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新しい料理人
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『花葉亭』の料理長は少し緊張していた。
「その人物、知っていますよ!王都で変わったものを!新しいものを!食べたいなら、そのレストランへ行け!と言われるくらい有名な料理人です」
献立会議中に私は宿泊客に新しい海辺の旅館『海鳴亭』の料理長にスカウトした……というより、以前からの知り合いで『新しい料理人を探している』と相談したところ、自ら名乗りをあげてくれたのだ。
祖父御用達の料理人で、ゼキ=バルカンに紹介されて以来、私も味噌、醤油の仕入れや作り方などでずっとお世話になっていた。
自分のレストランを持っていたのに悪い気がしたが、来てくれるなら、とても心強い。
しかも『花葉亭』の味を大切にしたい言ってくれ、旅館に宿泊兼こっちの料理長とメニューや味付けについて話をしたいとのことだった。
馬車が着いた。
とりあえずお客様として、くつろぎ、楽しんでもらう。
「ようこそ!いらっしゃいませ」
馬車から降りてきたのは、恰幅の良い中年女性。ドーンと貫禄のある人だ。もう見るからに美味しいもの好き!作ることも好き!という雰囲気がでている。
「セイラ悪いわね!旅館に泊りたいなんて言って!」
アハハと楽しげに笑う彼女はレイチェル=ベイカーという。
「いえいえ、こちらこそ、いつもお世話になっています。荷物お預かりします」
ありがとうと少ない荷物を渡す。
「これ、なんて言ったっけ」
「提灯ですか?」
「そう!それそれ!」
インテリアにも興味があるらしい。祖父に少し見せて貰ったことがあると言う。
「シンはどこか不思議なやつだったね。見たことない調味料に食べたことのない料理を頼まれて……でもそのおかけであたしも王都で有名料理人になったんだけどねぇ」
歩きながら、私の造る旅館も不思議な雰囲気で似ていると言う。なかなか鋭い人だ。
「どうぞ季節のお茶菓子です」
柏の葉を巻いたお餅……ミニかしわ餅をお茶と共に出す。
「うん!葉の香りともちもちとした食感がいいね」
美味しそうに食べている。おかわりもらえる!?と言われて2個ほど追加で持ってくる。ゆっくりまったりとは程遠い人らしく、味わって食べ終わるとすぐ立ち上がり、お風呂!とバタバタ用意し始めた。
「働き者なのが、わかりますわ。じゃあ、お風呂を楽しんでくださいね。また何かあったらお呼びください」
「ん!オッケー。温泉もめちゃくちゃ楽しみだったのよ!」
明るくそう言うと私に手を振る。
ホカホカな彼女と出会ったのは夕食の席でだった。
「最高ね!長年の職業病だった腰痛が、なんだか和らいでるのよ。すごいわ。後、ハーブのお風呂の香りがいいわ。少し温めにお湯を設定してあるでしょ?うたた寝を一瞬しちゃったわよ!」
スタッフに溺れますよーと起こされたらしい。
「あたしったらイヤね、つい気持ち良すぎて」
アハハッと笑う。私もしてしまうことありますと同意するとやっぱり!?と嬉しそうだ。
「こちらが本日のお品書きです」
手元の紙に目を通すレイチェルはいきなり真顔になった。料理人の顔つきだ。
「ふぅん……なるほど。楽しみね!」
「食前酒はさくらんぼ酒です」
小さなグラスに入ったピンクのお酒を飲んで、美味しいわと頷く。
「豆腐をサーモンで巻いたもの、チーズを味噌で漬けたもの、新タマネギと甘エビの揚げたもの、卵の小さなお寿司、……前菜となってます」
へぇ!小さなお皿に少しずつ盛り付けてあって可愛いと頷く。
「ナシュレ風のポトフです」
「地元の料理もいれてるのね」
フムフムとメモもしっかりとっている。
「とても熱心ですね……レイチェルさんのオリジナルでいくのかと思ってました。それに引き受けてくれたことに驚きました」
「あたし、男に負けない料理人になりたかったのよ。でも料理人の世界は男性社会でしょう。若い時、貴族の家で料理人として雇われはしたけど、メニューを考えさせてもらうことなんてなかったわ」
私は静かに話を聞く。
「そんな時、シン=バシュレに出会って、作ってみないか?と声をかけられたのよ。ニホン料理をね」
「なるほど!」
祖父は自分が食べたい気持ちもあっただろうが……夢を追いかけているレイチェルを応援するつもりもあったのかもしれない。
「そこから少しずつ周りが女でも認めてくれるようになったわ。女でもなかなかやるな!ってね……だからシンに恩返しするつもりで、あなたの案にのったのよ。でもね、本音はこの歳にだけど、挑戦したい気持ちもあるの」
「何歳になっても挑戦したい気持ちは大事だと思います」
「そうでしょ?それが若く生きるコツよね!」
いつも未来を向いて、自分の成長の可能性を信じる彼女だからこそ、他の料理人の意見を聞き、創意工夫し、努力し、挑戦するモチベーションを保てるのだろう。良い生き方で見本にしたいなと思った。
「あ!これが有名な茶碗蒸しね。うん!ツルトロでおいしー!」
料理の一つ一つに感動をしている。
一区切りついた料理長が、少し緊張してレイチェルのテーブルに顔を出した。
「ど、どうですか!?」
料理長の緊張はどこへやら、ニンマリとレイチェルが笑う。
「最高ね!良い腕してるわ」
「本当ですか!?」
レイチェルが続けて料理長に言った。
「レストランはとりあえず閉店して、お得意様には『海鳴亭』へ行くことは言ったのよ。本格的な旅館の開店までの1ヶ月!ここで修行するわ!」
「ええええええ!?」
料理長が驚愕の声を上げるとレイチェルはお世話になりますと返事を聞かずに言う。
「ま、まぁ……料理長、よろしく頼むわね。確かに旅館で提供する料理に関しては料理長のほうか先輩なんだし……ねっ?」
ポンッと肩を叩くと手に持っていたコック帽をモシャモシャして、動揺を隠せずにいる。
「お互い良い刺激となって、美味しいもの頼むわね」
レイチェルが任せて!とはりきっている。
「よろしくお願いします!」
「こっちこそよ!よろしくお願いします」
頭を下げないでくださいよっ!というようなやり取りを見つつ、私は『海鳴亭』オープンがますます楽しみになった。
しばらくして、試作品を食べてみてと言われ、ふくよかな手から生み出されるとは思えない繊細な料理を目にして私は驚く。
味噌ベースに作られたソースが白いお皿に模様の様に書かれて牛肉をつけて食べる。
「これは『海鳴亭』そばの放牧場で育った牛です」
「うん。柔らかいわ」
「『地産地消』が女将の要望と聞いたので、なるべく使うようにしたいと思うのだけど……ナシュレの農家の生産能力は素晴らしい!あれも女将の領主をしていたときの指示と聞いて……」
「けっこう大規模になってきたから、大変よ。今はリヴィオがそっちを担当してくれてるから楽だけど……あ!リヴィオー!」
ちょうど帰ってきたリヴィオに声をかける。
「なんだ?美味そうなの食べてるなー」
「これ『海鳴亭』で提供しようとしてる試作メニューなのよ」
ヒョイッと私のフォークでつまみ食いする。
「へー!うまい!味噌ソースか。いいな。味噌ってなんか懐かしい味だよなぁ。ホ。かさッとするというか……何か思い出すような……そう!『記憶に残る味』だな」
マドレーヌで言うプルースト効果ね……ってリヴィオは何を思い出すの?と聞こうとしたが、レイチェルが先にリヴィオに声をかけた。
「セイラがシンに似てると思ったけれど……どちらかと言えばリヴィオさんの方が似てる気がするねぇ。シンもよく記憶に残る味だよなと言っていたわ!」
本当は私と血が繋がっていないと言いにくくなってしまった。お祖父様とリヴィオが似てると……そういえば以前にアオも言っていたことを思い出す。
「はあ?オレは間違いなく……」
「あ!そんな意味ではなく、あなたが公爵家三男というのは有名で知ってるけど、性格的というか雰囲気的なものというか……」
なにで有名なんだよ?とリヴィオは半眼になっている。
「娘って父親に似た人と結婚すると言うけど、私はどちらかと言えば祖父が父役だったから、ジジコンプレックスかもしれないわね」
アハハッと私は笑い飛ばした。
もしかしたらお祖父様はクラスメイトのシンヤ君かもしれないが、お互いに喋ったこともなく、存在もあまり知らなかった私にとってはどちらかといえばシンヤ君というより祖父という認識のほうが強い。
「喜ぶべきか嫌がるべきか……なんか反応に困るな」
リヴィオがそう呟く。
レイチェルが少し寂しい笑顏で言った。
「シンがいなくなって寂しいね。問題も起こすやつだったけど、なんだかいると心強くて楽しくてね。会えるものならまた会いたいと思うよ」
また……料理を食べて、うまいって言ってほしかったねぇと彼女は遠くをみつめるのだった。
「その人物、知っていますよ!王都で変わったものを!新しいものを!食べたいなら、そのレストランへ行け!と言われるくらい有名な料理人です」
献立会議中に私は宿泊客に新しい海辺の旅館『海鳴亭』の料理長にスカウトした……というより、以前からの知り合いで『新しい料理人を探している』と相談したところ、自ら名乗りをあげてくれたのだ。
祖父御用達の料理人で、ゼキ=バルカンに紹介されて以来、私も味噌、醤油の仕入れや作り方などでずっとお世話になっていた。
自分のレストランを持っていたのに悪い気がしたが、来てくれるなら、とても心強い。
しかも『花葉亭』の味を大切にしたい言ってくれ、旅館に宿泊兼こっちの料理長とメニューや味付けについて話をしたいとのことだった。
馬車が着いた。
とりあえずお客様として、くつろぎ、楽しんでもらう。
「ようこそ!いらっしゃいませ」
馬車から降りてきたのは、恰幅の良い中年女性。ドーンと貫禄のある人だ。もう見るからに美味しいもの好き!作ることも好き!という雰囲気がでている。
「セイラ悪いわね!旅館に泊りたいなんて言って!」
アハハと楽しげに笑う彼女はレイチェル=ベイカーという。
「いえいえ、こちらこそ、いつもお世話になっています。荷物お預かりします」
ありがとうと少ない荷物を渡す。
「これ、なんて言ったっけ」
「提灯ですか?」
「そう!それそれ!」
インテリアにも興味があるらしい。祖父に少し見せて貰ったことがあると言う。
「シンはどこか不思議なやつだったね。見たことない調味料に食べたことのない料理を頼まれて……でもそのおかけであたしも王都で有名料理人になったんだけどねぇ」
歩きながら、私の造る旅館も不思議な雰囲気で似ていると言う。なかなか鋭い人だ。
「どうぞ季節のお茶菓子です」
柏の葉を巻いたお餅……ミニかしわ餅をお茶と共に出す。
「うん!葉の香りともちもちとした食感がいいね」
美味しそうに食べている。おかわりもらえる!?と言われて2個ほど追加で持ってくる。ゆっくりまったりとは程遠い人らしく、味わって食べ終わるとすぐ立ち上がり、お風呂!とバタバタ用意し始めた。
「働き者なのが、わかりますわ。じゃあ、お風呂を楽しんでくださいね。また何かあったらお呼びください」
「ん!オッケー。温泉もめちゃくちゃ楽しみだったのよ!」
明るくそう言うと私に手を振る。
ホカホカな彼女と出会ったのは夕食の席でだった。
「最高ね!長年の職業病だった腰痛が、なんだか和らいでるのよ。すごいわ。後、ハーブのお風呂の香りがいいわ。少し温めにお湯を設定してあるでしょ?うたた寝を一瞬しちゃったわよ!」
スタッフに溺れますよーと起こされたらしい。
「あたしったらイヤね、つい気持ち良すぎて」
アハハッと笑う。私もしてしまうことありますと同意するとやっぱり!?と嬉しそうだ。
「こちらが本日のお品書きです」
手元の紙に目を通すレイチェルはいきなり真顔になった。料理人の顔つきだ。
「ふぅん……なるほど。楽しみね!」
「食前酒はさくらんぼ酒です」
小さなグラスに入ったピンクのお酒を飲んで、美味しいわと頷く。
「豆腐をサーモンで巻いたもの、チーズを味噌で漬けたもの、新タマネギと甘エビの揚げたもの、卵の小さなお寿司、……前菜となってます」
へぇ!小さなお皿に少しずつ盛り付けてあって可愛いと頷く。
「ナシュレ風のポトフです」
「地元の料理もいれてるのね」
フムフムとメモもしっかりとっている。
「とても熱心ですね……レイチェルさんのオリジナルでいくのかと思ってました。それに引き受けてくれたことに驚きました」
「あたし、男に負けない料理人になりたかったのよ。でも料理人の世界は男性社会でしょう。若い時、貴族の家で料理人として雇われはしたけど、メニューを考えさせてもらうことなんてなかったわ」
私は静かに話を聞く。
「そんな時、シン=バシュレに出会って、作ってみないか?と声をかけられたのよ。ニホン料理をね」
「なるほど!」
祖父は自分が食べたい気持ちもあっただろうが……夢を追いかけているレイチェルを応援するつもりもあったのかもしれない。
「そこから少しずつ周りが女でも認めてくれるようになったわ。女でもなかなかやるな!ってね……だからシンに恩返しするつもりで、あなたの案にのったのよ。でもね、本音はこの歳にだけど、挑戦したい気持ちもあるの」
「何歳になっても挑戦したい気持ちは大事だと思います」
「そうでしょ?それが若く生きるコツよね!」
いつも未来を向いて、自分の成長の可能性を信じる彼女だからこそ、他の料理人の意見を聞き、創意工夫し、努力し、挑戦するモチベーションを保てるのだろう。良い生き方で見本にしたいなと思った。
「あ!これが有名な茶碗蒸しね。うん!ツルトロでおいしー!」
料理の一つ一つに感動をしている。
一区切りついた料理長が、少し緊張してレイチェルのテーブルに顔を出した。
「ど、どうですか!?」
料理長の緊張はどこへやら、ニンマリとレイチェルが笑う。
「最高ね!良い腕してるわ」
「本当ですか!?」
レイチェルが続けて料理長に言った。
「レストランはとりあえず閉店して、お得意様には『海鳴亭』へ行くことは言ったのよ。本格的な旅館の開店までの1ヶ月!ここで修行するわ!」
「ええええええ!?」
料理長が驚愕の声を上げるとレイチェルはお世話になりますと返事を聞かずに言う。
「ま、まぁ……料理長、よろしく頼むわね。確かに旅館で提供する料理に関しては料理長のほうか先輩なんだし……ねっ?」
ポンッと肩を叩くと手に持っていたコック帽をモシャモシャして、動揺を隠せずにいる。
「お互い良い刺激となって、美味しいもの頼むわね」
レイチェルが任せて!とはりきっている。
「よろしくお願いします!」
「こっちこそよ!よろしくお願いします」
頭を下げないでくださいよっ!というようなやり取りを見つつ、私は『海鳴亭』オープンがますます楽しみになった。
しばらくして、試作品を食べてみてと言われ、ふくよかな手から生み出されるとは思えない繊細な料理を目にして私は驚く。
味噌ベースに作られたソースが白いお皿に模様の様に書かれて牛肉をつけて食べる。
「これは『海鳴亭』そばの放牧場で育った牛です」
「うん。柔らかいわ」
「『地産地消』が女将の要望と聞いたので、なるべく使うようにしたいと思うのだけど……ナシュレの農家の生産能力は素晴らしい!あれも女将の領主をしていたときの指示と聞いて……」
「けっこう大規模になってきたから、大変よ。今はリヴィオがそっちを担当してくれてるから楽だけど……あ!リヴィオー!」
ちょうど帰ってきたリヴィオに声をかける。
「なんだ?美味そうなの食べてるなー」
「これ『海鳴亭』で提供しようとしてる試作メニューなのよ」
ヒョイッと私のフォークでつまみ食いする。
「へー!うまい!味噌ソースか。いいな。味噌ってなんか懐かしい味だよなぁ。ホ。かさッとするというか……何か思い出すような……そう!『記憶に残る味』だな」
マドレーヌで言うプルースト効果ね……ってリヴィオは何を思い出すの?と聞こうとしたが、レイチェルが先にリヴィオに声をかけた。
「セイラがシンに似てると思ったけれど……どちらかと言えばリヴィオさんの方が似てる気がするねぇ。シンもよく記憶に残る味だよなと言っていたわ!」
本当は私と血が繋がっていないと言いにくくなってしまった。お祖父様とリヴィオが似てると……そういえば以前にアオも言っていたことを思い出す。
「はあ?オレは間違いなく……」
「あ!そんな意味ではなく、あなたが公爵家三男というのは有名で知ってるけど、性格的というか雰囲気的なものというか……」
なにで有名なんだよ?とリヴィオは半眼になっている。
「娘って父親に似た人と結婚すると言うけど、私はどちらかと言えば祖父が父役だったから、ジジコンプレックスかもしれないわね」
アハハッと私は笑い飛ばした。
もしかしたらお祖父様はクラスメイトのシンヤ君かもしれないが、お互いに喋ったこともなく、存在もあまり知らなかった私にとってはどちらかといえばシンヤ君というより祖父という認識のほうが強い。
「喜ぶべきか嫌がるべきか……なんか反応に困るな」
リヴィオがそう呟く。
レイチェルが少し寂しい笑顏で言った。
「シンがいなくなって寂しいね。問題も起こすやつだったけど、なんだかいると心強くて楽しくてね。会えるものならまた会いたいと思うよ」
また……料理を食べて、うまいって言ってほしかったねぇと彼女は遠くをみつめるのだった。
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