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後宮から追い出されることになる王妃とメイド
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戦に勝利して帰ってきたがウィルバート様の機嫌が悪い。完全に以前の『獅子王』と呼ばれていた時に戻っている。戦についていったリアン様が倒れられてしまい、寝込んでいると聞いた。
「陛下、戦後の処理の報告ですが……」
「そこ置いとけ」
文官がハイイイイ!と高い声を出し、書類を置いてすばやく立ち去る。
「陛下、怖がってますよ」
俺の一言にジロリと視線だけこちらにやる。
「怖がらせた覚えはない」
空気が重い。重すぎる。なんだろうか。リアン様の具合はそんなに悪いとは聞いていない。疲れだろうという診断だった。
余計なことは口にしないほうが良いかと、自分の仕事へ戻る。
その後、陛下は無言で立ち上がって、後宮へ行ってくると告げていなくなる。様子を見に行ったのだろうか?
なんだろう?戦に勝利して嬉しい安心したという雰囲気が陛下から感じられない。
そしてアナベルはリアン様に会って、ホッとする間もなく、看病をしている。
しばらくして帰ってきた陛下は無言で部屋に入る。その途端、部屋からガシャンッと何か落とした音がした。慌ててドアに手をかけると……。
「入るな!」
鋭く苛立った声がした。……なんだ?何があった?入るなと言われたからには入れない。
後宮でなにかあったのでは?気になり、バッと身を翻して、後宮の方へ向う。後宮の中には陛下の許可なく入れない。行ったところで無駄かもしれないと思った時、アナベルに出会った。
「セオドア様……」
涙目だ。顔面蒼白で震えている。
「なにがあった!?」
「陛下はリアン様と離縁すると言うのです」
「は!?何を馬鹿な!?あんなにリアン様に執着してるのにそんなわけないだろう!?」
あり得ない。他の男が近づこうものならば、たたっ斬るくらい簡単にするぞ!アナベルやリアン様の前では出さない陛下を知ってるからこそ言える。それくらい愛していると思う。
「それで、わたしとリアン様はクラーク家に戻ります。セオドア様、短い間でしたが護衛をして頂き、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
「リアン様は男なら……かなりの武勲を手に入れてた程のことを成し遂げてる……陛下は一体どういうおつもりなんだろう」
思わず陛下に疑問を抱いて言葉にしてしまう。アナベルが両手を組んでギュッと握りしめる。そして、思い切ったように言う。
「陛下に怒られてしまい、離縁を申し渡されて、お嬢様は辛い様子でした。不敬を覚悟で言います!抗議します!お会いしてもいいでしょうか!?」
………今はだめだろう。ウィルバート様はかなり激怒している。いったいそこまで怒らせたのはなんなのかわからないが。
「いや、やめたほうがいい。今の陛下はダメだ。かなり荒れている」
「そうですか。そうですよね……いちメイドが身分をわきまえずに申し訳ありません」
アナベルはもう一度、一礼し、暗い顔をして横を通り過ぎようとした。リアン様が王宮からいなくなるということはアナベルもいなくなるんだな……。
フッとその手を掴もうとピクリと右手が動いた。
だけどできなかった。引き止めてなんて言うんだ?行かないでくれと言ったところで、なぜなのか?と問われても困る。そして彼女は絶対に大切なリアン様から離れないこともわかってる。
意外とあっさりとこんな形で、もう会えなくなるんだな。茶色の髪をしたメイドはこちらを振り返らなかった。
「陛下、戦後の処理の報告ですが……」
「そこ置いとけ」
文官がハイイイイ!と高い声を出し、書類を置いてすばやく立ち去る。
「陛下、怖がってますよ」
俺の一言にジロリと視線だけこちらにやる。
「怖がらせた覚えはない」
空気が重い。重すぎる。なんだろうか。リアン様の具合はそんなに悪いとは聞いていない。疲れだろうという診断だった。
余計なことは口にしないほうが良いかと、自分の仕事へ戻る。
その後、陛下は無言で立ち上がって、後宮へ行ってくると告げていなくなる。様子を見に行ったのだろうか?
なんだろう?戦に勝利して嬉しい安心したという雰囲気が陛下から感じられない。
そしてアナベルはリアン様に会って、ホッとする間もなく、看病をしている。
しばらくして帰ってきた陛下は無言で部屋に入る。その途端、部屋からガシャンッと何か落とした音がした。慌ててドアに手をかけると……。
「入るな!」
鋭く苛立った声がした。……なんだ?何があった?入るなと言われたからには入れない。
後宮でなにかあったのでは?気になり、バッと身を翻して、後宮の方へ向う。後宮の中には陛下の許可なく入れない。行ったところで無駄かもしれないと思った時、アナベルに出会った。
「セオドア様……」
涙目だ。顔面蒼白で震えている。
「なにがあった!?」
「陛下はリアン様と離縁すると言うのです」
「は!?何を馬鹿な!?あんなにリアン様に執着してるのにそんなわけないだろう!?」
あり得ない。他の男が近づこうものならば、たたっ斬るくらい簡単にするぞ!アナベルやリアン様の前では出さない陛下を知ってるからこそ言える。それくらい愛していると思う。
「それで、わたしとリアン様はクラーク家に戻ります。セオドア様、短い間でしたが護衛をして頂き、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
「リアン様は男なら……かなりの武勲を手に入れてた程のことを成し遂げてる……陛下は一体どういうおつもりなんだろう」
思わず陛下に疑問を抱いて言葉にしてしまう。アナベルが両手を組んでギュッと握りしめる。そして、思い切ったように言う。
「陛下に怒られてしまい、離縁を申し渡されて、お嬢様は辛い様子でした。不敬を覚悟で言います!抗議します!お会いしてもいいでしょうか!?」
………今はだめだろう。ウィルバート様はかなり激怒している。いったいそこまで怒らせたのはなんなのかわからないが。
「いや、やめたほうがいい。今の陛下はダメだ。かなり荒れている」
「そうですか。そうですよね……いちメイドが身分をわきまえずに申し訳ありません」
アナベルはもう一度、一礼し、暗い顔をして横を通り過ぎようとした。リアン様が王宮からいなくなるということはアナベルもいなくなるんだな……。
フッとその手を掴もうとピクリと右手が動いた。
だけどできなかった。引き止めてなんて言うんだ?行かないでくれと言ったところで、なぜなのか?と問われても困る。そして彼女は絶対に大切なリアン様から離れないこともわかってる。
意外とあっさりとこんな形で、もう会えなくなるんだな。茶色の髪をしたメイドはこちらを振り返らなかった。
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