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第46話
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「学校祭残念だったわね」
フランはしばらく学校へ行かないようにとアルに言われ、公爵邸の中で家庭教師と共に勉強していた。家庭教師といっても相手はヴォルフで、息抜きに外で剣術や弓術などを楽しんでいる。時には馬に乗る練習もしているのを見かける。嫌々勉強している姿を見たことがない。いつも楽しそうな先生と生徒だ。
それでも今回、フランは珍しくしょんぼりとしていた。
「はい……なぜダメなんでしょう?ヴォルフも護衛としてついているのに……」
「アルにもなにか考えがあるのでしょうし、フランのためを思ってのことだと思うわ。先日、馬車に石を投げられたって聞いたわよ」
「そのくらい、平気です」
唇を尖らせて言い返すフラン。私は微笑む。大人びていると思っていたけど、時々、子どもらしくなるのが嬉しくもある。フランは周囲に気を使いすぎて、早く大人になりすぎたと思うからだ。
「フラン。お茶でも一緒に飲む?私はフランが屋敷にいてくれるのはうれしいわ。いつでも顔をみれるもの」
私の言葉に少し嬉しそうな顔をしかけた……が、やはり悲しそうになる。諦められないようだった。
少し私、甘いかしら?と思いつつも、アルに学校祭への出席をフランには内緒で交渉してみることにした。
「アル、フランの学校祭なのだけど、少しの時間でいいから行ってはいけないかしら?」
「ダメだ」
アルは仕事で忙しいのか、書類を見ながら、スパッと返事を返してきた。もう彼の中で決定し、揺るぎないことなのだろう。
「警備を多くしてもダメかしら?」
「ダメだ。……シアも他人事ではない。誰が狙われているのかわからないって言っただろう?」
アルは心配し、私も外出の制限をされている。
「そうなんだけど、フラン、とても楽しみだったみたいで……」
書類から顔を上げ、アルが私を見た。
「犯人を抑えれば、また普通に通える。しばらく時間がほしい。なるべく早く捕まえるから、待っててほしいんだ。不自由さがあるのは悪いとは思う」
「ありがとう。アル、心配してくれて……フランにもう一度話してみるわ」
頷くアル。私やフランのことを真剣に心配してくれる人がいなかったなかで、アルが今、私たちを守ろうとしてくれることはとても嬉しいし、大事にしてくれるんだなって実感する。でもフランはまだ幼くて、自分の楽しみにしていたことがだめになって失望を隠せない。その気持ちもわかる。
「いや、フランには悪いが……そうだな。この事件が解決したら、三人でどこかへでかけてもいいな」
「そんなに気を使わないでください。私もフランもアルにはとても感謝してます」
仮の家族という契約なのに、アルは本当によくしてくれてる。これ以上なにを彼に望むというのだろう。
「良い旦那に良い父になるようにしたいんだ。オレには欠けているものがあるから」
それはなんですか?と聞かなくてもわかった。女性が苦手なことだと。私をじっとみつめている目が物語っている。
「いつか……シアのそのきれいな金色の髪に触れられる時が、オレに来るのかな……って、悪い、何言ってるんだろうな!?えええっと……今のは忘れてくれ!す、すまない!」
突然言い出したアルはいつになく、焦りだす。うわ!!とか言って黒のインク瓶を倒して慌てている。私は一瞬、ポカンとなったけど、次の瞬間、口から自然と言葉が出てくる。
「その時がきたら、どうぞ触れてください。私……アルに触れられても嫌じゃありません」
自分がそう口走ってしまったことが、すごく大胆な言葉な気がして、バッと身をひるがえして、アルの部屋から出てしまった。その後のアルの顔を見ないで出てしまう。彼はどう思ったかしら?自分の頬がとても熱かった。
アルが変なことを言ったせいよ。もう!淑女にあるまじきことを言っちゃったわ!速足で部屋から離れていった私だった。
フランに改めて、もう一度話をするとわかりましたと言ってくれた。いつもの物分かりがよくて賢いフランだわと思ったのだ。その時、私はアルと会話した後で、思考がフワフワしていて、フランが本当に納得していたのかどうか気付かなかったのだ。フランをしっかりと見なかった。それが後々悔やまれた。
学校祭の当日、フランは行方をくらませたのだった。
フランはしばらく学校へ行かないようにとアルに言われ、公爵邸の中で家庭教師と共に勉強していた。家庭教師といっても相手はヴォルフで、息抜きに外で剣術や弓術などを楽しんでいる。時には馬に乗る練習もしているのを見かける。嫌々勉強している姿を見たことがない。いつも楽しそうな先生と生徒だ。
それでも今回、フランは珍しくしょんぼりとしていた。
「はい……なぜダメなんでしょう?ヴォルフも護衛としてついているのに……」
「アルにもなにか考えがあるのでしょうし、フランのためを思ってのことだと思うわ。先日、馬車に石を投げられたって聞いたわよ」
「そのくらい、平気です」
唇を尖らせて言い返すフラン。私は微笑む。大人びていると思っていたけど、時々、子どもらしくなるのが嬉しくもある。フランは周囲に気を使いすぎて、早く大人になりすぎたと思うからだ。
「フラン。お茶でも一緒に飲む?私はフランが屋敷にいてくれるのはうれしいわ。いつでも顔をみれるもの」
私の言葉に少し嬉しそうな顔をしかけた……が、やはり悲しそうになる。諦められないようだった。
少し私、甘いかしら?と思いつつも、アルに学校祭への出席をフランには内緒で交渉してみることにした。
「アル、フランの学校祭なのだけど、少しの時間でいいから行ってはいけないかしら?」
「ダメだ」
アルは仕事で忙しいのか、書類を見ながら、スパッと返事を返してきた。もう彼の中で決定し、揺るぎないことなのだろう。
「警備を多くしてもダメかしら?」
「ダメだ。……シアも他人事ではない。誰が狙われているのかわからないって言っただろう?」
アルは心配し、私も外出の制限をされている。
「そうなんだけど、フラン、とても楽しみだったみたいで……」
書類から顔を上げ、アルが私を見た。
「犯人を抑えれば、また普通に通える。しばらく時間がほしい。なるべく早く捕まえるから、待っててほしいんだ。不自由さがあるのは悪いとは思う」
「ありがとう。アル、心配してくれて……フランにもう一度話してみるわ」
頷くアル。私やフランのことを真剣に心配してくれる人がいなかったなかで、アルが今、私たちを守ろうとしてくれることはとても嬉しいし、大事にしてくれるんだなって実感する。でもフランはまだ幼くて、自分の楽しみにしていたことがだめになって失望を隠せない。その気持ちもわかる。
「いや、フランには悪いが……そうだな。この事件が解決したら、三人でどこかへでかけてもいいな」
「そんなに気を使わないでください。私もフランもアルにはとても感謝してます」
仮の家族という契約なのに、アルは本当によくしてくれてる。これ以上なにを彼に望むというのだろう。
「良い旦那に良い父になるようにしたいんだ。オレには欠けているものがあるから」
それはなんですか?と聞かなくてもわかった。女性が苦手なことだと。私をじっとみつめている目が物語っている。
「いつか……シアのそのきれいな金色の髪に触れられる時が、オレに来るのかな……って、悪い、何言ってるんだろうな!?えええっと……今のは忘れてくれ!す、すまない!」
突然言い出したアルはいつになく、焦りだす。うわ!!とか言って黒のインク瓶を倒して慌てている。私は一瞬、ポカンとなったけど、次の瞬間、口から自然と言葉が出てくる。
「その時がきたら、どうぞ触れてください。私……アルに触れられても嫌じゃありません」
自分がそう口走ってしまったことが、すごく大胆な言葉な気がして、バッと身をひるがえして、アルの部屋から出てしまった。その後のアルの顔を見ないで出てしまう。彼はどう思ったかしら?自分の頬がとても熱かった。
アルが変なことを言ったせいよ。もう!淑女にあるまじきことを言っちゃったわ!速足で部屋から離れていった私だった。
フランに改めて、もう一度話をするとわかりましたと言ってくれた。いつもの物分かりがよくて賢いフランだわと思ったのだ。その時、私はアルと会話した後で、思考がフワフワしていて、フランが本当に納得していたのかどうか気付かなかったのだ。フランをしっかりと見なかった。それが後々悔やまれた。
学校祭の当日、フランは行方をくらませたのだった。
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2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
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2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
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