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旦那様と対面する筈が…。
しおりを挟む国王様から急な呼び出しのお詫びにと食事の席を設けてくださった。だが、わたしがドアを開くとそこにはフィードル。いえ、彼の姿が無かった。
招集に元平民出身の彼が来ないなんて事は異例であり、国王様の表情は険しかった。
「アドルフさん……フィードルは、要らしてませんの?」
国王様の付き人である傭兵にわたしは問い掛ける。
「えぇ、彼はそれよりも重要な事があると言って出られませんでした。それと貴方の旦那様から手紙を預かってます」
目の前に広げられる手の付けられずにある大量の料理。そして……
お前が全て一人で片付けろ。俺の嫁なんだからそれくらい出来て当然だよな? 後、今後俺は家には帰らないから。
と記された手紙だった。
まるでわたしはもう必要無いと。ただの道具として扱われてると感じる内容にショックを受ける。
貴族娘がそんなに憎いのか。
確かに彼とは価値観も育ちも違うのかもしれない。でも、あなたを愛するという感情だけは貴方と一緒だった筈。それともあの時の彼も嘘だと言うのかしら。
貴方は、全然分かってないわ。貴族の何たるかを。国王様の招集を断れば、それ相応の報いを受けるということになるという事を。
そして……婚約という言葉の意味を。
「も……申し訳ありません。国王様、旦那にはわたしから言っとくので……」
煮えくり返りそうな怒りを抑え、先ずは国王様の怒りを沈みることに尽力する。彼の処分はそれからだ。
「分かった。今回の事は君に任せるとしよう。父親の名誉に泥を塗るような行為だけはするなよミッシェル家の娘よ」
「国王様の寛大なるお言葉、有り難き幸せです」
国王様との話し合いが終わるとその足で押し寄せる感情を沈めながら屋敷に戻る。
部屋に戻ると彼に対してどう復讐してやろうかと一人で考える。
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