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弟は反抗期!
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雨でずぶ濡れになった少年が『花葉亭』の玄関前に立っていた。ストロベリーブロンドの髪から水滴がしたたっている。可愛い顔をしている少年は、どこかで見たことあるような?誰かに似ているような?
記憶を辿り、ハッ!と気づいた。
「トトとテテの弟のカインだったわよね!?どうしたの!?雨に濡れたの!?」
私は慌てて、旅館の中へ招き入れて、暖かい暖炉の傍へ連れていく。スタッフがタオルを持ってきてくれた。
「なんでそんなずぶ濡れになってきたの?馬車は!?」
「なんだっていいだろっ!ボクが来るのは自由だろ。部屋を用意してくれ」
ムキー!と怒っている……。とりあえず空いている部屋があるか確認をし、その後、トトとテテにも連絡をすると、双子ちゃんが飛ぶように現れた。
「何しに来たのだ!?」
「なんで一人なのだ?」
客室でまったりと温かなお茶を飲み、乾いた服に着替えたカインはめんどくさそうにトトとテテを一瞥した。
「姉さん達に関係ない………うわあああ!」
テテがチャキッとネバネバ弾を構えた。まだ撃ってもいないが、叫ぶカイン。なぜ、弟に会うのに、そんなもの持ってきたのだろうか?私の頬に一筋の汗が流れる。
「構えてみただけなのだ」
「さっさと理由を吐くのだ!」
「くっ……父さんと喧嘩したんだよっ!それで家に居づらいから、姉さんたちのいる温泉地に遊びに来てみただけだよっ!」
ふーんと双子ちゃん達は言う。ネバネバ弾を懐に納める。
「喧嘩の理由は聞かないのか!?」
「好きにすればいいのだ」
「興味ないのだ。気が済むまで温泉にはいってゆるりとすればいいのだー」
二人はそう言うと、私にペコンと頭を下げる。
「カインが迷惑かけたら、すぐ言うのだ」
「その時は送り返してやるのだ!」
私はトトとテテの性格を知っているので、思わず二人の言葉に温かみを感じて微笑んだ。
「弟さんの思いを尊重するってことなのね?良いわ。気が済むまで宿泊していくといいわよ」
「そ、そんな姉さんたちが気遣いできるわけねーだろっ!単なる関わるのがめんどくさいだけだ!」
「そんなことないわよ。トトとテテは優しくて、ちゃんと人に対して思いやりのある………」
トトとテテが恥ずかしいから、そのへんにするのだ!と慌てて私を止める。カインがプゥと頬を膨らませている。可愛い弟だわと微笑ましく感じる。
数日間、カインは温泉をとても気に入って、何度も入りに行っていた。食事も美味しい!と顔を輝かせ、暇があると湖まで散歩したり、街を歩いたりし、楽しんでいた。
「父さん達は心配してないのかな……」
そうポツリとカインが言い出した頃だった。
「カイーーーン!!」
深紅の魔女が現れた。王宮魔道士のリリーはトトとテテとカインの母だ。相変わらず、勢いがある抱きつきかたをした。無事だろうか?カインが豊満な胸に押しつぶされているけど……。
「可愛いカイン!どうしたのよ?なぜ理由も言わずに家を飛び出したのっ!?」
「あの……リリーさん、ちょっと離してあげると話せるかと思います」
ハッ!とした深紅の魔女がカインを自分の身から解き放つ。
「ゲホッゲホッ!……止めろよ!母さん、息の根を止めるつもりかよ!」
あら、ごめんねーとちっとも悪そうではない返事をする。
「何が原因で家を飛び出したの?」
カインは言いたくないとそっぽを向いた。リリーは特に問いただすことはなく、心得ているわ!と笑った。
「反抗期ね!良いのよ!そうやって人は一人前になってくものなのよ」
「反抗期とかじゃないっ!父さんが悪いんだよ!姉さんたちのことばかり褒めるからさ……王宮魔道士にもならないくせに、なんでだよ!」
あらまぁとリリーさんが笑う。
「あなたも好きなことしていいのよ?……でも王宮魔道士になりたいんでしょう?あなたについている先生から、素晴らしいとお褒めの言葉をもらってるわよ。もちろん、父さんからもちゃーーんとカインは出来が良いと聞いてるのよ?」
カアアアとカインの顔が真っ赤になった。私はそれ見て、グッときた!なんか弟って良いわね!可愛い!
そんな感じで、リリーの言葉には最強の効力があり、カインは帰っていった。
執務室でカシューの経営管理についてリヴィオとジーニーと話していると、弟の話題になった。
「弟って可愛いわね。私もほしかったわ。あちらの世界のカホにはミツキっていう弟がいたんだけどね」
私の言葉に、そーいや、いたなとリヴィオが言う。
「ちょっとシスコン入っている気が……オレっていうか、シンヤが一度、勇気を出して家まで行ったんだけどさ。その時………」
「えっ!?シスコンだった?けっこう姉に対して生意気な口をきいてたけど?そもそもシンヤ君はいつ家に来たのよ!?」
リヴィオが、ハッとする。いや、なんでもねー!と慌てる。なぜ慌ててるんだろう?
「弟か……」
ジーニーがポツリとそう呟き、お茶を一口飲んだ。
あれっ?と思った。なにか引っかかるものがあった。
「えっと………なんか……どことなくジーニーに似てる気がするのよね。『僕は好きなことをする』っていうのが口癖で旅館も継がなくて……まぁ、気のせいよね」
なんだそれ?とジーニーは首を傾げた。大人びていて賢くて、生意気なことを言う弟のミツキに雰囲気が少し似てる気がしたけど、気のせいかなと笑った。まさか、そんな身近にいるわけもないだろうし、ジーニーが弟とか可愛げゼロで、却下だわと私は思ったのだった。可愛い弟がほしいのだ!
記憶を辿り、ハッ!と気づいた。
「トトとテテの弟のカインだったわよね!?どうしたの!?雨に濡れたの!?」
私は慌てて、旅館の中へ招き入れて、暖かい暖炉の傍へ連れていく。スタッフがタオルを持ってきてくれた。
「なんでそんなずぶ濡れになってきたの?馬車は!?」
「なんだっていいだろっ!ボクが来るのは自由だろ。部屋を用意してくれ」
ムキー!と怒っている……。とりあえず空いている部屋があるか確認をし、その後、トトとテテにも連絡をすると、双子ちゃんが飛ぶように現れた。
「何しに来たのだ!?」
「なんで一人なのだ?」
客室でまったりと温かなお茶を飲み、乾いた服に着替えたカインはめんどくさそうにトトとテテを一瞥した。
「姉さん達に関係ない………うわあああ!」
テテがチャキッとネバネバ弾を構えた。まだ撃ってもいないが、叫ぶカイン。なぜ、弟に会うのに、そんなもの持ってきたのだろうか?私の頬に一筋の汗が流れる。
「構えてみただけなのだ」
「さっさと理由を吐くのだ!」
「くっ……父さんと喧嘩したんだよっ!それで家に居づらいから、姉さんたちのいる温泉地に遊びに来てみただけだよっ!」
ふーんと双子ちゃん達は言う。ネバネバ弾を懐に納める。
「喧嘩の理由は聞かないのか!?」
「好きにすればいいのだ」
「興味ないのだ。気が済むまで温泉にはいってゆるりとすればいいのだー」
二人はそう言うと、私にペコンと頭を下げる。
「カインが迷惑かけたら、すぐ言うのだ」
「その時は送り返してやるのだ!」
私はトトとテテの性格を知っているので、思わず二人の言葉に温かみを感じて微笑んだ。
「弟さんの思いを尊重するってことなのね?良いわ。気が済むまで宿泊していくといいわよ」
「そ、そんな姉さんたちが気遣いできるわけねーだろっ!単なる関わるのがめんどくさいだけだ!」
「そんなことないわよ。トトとテテは優しくて、ちゃんと人に対して思いやりのある………」
トトとテテが恥ずかしいから、そのへんにするのだ!と慌てて私を止める。カインがプゥと頬を膨らませている。可愛い弟だわと微笑ましく感じる。
数日間、カインは温泉をとても気に入って、何度も入りに行っていた。食事も美味しい!と顔を輝かせ、暇があると湖まで散歩したり、街を歩いたりし、楽しんでいた。
「父さん達は心配してないのかな……」
そうポツリとカインが言い出した頃だった。
「カイーーーン!!」
深紅の魔女が現れた。王宮魔道士のリリーはトトとテテとカインの母だ。相変わらず、勢いがある抱きつきかたをした。無事だろうか?カインが豊満な胸に押しつぶされているけど……。
「可愛いカイン!どうしたのよ?なぜ理由も言わずに家を飛び出したのっ!?」
「あの……リリーさん、ちょっと離してあげると話せるかと思います」
ハッ!とした深紅の魔女がカインを自分の身から解き放つ。
「ゲホッゲホッ!……止めろよ!母さん、息の根を止めるつもりかよ!」
あら、ごめんねーとちっとも悪そうではない返事をする。
「何が原因で家を飛び出したの?」
カインは言いたくないとそっぽを向いた。リリーは特に問いただすことはなく、心得ているわ!と笑った。
「反抗期ね!良いのよ!そうやって人は一人前になってくものなのよ」
「反抗期とかじゃないっ!父さんが悪いんだよ!姉さんたちのことばかり褒めるからさ……王宮魔道士にもならないくせに、なんでだよ!」
あらまぁとリリーさんが笑う。
「あなたも好きなことしていいのよ?……でも王宮魔道士になりたいんでしょう?あなたについている先生から、素晴らしいとお褒めの言葉をもらってるわよ。もちろん、父さんからもちゃーーんとカインは出来が良いと聞いてるのよ?」
カアアアとカインの顔が真っ赤になった。私はそれ見て、グッときた!なんか弟って良いわね!可愛い!
そんな感じで、リリーの言葉には最強の効力があり、カインは帰っていった。
執務室でカシューの経営管理についてリヴィオとジーニーと話していると、弟の話題になった。
「弟って可愛いわね。私もほしかったわ。あちらの世界のカホにはミツキっていう弟がいたんだけどね」
私の言葉に、そーいや、いたなとリヴィオが言う。
「ちょっとシスコン入っている気が……オレっていうか、シンヤが一度、勇気を出して家まで行ったんだけどさ。その時………」
「えっ!?シスコンだった?けっこう姉に対して生意気な口をきいてたけど?そもそもシンヤ君はいつ家に来たのよ!?」
リヴィオが、ハッとする。いや、なんでもねー!と慌てる。なぜ慌ててるんだろう?
「弟か……」
ジーニーがポツリとそう呟き、お茶を一口飲んだ。
あれっ?と思った。なにか引っかかるものがあった。
「えっと………なんか……どことなくジーニーに似てる気がするのよね。『僕は好きなことをする』っていうのが口癖で旅館も継がなくて……まぁ、気のせいよね」
なんだそれ?とジーニーは首を傾げた。大人びていて賢くて、生意気なことを言う弟のミツキに雰囲気が少し似てる気がしたけど、気のせいかなと笑った。まさか、そんな身近にいるわけもないだろうし、ジーニーが弟とか可愛げゼロで、却下だわと私は思ったのだった。可愛い弟がほしいのだ!
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