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第15話
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アルはその夜、高熱を出してしまった。私は近寄れないので、扉の近くで、静かに見守る。シリルが、冷たいタオルや水を用意しようとしていたので、私がとってきます!というと、表情が優しくなり、お願いしますと頼まれた。
「シア様では悪化してしまうので、用意したらフランに頼んでくださいね」
僕がするよ!とフランは言う。
「母様を助けてくれたんだ。僕、今夜はアルの看病をします。母様は休んでいてください」
私のせいよね。と私はしょんぼりしていると、フランが大丈夫だよと優しく声をかけてくれた。私はタオルと水をフランに渡す。ちょっと危なっかしいながら、上手に運び、タオルを取り替えたり、水を枕元に置いたりしていた。
「さて、ここはお願いします。わたしは公爵家に入ったネズミを捕まえたと報告を受けたので、少し行ってきますね」
「えっ!?もう捕まえたの!?」
あまり表情に出さないシリルが、ニイッと怖い笑い方をした。背筋がゾッとした。
「公爵家には、強い者たちが揃ってるんですよ。今度、機会があれば紹介しますね。今はとっても忙しいので、失礼します。旦那様と奥様をこんな目に合わせたことを心から後悔させてさしあげたいと思います」
何に忙しいのかは聞かないことにした。私は見送る。部屋の片隅でフランが側でお世話をしているのを私は見ているだけで……苦しそうにハアハアと呼吸し、額に汗をかいているアルにもなにもできない。
なんて無力なんだろう……。こんなことになるとわかっていたのに、アルは私に触れて助けてくれたのね。ジワリと目に涙が滲む。ジャネットが入ってきて、こちらへと手招きする。
「シア様のせいではありませんから、あまり気になさらないようにしてくださいよぉ?どうぞお部屋にお戻りくださいな。自分を責めて何かしたいと思われるお気持ちはわかりますが、今のアルバート様には近寄らないのが最善です」
確かにそうだわ。私のせいで、こんなに苦しんでいるんだもの。暗い様子の私にジャネットが眉をハの字にして、困った顔をする。
「フラン様も様子を見て、自室に戻るようにしますから、シア様もお休みください」
「アルはよくなるのよね?」
「大丈夫です。一晩休めばよくなりますよっ!旦那様は頑丈ですからね!明日は治ってます。シア様、何度も言うかもしれませんけど、あまり気になさらないように……」
これ以上なにかしないように。私はそっと部屋を出た。ジャネットがフランのところへ行き、何かを話していた。本当にできるメイドだった。こちらの心をいたわりつつ、自分の主人がしっかり休めるようにしている。
フランもほどなくして帰ってきた。
「母様!ジャネットがいったとおり、熱は下がってきていました。きっと明日には元気だと思います!でもなんでいきなりアルは具合が悪くなったんだろう?厩にいる時は大丈夫だったのになぁ」
何も知らないフランは無邪気にそう言う。私は説明できないままでいると、何かを察したように、まあいいやと笑った。
「聞かないほうが良いこともありますよね。僕は母様が怪我をしなくて本当によかったと思います。アルも良くなってきてるし、明日はきっと元気だと思います!」
私は励ましてくれるフランを無言で、ギュッと抱きしめたのだった。
「シア様では悪化してしまうので、用意したらフランに頼んでくださいね」
僕がするよ!とフランは言う。
「母様を助けてくれたんだ。僕、今夜はアルの看病をします。母様は休んでいてください」
私のせいよね。と私はしょんぼりしていると、フランが大丈夫だよと優しく声をかけてくれた。私はタオルと水をフランに渡す。ちょっと危なっかしいながら、上手に運び、タオルを取り替えたり、水を枕元に置いたりしていた。
「さて、ここはお願いします。わたしは公爵家に入ったネズミを捕まえたと報告を受けたので、少し行ってきますね」
「えっ!?もう捕まえたの!?」
あまり表情に出さないシリルが、ニイッと怖い笑い方をした。背筋がゾッとした。
「公爵家には、強い者たちが揃ってるんですよ。今度、機会があれば紹介しますね。今はとっても忙しいので、失礼します。旦那様と奥様をこんな目に合わせたことを心から後悔させてさしあげたいと思います」
何に忙しいのかは聞かないことにした。私は見送る。部屋の片隅でフランが側でお世話をしているのを私は見ているだけで……苦しそうにハアハアと呼吸し、額に汗をかいているアルにもなにもできない。
なんて無力なんだろう……。こんなことになるとわかっていたのに、アルは私に触れて助けてくれたのね。ジワリと目に涙が滲む。ジャネットが入ってきて、こちらへと手招きする。
「シア様のせいではありませんから、あまり気になさらないようにしてくださいよぉ?どうぞお部屋にお戻りくださいな。自分を責めて何かしたいと思われるお気持ちはわかりますが、今のアルバート様には近寄らないのが最善です」
確かにそうだわ。私のせいで、こんなに苦しんでいるんだもの。暗い様子の私にジャネットが眉をハの字にして、困った顔をする。
「フラン様も様子を見て、自室に戻るようにしますから、シア様もお休みください」
「アルはよくなるのよね?」
「大丈夫です。一晩休めばよくなりますよっ!旦那様は頑丈ですからね!明日は治ってます。シア様、何度も言うかもしれませんけど、あまり気になさらないように……」
これ以上なにかしないように。私はそっと部屋を出た。ジャネットがフランのところへ行き、何かを話していた。本当にできるメイドだった。こちらの心をいたわりつつ、自分の主人がしっかり休めるようにしている。
フランもほどなくして帰ってきた。
「母様!ジャネットがいったとおり、熱は下がってきていました。きっと明日には元気だと思います!でもなんでいきなりアルは具合が悪くなったんだろう?厩にいる時は大丈夫だったのになぁ」
何も知らないフランは無邪気にそう言う。私は説明できないままでいると、何かを察したように、まあいいやと笑った。
「聞かないほうが良いこともありますよね。僕は母様が怪我をしなくて本当によかったと思います。アルも良くなってきてるし、明日はきっと元気だと思います!」
私は励ましてくれるフランを無言で、ギュッと抱きしめたのだった。
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