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第58話
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三つ編みの修道女が一生懸命、修道院長に、いかに私がひどいいやがらせを受けたかを説明してくれている。声がだせない私の代わりに熱弁をふるってくれている。私の涙に利用されたとも知らずに、純真な心で、訴えてくれる姿を見て、心がチクッと痛む。申し訳ないわ……。
それを優しいほほ笑みを浮かべて聞いているふくよかな修道院長。怒りを受け止め、そうですね。そうですねと頷いてばかりいる。
「わかりましたよ。でも憎しみや怒りはなにも生みません。あなたは一度、頭を冷やすためにお祈りの書物を部屋へ帰って読んでいなさい。シアは……」
私は修道院長のテーブルにあるインク瓶とペン、用紙を指さす。
「あら。なるほど。筆談ね。いいでしょう。でも無駄にはしないでくださいね。ここの修道院はお金も物もそんなにないんですよ。必要最低限の生活を心がけていますからね」
はいと私は頷く。ペンを持つ。
そしてしっかりと書く。
『私はアルバート=クラウゼ公爵を愛してます』
まあ!?と驚いた眼をする修道院長。
『ここへは誘拐されて、意識がないまま連れてこられました』
「誘拐!?自分で望んできたわけじゃないの?」
私はそうですと頷いた。
「じゃあ……この手紙は……」
私に見せてくれたものは嘘がならべられていた。ひどい……と思わず口を抑える。アルとは正反対の姿が書かれているのだ。彼は一生懸命良き父、良き夫となろうと努力してくれていたのに。
『すべて嘘です』
白い用紙にはっきりとそう書いた。むしろその手紙の姿はオースティン殿下を彷彿してしまったわ。
「クラウゼ公爵が言っていたことは真実だったということでしょうか。なるほど……そうなんですね……じゃあ、あなた方は陥れられたということなのかしら?それでは……」
修道院長がいいかけた時、部屋がノックされる。
「修道院長。またクラウゼ公爵がきました。どうしますか?」
また……?アルはやっぱり助けに来てくれていたのね!?私は嬉しい顔になった。その私の表情を見て、微笑む修道院長。
「通しなさい。シアは隣の部屋にいなさい。どのような会話をするか聞きたいでしょう?彼の本心がわかるのではないでしょうか?」
(え?本心?)
と私が不思議そうに首を傾げると、ふくよかな修道院長は茶目っ気たっぷりに笑った。
「あなたが言っていることが本当なら、とても楽しいものがみられると思いますよ。もし帰るのが嫌ならば、ワギュレス修道院は匿い続けますよ。ここはそういう場所ですからね。まず、どんな人間なのか、知るのもいいかもしれませんね」
そう言ったのだった。私は隣室へと行き、静かにアルと修道院長がかわす会話を聞くことになったのだった。
それを優しいほほ笑みを浮かべて聞いているふくよかな修道院長。怒りを受け止め、そうですね。そうですねと頷いてばかりいる。
「わかりましたよ。でも憎しみや怒りはなにも生みません。あなたは一度、頭を冷やすためにお祈りの書物を部屋へ帰って読んでいなさい。シアは……」
私は修道院長のテーブルにあるインク瓶とペン、用紙を指さす。
「あら。なるほど。筆談ね。いいでしょう。でも無駄にはしないでくださいね。ここの修道院はお金も物もそんなにないんですよ。必要最低限の生活を心がけていますからね」
はいと私は頷く。ペンを持つ。
そしてしっかりと書く。
『私はアルバート=クラウゼ公爵を愛してます』
まあ!?と驚いた眼をする修道院長。
『ここへは誘拐されて、意識がないまま連れてこられました』
「誘拐!?自分で望んできたわけじゃないの?」
私はそうですと頷いた。
「じゃあ……この手紙は……」
私に見せてくれたものは嘘がならべられていた。ひどい……と思わず口を抑える。アルとは正反対の姿が書かれているのだ。彼は一生懸命良き父、良き夫となろうと努力してくれていたのに。
『すべて嘘です』
白い用紙にはっきりとそう書いた。むしろその手紙の姿はオースティン殿下を彷彿してしまったわ。
「クラウゼ公爵が言っていたことは真実だったということでしょうか。なるほど……そうなんですね……じゃあ、あなた方は陥れられたということなのかしら?それでは……」
修道院長がいいかけた時、部屋がノックされる。
「修道院長。またクラウゼ公爵がきました。どうしますか?」
また……?アルはやっぱり助けに来てくれていたのね!?私は嬉しい顔になった。その私の表情を見て、微笑む修道院長。
「通しなさい。シアは隣の部屋にいなさい。どのような会話をするか聞きたいでしょう?彼の本心がわかるのではないでしょうか?」
(え?本心?)
と私が不思議そうに首を傾げると、ふくよかな修道院長は茶目っ気たっぷりに笑った。
「あなたが言っていることが本当なら、とても楽しいものがみられると思いますよ。もし帰るのが嫌ならば、ワギュレス修道院は匿い続けますよ。ここはそういう場所ですからね。まず、どんな人間なのか、知るのもいいかもしれませんね」
そう言ったのだった。私は隣室へと行き、静かにアルと修道院長がかわす会話を聞くことになったのだった。
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