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第45話
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ヴォルフからフランが乗った馬車に石を投げられたと報告を受けた。
「徹底的に調べたほうがいいな」
オレの言葉にヴォルフが腕組をして苦笑する。
「そこまでせぇへんでもええんちゃう?大げさや。貴族に恨みを持つやつなんてぎょうさんおるやろ?」
「いいや。オレの領地ではない」
「自信たっぷりやなー」
「そういう領地経営を心がけてる」
そっかとヴォルフは簡単に納得する。オレが経営する領地の様子をわかっているらしい。
「石を投げ、小さな波紋を起こしたつもりが、いつしか大きな波紋に広がることもある。牙を向けるならこちらもそれを受けて立つまでだ」
「相変わらず怖い怖い~。アルは学生時代と変わらへんな」
「公爵になるにはそうならざるを得ないだろ。どこぞの筋肉バカのようにのほほんと生きれない」
「失礼やでー!」
フフンと笑われてヴォルフがムキになるが、スッと表情をかえた。
「アルはシア様のことで、他のやつに嫌味を言われてへん?」
「言われているに決まってる。噂が立った瞬間から言われてるぞ」
「大丈夫なんか?」
誰に聞いている?とオレはにやりと笑って言う。
「オレが公爵になったときの方がきつかったから、全然、痛くもかゆくもない。それに失礼なやつには倍にしてお返ししてやればいいことだからな。今回はパーティーの前に仲の良い貴族たちに根回しも済んでいたから、もしシアに攻撃する輩がいても、守ってくれる者たちはいただろう」
「これ以上聞かないほうがええな」
ヴォルフが頬をひきつらせいている。過去、オレが敵と見なしたやつらに何をしたか知っているからだ。
二人で話をしていると、ドアがノックされた。
「旦那様、少しよろしいでしょうか?」
シリルだった。手に箱を抱えている。
「なんだ?」
「公爵家のシア様宛に届いた物だったんですが、差し出し人の名前が無く、不審に思い、失礼ながら先に旦那様の方へ持ってきたのです」
さすがシリルだなとオレは思った。
「そうだな。最近、お茶会で知り合った方々からシア宛にプレゼントや招待状などが送られてくるが、名前がないとなると……」
オレは箱を振ってみる。カラカラと音がしていて、軽いものだ。
「開けてみましょうか?」
シリルが箱をオレから受け取る。
「そうだな」
ベリベリと包装紙を遠慮なく剥がして、シリルは箱を開けた。
「旦那様……これは……」
「なんだこれ?」
三人で思わず箱の中身をじっと見てしまう。
「これはさすがに……悪意を感じられるで」
ヒョイッと中身を持ち上げるヴォルフ。カランカラと床に短剣が落ち、長い金の髪はヴォルフの手にあった。
「シア様の髪ではないですが……」
「フランの石、シアへの贈り物。これは偶然ではないな。身の安全を最優先にし、しばらく屋敷にいてもらう」
オレの言葉に賛成するかと思ったが、ヴォルフが困ったように頬を掻く。
「フラン坊っちゃん、がっかりするで~……明後日、学校の学校祭があるんや。坊っちゃん、初めてなんだ!とはりきってたわ」
「仕方ない。身の安全に変えられない」
ヴォルフがせやかて……と食い下がろうとするのをオレはダメだと厳しい視線を送って封じる。
「シア様にはどうしますか?このことお話になられても良いのでしょうか?」
「フランのことだけ話をしておこう。贈り物は話すな。むやみに怖がらせないほうがいい。フランやシアに手を伸ばす前に犯人を捕まえてみせるさ」
わかりましたとシリルとヴォルフが了承する。
フランが楽しみにしているのはわかる。だが、地位とはそういう不自由さも時にはあることを知っておいてもいいだろう。
昔、オレもそんなときがあったなと思い出す。フランは賢いからわかってくれるだろう。
こちらに敵意を向けできるものをみつけなければならない。公爵家の力を甘く見るなよと見えない敵に思うのだった。
「徹底的に調べたほうがいいな」
オレの言葉にヴォルフが腕組をして苦笑する。
「そこまでせぇへんでもええんちゃう?大げさや。貴族に恨みを持つやつなんてぎょうさんおるやろ?」
「いいや。オレの領地ではない」
「自信たっぷりやなー」
「そういう領地経営を心がけてる」
そっかとヴォルフは簡単に納得する。オレが経営する領地の様子をわかっているらしい。
「石を投げ、小さな波紋を起こしたつもりが、いつしか大きな波紋に広がることもある。牙を向けるならこちらもそれを受けて立つまでだ」
「相変わらず怖い怖い~。アルは学生時代と変わらへんな」
「公爵になるにはそうならざるを得ないだろ。どこぞの筋肉バカのようにのほほんと生きれない」
「失礼やでー!」
フフンと笑われてヴォルフがムキになるが、スッと表情をかえた。
「アルはシア様のことで、他のやつに嫌味を言われてへん?」
「言われているに決まってる。噂が立った瞬間から言われてるぞ」
「大丈夫なんか?」
誰に聞いている?とオレはにやりと笑って言う。
「オレが公爵になったときの方がきつかったから、全然、痛くもかゆくもない。それに失礼なやつには倍にしてお返ししてやればいいことだからな。今回はパーティーの前に仲の良い貴族たちに根回しも済んでいたから、もしシアに攻撃する輩がいても、守ってくれる者たちはいただろう」
「これ以上聞かないほうがええな」
ヴォルフが頬をひきつらせいている。過去、オレが敵と見なしたやつらに何をしたか知っているからだ。
二人で話をしていると、ドアがノックされた。
「旦那様、少しよろしいでしょうか?」
シリルだった。手に箱を抱えている。
「なんだ?」
「公爵家のシア様宛に届いた物だったんですが、差し出し人の名前が無く、不審に思い、失礼ながら先に旦那様の方へ持ってきたのです」
さすがシリルだなとオレは思った。
「そうだな。最近、お茶会で知り合った方々からシア宛にプレゼントや招待状などが送られてくるが、名前がないとなると……」
オレは箱を振ってみる。カラカラと音がしていて、軽いものだ。
「開けてみましょうか?」
シリルが箱をオレから受け取る。
「そうだな」
ベリベリと包装紙を遠慮なく剥がして、シリルは箱を開けた。
「旦那様……これは……」
「なんだこれ?」
三人で思わず箱の中身をじっと見てしまう。
「これはさすがに……悪意を感じられるで」
ヒョイッと中身を持ち上げるヴォルフ。カランカラと床に短剣が落ち、長い金の髪はヴォルフの手にあった。
「シア様の髪ではないですが……」
「フランの石、シアへの贈り物。これは偶然ではないな。身の安全を最優先にし、しばらく屋敷にいてもらう」
オレの言葉に賛成するかと思ったが、ヴォルフが困ったように頬を掻く。
「フラン坊っちゃん、がっかりするで~……明後日、学校の学校祭があるんや。坊っちゃん、初めてなんだ!とはりきってたわ」
「仕方ない。身の安全に変えられない」
ヴォルフがせやかて……と食い下がろうとするのをオレはダメだと厳しい視線を送って封じる。
「シア様にはどうしますか?このことお話になられても良いのでしょうか?」
「フランのことだけ話をしておこう。贈り物は話すな。むやみに怖がらせないほうがいい。フランやシアに手を伸ばす前に犯人を捕まえてみせるさ」
わかりましたとシリルとヴォルフが了承する。
フランが楽しみにしているのはわかる。だが、地位とはそういう不自由さも時にはあることを知っておいてもいいだろう。
昔、オレもそんなときがあったなと思い出す。フランは賢いからわかってくれるだろう。
こちらに敵意を向けできるものをみつけなければならない。公爵家の力を甘く見るなよと見えない敵に思うのだった。
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