転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ

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新たな使命を抱えて

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 新年の挨拶を兼ねて、陛下が話したいことがあるから来てほしいと言われ、王城へ出向いた。

 真珠をあしらった髪飾りとイヤリングをつけ、フワリと柔らかそうな白のコートを身にまとう。

「こうしてみると、奥様は美しいですわー!普段からお飾りになればよろしいのに!」

 メイドが褒めてくれる。普段は動きやすい簡素な服であるし、あまりアクセサリーもつけない。

「そんなことないわ。コートとかアクセサリーの物も良いし、セットしてくれた髪型や化粧の腕がいいのよ!」

 私は照れてしまい、そう言い返す。

「よく似合っている。綺麗だと思うぞ」

 ドアのところにいたリヴィオまでそう言うので、さらに頬が赤くなってしまう。美しさや可愛いとか、私はあまり言われ慣れていないので、すぐ顔に出てしまう。

「奥様、いってらっしゃいませ!」

 そうメイドやアルバート、クロウが見送る。

 転移魔法で城に行くこともてきるが、さすがにそれは無作法である。馬車に乗り、きちんと手順を踏んで王宮へ向かう。

 海に浮かぶ王城は白い霧がかかり、今日も幻想的で美しかった。

 潮が引いている道は少しぬかるんでいるが、馬はしっかりと駆けていく。

 謁見の間には陛下と宰相のハリーだけがいた。扉を開けてくれた騎士はすぐに扉を閉めてしまう……新年の挨拶と言うより、内密の話があるようだと感じた。

 女王陛下は長く艷やかな髪を垂らし、シャラシャラと音の出る細工の細かな髪飾りにブルーのドレスを身に纏い、黒曜石のような目で私とリヴィオを見る。

「お久しぶりです。女王陛下」

 リヴィオが礼をし、少し遅れて、私もお辞儀する。

「まず、息子のゼインがナシュレで世話になっていたことに礼を言おう。どうもあやつ、夏の頃より、様子がおかしいのじゃ」

 ………失恋したからです。

 そう言いたかったが、ゼイン殿下が話してなさそうなので言わないでおくことにした。

「それで、今回は何の用ですか?」

 リヴィオは淡々と話を進めていく。

「まったく可愛げのない黒猫じゃのぉ。会話を楽しむ気はないのかの?」

「可愛げのない愚息がすいません」

 陛下の苦笑に父であるハリーが謝っている。なんで可愛げがいるんだよ!?とムキになるリヴィオ。

 私は気づいてしまったのだが、陛下とハリーはリヴィオのことをからかっている。毎度のノリになってきた。よく考えたら、陛下にとって宰相のハリーは従兄弟だ。気心が知れたものなのだろう。

「ゼキより情報はいっているだろう?トーラディム王国の新王が黒龍の守護者に会いたがっている。あちらも光の鳥の守護者らしいから、対面しておいても良いだろう」

 ハリーがそう話す。

「そなたら二人に正式にウィンダム王国の使者としての役を任命する。トーラディム王国へ行き、新王即位の祝辞を述べてきてもらいたい」

 顔を見合わせた。いずれこの話は陛下がするとは思っていた。リヴィオに私は小さく頷いた。彼は嘆息してから返事をした。

「わかりました」

 陛下はパラリと扇子を広げて口元を隠して、付け加える。

「あちらの動向も探ってくるのじゃ。そなたらに会いたいという意図がわからぬ。またトーラディム王国は強国と聞いておる。力ある者もいるだろう。気をつけて行かれよ」

 はい……と私は少し緊張しつつ返事をしたか、隣のリヴィオの返事は軽いものだった。

「まあ、新しい王の様子と大神官長に久しぶりに会ってくるかな」 

「リヴィオ!真面目にしろよ!?あちらに失礼のないようにだぞ?」

 ハリーが父親らしく言うので、私は微笑んでしまった。親にとっては、何歳になってもリヴィオは末の息子で困った愛すべき息子なのだろう。

 口で言うほど……リヴィオは適当ではない。むしろ危険がないよう意識を張り巡らせるだろう。

 帰りの馬車で、リヴィオはめんどくさそうに言う。

「いろいろ押し付けられるな。本当は他の者が特使として行けばいいんだ。シンの時もそうだったが、良いように使われているのが面白くねーなぁ」

「まあ、良いじゃないの!大神官長様にまた会いたいし、光の鳥の守護者にも会ってみたいわ」

「大神官長様には護符のお礼を言いたいが……セイラ、やけに乗り気だな?」

 ニッコリと私が笑うとリヴィオがハッ!と気づき、ジト目になる。

「まさか温泉の許可もらうつもりか!?」

「そのまさかよ」
 
 「そんなこと考えていたのかよ!他国に支店を出すのは本気だったんだな……」

 なぜ、本気ではないと思ったのだろう?私は本気である。

「セイラの野望で世界が変わりそうな予感がするな」

 そうリヴィオは私に言ったのだった。
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