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(番外編)若き公爵の恋心
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あの人は人妻だった。
そりゃそうだよな。出会ったシチュエーションが結婚式なんだから当然人妻だ。
好きになった当日が結婚式だなんて、オレって本当に人生ついてない。
子供の頃は可愛いとか天使だとかと言われていた。そのせいか年上女性や周囲の女性に好かれることが多く、いろんな出来事がおこった。
それから女嫌いになり、まだ自由に過ごしていたいのに両親が亡くなり、クラウゼ家を継いだ。
本当に人生ついてない。
城へ仕事で行くと、ちょうど目の前からあの人の夫でこの国の王子であるオースティン殿下が歩いてきた。
もうこの時点で嫌な気分になる。なぜならアホ王子……もといオースティン殿下の腕に自分の腕を絡ませ、こんなに離れてるのに香水の強烈な匂いをさせて、化粧が濃いケバケバしい女性が隣にいたからだ。
そう……オースティン殿下は正妻であるオレの想い人を蔑ろにして、愛人と堂々と歩いているのだ。こんな昼間っから。
「やあ。アルバート!仕事か?」
偉そうに片手をヒョイッとあげて挨拶してくる。……おまえも仕事しろよ!と言いたいのを我慢して飲み込む。オレは王家の血筋といえど、オースティン殿下に仕える身だ。余計なことを言わないでおこう。
「陛下に呼ばれているんですよ」
そうオレが返すとごくろうなことだなと言われる。オースティン殿下が王になってもオレはこんな忍耐力で付き合えるだろうか?そう思ったが、とりあえず今は国政に口を出してこないオースティン殿下だから放っておける。
オレはこいつに関わらない関わらない関わらない……と10回くらい心のなかで唱える。失礼しますと挨拶して去ろうとする。
「アルは好きな女性とかいないのか?」
さっさとこの場から消えたいのに、呼び止められる。呼び止めるなよ!
好きな女性だって!?それはおまえの正妻だよっ!と言えば大問題だ。オースティン殿下がこんなことをしているということは彼女は大事にしてもらえていないのだろうか?
いや、よせ。聞いて関われば余計に気になる存在になる!
オレは絶対に……関わらない関わらない関わらない!!さらに10回くらい唱える。
オレは気持ちに蓋をする。
「いないです。失礼します」
そうかとなぜかオースティン殿下の顔が勝ち誇っているように見えたが、自分の気持ちのせいだと思うことにする。
それから何年かして、王子が離縁した!という話が耳に入った。その瞬間だった。オレの気持ちの蓋が開いた。
「シリル、オースティン殿下の元妻を娶ろうと思う」
優秀な執事のシリルがあんなに動揺した顔を見たのは初めてだったし、この先もないだろう。なんなら、オレが手紙を頼むと、お盆を落としかけたし、ドアのところで躓きかけていた。
今度こそ手に入れよう。
ついてない人生だったか?
いや、最高についてる!今度こそオレは彼女を手に入れる!
あの日見た。花びらが舞う中にいた切ない顔をしたシアを笑顔にしてみせる!
彼女がいれば、今までのことも帳消しになって、ついている人生になるさ!
そりゃそうだよな。出会ったシチュエーションが結婚式なんだから当然人妻だ。
好きになった当日が結婚式だなんて、オレって本当に人生ついてない。
子供の頃は可愛いとか天使だとかと言われていた。そのせいか年上女性や周囲の女性に好かれることが多く、いろんな出来事がおこった。
それから女嫌いになり、まだ自由に過ごしていたいのに両親が亡くなり、クラウゼ家を継いだ。
本当に人生ついてない。
城へ仕事で行くと、ちょうど目の前からあの人の夫でこの国の王子であるオースティン殿下が歩いてきた。
もうこの時点で嫌な気分になる。なぜならアホ王子……もといオースティン殿下の腕に自分の腕を絡ませ、こんなに離れてるのに香水の強烈な匂いをさせて、化粧が濃いケバケバしい女性が隣にいたからだ。
そう……オースティン殿下は正妻であるオレの想い人を蔑ろにして、愛人と堂々と歩いているのだ。こんな昼間っから。
「やあ。アルバート!仕事か?」
偉そうに片手をヒョイッとあげて挨拶してくる。……おまえも仕事しろよ!と言いたいのを我慢して飲み込む。オレは王家の血筋といえど、オースティン殿下に仕える身だ。余計なことを言わないでおこう。
「陛下に呼ばれているんですよ」
そうオレが返すとごくろうなことだなと言われる。オースティン殿下が王になってもオレはこんな忍耐力で付き合えるだろうか?そう思ったが、とりあえず今は国政に口を出してこないオースティン殿下だから放っておける。
オレはこいつに関わらない関わらない関わらない……と10回くらい心のなかで唱える。失礼しますと挨拶して去ろうとする。
「アルは好きな女性とかいないのか?」
さっさとこの場から消えたいのに、呼び止められる。呼び止めるなよ!
好きな女性だって!?それはおまえの正妻だよっ!と言えば大問題だ。オースティン殿下がこんなことをしているということは彼女は大事にしてもらえていないのだろうか?
いや、よせ。聞いて関われば余計に気になる存在になる!
オレは絶対に……関わらない関わらない関わらない!!さらに10回くらい唱える。
オレは気持ちに蓋をする。
「いないです。失礼します」
そうかとなぜかオースティン殿下の顔が勝ち誇っているように見えたが、自分の気持ちのせいだと思うことにする。
それから何年かして、王子が離縁した!という話が耳に入った。その瞬間だった。オレの気持ちの蓋が開いた。
「シリル、オースティン殿下の元妻を娶ろうと思う」
優秀な執事のシリルがあんなに動揺した顔を見たのは初めてだったし、この先もないだろう。なんなら、オレが手紙を頼むと、お盆を落としかけたし、ドアのところで躓きかけていた。
今度こそ手に入れよう。
ついてない人生だったか?
いや、最高についてる!今度こそオレは彼女を手に入れる!
あの日見た。花びらが舞う中にいた切ない顔をしたシアを笑顔にしてみせる!
彼女がいれば、今までのことも帳消しになって、ついている人生になるさ!
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