14 / 44
図書室ではお静かに
しおりを挟む
図書室にはクロードというメガネをかけた司書がいる。いつも暇そうだが、今日は珍しく忙しいようで、呼び止められた。
「おー!セオドア、良い所に来た。頼みがある。しばらくここにいてくれないか!?用事を済ましたら、すぐ来るから!」
「えっ……いや、俺は陛下からリアン様の興味がありそうな本がみつかったから、図書室に置いておくように言われただけで、長居は……」
頼むよーと拝まれて、仕方なく少しの間だけ居ることにした。どうせこの時間に利用者はあまりいないだろうから居るだけになる。
いつもクロードが座っているカウンター席に座り、ボンヤリ本を眺める。こうしてみると膨大な数の本があるな。
扉が開いた。入ってきたのは掃除係のメイド?と思ったらアナベルだった。前が見えないほど本を手に持ってよろけつつ、歩いてくる。
あれリアン様が読んだのか?相変わらず、すごい読書量だな。
前が見えないと危ないだろうと立ち上がって、手伝いに行く。後数歩でと近づいた瞬間、図書室の床につまずいて『キャッ』と小さく悲鳴をあげ、アナベルが転びかけ、本が崩れる。オレは咄嗟に床を蹴った。
危ない!と抱きとめる。本はバサッドサッと床に落ちる。でもアナベルはかろうじて転ばずにすんだ。俺の腕の中にいる。
「……大丈夫か?」
「え?あっ!?セオドア様!?」
「一度にあの量の本は危ない」
俺の顔を見て、驚く。頬が赤くなってくる。なぜ赤らめているのだろう?
「あの……えっと………ありがとうございます……でも……離して頂けますか?」
ずっと抱きしめるような形だったことに気づく。
「あ、すまない」
「いえ……助けてくださりありがとうございます」
手を離すと、なんだろうか?物足りないような?そんな変な気持ちになる。アナベルは胸のあたりでギュッと拳を作って、こちらを見てくれない。
「いやー!セオドア、ごめんごめん!遅くなって………?」
その時、クロードが突然帰ってきた。俺とアナベルの雰囲気に首を傾げる。
「なにかあったのかい?本が散らばってるけど?」
「なんでもありませんっ!わたしが本を持ちすぎてしまって、落としてしまったんです!」
散乱した本を拾いながらクロードに慌てて、そう答えるアナベル。その説明は確かに間違いではないなと俺も本を拾う。
クロード、もう少し遅くなっても良かったのにと思ってしまったのだった。
こちらを見てくれないアナベルに言葉をかけようとしたが、忙しなく動き、リアン様が必要な本を持って、失礼します!と小走りにいなくなった。
「まさか、セオドア、なんか変なことをしたんじゃないよな?」
クロードがアナベルを見送り、俺に尋ねてきた。
「してない」
してないと思う。
「だよなぁ。おまえに限って、そんなことないよな。陛下にしか興味が無いしな!陛下一筋!陛下ラブ!だもんなー」
「誤解を生むようなことを言うな。クロード、後悔するぞ?」
ごめんごめーんと謝ってるが、からかうのが楽しいとばかりに顔が笑ってる。一回シメてふざけないようにしてやろうか?そんな気持ちになる。
クロードに構ってる場合ではなく、陛下の護衛に戻ろう。廊下に出ると、フッと後宮の方向を一度だけ振り返ってしまったのだった。
「おー!セオドア、良い所に来た。頼みがある。しばらくここにいてくれないか!?用事を済ましたら、すぐ来るから!」
「えっ……いや、俺は陛下からリアン様の興味がありそうな本がみつかったから、図書室に置いておくように言われただけで、長居は……」
頼むよーと拝まれて、仕方なく少しの間だけ居ることにした。どうせこの時間に利用者はあまりいないだろうから居るだけになる。
いつもクロードが座っているカウンター席に座り、ボンヤリ本を眺める。こうしてみると膨大な数の本があるな。
扉が開いた。入ってきたのは掃除係のメイド?と思ったらアナベルだった。前が見えないほど本を手に持ってよろけつつ、歩いてくる。
あれリアン様が読んだのか?相変わらず、すごい読書量だな。
前が見えないと危ないだろうと立ち上がって、手伝いに行く。後数歩でと近づいた瞬間、図書室の床につまずいて『キャッ』と小さく悲鳴をあげ、アナベルが転びかけ、本が崩れる。オレは咄嗟に床を蹴った。
危ない!と抱きとめる。本はバサッドサッと床に落ちる。でもアナベルはかろうじて転ばずにすんだ。俺の腕の中にいる。
「……大丈夫か?」
「え?あっ!?セオドア様!?」
「一度にあの量の本は危ない」
俺の顔を見て、驚く。頬が赤くなってくる。なぜ赤らめているのだろう?
「あの……えっと………ありがとうございます……でも……離して頂けますか?」
ずっと抱きしめるような形だったことに気づく。
「あ、すまない」
「いえ……助けてくださりありがとうございます」
手を離すと、なんだろうか?物足りないような?そんな変な気持ちになる。アナベルは胸のあたりでギュッと拳を作って、こちらを見てくれない。
「いやー!セオドア、ごめんごめん!遅くなって………?」
その時、クロードが突然帰ってきた。俺とアナベルの雰囲気に首を傾げる。
「なにかあったのかい?本が散らばってるけど?」
「なんでもありませんっ!わたしが本を持ちすぎてしまって、落としてしまったんです!」
散乱した本を拾いながらクロードに慌てて、そう答えるアナベル。その説明は確かに間違いではないなと俺も本を拾う。
クロード、もう少し遅くなっても良かったのにと思ってしまったのだった。
こちらを見てくれないアナベルに言葉をかけようとしたが、忙しなく動き、リアン様が必要な本を持って、失礼します!と小走りにいなくなった。
「まさか、セオドア、なんか変なことをしたんじゃないよな?」
クロードがアナベルを見送り、俺に尋ねてきた。
「してない」
してないと思う。
「だよなぁ。おまえに限って、そんなことないよな。陛下にしか興味が無いしな!陛下一筋!陛下ラブ!だもんなー」
「誤解を生むようなことを言うな。クロード、後悔するぞ?」
ごめんごめーんと謝ってるが、からかうのが楽しいとばかりに顔が笑ってる。一回シメてふざけないようにしてやろうか?そんな気持ちになる。
クロードに構ってる場合ではなく、陛下の護衛に戻ろう。廊下に出ると、フッと後宮の方向を一度だけ振り返ってしまったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
閉じ込められた未亡人は、当主となった義息と契約する。
黒蜜きな粉
恋愛
借金の肩代わりとして後妻に入った私は、
妻と呼ばれながら屋敷の離れで「いないもの」として暮らしていた。
ある雪の日、夫が事故死したと告げられる。
だが、葬儀に出ることすら許されず、私は部屋に閉じ込められた。
新たに当主となった継子は言う。
外へ出れば君は利用され奪われる、と。
それが保護であり、同時に支配なのだと理解したとき、
私はその庇護を条件付きの契約に変えることを選ぶ。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
わたしたちの庭
犬飼ハルノ
恋愛
『夜明けになるまで絶対に寝室の扉を開けないで』
未来の義母が告げたのは奇妙な夜の掟だった。
父に売られる形でブルーノ伯爵子息の婚約者になったフィリスの物語。
ヒロインのフィリスが自らの力と周囲の人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、しばらくは暗く重い展開です。
タグを途中から追加します。
他サイトでも公開中。
惚れ薬を自作して敬愛する騎士団長に飲ませたら、なぜか天敵の副団長が一晩中私を口説いてきました
藤森瑠璃香
恋愛
宮廷魔術師の私には、密かに想いを寄せる騎士団長がいる。彼のために自作した惚れ薬を夜会の酒杯に忍ばせる…までは完璧な計画だったのに、その酒杯をぐいっと飲み干したのは、よりにもよって私の天敵である副団長のザカリー様だった! 普段は皮肉屋で私に意地悪ばかりしてくる彼が、「ずっと君だけを見ていた」なんて熱っぽい瞳で囁いてくる。薬の効果は明日の朝日が昇るまで。一晩だけの甘い悪夢だとわかっているのに、普段の彼からは想像もできない優しいキスに、私の心臓はうるさくて…。薬のせいだと割り切りたい一夜のドタバタラブコメディ。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる