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第72話
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私はドキドキとした気持ちが抑えられない。二度目の結婚のはずなのに、とてもとても緊張していた。震えている手で扉に触れた。足も重い。まるで鉛のよう。
アルの部屋の扉を開けて入ると、広々とした部屋で、豪華な天蓋付きのベッドとテーブルの上にはアルコールや花があった。ガウンを羽織って湯上がりのアルは私よりなぜか色っぽい。私より色気がある男の人って……。
ニコッと笑いかけてくれたアルの顔をみたら、少し緊張がほぐれた。
「シア、緊張してる?」
手招きされて、座らされたのはふかふかのソファーだった。隣り合わせで座った。
「はい……実は……とても」
「実はオレも。だけど、女アレルギーがシアにだけ平気になった嬉しさが勝ってる。遠ざけなければならないと思っていたのに、こんなに近くにいれることが夢のように感じる」
でもアルは緊張してるようにまったく見えない。彼は私に気遣ってくれているような気がした。アルは話しながら、私の髪に触れ、それから頬に手を伸ばし、片方の手は私の手を握る……思わず、私はギュッと目を強く閉じた。そこでピタリと手を止めた。
「アル?」
「手が冷たい。緊張してるだろ……と、いうかシアはきっとあまり……えーと……こういうこと言わないほうがいいのかもしれないが、言ってもいいかな。シアはあまり男性に触れられたいと思っていないだろう?」
思わず息を止めた。絞りだすような声が私から出た。
「なぜ……なぜ……なぜ気づいたのですか?」
アルは確認したとばかりに、スッと私から手を離した。
「勘かな。オレとシアは同類なのかもしれないとふと思った瞬間があったんだ。それにオースティンは優しくないから、シアはきっと恐い思いをしたのは予想できる。だから無理しないでいい。ほどよい距離が良いんだろう?契約上の夫婦と聞いて実は安心していたんじゃないか?」
私の目から涙が溢れた。誰もそんなこと今まで気づいてくれなかった。誰も労ってなんてくれなかった。ずっと悲しくて、ずっと苦しかった。心がバラバラになりそうなのを私は必至で心をかき集めて、生きていた。
「なぜ、今日になっていうんです!?」
でもよりにもよって、今夜が初夜という日になってなぜ彼は言うの?
アルは私の男嫌いに気づいていたなんて思ってもいなかった。アルのように体調が悪くなるほどではないにしろ……私は男の人が苦手だった。オースティン殿下の妃として過ごした日々がつらすぎて、苦手になってしまっていた。でも隠すことは完璧にできていたと思っていた。そんなに男の人が近距離にいることはなかったから……。
「今日だから言っても構わないかなと思ったんだ。もう結婚の儀式も終わったし、お披露目もしたし、シアとなにがあっても離れる心配はなさそうだからな。外堀から埋めてしまった。オレ、性格悪いよな。でもそのくらいもう手放したくないんだ。シアは怖かったんだな?ほんとにあのバカ王子を殴りたい」
やめてくださいっ!捕まりますっ!と私が泣きながら言う。
「せっかくの夜ではある。シアが嫌なら触れない。アルコールでも飲んで、二人で話す夜も悪くない。いろいろオレの知らないシアのこと教えてくれるか?本当の夫婦になったんだから、時間はまだまだある。一緒にずっといてくれるだろう?」
この人はなんて……なんて優しいのだろう。温かい世界を私にくれる。アルのこと、私、好きだわ。ううん。きっと愛というにふさわしい。この胸の奥にあるものは間違いなく。
だから聞きたい。アルに聞いておきたいことがあるの。
「アル……聞きたいことあるんです」
なに?とワインをグラスに注いで、私に手渡す。
「いまさらの確認なのかもしれません。でもずっと気になっていたんです。私とアルは今は契約の夫婦なんですか?……こんなこと聞かなくても良いのに、どうしてもアルの言葉がほしいのです」
アルの言葉を聞けば、きっと私は勇気がもてる。そう思って、こんなこと……いまさらのことを聞いてしまった。
「確かにいまさらだけど、はっきりしておこう。オレの気持ちをしっかりシアに知っていてほしい。きちんと言ってなくて、ごめん。もう一度やり直すよ。言い方を変える。契約変更していいかな?」
アルは明るく楽しそうだった。そんな彼を見ていたからだろうか?私の涙は止まっていた。
「シア、オレの妻になってくれ。フランとシア。2人まとめて幸せにしたい。契約していた偽りの愛ではなく、オレの本物の愛を君にあげたいんだ。もらってくれるかな?」
私は新たな涙がこみ上げるのを我慢した。そして返事をした。
「私もアルとずっと一緒にいて、あなたを幸せにしたいです。アルに愛を伝えたいんです」
だから……と私はアルをみつめた。もう震えは止まっていた。どうやって愛を伝えることができるのか私はわかってる。
だから女嫌いの旦那様、私を愛してくださいとお願いした。
今夜は、きっと怖くない。だって彼は他の誰よりも私とフランを受け入れてくれて、いつだって守ってくれた。その深い愛は疑いようもない。
アルは微笑み、わかったよと優しい声で言ったのだった。
あの時の私に言ってあげたい。涙を流す日も孤独に迷って胸を痛める日もあるかもしれない。だけど、あなたの心に灯りをともしてくれる人と出会えるって。暗い闇の夜も明ける日がくるって。
―――女嫌いのアルと男嫌いの私はこうして幸せになるための一歩を踏み出したのだった。
~FIN~
アルの部屋の扉を開けて入ると、広々とした部屋で、豪華な天蓋付きのベッドとテーブルの上にはアルコールや花があった。ガウンを羽織って湯上がりのアルは私よりなぜか色っぽい。私より色気がある男の人って……。
ニコッと笑いかけてくれたアルの顔をみたら、少し緊張がほぐれた。
「シア、緊張してる?」
手招きされて、座らされたのはふかふかのソファーだった。隣り合わせで座った。
「はい……実は……とても」
「実はオレも。だけど、女アレルギーがシアにだけ平気になった嬉しさが勝ってる。遠ざけなければならないと思っていたのに、こんなに近くにいれることが夢のように感じる」
でもアルは緊張してるようにまったく見えない。彼は私に気遣ってくれているような気がした。アルは話しながら、私の髪に触れ、それから頬に手を伸ばし、片方の手は私の手を握る……思わず、私はギュッと目を強く閉じた。そこでピタリと手を止めた。
「アル?」
「手が冷たい。緊張してるだろ……と、いうかシアはきっとあまり……えーと……こういうこと言わないほうがいいのかもしれないが、言ってもいいかな。シアはあまり男性に触れられたいと思っていないだろう?」
思わず息を止めた。絞りだすような声が私から出た。
「なぜ……なぜ……なぜ気づいたのですか?」
アルは確認したとばかりに、スッと私から手を離した。
「勘かな。オレとシアは同類なのかもしれないとふと思った瞬間があったんだ。それにオースティンは優しくないから、シアはきっと恐い思いをしたのは予想できる。だから無理しないでいい。ほどよい距離が良いんだろう?契約上の夫婦と聞いて実は安心していたんじゃないか?」
私の目から涙が溢れた。誰もそんなこと今まで気づいてくれなかった。誰も労ってなんてくれなかった。ずっと悲しくて、ずっと苦しかった。心がバラバラになりそうなのを私は必至で心をかき集めて、生きていた。
「なぜ、今日になっていうんです!?」
でもよりにもよって、今夜が初夜という日になってなぜ彼は言うの?
アルは私の男嫌いに気づいていたなんて思ってもいなかった。アルのように体調が悪くなるほどではないにしろ……私は男の人が苦手だった。オースティン殿下の妃として過ごした日々がつらすぎて、苦手になってしまっていた。でも隠すことは完璧にできていたと思っていた。そんなに男の人が近距離にいることはなかったから……。
「今日だから言っても構わないかなと思ったんだ。もう結婚の儀式も終わったし、お披露目もしたし、シアとなにがあっても離れる心配はなさそうだからな。外堀から埋めてしまった。オレ、性格悪いよな。でもそのくらいもう手放したくないんだ。シアは怖かったんだな?ほんとにあのバカ王子を殴りたい」
やめてくださいっ!捕まりますっ!と私が泣きながら言う。
「せっかくの夜ではある。シアが嫌なら触れない。アルコールでも飲んで、二人で話す夜も悪くない。いろいろオレの知らないシアのこと教えてくれるか?本当の夫婦になったんだから、時間はまだまだある。一緒にずっといてくれるだろう?」
この人はなんて……なんて優しいのだろう。温かい世界を私にくれる。アルのこと、私、好きだわ。ううん。きっと愛というにふさわしい。この胸の奥にあるものは間違いなく。
だから聞きたい。アルに聞いておきたいことがあるの。
「アル……聞きたいことあるんです」
なに?とワインをグラスに注いで、私に手渡す。
「いまさらの確認なのかもしれません。でもずっと気になっていたんです。私とアルは今は契約の夫婦なんですか?……こんなこと聞かなくても良いのに、どうしてもアルの言葉がほしいのです」
アルの言葉を聞けば、きっと私は勇気がもてる。そう思って、こんなこと……いまさらのことを聞いてしまった。
「確かにいまさらだけど、はっきりしておこう。オレの気持ちをしっかりシアに知っていてほしい。きちんと言ってなくて、ごめん。もう一度やり直すよ。言い方を変える。契約変更していいかな?」
アルは明るく楽しそうだった。そんな彼を見ていたからだろうか?私の涙は止まっていた。
「シア、オレの妻になってくれ。フランとシア。2人まとめて幸せにしたい。契約していた偽りの愛ではなく、オレの本物の愛を君にあげたいんだ。もらってくれるかな?」
私は新たな涙がこみ上げるのを我慢した。そして返事をした。
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だから……と私はアルをみつめた。もう震えは止まっていた。どうやって愛を伝えることができるのか私はわかってる。
だから女嫌いの旦那様、私を愛してくださいとお願いした。
今夜は、きっと怖くない。だって彼は他の誰よりも私とフランを受け入れてくれて、いつだって守ってくれた。その深い愛は疑いようもない。
アルは微笑み、わかったよと優しい声で言ったのだった。
あの時の私に言ってあげたい。涙を流す日も孤独に迷って胸を痛める日もあるかもしれない。だけど、あなたの心に灯りをともしてくれる人と出会えるって。暗い闇の夜も明ける日がくるって。
―――女嫌いのアルと男嫌いの私はこうして幸せになるための一歩を踏み出したのだった。
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