっている時に、メガネ屋さんのお姉さんに親身になってもらって嬉しくて、お姉さんに憧れたのが今の仕事をしている理由なんですよ。」
「そうなんですか、素敵な出会いですね。」
「もし、良かったら何時でもお越しください。」
「ありがとうございます。」
その美談は、私の場合には当てはまらないが、とても嬉しい。
そして、ついに名前を呼ばれた。
ランドル表の前に用意された、赤いフェルトが貼られた箱に入った分厚いメガネ。
まさかこれが私のメガネ…
「お待たせしました、どうぞ掛けて見て下さい。」
私は、検眼用メガネを外して手渡し、そのメガネをかける。見える。さっきまでの検眼用メガネと度数は同じだが視界が広い分見え心地が良い。
「掛け心地調整します。」
そう言って、店員さんは弦と鼻当てを調整してくれた。
「あっ、凄く軽く感じます。」
やはり、プロの調節は凄い。私の顔にフィットした。
「見え方はいかがでしょうか?」
「大丈夫です。」
次に、鏡を見せられ
「かける位置は出来るだけ目に近い位置が、良いと思います。」
そう言って、また調節をしてくれた。
鏡に映る私は、まるで他人だ。メガネは可愛いのだが、レンズを通した部分だけ輪郭の向こう側が映り込んでいる。斜めに見ると、レンズの渦は、4重、5重にも見えて、佳奈のお母さんのメガネの域に達している。伊藤先生のメガネは、大分軽い度数にさえ見える。
「お似合いですよ~クールビューティですね。」
店員さんが褒めてくれるが、この姿は、誰にも見せられないかも知れない。
特に尚に見せたら、嫌われてしまいそうで怖くなった。
「もしお困りでしたら、お気軽に申し付け下さい。ありがとうございました。」
店員さんは最後まで素敵だった。
「わー!可愛い似合う」
と褒めてくれた。母はこのメガネの強い度数の事はあまり気にならないのだろうか。
「良いね~、コンタクトやめてそう言うメガネにしたら?」
「そうだね。伊藤先生のメガネカワイイよね。明日は土曜日だから、月曜日に先生に、メガネを返してくれれば良いんだって。」
「そうなんだ、じゃあ、お礼にお菓子用意するから先生にお渡ししてね。」
「うん、わかった。疲れたから少し寝る!」
私は、メガネのまま部屋のベットで横になり、尚にラインを送ったり、鏡でメガネ姿をじっくり観察したりした。この機会なので自撮りして、このメガネ姿を記念に残した。
まどろみの中で、裕子からラインが届いた。
"コンタクトの事本当に、ごめんね。私バカ過ぎるよね。これからも友達でいて欲しいです"
「裕子ったら…気にしすぎ。」直ぐに返信した。
”気にしないで、でも、目の病気になっちゃうから他人のコンタクトはダメだよ。”
”本当にごめんなさい反省してます”
そのやり取りの後、私は、何か自分を鏡で見ているようで気持ちが悪くなった。他人のメガネに憧れ、しかも強い度数へのこだわりと、自らもそうありたいと言う誰にも明かせない悪癖を裕子に表現された様で、嘘を暴かれた時の後ろめたさだ。
後ろめたさを正当化する為に、本物になろうとする。それが、私の原動力だったのかもしれない。
そんな事を、思いながら、眠りに落ちていた。
翌日、目を覚ますと、もう周囲が明るくなっていた。私は、夕飯も食べず朝まで寝ていたらしい。しかも、伊藤先生のメガネをかけたまま寝ていたらしい。フレームに損傷がないと良いのだが…
起きてから直ぐ、私は、コンタクトを着けた。
「このバキバキの視界だよ~。」
やはり、よく見える。
両親は、それぞれ用事で外出していた。私は、思い立って、メガネ屋さんに行こうと決めた。
過去に行ったモールでは、メガネを作れなかったので、初めてのお店であれば、大丈夫だろう。
この日、大きな街へ電車で向かった。
以前、家族で食事をした時に見かけたお店だ。
お店は路面店で、お洒落なディスプレイがしてあって、中学生の立ち入るのは場違いに思えたが、値札を見ると、お小遣いの範囲であったので意を決して入店した。
沢山のフレームが置いてあった。母の勧めもあるので、鼈甲柄が良いかなと思い、色々かけ比べると、店員さんが声をかけてくれた。
「そちら、とてもお似合いですよ。」
高身長でスラッとした女性の店員さんで、ポニーテールがよく似合って、甘い香りがした。
「今は、コンタクトされてますか?」
「そうです。」
「当店は初めてのご来店でしたら、お度数をお測りしましょうか?今お使いのメガネはお持ちですか?」
「メガネは、持ってきて無いです。視力検査お願いします。」
「ちなみにコンタクトのお度数はいくつをお使いでしょうか。」
「-8.50Dです。」
店員さんは、一瞬少し目を大きくして、
「そうなんですね、それでは、フレームを先にお選びいただいた方が良いかもしれないですね。」
店員さんは、品の良い笑顔のままいくつかフレームを持ってきてくれた。
「お客様のお度数ですと、どうしてもレンズを通した時に目が小さく映ってしまいます。レンズの部分を小さくすると、目が小さく映るのを強調しない見せ方になるのでオススメです。また、レンズの厚みがフレーム内に収まり易くなります。」
「そうなんですね。」
そう言えば五月女さんもそんな事言っていた様な気がする。
私は、勧められた中から、茶色の鼈甲柄で、弦の部分が金色のメタルになっているフレームを手に取りかけた。
「お似合いですね。実は私も今日は、コンタクトですけど、強度近視なので、コチラと同じシリーズの色違い使ってます。とても掛け心地が良いですよ。」
「へ~、色違いも有るんですね。」
「今在庫が無いので、私ので良ければお見せしますね。」
そう言うと、ご自身のメガネを持ってきてくれた。確かに、レンズに渦が出来ているが、軽い度数のメガネに見えた。
「こちらは、縁が黒縁なんです。」
「うわ~これもお洒落ですね。」
店員さんが、実際にかけてくれた。
「あっ凄く素敵です。」
私は、照れながらも心の底から本音が出た。
「お客様失礼ですが、高校生ですか?」
「いえ、中学生です。」
「へ~、それは、失礼しました。とても雰囲気が大人びていらっしゃるので。」
私は、そう見えていることが嬉しかった。
この人と色違いのメガネを選んだ事が嬉しい。
「私、この茶色の方にします。」
「ありがとうございます。それでは、お度数を測りましょう。コンタクトを外して少し休んで頂いてからお測りします。」
私は、コンタクトを外すと、椅子に座り店内を眺めていた。ボヤボヤの視界で目を細めていた。すると、店員さんが、
「コンタクトのお度数から、想定して検眼用のメガネにレンズを入れて来ました。不便かと思いまして、お待ちの間こちらをかけて頂いてお待ち下さい。」
私は言われるがままそれをかける。
スッと視界が晴れた。外して、レンズの数値を見ると、-9.50Dとある。
「えっ、嘘、こんなに強い度数…」
私は動揺した。数値を見ると、自分の仕出かした事が恐ろしくなる。それ以上に、過調節が指摘されるのも嘘を暴露される様で恐ろしい。検眼すると、この前測った度数が出てしまうかも知れない。色々な事を考えていると、
「こちらへどうぞ。」
視力検査のランドル表の前に呼ばれた。
「普段、コンタクトの時の見え方はいかがですか?」
「はい、ちゃんと1.0見えます。」
「今、コンタクトの度数位にレンズを入れた状態です。見え方はいかがでしょうか?」
そう言って、0.5の段を指され答える。
そして、下の方までクリアしていくのだが、ついに1.0まで見えた。自分でも驚く。
「はい、大丈夫そうですね。それでは、こちらの、赤と緑はどちらが見やすいですか?」
これは、すでに予習済みの問題だ。なんと答えれば良いか迷った。本当は緑が見やすい。
「赤です。」
やはり私は、近視の霊に取り憑かれているのだ。
次に、乱視の有無を測る、放射状の図が描かれた表を見るが、所見無しとされた。
「オートレフもまだ診ていないで言うも難ですが、度数は、これで良さそうですね。でも、お度数が強い方は、その日の体調で変化が出るので、ちゃんとお測りしてからの方が良いのですが…」
私は、前回の反省を活かして切り出す。
「度数はこれで大丈夫です。ちゃんと見えるメガネが無くて、家でコンタクトを外してから困っているので。作って帰りたいです。」
ちょっと気迫がこもってしまった。
「承知しました。弊社のレンズは半年間度数変更を承っておりますので、掛けていて違和感が有れば、仰って下さい。レンズの在庫をお調べします。少々お待ちください」
そう言って、奥に入って行った。
暫くして戻ると、
「普段は、このお度数になると、取り寄せなのですが、たまたま、在庫がございます。ただ、超薄型レンズが無く、標準と超薄型の中間のレンズです。お値段は変わらないので、超薄型をオススメしますが、お急ぎであれば、今日お渡し出来ます。因みに私のメガネもこちらのレンズです。度数は、-7.00コンマなんです。結構目立たないですよね。」
私の答えは決まっていた。
「在庫のレンズで大丈夫です。」
フレームと、レンズが決まり、1時間程で出来上がるらしい。私は検眼用メガネのまま雑誌を読んで待つ。待ち遠しい。店員さんが声をかけてくれた。
「お客様は、小さい頃から、メガネをかけていらっしゃるのですか?」
「は、あ~、そうですね。」
この質問に対する答えは、非常に困る。
「そうですか、ご苦労されてたんですね。私は、中学生からメガネデビューをして、毎年レンズが分厚くなって、不安になっている時に、メガネ屋さんのお姉さんに親身になってもらって嬉しくて、お姉さんに憧れたのが今の仕事をしている理由なんですよ。」
「そうなんですか、素敵な出会いですね。」
「もし、良かったら何時でもお越しください。」
「ありがとうございます。」
その美談は、私の場合には当てはまらないが、とても嬉しい。
そして、ついに名前を呼ばれた。
ランドル表の前に用意された、赤いフェルトが貼られた箱に入った分厚いメガネ。
まさかこれが私のメガネ…
「お待たせしました、どうぞ掛けて見て下さい。」
私は、検眼用メガネを外して手渡し、そのメガネをかける。見える。さっきまでの検眼用メガネと度数は同じだが視界が広い分見え心地が良い。
「掛け心地調整します。」
そう言って、店員さんは弦と鼻当てを調整してくれた。
「あっ、凄く軽く感じます。」
やはり、プロの調節は凄い。私の顔にフィットした。
「見え方はいかがでしょうか?」
「大丈夫です。」
次に、鏡を見せられ
「かける位置は出来るだけ目に近い位置が、良いと思います。」
そう言って、また調節をしてくれた。
鏡に映る私は、まるで他人だ。メガネは可愛いのだが、レンズを通した部分だけ輪郭の向こう側が映り込んでいる。斜めに見ると、レンズの渦は、4重、5重にも見えて、佳奈のお母さんのメガネの域に達している。伊藤先生のメガネは、大分軽い度数にさえ見える。
「お似合いですよ~クールビューティですね。」
店員さんが褒めてくれるが、この姿は、誰にも見せられないかも知れない。
特に尚に見せたら、嫌われてしまいそうで怖くなった。
「もしお困りでしたら、お気軽に申し付け下さい。ありがとうございました。」
店員さんは最後まで素敵だった。
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