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May you all be happy
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『海鳴亭』は大規模な温泉旅館だ。それ故、毎日、たくさんのお客様が出入りする。
「うわぁ!なんですか!?これ!?」
玄関ホールに大きなモミの木。木にはキラキラしたモール、丸い玉。
夜になると優しいイルミネーションの明かりが灯る。
宗教的かしら?と思ったが、日本という国の記憶では、ほとんど関係なく、イベントにのっかっている人が多かった気がする。
私の前世のカホだって、信者ではないのに、クリスマスケーキバイキングとかクリスマスセールとかクリスマスコンサートとか『クリスマス』と付くイベントを楽しんでいた。
やはりこの季節はこれがなくっちゃねー!と思い、試してみた。
「すごく綺麗ですね」
「木に飾り付けをするなんて、良い思いつきですねぇ」
お客様達が立ち止まって見ていく。私も一緒に見上げる。
宿泊しにきた子どもたちと星、靴下や家などの飾りを作るコーナーを設けて、一緒に作る。松ぼっくりなんかも色をつけて飾ってしまう。
「なんだか段々賑やかになってきましたね」
スタッフの1人がそう言って、星型のクッキーを飾った。
「アハハ。なんか増えてるなぁ」
次にやってきた受け付けのスタッフがカラフルで包装が可愛いキャンディをポケットから出して何個か吊るして行く。
売店のスタッフが雪だるまのゆきんこちゃんシリーズのモコモコした素材のキーホルダーをいくつかぶら下げた。
「いい感じ!!」
そう満足して去っていく。
そんな感じで、私がしばらくその場離れていて、ふと気づくと、いつの間にかツリーが賑やかになっていたのだった。
「なんだか……何かをおねがいしたくなるような飾り付けね。誰かが誰かを思いやっているような?」
宿泊客のお客様が足を止める。うっとりと眺めている一人の女性は長くそこから動かなかった。
しばらくして、彼女は再び旅館へやってきた。自分で編んだという子供用の手袋をたくさん持ってきて言った。
「これをあの木に飾って、欲しい子供がいたらあげてください」
「いいんですか!?」
私が驚くとええ……と優しげにそしてどこか儚い笑みを浮かべていた。
「ありがとうございます」
「なんだか、あの木を見ていると優しい気持ちになれたの。わたしも可愛い娘に可愛い手袋をたくさん編んであげたかったわ」
そう言って帰っていった。
『手袋欲しい方、差し上げます』
そう書いておくと、子どもたちが喜んで、好きな色や柄を選び、貰っていった。
時々、子どもたちの両親がお礼ですと言って代わりのものを持ってきた。
「これ代わりと言ってはなんですが、素敵な手袋に感謝を込めて!」
可愛いチョコレートや焼き菓子。また自分で作ったという、小さなくまやうさぎのぬいぐるみ、編んだ靴下や帽子などもあった。
クリスマスツリーは私が思っている以上に華やかさを増していった。
夜にはイルミネーションをつけて、落ち着いた曲ではあるが、心が弾み、楽しくなるような音楽を流した。
クリスマスツリーは人を温かな気持ち、優しい気持ちにしてくれるのだろうか?ツリーを見上げる人達の顔は微笑みを浮かべ、優しげに見える。
私は感謝の気持ちを込めて、手袋をくれた女性に手紙を書き、宿泊券を入れた。
『貴方のおかげで思った以上に、皆さんに喜んで頂けました。ご都合がつきましたら、ありがとうの気持ちが散りばめられたツリーを観に来てください』
だけど女性は現れなかった。名前も住所も書かれた名簿に間違いはないとは思うんだけど……と少し気になった。
「女将、これは名物になりそうですね」
腕を組み、スタッフ達が木の周りに集まる。
「しかしなんですか?ずっと気になってましたが、この赤い服のお爺さんは?」
「確かに、なんか不気味じゃないですか?」
市松人形みたいな扱いされたーっ!?
いやいやいや!?と私は手を振る。
「主役よ!?メインキャラなのに外せないわよ!?」
???とハテナマークが浮かぶスタッフ達。不気味だろうが、さすがにこれは外せないわよね。サンタを飾らずして、何を飾る!?
リヴィオがちょうどやって来て、通りすがりついでに足を止めた。
「………セイラの手芸技術の問題じゃね?」
言い返そうとしたが、そうかもしれないと納得せざるを得なかった。
ちょっとしょんぼりしながら、私はサンタの顔、服をマジマジと見てから、首が不安定でもげそうになっているサンタをそっと木から外した。
「ちょっと貸してくれ」
ヒョイッとそれを彼はどこかへ持って行ってしまった。
私は裁縫、苦手なのよね………がっくりと肩を落とした。
それからしばらくしてからのことだった。リヴィオが赤い服を着たサンタを飾っていた。
「こっ、これはーっ!?」
リヴィオは手をヒラヒラ~とさせて去っていく。
しっかりとした首、目はビーズを使っていて、くりっとして可愛い。髭は綿を使っていてフワフワだ。赤い服もしっかり縫い付けてある。
リヴィオ、器用すぎる!前に冗談半分に裁縫セットあげたことがあったが……これは本気で上手い。
サンタを直してくれて喜ぶべきなのか、裁縫の才能のない自分に絶望すべきなのか……複雑な心境になったのだった。
手袋をくれた女性から返事はなかった。訪ねてみるのも無遠慮な気がしてできなかった。
ただ1つ不思議なことがあった。
ツリーに私に似合いそうな紺色の毛糸で編まれた手袋がある日飾ってあり、メッセージカードに『セイラへ』とだけ書かれていた。
木から外して嵌めてみるとぴったりのサイズ。まさか器用なリヴィオが編んだの!?と思って聞いてみたが違った。スタッフに聞いても知らないと言われた。
謎は残ったが、私の愛用の手袋となった。
ちなみにツリーにたくさんの物が飾られたその後、孤児院に寄付し、大量のプレゼントに子どもたちが喜んだというのを付け加えておく。
赤いおじいさんの人形だけは来年の飾り用にきちんと箱にしまっておいた。
「うわぁ!なんですか!?これ!?」
玄関ホールに大きなモミの木。木にはキラキラしたモール、丸い玉。
夜になると優しいイルミネーションの明かりが灯る。
宗教的かしら?と思ったが、日本という国の記憶では、ほとんど関係なく、イベントにのっかっている人が多かった気がする。
私の前世のカホだって、信者ではないのに、クリスマスケーキバイキングとかクリスマスセールとかクリスマスコンサートとか『クリスマス』と付くイベントを楽しんでいた。
やはりこの季節はこれがなくっちゃねー!と思い、試してみた。
「すごく綺麗ですね」
「木に飾り付けをするなんて、良い思いつきですねぇ」
お客様達が立ち止まって見ていく。私も一緒に見上げる。
宿泊しにきた子どもたちと星、靴下や家などの飾りを作るコーナーを設けて、一緒に作る。松ぼっくりなんかも色をつけて飾ってしまう。
「なんだか段々賑やかになってきましたね」
スタッフの1人がそう言って、星型のクッキーを飾った。
「アハハ。なんか増えてるなぁ」
次にやってきた受け付けのスタッフがカラフルで包装が可愛いキャンディをポケットから出して何個か吊るして行く。
売店のスタッフが雪だるまのゆきんこちゃんシリーズのモコモコした素材のキーホルダーをいくつかぶら下げた。
「いい感じ!!」
そう満足して去っていく。
そんな感じで、私がしばらくその場離れていて、ふと気づくと、いつの間にかツリーが賑やかになっていたのだった。
「なんだか……何かをおねがいしたくなるような飾り付けね。誰かが誰かを思いやっているような?」
宿泊客のお客様が足を止める。うっとりと眺めている一人の女性は長くそこから動かなかった。
しばらくして、彼女は再び旅館へやってきた。自分で編んだという子供用の手袋をたくさん持ってきて言った。
「これをあの木に飾って、欲しい子供がいたらあげてください」
「いいんですか!?」
私が驚くとええ……と優しげにそしてどこか儚い笑みを浮かべていた。
「ありがとうございます」
「なんだか、あの木を見ていると優しい気持ちになれたの。わたしも可愛い娘に可愛い手袋をたくさん編んであげたかったわ」
そう言って帰っていった。
『手袋欲しい方、差し上げます』
そう書いておくと、子どもたちが喜んで、好きな色や柄を選び、貰っていった。
時々、子どもたちの両親がお礼ですと言って代わりのものを持ってきた。
「これ代わりと言ってはなんですが、素敵な手袋に感謝を込めて!」
可愛いチョコレートや焼き菓子。また自分で作ったという、小さなくまやうさぎのぬいぐるみ、編んだ靴下や帽子などもあった。
クリスマスツリーは私が思っている以上に華やかさを増していった。
夜にはイルミネーションをつけて、落ち着いた曲ではあるが、心が弾み、楽しくなるような音楽を流した。
クリスマスツリーは人を温かな気持ち、優しい気持ちにしてくれるのだろうか?ツリーを見上げる人達の顔は微笑みを浮かべ、優しげに見える。
私は感謝の気持ちを込めて、手袋をくれた女性に手紙を書き、宿泊券を入れた。
『貴方のおかげで思った以上に、皆さんに喜んで頂けました。ご都合がつきましたら、ありがとうの気持ちが散りばめられたツリーを観に来てください』
だけど女性は現れなかった。名前も住所も書かれた名簿に間違いはないとは思うんだけど……と少し気になった。
「女将、これは名物になりそうですね」
腕を組み、スタッフ達が木の周りに集まる。
「しかしなんですか?ずっと気になってましたが、この赤い服のお爺さんは?」
「確かに、なんか不気味じゃないですか?」
市松人形みたいな扱いされたーっ!?
いやいやいや!?と私は手を振る。
「主役よ!?メインキャラなのに外せないわよ!?」
???とハテナマークが浮かぶスタッフ達。不気味だろうが、さすがにこれは外せないわよね。サンタを飾らずして、何を飾る!?
リヴィオがちょうどやって来て、通りすがりついでに足を止めた。
「………セイラの手芸技術の問題じゃね?」
言い返そうとしたが、そうかもしれないと納得せざるを得なかった。
ちょっとしょんぼりしながら、私はサンタの顔、服をマジマジと見てから、首が不安定でもげそうになっているサンタをそっと木から外した。
「ちょっと貸してくれ」
ヒョイッとそれを彼はどこかへ持って行ってしまった。
私は裁縫、苦手なのよね………がっくりと肩を落とした。
それからしばらくしてからのことだった。リヴィオが赤い服を着たサンタを飾っていた。
「こっ、これはーっ!?」
リヴィオは手をヒラヒラ~とさせて去っていく。
しっかりとした首、目はビーズを使っていて、くりっとして可愛い。髭は綿を使っていてフワフワだ。赤い服もしっかり縫い付けてある。
リヴィオ、器用すぎる!前に冗談半分に裁縫セットあげたことがあったが……これは本気で上手い。
サンタを直してくれて喜ぶべきなのか、裁縫の才能のない自分に絶望すべきなのか……複雑な心境になったのだった。
手袋をくれた女性から返事はなかった。訪ねてみるのも無遠慮な気がしてできなかった。
ただ1つ不思議なことがあった。
ツリーに私に似合いそうな紺色の毛糸で編まれた手袋がある日飾ってあり、メッセージカードに『セイラへ』とだけ書かれていた。
木から外して嵌めてみるとぴったりのサイズ。まさか器用なリヴィオが編んだの!?と思って聞いてみたが違った。スタッフに聞いても知らないと言われた。
謎は残ったが、私の愛用の手袋となった。
ちなみにツリーにたくさんの物が飾られたその後、孤児院に寄付し、大量のプレゼントに子どもたちが喜んだというのを付け加えておく。
赤いおじいさんの人形だけは来年の飾り用にきちんと箱にしまっておいた。
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